Column 「成長し続けるビールを、飲み手と分かち合いたい」東京の新しい醸造所 "DSB"が目指すもの

2018/02/05

2017年11月、東京の郊外、東村山に新しいビールの醸造所が誕生しました。その名も「Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング)」。イギリス人と日本人による共同プロジェクトで、昨年12月に最初のビールである『コンニチワ!マイケルデス』の販売をスタート、本格的に営業を開始しています。

Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) 東京 東村山 クラフトビール


イギリス出身2人と日本人の共同プロジェクト

ディスタント・ショアーズ・ブルーイング(以下、DSB)は、ビールの醸造管理システム開発会社「Ashikawa Brewery Systems」代表のマイケルさん、浅草のブルーパブ「Campion Ale(カンピオンエール)」オーナーのジェームスさん、新宿のブルーパブ「YYG ブルワリー&ビアキッチン」オーナーの片野さんのパートナーシップで立ち上がった共同プロジェクトです。

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彼らは、2017年10月末にビール醸造免許および発泡酒醸造免許を取得し、本格的に始動しました。そして今、2018年春に向けて、醸造所内に出来立てのクラフトビールを楽しめるテイスティングルームの開設を目指しています。

Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) クラフトビール 東京 東村山DSB代表のマイケルさん。ジェームスさんとは同じビール学校出身。


より多くのクラフトビールファンに愛されるビールを。

彼らがどんな想いを抱いてビールづくりにチャレンジするのか、また、DSB最初のビールである『コンニチワ!マイケルデス』へのこだわり、今後の展開について、DSB醸造長のマイケルさんと、「YYG ブルワリー&ビアキッチン」オーナーの片野由布さんにお話をお聞きしました。


ー ブルワリー名である「Distant Shores」は「遥かな岸」という意味ですが、どういった想いが込められていますか?

片野さん:その昔、ビールはイギリスから世界に広まって行ったという歴史から、 遥か遠くの国まで大帆船でエールビールを運んでいた当時を想い浮かべながら飲んでもらえるようにと命名しました。

また、もう一つ、ビールづくりの本場であるイギリス出身の2人のブルワーが、遠く離れた日本の地で、しっかりとした知識と技術力とともに、日本人の味覚、日本の風土、日本人の食に合った、より多くのクラフトビールファンに愛される最高品質のビールを提供していきたい、という思いが込められています。


ー 醸造所をつくるにあたって、免許取得に苦労されたそうですね。

片野さん:「カンピオンエール」や「YYG ブルワリー&ビアキッチン」で発泡酒免許取得の経験はあったため、今回もスムーズにいくだろうと考えていました。しかし、ビールの醸造免許となると、法定製造量が増えた分、数々の追加資料の提出を求められました。また、中国から醸造設備を輸入する際も、税関の通過に思ったより時間がかかってしまいました。


Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) クラフトビール 東京 東村山中国からは合計11個のタンクを輸入。


ー 年間製造量6キロリットル以上の「発泡酒醸造免許」を取得するマイクロブルワリーが多い中、60キロリットルというハードルが高い「ビール醸造免許」を取得しようと思ったのはなぜですか。

片野さん:マイクロブルワリーのように、地域の方々に楽しんでいただくスタイルも良いですが、今回はより多くの方々に私たちのビールを届けたいと感じたからです。


Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) クラフトビール 東京 東村山醸造所に設置された発酵タンクは2400Lのタンクが3本。1200Lのタンクが3本の合計6本。


Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) クラフトビール 東京 東村山彼らのInstagramアカウント(@distantshoresbrewing)では、醸造所が出来上がるまでの過程が詳しく紹介されています。


ファーストバッチに込められた想い

ー DSB最初のビール『コンニチワ!マイケルデス』はユニークな名前ですね。

片野さん:日本が大好きだけど、日本語が得意ではない醸造長のマイケル。「このIPAから始まり、これから様々なスタイルのビールを日本の皆様へ届けたい」そんなマイケルの想いをネーミングに込めました。

ビールと共に成長し続けるマイケルの姿も、皆さんに応援していただければと思います。

私たち最初のビール『コンニチワ!マイケルデス』は、複雑ながらバランスの取れたフレーバーのIPAレシピを、味にうるさい日本人の舌にも魅力を感じてもらえたら嬉しいです。しばらく新宿の「YYG ブルワリー&ビアキッチン」に樽がつながっていますよ!


