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Bar 【東京・阿佐ヶ谷】創作タコスと、ストーリーが詰まった自家製ビールを楽しめる場所「olla(オジャ)」に行ってきた。

2024/04/20

東京都杉並区・阿佐ヶ谷。中央線の丁度中心あたりにあり、都心からも近く、住みやすいと人気の街。

駅周辺には商店街がいくつもあり、それぞれの個性が光る、思わず入ってみたくなるような魅力的な雰囲気の小さなカフェや古着屋など個人店がたくさん立ち並んでいます。


阿佐ヶ谷駅から4分ほど歩いたところにある松山通り沿いには、レンガ調の小さなお店が並んでいて、その一つにオレンジの看板がひときわ目立つお店が。


その名も「olla(オジャ)。ころっと可愛いフォントのオレンジの看板と、窓から覗く店内のこじんまりとした温かい雰囲気に吸い寄せられます。

今日は自家製クラフトビールとタコスなどを展開する「olla」の魅力をたっぷりお伝えします。


自家製ビールとタコスのお店


「olla」は、高円寺にあるブルワリー兼タップルーム「アンドビールの2号店として高円寺のお隣の駅・阿佐ヶ谷に2023年にオープンしました。

アンドビールはスパイスカレーが名物のお店で、ollaはタコスをメインとするメキシコ料理を楽しめるお店と、それぞれ違った楽しみ方ができます。2店舗を徒歩でハシゴしてみましたが13分ほどの距離で、丁度酔い覚ましできちゃう良い距離感。


明るい光が差し込む店内は、入り口付近に4人がけのテーブル席が2つと、カウンター席が8席奥に続く縦に長い形。お客さんと正面で向かい合って会話しやすいようにカウンター席が多い店内になっています。


外にもテラス席のテーブルが一つあります。「暖かい季節にテラスでビールとタコスーー」想像するだけで気持ちが高まります。


「olla」と書いて“オジャ”と読むお店の名前は、スペイン語で「寸胴鍋」という意味だそう。

なぜお鍋?」と思いますが、寸胴鍋はこれまでアンドビールでビールやカレーをつくるために使ってきて、共にお店を支えてくれたルーツともいえる、アンドビールとは非常に関わりが深い物。

さらに、「olla」という文字の並びもなんだか顔のように見えること。発音も親しみやすい響きだということでこの名前をつけたそう。ぱっと文字の並びを見るとお茶目なクリっとお目目に見えて、お店の柔らかく優しい雰囲気にぴったりです。


店内を見回すと、そこかしこにメキシコで仕入れてきた雑貨が散りばめられています。


料理を乗せる皿は、日本では見かけないカラフルで可愛らしいホーロー皿。まるでメキシコの小料理屋さんにいるような気分になります。

きっかけは“3ヶ月間毎日タコスを食べていた”こと


そもそも、なぜメキシコ料理とビールのお店をはじめようと思ったのか。アンドビールとollaを運営する合同会社カンパイ日和代表・安藤耕史さんにお話をお聞きしました。

安藤さん「メキシコを初めて訪れたのは大学3年生のころで、当時は大学の文化人類学系の専攻で食文化の研究をしていました。初めてメキシコに行ったときには、田舎のお家に3ヶ月間ホームステイをさせてもらい、毎日のようにタコスを食べていましたね。その後教えてもらいながら自分でも作るようになって、タコスに大ハマりしました。そんなきっかけもあってメキシコ料理についての学びを深めて、大学の卒業論文はメキシコ料理について書きました」


他にも、バックパッカーとして様々な国を旅してきた安藤さん。30カ国ほどの国を巡り、様々な料理を食べてきて、特にスリランカのカレーと、メキシコのタコスに魅了されたそう。アンドビールを立ち上げる前の学生や会社員の時代には、間借りスペースでカレーやタコスを身内に振る舞うほどだったとか。そしていつか自分のお店を構えて現地で感じた食の美味しさを届けたいと思っていたそうです。


さまざまな考えを頭の中で巡らせるなか、初めて立ち寄ったのが一件のクラフトビールを造るブリューパブ。そのお店を見たとき、「ただの居酒屋ではなく、自分でビールを造って、そのビールをお客さんに楽しんでもらえたらもっとおもしろそう」と“自分でビールを造ること”に興味を持ったそう。

