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お酒は二十歳になってから。

Bar 【埼玉・越谷】夫婦のものづくりが溢れ、呑人の憩いの場となる唯一無二のブリューパブ「NOMENDO BREW STAND」

2026/05/25


日本には、暮らしや愛着を「人」の文字に託した、体温を持つ言葉があります。

旅人(たびんど)
山人(やまんど)
島人(しまんちゅ)

ならば、酒に惹かれ嗜む人間は、何と呼ばれるのだろうか。

答えはきっと、「呑人(のめんど)」。


そんな魅力的な名前を冠したブリューパブ「NOMENDO BREW STAND(ノメンド ブリュースタンド)」が、2023年8月、越谷駅にオープンしました。


どんな魅力を持ち、どんなクラフトビールを醸造するお店なのか。

今回編集部は、オーナーでありブルワーの佐野明彦さんにお話を伺い、その魅力について深堀りしてきました。


エキゾチックな世界観のNOMENDO


「NOMENDO BREW STAND」(以下、NOMENDO)があるのは、埼玉県越谷市。

東武伊勢崎線が通る「越谷駅」から徒歩3分の場所にあります。


大きな「NOMENDO」の赤い文字に、醸造タンクや店内の様子が見えるガラス張りの構えと、入店前からワクワクします。

テーブルのついた椅子も外に置かれていて、天気の良い日は外飲みも楽しめます。


お店の中にはベンチもありますが、基本的に立ち飲みスタイル。どっしり構えたテーブルが2つと、背の高いカウンターがあります。


カウンターの奥にはビアタップが。本物のレンガを組み合わせたおしゃれな壁から、クラフトビールが注がれていきます。


この幾何学模様のレンガには、NOMENDOらしい美意識が表れています。というのも、NOMENDOのデザインの多くは「幾何学模様」「和風」が特徴的。


例えば、NOMENDOのロゴ。これは、「ケルトの結び目(Celtic knot)」という幾何学模様がモチーフになっているのだとか。

ケルトノットは、切れ目なく絡み合う装飾模様が特徴で、主に古代ケルト文化圏で発展した装飾芸術。そこに、

BRIEF MOMENT IN THE LIFE OF THE PLANET.
THE ROOT IS WARM EVEN IF IT IS UNMELODIC.
我々の活動は 地球という大きな生命の流れ・長い歴史の中では ほんの一瞬の出来事。
それは たとえ不旋律なものであっても 根っこには確かな温もりを宿している

といった、NOMENDOのキャッチフレーズが結び目のように絡み合うグラフィックです。

このキャッチフレーズには、「ほんの一瞬の出来事なのだから 色々挑戦したり尖った事してもいいんだよ」という意味が宿っています。

というのも、実は“NOMENDO”の店名の由来は、佐野弁で「尖ったところ」という意味を持つ言葉「ノメンド」なのです。


会社を興した際、「どうせなら尖った事業をする会社にしたい」という想いのもとで名前を考えていたところ、ご自身の名字と同じ名前の、栃木県佐野市周辺で話される“佐野弁”に「ノメンド」というワードがあることを知った佐野さん。「呑人」とも読めることに気づき、魅力を感じて命名したのだと言います。

必然の出会いにも感じる、運命的なネーミングです。


また、ラベルデザインには古い和柄が採用されています。

文字も篆書体(漢字の原形となった古代文字を基にした伝統的な書体)に仕立てられていて、ローマ字や幾何学模様のロゴと合わさることで、エキゾチックな雰囲気が醸し出されています。


どこか異国的でもあり、不思議な浮遊感をもたらしているNOMENDOのデザイン。これらはすべて、NOMENDOの嫁=通称“ヨメンド”さんと呼ばれる、佐野さんの奥様が担当されています。

ヨメンドさんに、これらのデザインを採用している理由を聞いてみると、「単に好きなニュアンスを要素で組み合わせて行ったら、こうなりました」との答えが。

理屈よりも先に、店主の好みや美しいと思うものが集まり、その積み重ねが一軒の酒場の空気をつくっていく。作られたコンセプトではなく、いろんな要素が集まることで、新たな1つの個性が生まれる。

NOMENDOの世界観もまた、そんな感覚の延長線上にあり、唯一無二の素敵なブリューパブとして存在しています。


越谷コラボに医療用語シリーズ。ユニークなビールたち


そんなNOMENDOには、クラフトビールが16タップ繋がっています。

オリジナルビールはそのうち8〜9種類で、定番ビールは現在6種類。佐野さんの好きなビアスタイルがIPAであることから、IPAを中心に醸造しているのだそう。

その他は、他社のブルワリーをゲストで迎えて繋いでいます。NOMENDOはエールのみ醸造しているため、自分では醸造しないラガーや、変わったビアスタイルなどをゲストビールに迎える基準として考えているのだそう。

