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Column 小さなビール工房は地域のコミュニティースペースに。人とつながる永代ブルーイング

2018/05/05

2017年の秋、東京中央区新川1丁目にオープンしたブルーパブ、永代ブルーイング。1Fはビール工房(醸造所)とタップルームが併設していてオリジナルビールをその場で味わえます。2Fはビアバーで永代橋を望む絶景とともにビールを楽しめます。



クラフトビールに魅せられブルーパブを作ったきっかけや、ビール造りだけにとどまらない場作りに関して、マネージャーの渡邉さん(左)とブルワーの山田さん(右)にお伺いしました。


一杯のビールとの出会いからブルーパブをオープン

渡邉さんのきっかけビール

マネージャー(兼オーナー)の渡邉さんのきっかけビールは、北海道にあるブルワリー、ノースアイランドのIPA

香りがあって旨味も感じて、こんなに美味しいビールがあるのかと感動し、ビールにハマることとなります。そして1店鋪目の溜池山王にある『スパイスダイナー』でクラフトビールをセレクトして導入しました。

また、海外では自分たちのお店で自家醸造してブルーパブとして営業しているお店も多いので、自分達も飲みたいと思うビールを造り提供したいと考えていたそう。


ただブルワリーを作るにはかなりの初期費用がかかります。その頃先にブルーパブを始めていた石見麦酒(島根県江津市)がチェストフリーザー(冷蔵庫)を改良して醸造設備の1つである発酵タンクにしている事を知り、即見学に行ったそうです。

1つ1つきっちりサーモスタットで温度管理ができるし、慣れるまでは時間がかかるが自分が設計した味に近づける。価格面でも機能面でもすぐ始められる画期的な設備だと確信。チェストフリーザー(冷蔵庫)を使った機械を導入し、栃木県にあるブルーパブでの修行期間を経て『永代ブルーイング』をオープンしました。


山田さんのきっかけビール

渡邉さんの造りたいビールを実現するのはブルワーの山田さん。山田さんもまた1つのビールとの出会いがきっかけとなりビールの道にはまっていきます。

もともとお酒(焼酎)は好きだったもののビールはそんなに飲まなかったそう。

ある時水上バスに乗って隅田川をクルーズしていた時に、船内では限定ビールが販売されていたそうです。興味本位で飲んだ、隅田川ブルーイング『隅田川ヴァイツェン』にびっくり。今まで飲んできたビールと違って少し酸味を感じつつも美味しくて、いつのまにか全部飲んでしまったのだとか。


そこからクラフトビールを販売する酒屋さんに通い、隅田川ブルーイングをはじめとする様々なブルワリーのビールを飲み、すっかり虜に。

将来的にビールの仕事をしたいと思い、グッズ制作などでビールに関わるか、ブルワーになるか。考えた末にブルワーになる決意をした頃、ビールに関する勉強会で渡邉さんと山田さんは出会い、永代ブルーイングがスタートを切りました。


食事と一緒に楽しめる『食中酒』としてのビールを醸造

永代ブルーイングでは週に2回仕込みを行い、常に3種類ほどオリジナル醸造ビールを楽しめます。食事を楽しみながら味わえるよう食中酒になるビール造りを心がけているそうです。


永代ブルーイングの定番ビール 鬱金(うこん)(写真右)、卯の花(うのはな)(写真左)


鬱金(うこん)アメリカンペールエール 600円

料理の味を邪魔しない包み込むような味わいが特徴なドリンカブルなビール。
次回分はモルトのボディと華やかさを出すため微調整して仕込んだそうで飲み比べてみるのもおすすめ。
名前の由来は江戸時代の伝統色。アメリカンペールエールに近い鬱金色から取ったネーミング。


卯の花(うのはな)ベルジャンホワイト 600円

オレンジピールの変わりに柚子の皮を使ってベルジャン酵母で仕込んだビール。
甘酒仕込みバージョンの卯の花もあったが現在は売り切れ。ベルジャン酵母は甘味酸味がからむので甘酒と合うのだとか。今後も仕込む予定があるそうです。


「今まではホップ主体のビールを造っていたのですが、今後は酵母のキャラクターでビールを造っていきたい」と山田さん。現在はスムーズにビール造りが進んでいるようですが、ここにたどり着くまでに大変だったことはなかったのでしょうか。


チェストフリーザーの中を覗き発酵具合を確認する山田さん


初回醸造ははじめて使う道具や設備に慣れず、不具合もあり、仕込みに12時間を費やしたそうです。現在は6時間で可能になりました。

また、1回につき100Lの仕込みという少量醸造のため、ほんの小さな変化でも大きく味が変わってしまうのだとか。そのため、感覚に頼るのではなく分量や時間などの数字をきっちり管理。データを取りながら造っているそうです。