その出会いが「アンドビール」を始めるきっかけになり、2018年に高円寺に「アンドビール」がオープン。名物のスパイスカレーは、それ目当てで来る人も少なくない、大人気のメニューになっています。


そして2店舗目となる「olla」では、安藤さんが魅了されたもうひとつのフードであるタコスと自家製ビール、そして山梨県産のワインを提供しています。山梨のワインを置いているのは、これまでの高円寺の醸造所に加え、新拠点として2021年に山梨県・勝沼市に2つ目の醸造所をオープンしたことに縁があります。

旅先での出会いと想いを詰め込んだ素材を活かしたビール

安藤さん「私たちは自分たちのことを『旅するブルワリー』と名乗ってるんです


ビールメニューを見てみると、「旅する」という名前がついたビールもあります。

安藤さん「私たちは海外や日本国内のさまざまな場所を巡って、その土地で見つけた素材を季節感を大切にしながらビールに活かしてきました。またその素材を作った生産者さんとも深く関わりながら、旅先での出会いや関わってくれる人たちの想いまでビールに詰め込むことを特に意識してビール造りをしています」

そのためアンドビールのビールで使われている素材は、ほとんどが安藤さんたちが直接関わっている生産者さんから仕入れたもの。実際に素材を作る場所に出向いて、時には農家さんの仕事を一緒に手伝わせてもらうこともあるとか!

繋がりを大切にしながら、仕入れる素材そのもののおいしさやその土地に行ってみて感じたこと、出会う人のストーリーをビール造りのアイデアに変えているそう。


特にフルーツビールを造ることが多く、中でもぶどうのビールは毎年造っています。山梨のワイナリーやぶどう農家からぶどうを仕入れているので、相手がぶどうを使ってお酒を造るプロであることもあって最初はかなりプレッシャーもあったとか。しかし、ワイナリーとの繋がりが深い分、ワインの醸造工程のプロセスを直接教わって、ビール造りに生かせることが今では強みになっています。

安藤さん「試行錯誤しながら年々アップグレードしたものを造ることができています。その過程が大変ではありますが、ビール造りの楽しさで、面白いところです」


ollaのビールタップは全部で4タップワインはグラスで4種類以上提供していて、ボトルでも20〜30種類の山梨のワインが揃っています。

今日は気になるビールを2種類いただきます!


旅するW IPA ver3』(グラス:税込1,000円、パイント:税込1,450円)


「旅する」シリーズ。「旅する」と名前についているビールは全て山梨の勝沼醸造所で造っていて、こちらもその一つ。WIPA(ダブルアイピーエー)というビアスタイルで、でアルコール度数7.5%以上なのでガツンと系かと思いきや、ホップの味わいも穏やかで、華やかに香りすぎない優しい味わい。どんな食事とも合いそうな食事の味わいを引き立てるのが上手なIPAです。


春のももも』(グラス:税込1,000円、パイント:税込1,450円)


グラスを口元に近づけると、隠し味のカルダモンがふわっと香り、口に含んだ瞬間は小麦の優しい風味、そしてとびきりジューシーな桃の風味が広がります。完熟した桃をそのままかじっているような素材が生き生きした味わいで、ビアスタイルのヴァイツェンのフルーティーさがさらにそれを引き立てています。

生産者が大切に作った素材をビールに生かすというアンドビールのモットーが一口で伝わるような、生産者さんへのリスペクトが感じられる味わい。さらに桃がしっかり生かされているのに桃の味ばかりではない、しっかりとビールとして美味しい絶妙なバランスが取れているフルーツビールです。一口飲んでアンドビールが大切にしているビール造りへの想いが染み渡りました


日常に溶け込むメキシコ料理


ollaのメインメニュー「タコス」は、生地のトルティーヤをとうもろこし粉をこねる所から作っています。この生地がなかなか今まで食べたことのない本場の味で、おいしさの要になっています。


とうもろこし粉はメキシコで実際に使われているものを使用。とうもろこしの風味が豊かに口に広がる、優しくてしつこくない味わいで、気軽にパクパク食べれます。


そして中に包む具材は、定番メニューが5種類、限定メニューが5〜6種類と、常時10種類以上のタコスが楽しめます。限定メニューはその日ごとにどんどん更新されていくので何が食べられるのかはお楽しみ!取材の日は中華タコスフェア中でなかなかタコスの具材としては珍しいラインナップです。トルティーヤの味がシンプルだからこそ、中の食材の可能性が無限に広がります。安藤さん曰く、これまで100種類以上のタコスを考案してきたとか!