佐野さん「タップに繋がれている16種のビアスタイルは、できるだけ偏らないようにしています。また、お客さんから飲みたいクラフトビールのリクエストもいただくので、それを取り入れたり。自分の勉強のためにも、ちょっと変わったクラフトビールも入れたりしています」


また、佐野さん夫妻はお二人とも元々医療従事者だったこともあり、オープン当初は、医療用語をクラフトビールの名前にしていたそうで、定番ラインナップの中には医療用語がいくつか隠れています。

むせるほど美味しいセゾン『喘鳴(ぜんめい)
よだれが出るほど美味いセッションIPA『流涎(りゅうぜん)

など、医療従事者の人がみたら一目瞭然。

また、お二人はかつて「摂食嚥下」にも関わっていた経験があるため、飲み込みやすいとろみをつけたクラフトビールを醸造してみたら面白いかも、と企んでいるのだそう。面白い視点でのビール造りに目が離せません。


また、越谷周辺の地域を盛り上げたいという想いから、地域のお店とコラボしたクラフトビールを日々手掛けています。

近くのコーヒー屋さんのコーヒー豆を使ったコーヒーセゾンや、越谷で育ったメロンを使ったビール、さらに直近ではパン屋さんのパンを使用したビールを醸造、リリースしたと話してくれました。

今回も、2つのコラボビールをいただいてきました。

『晴晴 珈琲セゾン
越谷の珈琲豆販売所「晴れ晴れ珈琲」の豆を使用したコーヒーセゾン。毎回煎り具合などを相談して、都度豆種を変えて醸造。今回いただいたのは第5弾で、グァテマラの中でも良質の豆が生産されることで有名なウエウエテナンゴ地区の豆を⁡中深煎りにしたものを使用。コーヒーの爽やかさを鼻で感じながらも、軽やかな味わい。コーヒーによるスパイシーな深みある味わいがベルギーの本来のセゾンに近しいものを感じ、グッときた1杯です。


『越谷メロンヘイジー
農業デザイン株式会社が手がける「越谷スカイメロン」を使用したヘイジーIPA。飲んだ瞬間、メロンの青々しく甘い香りがキュルン!と鼻をかすめ、メロンのジューシーな果汁とビールのいいとこ取りな液体が喉を通っていく。幸せを感じる、メロン好きにはたまらない1杯でした。


店内では、3種類のグラスでクラフトビールを提供。ハーフパイント(240ml)、レギュラー(310ml)、パイント(473ml)の3つから選べます。


ビールはテイクアウトもOK!自社オリジナルの瓶ビールは常時3〜4種類、プラカップやグラウラーでの量り売りも対応しています。また、他社のブルワリーのビールも、ショーケースにて販売しています。

苺ミルク(左)コーディアルの炭酸割り(右)
そして、クラフトビールの他にも、ヨメンドさんが作るノンアルコールの「ヨメンドリンク」も提供。

ヨメンドさん「お客さんには、お子さん連れもすごい多いので。子連れの人も一緒にジュースを買えるように作ったのがきっかけで、好評だったので定期的に作っています。苺やパイナップル、キウイ、メロンなどのフルーツで作ったシロップをソーダで割るノンアルドリンクです」

お酒が飲めない人も、安心してNOMENDOを楽しめます。

ヨメンドのセンスが光る、おつまみやグッズも充実


クラフトビールと一緒に楽しめる料理は、ヨメンドさんの担当。「ヨメシ(嫁+飯)」として、クラフトビールとの相性抜群なおつまみが提供されています。

この日は、2品いただいてきました。


「奈良漬クリチ」
コク深いクリームチーズに、奈良漬が練り込まれた一品。日本酒の芳醇な香りと強い旨みが特徴である奈良漬は、好き嫌いが分かれる食品ですが、クリームチーズに合わせると魔法がかかったようにクセが抑えられて良いアクセントとなり、とても食べやすいおつまみに。クリームチーズの柔らかい食感と、奈良漬のパリパリした食感のギャップがたまりません。


「栃尾deツナマヨ」
佐野さんが新潟出身ということもあり、メニュー入りした新潟県長岡市栃尾地域の郷土料理「栃尾揚げ」。フッワフワで厚みのある栃尾揚げの中に、ツナマヨがギュウギュウと詰め込まれています。ツナマヨの中には玉ねぎも入っていて、フワッ!トロッ!シャキッ!の三拍子が揃った最高なおつまみです。

さらに、NOMENDOでは定期的にキッチンジャックのイベントも行っています。ゲストを呼んで、NOMENDOのキッチンとおつまみメニューをジャックしてもらうという企画。これまでも、新越谷のカレー屋さんや漬物屋さんを呼んでイベントを開催してきました。Instagramで告知しているので、ぜひチェックしてみてください。


そして、ヨメンドさんのセンスが光るのは、デザインやおつまみだけではありません。

なんと、カウンター横に並ぶアクセサリーや編み物は、全てヨメンドさんの手作り!


