Event 【体験レポ】五感で楽しむホップの旅 in 秋田・横手

2018/09/04

秋田県横手市大雄地区で「ビアツーリズム ホップ畑を巡るオトナ旅」が、2018年8月19日(日)に開催されました。

「ホップって、秋田でも作ってるの?」と思った方も多いのではないでしょうか?実は、私もその一人でした。この旅に参加して、今まで知らなかった横手のホップのこと、ホップ農家さんのこと、地元と企業の取り組みについて知ることができましたので、ご紹介します。



「ホップ畑を巡るオトナ旅」のツアー概要

このツアーの主催は秋田の新聞社である秋田魁新報社。そして、協力はキリンビール株式会社秋田支社、横手市、大雄ホップ農業協同組合、よこてホッププロジェクトです。このオトナ旅の参加者は、秋田県内で行われた『秋田をまるごと味わおう 秋田のうまいもの発見!キャンペーン』の抽選に、みごと当選した約60名。


秋田 横手 大雄 ビアツーリズム スケジュール


スケジュールは、ホップ乾燥場見学、横手市実験農場の見学とトマト収穫体験、ホップ畑体験、横手の地元の方との交流会と、盛り沢山の内容です。


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参加者は“かいこがね号”“キリン2号”と名付けられた2台のバスに乗って移動します。実は、”かいこがね”と”キリン2号”はホップの品種名なんですよ!


ホップは鮮度が命 ~ホップ乾燥場~

ホップは収穫した途端に劣化が始まるので、すぐに乾燥させる必要があります。見学した大雄地区では、訪れた前日の8月18日から収穫が始まっていて、収穫が終わる時期までは、ホップ乾燥場を24時間体制で稼働させているそうです。

簡単に収穫後の流れをご紹介します。

蔓(つる)ごと収穫したホップは、すぐに乾燥場へ運ばれます。最初に、摘花機(てきかき)という専用の機械でホップだけ取り出します。取り出されたホップは、手作業で選別され、乾燥機で12~13時間かけて乾燥させます。乾燥したホップは約10分の1の重さになり、専用の大きな袋に詰められ、ペレット加工場に送られます。


ホップ畑での貴重な体験!

ホップ乾燥場見学、横手市実験農場の見学とトマト収穫体験の後、ホップ畑へ向かいます。

収穫直前というだけあって、ホップ独特の爽やかな香りが畑中に広がっていました。参加者のほとんどはホップ畑初体験。想像よりも高く伸びている蔓や、鈴生りにホップがついている様子に驚いていました。ホップ農家の土田章之さん(大雄ホップ農業協同組合 第一理事)と佐々木安子さん(大雄ホップ農業協同組合 事務局)の説明に、皆さん真剣な表情で耳を傾けます。


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そして、いよいよホップ畑の中で、ビールをいただきま~す!

その場で摘んだホップをビールに入れて飲むという贅沢な体験ができるのも、このツアーならでは。白い泡に浮かぶホップが涼しげで、飲んでみるとホップの香りがよりフレッシュに感じられました。


横手産のおいしいものを堪能

地元・横手市の方との交流会会場へ場所を移し、横手のおいしい料理とビールを堪能しました。


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印象的だったのが、ホップのフリット!このオトナ旅の為に、特別に用意されたメニューなんです!揚げたてに少し塩をふって食べると、ホップがほろ苦く、大人の味。ビールとの相性バッチリ!


横手のホップに迫る危機

このツアーの主役であるホップ。しかし今、横手市ではホップ生産存続の危機が迫っているそうです。

ホップに扮したキリンビール株式会社秋田支社 支社長の栗原伸之さんから、横手産ホップについて、詳しく説明がありました。


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秋田県横手市は、キリンとホップ契約栽培47年の歴史があり、昨年は生産量が日本一になったそうです。しかし、ピーク時の1989年と比べると、生産量が3分の1まで減少しています。その要因の一つは、生産農家の高齢化で、平均年齢はなんと69.4歳!それに加え、後継者不足も重大な問題となっています。毎年、生産を辞めてしまう農家さんがあり、このままでは横手産ホップがなくなってしまう、という危機的な状況です。


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そこで、これらの問題を解決するため、キリングループと横手市は2018年6月に「持続可能なホップ産地づくりと横手産ホップを通じた地域活性化を目的とした連携協定」を締結し、大雄ホップ農業協同組合や民間の有志団体「よこてホッププロジェクト」と共に、横手の伝統ある作物「ホップ」を守り、ホップを通じた地域活性化の活動を進めているそうです。


まちなかで育てられるホップへの想い

2017年に民間の有志によって立ち上げられた「よこてホッププロジェクト」の取組みの一つ、ホップのまちなかグリーンカーテンをご紹介します。

「横手の宝であるホップを、市民に身近に感じてもらいたい!誇りに思ってもらいたい!市外や県外の観光客に知ってもらいたい!」という想いで、よこてホッププロジェクトが中心となり、キリンと横手市そして大雄ホップ組合と協働で計画された取組みです。

ホップのグリーンカーテンの設置場所は、横手地域で10か所、増田地域・湯沢市に5か所です。MAPはコチラです。


秋田 横手 大雄 横手ホッププロジェクト グリーンカーテン 


JR横手駅構内に設置されたホップです。高さは4~5m位まで育っています。


秋田 横手 大雄 横手ホッププロジェクト グリーンカーテン


一年中かまくらを100円で体験できる施設「かまくら館」内のホップ。高い天井に合わせて蔓が伸びていました。

どちらも毬花はついていませんでしたが、今年はまだ1年目。来年はどのくらい大きく育つか楽しみです。


よこてホッププロジェクトの活動はこちらのリンクで確認できます。

https://ja-jp.facebook.com/yokotebeer/

http://www.city.yokote.lg.jp/tokusetsu/hp/


この旅に参加して、空に向かって伸びるホップ畑の中を歩きながら、ホップ独特の爽やかな香りを感じ、やっぱりビールにはホップが欠かせないんだと実感しました。そして、収穫作業の合間に説明してくださったホップ農家さんや、地元の方から交流会でのおもてなしを受け、横手の皆さんの人柄のよさが心に沁みました。

ビールファンとして、ホップについて興味を持つことも大事ですが、実際に産地を訪れないと分からないことや体験できないことがあると強く感じる旅になりました。

今回のオトナ旅は秋田県の方が対象でしたが、今後は県外の方も参加できるチャンスがありそうです。機会があったら、皆さんも横手へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

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ライターの紹介

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数年前に突然ビールの奥深さに目覚めて以来、寝ても覚めてもビールのことばかり考えています。全国の大手ビール工場や醸造所に通い、ビール関連の本を読み漁り、さまざまな勉強会やイベントに参加。日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として、IBC(インターナショナル・ビアカップ)の審査員を経験(2018年、2019年、2020年)。日本ビール検定2級。日本ビアジャーナリストアカデミー10期生。紙面協力:ライフスタイル情報『CHANTO』。

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