
2024年4月の発売以来、多くの支持を得ている『キリンビール 晴れ風』(以下、晴れ風)が、ブランド初のリニューアルを実施したことを知っていますか?
中には、新旧飲み比べをしてみたという方もいるのではないでしょうか。
ビールのリニューアルがどのような意図で、そしてどのような味わいの変化をもたらしているのかなど、詳しいことまで耳にする機会はなかなかありません。
そこで今回は、リニューアルを担当した醸造家・亀岡峻作さんへインタビューを実施!進化のポイントについて伺ってきました。
さらに、編集部やビールのプロ、ビール好きの皆様から集めたリアルな感想もご紹介します。
『キリンビール 晴れ風』ブランド初のリニューアル!
「晴れ風」は、麦芽100%の麦の旨みと、国産の希少ホップ「IBUKI」による柑橘系の爽やかな香りが特長のビールです。
“お客様、そして世の中を晴れやかにして、いい風を吹かせたい”というコンセプトから生まれ、キリンビールの17年ぶりとなる新スタンダードビール*として2024年4月に誕生しました。
*プレミアム・クラフト・販売先限定品・既存ブランド派生品を除く
ビールとしてのうまみや飲みごたえと、飲みやすさが両立したバランスの良い味わいで、「キリン 一番搾り生ビール」に次ぐ第2の柱として成長し、2024年の発売から現時点までの累計販売本数は、4.2億本*を突破しました。
*350ml換算 2026年4月20日(月)時点
そして発売から3年目となる本年、「晴れ風」ブランド初のリニューアルが実施されました!
従来のこだわりである「飲みごたえ」と「飲みやすさ」が両立した味わいをさらに追求し、すっきりとした飲み口と締まりのよい後味にブラッシュアップされました。具体的には、仕込み・発酵工程の条件を見直したほか、国産ホップ「IBUKI」に加えて、清涼感のあるホップを新たに採用しています。
味わいはどう変わった?ビール女子編集部が本音レビュー
リニューアル後の味わいを確かめるべく、さっそく新しくなった「晴れ風」を飲んでみました。
パッケージには「麦芽100%」に加え、「晴れ風」ならではの特長である「国産ホップ」の文字が新しく追加されています。
グラスに注ぎ、そっと鼻を近づけると、ホップ由来の爽やかな香りがふわりと届きます。
きめ細やかで真っ白な泡と、明るく透き通った黄金色の液色が美しく、思わず見惚れてしまいます。
一口飲んでみると、しっかりとした麦の旨みと飲みごたえを感じながらも、まるで風が吹き抜けるような軽やかなボディ。飲み進めるほどに、バランスの良さが際立ちます。
リニューアル前の「晴れ風」と比べ、リニューアル後の「晴れ風」は、ほのかな余韻を残しながらも、すっとキレよく消えていく印象。口に含んだ瞬間には、凝縮された麦の旨みとともに、深いコクとまろやかさがしっかりと感じられます。そのすぐあと、ゴクッと喉を通ると、解き放たれるような爽快感がすっと広がります。
そのコントラストが心地よく、しっかりとした満足度を感じながら、ついついもう一口と飲み進めたくなるおいしさ!

リニューアル前の「晴れ風」は爽やかさが前面にあり、しっかり飲みたい気分のときには少し物足りなさもありましたが、リニューアル後の「晴れ風」はそこが変わり、飲んだ瞬間の飲みごたえが増し、より広くビール好きに満足感を届けられる一杯になったと感じました。
一方で、後味がきれいにすっと消えていく分、余韻にコクや重みを求める方にはやや軽く映るかもしれません。ここが、好みの分かれるポイントとなりそうです。実際、編集部内でも一部「前の方が好みだった」という声もありました。
また、読者の皆さんからもリアルな声が。
2026年4月に「ビール女子」が実施したアンケート(有効回答数:1,930件)では、リニューアル後の「晴れ風」を飲んだ方のうち、96.7%が「おいしい」と回答。「後味がすっきりして飲みやすくなった」「キレがあって食中酒にぴったり」という声が多く寄せられました。
一方で、「リニューアル前の方が好みの味わいだった」「新しくなって普段の食事には合うようになったが、華やかさが失われて残念に感じる」「お酒好きには少し物足りない感もあるが、最初の1杯にちょうどよくて食事にも合うのがいい」といった率直な声も届きました。
こうした声もある中で、新しくなった「晴れ風」をビールのプロはどう受け止めるのでしょうか。
今回、ビアジャーナリストのくっくショーへイ(佐藤翔平)さん、飲料専門家の江沢貴弘さんのお二人にお話を伺いました。
ビアジャーナリスト
くっくショーへイ(佐藤翔平)さん