実は2025年まで、ネイルサロンとアクセサリー屋さんを別の場所で開いていたヨメンドさん。閉店した後はNOMENDO内にそのままアクセサリーを移設して販売しているのだとか。

クラフトビールにおつまみ、さらにデザインにアクセサリーまで、ご夫婦の“ものづくり”で溢れる魅惑のNOMENDO。器用なご夫婦の才能に惚れ惚れとしてしまいます。


NOMENDOのロゴが入ったブルワリー公式グッズとしても、缶バッチやコースター、グラスなど、色々と展開されています。クラフトビールを飲みながら、手に取ってみてください!


歯科医師からブルワーへの転身


ものづくりが得意なご夫婦ですが、元々医療従事者という過去があるお二人。

そこからなぜブルワリーのオープンに至ったのか、その背景について話を伺ってきました。


元々、歯科医師を本業としていた佐野さんがクラフトビールに出会ったのは、2013年頃のこと。

佐野さん「とあるビアバーに行った時に、新潟のスワンレイクビールのアンバーを飲んだら、美味しくて衝撃を受けて。なんだこれはってなってから色々調べて、いろんなクラフトビールを飲み始めました」

そんななか、50歳までに新しい事業を始めたいという想いを持っていた佐野さん。ずっと好きだったクラフトビール業界のためになる事業を何かやりたいと漠然と考えていたそうですが、コロナウイルスが流行したタイミングで具体的に考え始め、47歳にさしかかるタイミングで退職。

それから、ブリューパブを立ち上げるため、栃木マイクロブリュワリーや加須麦酒、VECTOR BREWINGなどで醸造の経験を積み、2023年8月に越谷の地でNOMENDOをオープンしました。

佐野さん「埼玉のどこかで出店するのは決めてたんですけど、ビアバーも増えてきているタイミングだったので、まだビアバーがないポイントに出店できたらと思って探していたら、たまたまこの物件を見つけて。条件面がマッチしたのももちろんですが、東越谷という場所に2人で住んでいた思い出があったり、婚姻届を出したのが越谷市役所だったりと、縁がある土地であったことも良いなと思って、ここに決めました」


NOMENDOを立ち飲みスタイルにした理由は、出身地の新潟にある思い出のお店をモデルにしているからなのだとか。

佐野さん「新潟クラフトビール館というお店があって、10年以上前によく通ってたのですが、そこの立ち飲みが本当に素晴らしくて。いろんな年代の人がフラッとやってきて、ビールを飲みながら喋ったり交流したりする空間が凄くいいなとずっと思ってて。席が決まっちゃうと、やっぱどうしてもそこの集団だけのコミュニティになっちゃうんですけど、こういう立ち飲み空間だと、隣で飲んでる人に『何飲んでるんですか?』と気軽に聞けたりとか、勝手に交流が生まれるっていう空間ができる。その憧れが、NOMENDOのスタイルに反映されています」

立ち飲みスタイルで、自然と交流が生まれるように。

その理想は確かに実現され、越谷の呑人たちの憩いの場となっています。

ヨメンドさん「このお店には、近隣の方がよく来てくれます。すぐそこのマンションに住んでいる方とか、週4で来てくれますし。このお店がみんなの生活動線に入っていったらいいなというのが最初の狙いでしたが、みんなもう居間に来るような感じでやって来てくれて(笑)常連さんたちの家みたいになっています」


そして、既存のビール好きだけでなく、新しいビール好きを増やしたいという強い想いをもっている佐野さん。NOMENDOがきっかけでクラフトビールにハマったというお客さんもいるそうで、それがとても嬉しいと話してくれました。

佐野さん「ビールが嫌いな人でも、ぜひ一度NOMENDOに来てほしいです。『ビール』と『クラフトビール』って別物のカテゴリーだと思うので、クラフトビールっていうのを飲んだことない人は一回クラフトビールを飲んでほしい。ビールが苦手な人も、クラフトビールなら多分飲める好きなビアスタイルは必ず見つかるので」