安藤さん「メキシコ料理って、タコス以外に何があるか分からない人の方が多いと思います。本場の味をそのまま作っても日本人の口には合わなかったりすると思うんです。ただ、食べてもらわないと伝わらないと思うので、メキシコ料理のエッセンスを日本人が食べ慣れているものにドッキングして、いかにメキシコ料理を日常に溶け込ませるかというところにこだわっています


種類もたくさんあり、500円以下のワンコインで食べられるものも多いので、色々試してみたくなっちゃいます。シェアする時は追加トルティーヤを1枚100円でつけられるのでおすすめです。

早速気になるタコスを2種オーダーしてみました!


タコス2種

カルニータス』(税込500円)写真左

ラードで3時間じっくり煮込んだほろほろ柔らかい豚肉を、トマト、玉ねぎ、ハラペーニョのサルサと一緒にトルティーヤに包んだ、メキシコでは定番タコスのうちの一つ。豚肉の甘くコクのある味をサルサがさっぱりさせてくれる最高の組み合わせです。こちらはいつでも食べられる定番メニュー!


ラムの麻婆茄子』(税込550円)写真右

限定メニューから一品。ラムのひき肉を自家製麻辣醤ペーストを使ってナスと炒めたエスニックさもある中華風な一品。初めて食べるタコスでしたが、しっかり濃い味の麻婆茄子をトルティーヤの優しいとうもろこし風味が包み込んでいて美味しい…。中華とメキシコが最高のタッグを組んでいます。
ollaでは、タコス以外のメキシコ料理も豊富に用意されています。人気の1品をいただきました。


定番!ハラペーニョのチーズ詰めフリット』(税込600円/2個)


ハラペーニョという唐辛子を半分にカットした中に、たっぷりチーズを入れてサクッとフリットに​した、メキシコでは定番の料理​です。唐辛子の辛みをチーズが優しく包んでくれていて、ビールが止まらないおつまみ。


取材の日も、寒い時期だったのでメキシコ風おでんを提供していたり、メキシコ料理に慣れていない方でもつい頼んでみたくなるような、ollaエッセンスが加わったメニューが並んでいました。なかなか触れてこなかった他国の料理でも、食べ慣れたものと合わせてアレンジされているとついオーダーしたくなります!


バレルエイジドビールを造りたい!山梨で新しい挑戦


先ほどアンドビール勝沼醸造所で造られた「旅するシリーズ」のビールもいただきましたが、なぜ山梨でビールを造ることになったのか。その理由を聞いてみると、ollaがオープンした理由もみえてきました。

もともと未経験でビールの醸造にチャレンジしようと思った安藤さんご夫婦は、どんなビールが造りたいのかを探るため、国内外さまざまなブルワリーを巡ったそう。中でもアメリカ・サンディエゴのエールスミスというブルワリーで、バレルエイジドビール(※)との印象に残る出会いが​あったといいます。​

※バレルエイジドビール…ビールをバレル(木樽)で熟成させて造るビアスタイル。元々ワインやウイスキーなど、他のお酒を醸造していた樽を使用し、複雑な風味が絡み合う味わい。

エールスミスは、ブルワリーの中に小さな小屋のようなバレルエイジドビール限定のタップルームがあります。扉を開くと、オレンジの灯りが灯る落ち着いた空間が広がり、蓄音機からレトロな音楽が流れる。そんな空間で、木の樽を模したサーバーから提供されるバレルエイジドビールをゆっくり楽しむ世界観に、一気に引き込まれたそうです。


その時からアンドビールでいつかバレルエイジドビールを造りたいと思うようになったそう。その後、勝沼にあるワイナリーと共通の知り合いを通して出会い、山梨に通うように。ときにはぶどうの傘掛けや収穫を手伝い、醸造家さんとの関係を深めていきました。何度も足を運んでいるうちに山梨に知り合いのワイナリーが増えていき、あるとき、「空いている倉庫があるからそこでビール作ったらいいよ!」と声をかけていただきビールを造る場所を提供してもらえることになったとか。