1989年宮城県出身。岩手大学卒業。5,000種以上のビールをテイスティングし、飲料関連資格と調理経験を活かして執筆・講師活動を行う。日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として国際ビアコンペの審査も務める。
飲料専門家
江沢貴弘さん

ジャパンビアソムリエ協会理事。各種コンテストの審査員や世界大会の日本代表選考責任者を務めるほか、飲料・食品企業の商品開発、ペアリング提案、イベント監修など幅広く手掛ける。
国際ビアコンペでの審査も行うビアジャーナリストのくっくショーへイ(佐藤翔平)さんは、「麦のコクという点では、確かに従来品よりやや控えめになった印象は受けた」と率直に語ります。一方で、「麦芽100%由来の味わいの厚みもあり、より口に含んだ瞬間とアフターテイストのメリハリが明確になりました」と評価します。
続けて、「もう少し華やかなホップの香りが強くてもいいのかなとも感じましたが、“また飲みたくなる味わい”という意味ではこのバランスがベストなのかもしれません」とコメントしてくださいました。
また、(一社)ジャパンビアソムリエ協会理事を務める江沢貴弘さんは、「新しくなった『晴れ風』は、瑞々しさと華やかさ、そして雑味のないクリアさが高い次元で共存しています」と評価します。
「素材の個性を活かしながらも主張しすぎず、製法によってその輪郭を丁寧に整えることで、軽やかでありながら満足感がある。この絶妙なバランスが、結果として高いドリンカビリティを実現した味わいへとつながっています」と語ってくださいました。
醸造家に聞く、リニューアルの真意
今回のリニューアルを手がけたのは、キリンビールで醸造を担う亀岡峻作さん。「晴れ風」進化のこだわりや、開発の裏側について、たっぷりと語っていただきました。
亀岡 峻作(かめおか しゅんさく)さん
キリンビール株式会社
マーケティング部 商品開発研究所
2022年キリンホールディングス㈱入社、仙台工場を経て2024年よりSPRING VALLEY BREWERY #0・本麒麟氷点下貯蔵仕立てなどの液種開発を担当。現在は「晴れ風」の開発担当として中味づくりに携わる。
■ リニューアルの方向性をどう決めたか
よろしくお願いします!まず、亀岡さんの普段のお仕事の内容を教えてください。
亀岡さん

ビールの中味を開発しています。具体的にはこれまでつくってきたのが、『SPRING VALLEY BREWERY #0』という横浜工場限定のビールや、『本麒麟 氷点下貯蔵仕立て(期間限定)』などで、主にそういった商品の中味の設計に関わっています。
今回、「晴れ風」のリニューアルを担当されることが決まった時、率直にどう思われましたか?
亀岡さん

素直に不安ではありました。「晴れ風」は2024年の発売以来、とても多くのお客様に飲んでいただいている商品なので、その味わいを変えるとなったときに、「おいしくなくなったから買わない」というお客様もいらっしゃるのでは、という不安は正直ありましたね。
ただ、これまでよりもさらにおいしくしてやろうという気持ちも大きく、プレッシャーが半分、やってやろうという気持ちが半分、ぐらいですかね。
「晴れ風」は発売当初から「飲みごたえ」と「飲みやすさ」の両立を掲げています。今回のリニューアルでそのコアな部分をさらに磨いていくにあたって、ご自身の中ではある程度イメージができていたのでしょうか。
亀岡さん

