ビアカクテルといえば、皆さんは何を思い浮かべますか?ビールをジンジャーエールで割る「シャンディガフ」、トマトジュースで割る「レッドアイ」など数々あると思います。
そんななか、“カルピス”で割る『ダブルカルチャード』というビアカクテルがあることを知っていますか?
身近なピルスナーで作るレシピが一般的で、カルピス特有の乳酸の甘みにより、ビールの苦みが軽減されて爽やかさが増すおいしいビアカクテルなのです。
ですが、酸味が特徴的な「サワーエール」や牛乳を使った「ミルクエール」など、カルピスに近しい雰囲気のビールもこの世に存在する限り、きっと他にもカルピスにぴったりなビアスタイルがあるのでは?と思い立ち、いろんなビアスタイルとカルピスを掛け合わせてみたくなった編集部。
ということで、今回7種類のビールを用意して、『ダブルカルチャード』を試してみました!
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・材料・作り方
・“スーパードライ”ダブルカルチャード
・“ザ・プレミアム・モルツ”ダブルカルチャード
・“ドラフトギネス”ダブルカルチャード
・“ヒューガルデン”ダブルカルチャード
・“銀河高原ビール”ダブルカルチャード
・“よなよなエール”ダブルカルチャード
・“PUNK IPA”ダブルカルチャード
・検証結果は…
材料・作り方
用意する材料はたったの2つ!【材料】
①ビール
②カルピス(原液)
①割ったビールは全7種
まずは、ビール。左から『アサヒ スーパードライ』『サントリー ザ・プレミアム・モルツ』『銀河高原ビール』『ヒューガルデン』『PUNK IPA』『よなよなエール』『ドラフトギネス』の全7種。
ダブルカルチャードのレシピとして代表的なピルスナー2種をはじめ、ベルジャンホワイト、ヴァイツェン、IPA、ペールエール、スタウトを選出。それぞれカルピスで割ってみると、どんな味わいの違いがあるのかを調査してみました。
②カルピス(R)470ml
カルピスは、希釈用の原液を使用します。
作り方は簡単!カルピス:ビール=1:7 の割合で、最初にカルピスをグラスに注ぎ、その後冷えたビールを注ぐ。最後に軽くステアする(混ぜる)だけ。
今回は検証なので、カルピス:ビール=1:7で統一して飲み比べてみましたが、割合は好みで変えてもokです。味見をしてみて「ビール多めの方が良いかも」と思ったビールには、その旨も記載しています。
それでは、飲み比べスタート!
“スーパードライ”ダブルカルチャード
“辛口”が特徴の「アサヒ スーパードライ」。今回用意した中で最も軽い飲み口で、ダブルカルチャードのレシピとしてもよく掛け合わせられているビールなので、今回の検証の基準になりそう。カルピスと混ぜると、どんな化学反応が起きるのでしょうか。
結果は…
相性:◎
カルピスの乳酸菌によるミルク感が、スーパードライの辛口感と綺麗に混ざり、おいしい…!味わいの主張自体は完全にカルピスが強く、ビール感はあまり感じられなくなり、ジュースのようにスルスル飲めます。氷を入れても絶対うまい。「今日は微アルコールビールを飲みたいんだけど、甘さが欲しいんだよなあ…」という方にオススメです。
“ザ・プレミアム・モルツ”ダブルカルチャード
アサヒスーパードライと同じピルスナースタイルながらも、磨きダイヤモンド麦芽を使用し、華やかな香りと深いコクを特長とする“プレモル”。麦のリッチな味わいを楽しめる1杯です。
結果は…
相性:◎
印象としてはスーパードライとほぼ変わらないですが、スーパードライよりも若干麦の風味が残っていて、苦みが少し感じられるような気がします。ただ、やはり味わいとしてはカルピスの個性がかなり強い。
“ドラフトギネス”ダブルカルチャード
缶の中に窒素ガスが封入されていて、プルタブを開けるとフローティング・ウィジェットから窒素ガスがビール内に放出され、きめ細かい泡が生まれる「ドラフトギネス(缶)」。クリーミーな泡に加え、なめらかなのどごしが楽しめます。ロースト麦芽の苦みはおだやかで、甘みとのバランスが絶妙でドライな後口。
■ギネス詳細記事:
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カルピスと合わせてみた結果は…
相性:△
ギネスの個性もカルピスの個性も5:5で残っていて、まあおいしい!ただ悪く言ってしまうと、それぞれの味が分離していて、1つの作品としては完成していないような印象。おいしいはおいしいのだけど、混ぜなくても良いかもな…といったところでした。
ただ、香ばしさのあるビアカクテルってなかなか無いので、結果として面白い味わいを楽しめました。乳酸菌によって“サワーエール”感が出て、ゴクゴク飲みやすくなったように感じます。
“ヒューガルデン”ダブルカルチャード
ベルジャンホワイトの「ヒューガルデンホワイト」の特長といえば、オレンジピールとコリアンダーシードが生み出す爽やかな香りとすっきりとした味わい。元々甘みのある味わいなので、ビアカクテルとして成功しそうな気がしますが、果たしてどんな味わいになるでしょうか?
