Release 時代を越えて明治の味と歴史を伝える『カブトビール』に出会った ~後編~

2016/09/03

こんにちは! ビール女子リポーターのなな瀬です。前後編に分けてご紹介している愛知県半田市のビール造りの歴史ですが、後編では『カブトビール』誕生秘話について深堀していきます。引き続き、半田赤レンガ建物でのレポートをお楽しみください。
 
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大手に負けじと立ち上がった地元ビール会社

『カブトビール』は誕生した当初、まだ半田赤レンガ建物ができる前に製造されていた丸三麦酒醸造所から名前をとって「丸三ビール」として販売されていました。しかし、その当時日本にはすでに、大阪麦酒有限会社(現アサヒビール)、札幌麦酒株式会社(現サッポロビール)、日本麦酒醸造会社(現サッポロビール※ヱビスビール)、Japan Brewery Co.Ltd(現キリンビール)の大手4社が競っており、そこへ新たに参入することは無謀な挑戦でもありました。

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 創業は、1889年(明治22年)5月。ミツカングループ創業者の中埜又左衛門の甥にあたる敷島製パン創業者の盛田善平を中心に、丸三麦酒株式会社として始まりました。1898年(明治31年)6月には、ドイツから技術者を招くなどして本格的にビール造りが開始され、ブランド名も「丸三ビール」から『カブトビール』に変わりました。後に、社名も加冨登麦酒株式会社となります。

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大々的な広告戦略によりその名はすぐに全国に広まり、1900年(明治33年)パリ万博に出展した際には金賞を受賞します。日本のビールが海外で認められたことで、『カブトビール』はより人気を増しました。そうして人気を博していた『カブトビール』ですが、先より続く戦争の痛手には耐えることができませんでした。物資の不足などにより、今までのようにビール醸造を続けることができなくなってしまいます。 そうして、すでに大阪麦酒有限会社と札幌麦酒株式会社と日本麦酒醸造会社の3社が合同となった大日本麦酒株式会社に1933年(昭和8年)に合併されます。これが後に2社へ分裂し、現在のアサヒビールとサッポロビールとなります。1943年11月にはついに半田赤レンガ建物での製造が中止され、『カブトビール』が姿を消すことになるのです。  

半田市民の手で歴史も美味しさも保存

『カブトビール』は半田赤レンガ建物同様、一般社団法人赤煉瓦倶楽部半田の方たちよって半田の“ものづくり”の精神を後世に伝えるため復刻されました。2005年6月4日、明治22年に半田から初出荷されたビール3,000本を記念して、3,000本限定で復元された『カブトビール』は注目を集めました。現在のは数量制限なく製造されており、半田赤レンガ建物内にある「カフェ ブリック」で明治と大正の味わいを復元した『カブトビール』の樽生を楽しむことができます。

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まずは、当時日本中で飲まれていたという明治時代の『カブトビール』からいただきました。重厚感のある綺麗な琥珀色。モルトの香ばしい香りが豊かで、ほんのりとした甘みが後引く美味しさ。ラガータイプですっきりとしていながら、モルトの甘みで程よく飲み応えもあり、いつまでも飽きのこないビールです。

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コクも旨味もたっぷりなのにグググ~っとグラスを傾けてしまう喉ごしの良さ。明治の人もこんなに美味しいビールを飲んでたんだな~と驚きです! 地元豚が使われたソーセージと地元の人気ベーカリーのプレッツェルがセットになった「ジャーマンプレート」は『カブトビール』付きで1,400円(税込)。ビールのコクとソーセージとの相性が良すぎて、あっという間に完食です。  

時代とともに移り変わるビールの味わい

対して、大正時代の味わいを復元した『カブトビール』は明るいブラウンカラー。こちらは時代とともに移り変わるビールの味わいも愉しんでほしいと、半田赤レンガ建物オープンの1周年記念に合わせて復元されたビールです。

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穀物由来の深く優しいアロマに、軽やかな香ばしさも感じます。ホップの苦みがしっかりと出ており、見た目以上にコクを感じる存在感のある一杯です。甘みよりも苦みが引き立つ、尖った味わいでした。 この『カブトビール』は、半田市でしか出会えない特別な味わいです。

そして、半田赤レンガ建物でその歴史を学んだ後に味わうビールの美味しさと感動は格別! 先人たちがどんな想いを込めてビールを造り、昔の日本人がどんなビールを楽しんでいたのか、気になった方は観光としても見どころたくさんの半田市へ足を運んでみてはいかがでしょうか?  


『半田赤レンガ建物』 
〇営業時間:9:00~22:00(常設展示 9:00~17:00、カフェ・ショップ 10:00~17:00)
〇定休:年末年始
〇住所:愛知県半田市榎下町8
〇料金:館内入場無料、常設展示 200円(中学生以下無料)  
半田赤レンガ建物 ホームページ:https://handa-akarenga-tatemono.jp/

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