イメージはついていました。もともと「晴れ風」はきれいな味を目指していて、シンプルで飲み飽きない味わい——そのような方向性が一貫してあります。そういった中で飲んでいくうちに、もう少し後味のキレがあるといいなというのが、ずっとありました。
キレがあると、口に含んだ瞬間の満足感はしっかりありつつ、後味はすっと消えていくので、また一杯飲みたいなと思う。より飲み飽きない味わいになると思っています。そういった“飲みやすさ”の部分は、今回の開発でさらに磨いていきたいと考えていました。
「晴れ風」を飲む中で、もっとこうしたら良いというのが、亀岡さんの感覚としてあったんですね。
■ 残すものと、変えるもの
実際、どのように味わいを設計されていったのでしょうか?
亀岡さん

まず一番は、「お客様が捉えているポイントは何か?」という点をしっかり話すことから決めていきました。
これまでの「晴れ風」は、麦の味わいがしっかり感じられ、飲みごたえがあっておいしいという点が、多くのお客様から支持されていました。
一方で、後味に麦の甘さのようなものが残る点は課題として挙がっていました。そこは改善し、より飲みやすくした方がよいのではないかと考えました。ただし、お客様に評価いただいている麦のおいしさや飲みごたえは維持したい。その二つの方向性を両立させることを目指しました。
■ 国産ホップ「IBUKI」の香りを活かす
使用するホップについては、既存の国産ホップ「IBUKI」に加え、新たに清涼感のあるアロマホップを採用したと伺いました。
亀岡さん

今回新たに使用したアロマホップは、爽やかな香りが特長です。ただ、入れすぎると爽快感が強く出すぎてしまうため、「IBUKI」が持つほんのりとした柑橘のような香りを損なわないよう意識しました。
あまり目立たせすぎず、一方で後半にその爽快感をふわっと残すことで、すっと切れる後味につながるように工夫しています。
最近は、個性的なホップの香りを際立たせたビールも増えていますが、あえて「晴れ風」でそこをしないのは、どのような理由からですか?
亀岡さん

私が一番大事にしているのは、「お客様が、このビールをどういうときに飲むのか」という点をしっかり考えることです。
世の中には、魅力的なビールがたくさんありますし、それぞれに良さがあると思います。そのうえで「晴れ風」は、あえてこのようなシンプルな味わいにすることで、日常的に、例えば食事と一緒に楽しめるような、暮らしに自然と溶け込む味わいにしたいという思いがあります。
また、私が以前仙台工場に赴任していた際、実際に「IBUKI」の農場を訪れ、農家の方々と一緒に作業をさせていただいたことがあります。寒さや土埃の中で大変な作業をされている姿を見て、そうした農家の方々の思いが込められて出来上がった「IBUKI」を、きちんと味わいとして表現したいと感じました。
「IBUKI」は、アメリカ産ホップのような派手な香りではありませんが、きれいな柑橘のような香りが魅力です。奥ゆかしい優しい香りで日本らしさも感じられます。そういった特長を「晴れ風」で丁寧に引き出せたらと思っています。
■ 新しくなった「晴れ風」は「チャレンジの結果」
試作の中で特に苦労したポイントは何ですか?
亀岡さん

やはり「飲みやすさ」と「飲みごたえ」のバランスです。特徴的な素材で個性を立てるのではなく、「足し算」と「引き算」の発想を組み合わせながら全体のバランスを取ることが最大の課題でした。
実際に試作を重ねていき、「これだ!」となった瞬間はどのような感じでしたか?
亀岡さん

今回のリニューアルでは、数えきれないほど試作を重ねました。その中で、最後の段階で仕上がったものに対して「これならいける」と確信できて、最終的には100%の自信を持ってお届けできるものになりました。
事前調査では、いずれも現行品を上回る結果が出たと伺いました。この結果が出たときは、どういった気持ちでしたか?
亀岡さん

心の中で、大きくガッツポーズをしました(笑)。
「晴れ風」は、とても挑戦的な商品だと思っているんです。すでにおいしい味わいでありながら、さらに良くしようと挑戦した今回のリニューアルもその一つです。
そうした“新しい風を吹かせていく”取り組みの中で、「晴れ風」がこれからもどんどん挑戦を続けていく、その一端に貢献できたことに喜びを感じています。
リニューアル後、実際にお客様の声や周囲の反応はいかがですか?
亀岡さん