丁度その頃、コロナ禍に突入。ビールが思うように売れない時期が続きました。高円寺で造っているビールが余ってしまう…そんな大ピンチのときに山梨の倉庫の話があり、コロナ禍が明けた頃に楽しんでもらえるようにと、高円寺のビールを山梨に運んで樽に詰め、バレルエイジドビールを造ろうという運びになりました。


「偶然の重なりでこうなったんです」と話す安藤さんですが、ご自身が周りの人との繋がりを大切にし、ゆっくりと関係性をつくってきたその賜物なのだと感じます。バレルエイジドビールを造りたいという思いを形にしたお話に心を打たれました。

そして、「バレルエイジドビール」をはじめとする、「ストーリーがたっぷり詰まったアンドビールの話をじっくりと伝える場所をつくりたい」という思いがひとつのきっかけにもなり、ollaをオープンするに至ったといいます。

そんな多くのご縁が繋がって完成したアンドビールのバレルエイジドビール、2023年に第1弾のものがリリースされ、待望の第2弾が2024年3月にリリースされました!


Wonder Wonderer』(オープン価格)

山梨のワイナリー「くらむぼんワイン」から、赤ワインの「マスカットベーリーA」を抜いた直後の状態の樽を頂き、そこに高円寺のアンドビールのお店の前で育てたローズマリーを使って醸造したセソンビールを入れ、16ヶ月熟成させたもの。

ワインを抜いた直後のものをいただくことは珍しいそうで、赤ワインのおり(ワインの中の浮遊物や沈殿物)が残った状態でビールを入れているので、ワインの風味をしっかりと受け継いだビールになっているとのこと。

「Wonder Wonderer」がお店で飲めるのはollaだけ!このビールが出来上がったストーリーを直接聞きながら、ゆっくり飲みにいきたいという方は、アンドビールの公式HPからチェックしてみてください。

■アンドビール公式HP:https://andbeer.jp/2024/03/15/roundtrip02/


旅のストーリーを届ける場所


安藤さん「ollaは、各地を旅しながらビールを造っている私たちの旅の成果物を、そのストーリーと共に、ビールを通してお客さんにお届けする場所にしたいと思っているんです。飲んだ人自身がその場所に行った気分になったり、その場所に行きたいと興味をそそられたり、そんなことを感じてもらいながら過ごしてほしいです」

1杯に様々な情景が浮かぶようなビールを造ることができるのは、安藤さんがビール造りを通して関わる方との関係を本当に大切にし、現地に旅に行って、見て聞いて、肌で感じたことを活かしている​からこそ、​初めてできることなのだと思いました。

現在山梨の工場には、飲まれる日を夢見るバレルエイジドビールたちがまだまだスタンバイしています。今年はコンスタントにバレルエイジドビールをリリースしていきたいとのこと!醸造家の方とも繋がりが深いので、リリース時に醸造家を招いたリリースパーティーをしたりとか、同じ樽で作られたワインの飲み比べをしたりとか、さまざまな企画も考えているそう!次はどんなバレルエイジドビールと出会えるのか楽しみです。


ビールや料理を美味しくいただけるだけでなく、ひとくちでその土地の情景やストーリーを感じさせてくれるような、ちょっぴり旅に出た気分になれる場所、それがollaです。

そんな時間を楽しみたいと思ったら、ぜひollaに足を運んでみてください。

 olla(オジャ)

〇住所:東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-36-1-105
◯アクセス:JR阿佐ヶ谷駅から徒歩4分
◯営業時間:
[水〜木]17:00〜22:30

[金]17:00〜23:00
[土]12:00〜23:00
[日]12:00〜21:00
◯定休日:月・火
◯決済方法:現金、クレジットカード、PayPay
◯Instagram:https://www.instagram.com/olla_andbeer_asagaya/

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ビールにハマったきっかけは大学時代に見たガッキーのドラマでした。行きつけのビアバーでお気に入りのビールを片手に人生について語る…そんなガッキーに憧れて初めてビアバーに駆け込んでみたときに、ビールの奥深い世界と出会いました。特に好きなスタイルはIPAです。ちょっぴり苦めで香り強めが好きです。皆さんがここでたくさんのお気に入りの一杯に出会えますようにと願いを込めて、楽しい情報を発信していきます!

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