『コンニチワ!マイケルデス』は、IPA(インディア・ペール・エール)というスタイル(種類)ですよね。ファーストバッチにこのスタイルを選んだのはなぜですか。

マイケルさん:IPAは素晴らしいスタイルであり日本での認知度も高いので、飲み手のみなさんからも受けられやすいのではないかと考えました。このスタイルは幅が広く、ホップのキャラクターが非常に強いものもあれば、反対にモルトの重みを強く感じられるものもあります。最近ではNE-IPA(ニューイングランド・アイ・ピー・エー)のようにほとんど苦くないものもありますよね。

ホップのキャラクターが全開のBrewDog社の『Punk IPA』ですら、その原点となっているのは、バランスが非常に良く優等生的なThornbridge Breweryの『Jaipur IPA』というIPAで、この優等生的なビールをBrewDogは独自の解釈のもと、別の魅力のある素晴らしいビールへと変化させています。

私たちDSBも同様に、最初のうちは基本をおさえ、近い将来でDSBの個性を演出していければと考えています。


Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) クラフトビール 東京 東村山『コンニチワ!マイケルデス』(アメリカンIPA)。イギリスの伝統的なエールをベースにアメリカのホップを加え、ビターの中にフルーティーな香りを添えて飲みやすく仕上がっています。


馴染みがありスタイルの幅が広いIPAをファーストバッチにすることは、新品の設備の癖を把握するための評価軸にもなるうえ、自身が一から設計した設備をより理解する手掛かりとなります。一歩ずつではありますが、自分の理想と現実のギャップを着実に埋めることで、美味しいビールをお客様へ届け続けたいと思います。

常に成長し続けるビールを、皆さんと分かち合いたいです!


ー これから出来るテイスティングルームはどのような場所であってほしいですか?

片野さん:工場の敷地内に小さなプレハブ小屋があり、そこをテイスティングルームとして一般のお客様に開放し、工場見学とともに出来立てのビールを楽しんでもらうスペースにしたいと考えています。


Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) クラフトビール 東京 東村山


普段は飲食店向けに樽での販売を行っておりますので、私共としてはティスティングルームはお客様と直に接することができる貴重な場と捉えています。是非ビール好きな方にお越しいただき、ビールについての様々な意見交換や会話ができる場にしたいです。


Distant Shores Brewing(ディスタント・ショアーズ・ブルーイング) クラフトビール 東京 東村山


ー 最後に、プロジェクトへの意気込みをお聞かせください!

片野さんマイケルさん現在、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて、テイスティングルームの開設を目指したプロジェクトに挑戦しています。おかげさまで開始6日で50万円の目標金額を達成することができました。まだまだ工事代金に不足している部分もありますので、引きつづきのご支援のほど、よろしくお願いいたします。



また、3月3日(土)、3月4日(日)の2日間、ティスティングルームのオープニングイベントを両日とも14時から18時で開催いたします。いずれか1日ご招待するコースや、遠方で東村山までお越しいただくのが難しい方には、新宿の「YYG ブルワリー&ビアキッチン」でも使える飲み放題コースやMakuake限定ボトルプレゼントのプランもあります。是非皆さま、私たちと乾杯しましょう!


ー 片野さん、マイケルさんありがとうございました!


現在、東村山の醸造所では、試験用の小規模醸造システムを活用して、様々なテストや新しいビールの試験醸造をおこなっているとのこと。

ビールづくりの本場であるイギリス出身の2人のブルワーと日本人によって、今後どのようなビールがつくり出されていくのか、飲み手からも作り手からも大きな注目が集まります。彼らが挑戦するクラウドファンディングもぜひ覗いてみてください。


■Distant Shores Brewing 公式サイト:https://distantshoresbrewing.com/

■Makuake 特設ページ:https://www.makuake.com/project/distantshoresbrewing/

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ライターの紹介

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93年三重県生まれのビアソムリエ。大学ではビールの嗜好とマッチョカルチャー(男性的概念)の因果関係について研究。ビール女子編集長として、ビールの多様性を世の女性に伝えるべく日々活動しています。

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