さて、今後は他にどのようなビールを造っていくのでしょうか。


地域や人とつながるブルワリーを目指す

今後、6月のリリースを目処に、夏みかんを使ったビールを醸造する予定だそうです。実は醸造に使用する夏みかんはマネージャー渡邉さんの地元である千葉県松戸市のご近所さんからの頂き物だとか

樹齢40年の夏みかんの木からは、収穫されずに地面に落ちて腐り捨てられてしまう夏みかんが大量にあり、ご近所の方も持て余していたそうです。もらってほしいという要望を受けて今年300個を1個1個収穫して大切に持ってきたものだとか。持ち主の方も助かり、ブルワリー側も仕込みの原料にできる幸せな関係です


梅雨のじめじめした季節にすっきり飲んでもらいたいビールとして、

「夏みかんの苦味、味わいを生かしつつボディをきかせたホワイトIPAと、ベルジャン酵母を使って夏みかんのほろ苦さ、柑橘のジューシーな甘味を活かした夏みかんベルジャンを予定しています」と山田さん。


最近では常連さんからビールに入れてもらいたい原料として山椒をもらったのだとか。時にアメリカ帰りの常連さんからお土産ビールをもらい「こんなビールのスタイルが飲みたい」などリクエストを受ける時もあるのだそう

永代ブルーイングは小さなビール工房とうたっているだけあり、お客さんとの距離が近いのです。



永代ブルーイングの前の道は散歩コースにもなっていて、地元の人たちがランニングや散歩の途中に立ち寄ったり、中には江戸川乱歩の小説を片手に登場する場所を巡礼中の中継地点として来ることもあるのだとか。

地元の人達にも愛される地域密着型は、ブルーパブを作る時に思い描いていた形なのだそうです。


注ぎ方講座やサラミ作りでコミュニティーの場所に

永代ブルーイングは、地域やビール好きの人達や、ビールと場所を結ぶコミュニティー作りの一環としてワークショップを開催しています

過去には、ビールのおつまみとして『クックドサラミ』や『100均の道具でできるコーヒー焙煎』ワークショップを開催。大人から子供まで楽しみながら参加できるイベントです。

5月は、BBQイベント内で缶ビールの注ぎ方講座やアイスクリーム作り、6月にはビール講座を予定しているそうです。ビール好きのためのビール講座は、座学で勉強してブルワリーを見学・体験し、ビールが完成したらみんなで乾杯できるよう3部作での構成を考えているそうです。

味わうだけに留まらず様々な角度から楽しめる永代ブルーイングは、地元の人達に愛される地域密着型のビール発信基地でした。


2FのEITAI BREWING Cafe & Dinnerでは、テラス席で永代橋を眺めながらセレクトされたビールを楽しめます。

昼と夜とで違う景色をみせる永代橋。テラスでこの季節ならではの至福の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。



なお、永代ブルーイングのビールをより楽しんでもらうための場として2Fは近日リニューアル予定です。

永代ブルーイング 工房 & Tap Room

〇住所:東京都中央区新川1-20-6 1F
〇電話:03-5542-0256
〇営業時間:水~金:17:00~22:00(L.O)土:11:30~20:00(L.O)日:11:30~18:00(L.O)

〇定休日:月、火曜日
〇URL:http://www.taproom.eitaibrewing.com/

EITAI BREWING Cafe & Dinner

〇住所:東京都中央区新川1-20-6 2F
〇電話:03-5542-7072

〇営業時間:月〜金:11:30~14:00 , 17:00~23:00 土:11:30~21:00 ※営業日の土曜のみ

〇定休日:第二・第四土曜、日曜、祝日
〇URL:http://milepostcafe.tokyo/
※2Fは近日リニューアル予定

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ライターの紹介

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福岡 桃子 ライター

元海外ツアコン(添乗員)。その後インテリア業界へ転身。 ドイツ、イギリス、チェコ、ベルギーなど海外で多種多様なビールに出会い興味津々に。7年ほど前にデンマークMikkellerのビールを味わい、ラベルデザイン、店舗の美しい内装インテリアなどにもときめき急速にビール愛に目覚める。 国内のビール醸造所をめぐり味わう旅にも喜びを見出す日々。 現在はイベントを通して北欧ビールを食やデザイン、文化とともに一緒に学んでいく会の開催を試み中。

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