ビール好きを増やすため、越谷で醸し続ける


最後に、今後の展望について聞いてみると、「僕がこのビール屋さんを始めるにあたって、やりたいと決めていたことが3つあります」と話してくれた佐野さん。

1つは、ブリューパブという空間を作りたいということ。

佐野さん「それ自体はすでに叶いましたが、引き続きみんなが楽しめるイベントをいっぱい仕掛けていって、どんどん人を呼びたいです」

NOMENDOは、「NOMENDO FUN RUN CLUB」というランニングイベントや、佐野さんによる「クラフトビール講座」、ゲストに料理を提供してもらう「キッチンジャック」など、様々なイベントを開催しています。周年イベントも1年に2回、オープン日と醸造開始日で行っているとのことで、お祝い事や楽しいことが多いことも魅力。

お二人が引き寄せているのか、なぜかNOMENDOのお客さんには医療関係者が多いそうで「ビール飲みながら医療関係のセミナーやるのも面白いかも」と、アイデアまでお話ししてくれました。

イベントの情報はInstagramで都度発信されているので、ぜひチェックしてみてください。


そして2つ目は、クラフトビールを世の中に広めたいということ。

佐野さん「クラフトビールを飲んだことない人に飲んでもらいたい、飲み手を増やしたいという想いが一番にあります。ビールのイベントも増えてきて盛り上がってはいますが、お客さんの顔ぶれが一緒だったりして、同じビール好きが移動してるだけになってしまっている。ビールが主役ではないイベントに出展してもお客さんが来なかったりして、やっぱりクラフトビールの認知度はまだ全然低いなと実感しています。でも、越谷にお店を構えて、ありがたいことにNOMENDOでクラフトビールに目覚めた方がすごい多いことも実感しているから、それぞれに拠点となるお店があるといいな、うちも越谷の皆さんにとってそんなお店でありたいと思っています」

飲み手を増やすためのアプローチの方法がとにかく大変ではあるものの、イベントとしてクラフトビール講座を開いたり、NOMENDO以外のビールを常設することでクラフトビールの幅広さを伝えられるようにしたりと、工夫をしていると話してくれました。


そして3つ目は、地域を盛り上げたいということ。

できるだけ地域の人たちと関わったイベントを開催したり、醸造したりしていきたい。この街で小さくコツコツとやっていきたいと、佐野さん。

今回紹介したコーヒーセゾンやメロンヘイジーはもちろん、埼玉県越谷市をホームタウンとする越谷市初のプロバスケットボールチーム・越谷アルファーズのために醸造した『越谷バーガンディーエール』など、越谷を盛り上げるためのクラフトビールを常に手がけています。


また、店内では瓶ビールの販売をしていますが、通販での販売や他のお店に卸すことはしていないというNOMENDO。つまり、これらの味に出会うには、この場所に訪れるしかありません。

越谷の空気を感じながら、この空間に身を置き味わう。その体験もまたクラフトビールの一部であり、ビール好きが越谷に足を運ぶ理由となり、街に貢献しているように感じます。

実際、佐野さんご自身にも、お店で飲んで欲しいという想いがあるのだそう。

佐野さん「クラフトビールは、とにかくお店で飲んでほしい。僕は、“美味しさとは何か”を考えたとき、情報や場所(シチュエーション)、自分自身の体調や気分など、いろんな要素が絡み合って美味しいって感じると考えているので、お店で飲むビールと家で飲むビールは絶対に味わいが違うと思っています。その雰囲気も味わいながら楽しんでもらいたいっていう気持ちがあるので、お店で、ビールをグラスに注いで飲んでほしいっていうのがあります」


ビールに癒しを求める呑人が集う、NOMENDO BREW STAND。越谷でしか飲めない味わいが、ここにあります。

越谷周辺の方はもちろん、違う地域の方も、その味わいと体験を求め、越谷の呑人たちの憩いの場に足を運んでみてください。

 NOMENDO BREW STAND

〇住所:〒343-0816 埼玉県越谷市弥生町1丁目1 清水ビル102(Googleマップ
〇営業時間:
[月・火]18:00〜22:30
[木・金・土]15:00〜22:30
[隔週 日曜]13:00〜19:00
〇HP:https://www.nomendobrewstand.com/
〇Instagram:https://www.instagram.com/nomendo.brewstand/

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さっこ 編集長

「ビール女子」編集長。記事の企画・執筆・編集やイベント運営を担当。幼い頃から両親が毎日ひたすらビールを楽しそうに飲む姿を見てきたため、「私もきっとビール好きなのだろう」という根拠のない自信と、「大人になったらおいしく楽しくビールを飲みたい」という夢を抱いて育つ。20歳の誕生日を迎えてすぐベルギービールの店で働きはじめたところ、案の定魅了されてビールの世界に溺れ、今に至る。

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