「どう捉えられるのかな?」と少しドキドキしていたんですが、お客様の反応を見る限り、しっかりとおいしさを感じていただけていると思っています。
ちょうど4月ごろにお花見をしていた際にも、「晴れ風」の缶を手に歩いている方を多く見かけて、たくさんの方に手に取っていただいているんだなと素直に実感しました。
新しくなった「晴れ風」のおすすめの楽しみ方を教えてください。
亀岡さん

ぜひ和食と合わせて楽しんでいただきたいです。例えばお刺身は、醤油自体が醸造された調味料なので、もともとビールとの相性が良いですし、「晴れ風」は国産ホップを使用していることもあり、和の食事と非常によく合うと感じています。
先日たまたま、「ビール女子」のおつまみレシピ「マグロと長芋のナメタケ和え」と「晴れ風」を合わせてみたのですが、おいしかったですね。

最後に、新しくなった「晴れ風」を一言で表現するとしたら?
亀岡さん

「チャレンジの結果」だと思っています。
もともと「晴れ風」は完成度の高い商品だったので、今回のリニューアルには個人的にも相当な勇気が必要でした。会社としても「チャレンジする」という大きな決意のもとで、今回のリニューアルに踏み切れたのだと感じています。
大企業はあまりチャレンジしないと思われがちかもしれませんが、決してそんなことはなく、キリンビールとしても非常に挑戦的なことに取り組んでいる。この商品から、そういった姿勢が伝わるのではないかと思います。
今後も、そのチャレンジは続いていくのでしょうか?
亀岡さん

今後も「晴れ風」を、もっと飲みやすく、そして飲み飽きない味わい——いわば“究極のシンプルさ”を追求していきたいです。簡単な一言ですが、実現するのはとても難しい。そこには技術的な要素が大きく関わってきます。緻密に設計し、ときには要素を削ぎ落とし、ときには加えながら、そのバランスを醸造学に基づく技術で実現していく必要があります。
そうした醸造スキルを磨き続けながら、誰が飲んでもおいしいと感じられて、どんなときでも自然と手に取りたくなる——ずっと飲み続けられる理由をつくっていく。それを「晴れ風」とともに実現していきたいと思っています。
亀岡さん、ありがとうございました!
取材中、編集部からの質問に真摯に答えてくださった亀岡さん。一つひとつの言葉の裏には、お客様の声に真剣に向き合い、数えきれないほどの試作を重ねた日々がありました。

完成度が高く、多くの支持を得ている商品をさらに良くするという難しい挑戦に、プレッシャーを感じながらも、どこかワクワクしながら挑む。その姿から、「晴れ風」がこれからも進化し続けていく予感を感じずにはいられませんでした。
「飲みごたえ」と「飲みやすさ」の両立をさらに追求する。言葉にすると簡単ですが、その両立を実現するために注がれた熱量や技術を知ると、一口目の味わいがより深く感じられます。
その変化をぜひ、グラスで感じてみて
今回のリニューアルで、おいしさをさらに磨き上げた、新しくなった「晴れ風」。販売数量は前年比約150%*と好調に推移しており、新しくなった味わいへの期待と評価の高さがうかがえます。
*リニューアルコミュニケーション開始日から3週間(2026年3月23日~4月12日)におけるキリンビール株式会社出荷実績。
ただ、亀岡さんが語っていたように、これはゴールではありません。お客様の様々な声を真摯に受け止め、「飲みごたえ」と「飲みやすさ」の両立を追求するという挑戦は、リニューアルを経てもなお続いていきます。
これからも進化し続ける「晴れ風」。まだ飲んでいない方も、すでに飲んだ方も、ぜひグラスに注いで、新しくなった「晴れ風」が連れてくる風を感じてみてください。
『キリンビール 晴れ風』
〇発売地域:全国
〇容量/容器:①350ml・500ml缶、②500ml中びん、③3Lペットボトル
〇アルコール分:5%
〇純アルコール量:①350ml缶:14g、500ml缶:20g、②500ml中びん:20g
〇製造工場
①キリンビール 仙台工場、取手工場、横浜工場、名古屋工場、滋賀工場、岡山工場、福岡工場
②キリンビール 取手工場、名古屋工場、岡山工場、福岡工場
③キリンビール 取手工場、横浜工場
〇公式HP:https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/harekaze/


のんだあとはリサイクル。
お酒は二十歳になってから。