結果は…
相性:◯
ギネスのようにそれぞれの味が分裂することはなく、しっかり1つの作品として完成していておいしい。ただ、かなりカルピスの主張強めで「カルピスサワー」と言っても過言ではないくらい、ビール(ヒューガルデン)の個性はなくなっているように感じました。カルピスの量をグッと減らしてみてもいいかもしれません。
“銀河高原ビール”ダブルカルチャード
小麦麦芽を50%以上使用し、酵母由来のフルーティーな香りが特長のヘーフェヴァイツェン「銀河高原ビール」。バナナのような香りが特徴で、缶をくるくるとまわしながら酵母もグラスに注ぐようにすると、よりまろやかな口当たりが楽しめます。
結果は…
相性:◎
ヴァイツェンの小麦感がしっかり残りつつ、カルピスの甘みが足されていて、とってもおいしい!どちらの素材も潰れていないという点では、「ビアカクテル」として今のところ最も成功している気がします。小麦の甘みとカルピスの乳酸が合うのでしょうか、他のヴァイツェンでも試してみたくなりました。
…と、ここまで5種類試してきましたが、どのビールと混ぜても「カルピス」の主張がかなり全面的に押し出されていて、「カルピス味のビール」という印象が強く残りました。それもそれでもちろん美味しいのですが、カルピスが主張しすぎずもっとビールと調和するような、“新しい何か”が爆誕するようなことはないのかもしれない。無難な検証結果に終わるかもしれない。そう思っていました。
が、しかし!
そんな予想を覆す、やばい組み合わせを見つけてしまいました。それがこちら。
“よなよなエール”ダブルカルチャード
アメリカンペールエールスタイルの「よなよなエール」。ホップ由来の柑橘香に加え、キャラメルモルト由来の琥珀色な液色とモルトのコク深い味わいが特長です。
カルピスと合わせた結果は…
相性:◎(はなまる)
一口飲んでびっくり、なんと“Hazy IPA”を思わせる1杯が完成しました…!Hazy IPAとは、濁った見た目が特徴で、苦みが少なく華やかでジューシーなフレーバーが特徴的なビアスタイル。
「よなよなエール」と合わせると、カルピス特有の個性はいい意味でスッと消え、ビールと綺麗に馴染んでいます。もはや“ビアカクテル”ではなく、“1種のビール”が完成したような感覚。これはうますぎる……
「ビールそのものの味わいを楽しみたいから、ビアカクテルは苦手なんだよね」というビール好きの方にも試してもらいたいくらいです。相性は、二重丸飛び越え「はなまる」!!!
“PUNK IPA”ダブルカルチャード
スコットランドのブルワリー・BREW DOGの定番ビール「PUNK IPA」。色みは軽やかな黄金色のクラシックビールですが、グレープフルーツ、パイナップル、ライチのようなトロピカルフルーツとキャラメルの香りが漂い、最後にスパイシーな苦みが残ります。
先ほどの「よなよなエール」がHazy IPAに変化したことを踏まえると、ビアスタイルがIPAである「PUNK IPA」も期待できるかも?と思い、恐る恐る試してみました。
結果は…
相性:◯
Hazy IPA感は出たものの、元々の味わいが「よなよなエール」よりは淡いからか、「PUNK IPA」特有のパンチは消えてしまったような印象でした。カルピスと合わせてみてもおいしかったけれど、「ドラフトギネス」と同様、「PUNK IPA」はそのまま楽しんだ方が良いかもな、と感じました。
検証結果は…
さまざまなビールで試してみた「ダブルカルチャード」。編集部のおすすめ3選は、「“よなよなエール”ダブルカルチャード」「“銀河高原ビール”ダブルカルチャード」「“スーパードライ”ダブルカルチャード」でした。
どれもおいしかったことは前提ですが、素材の味わいがしっかり活かされていて、1つの作品として完成したように感じたのは上の3つ。中でも、「“よなよなエール”ダブルカルチャード」は、もはや“ビアカクテル”ではなく“1種のビール”が完成したような感覚で、本当に衝撃的でした。
試してみたいという方は、ぜひ今回の検証結果を参考にして、ビールの新しい楽しさを見つけてみてください!