神奈川と東京の境目に位置し、都心にアクセスしやすい場所ながらも自然環境も豊かで、住みやすい街として注目を集めている町田市。駅周辺を始めとして多くの飲食店が立ち並び栄えながらも、どこか懐かしさを感じる街並みが多くの方に愛されています。

そんな町田市に、新しいビアバーがオープンしました!その名も「武相ブリュワリー」。

2024年12月7日にオープンした武相ブリュワリーは、町田を愛する地元飲食店の運営会社10社が協力して立ち上げた日本初の共同ブルワリー。今回は「共に街を良くしたい」という共通の想いを胸に生まれた武相ブリュワリーの魅力に迫ります。
町田駅前の広場を照らす、町田初の醸造所併設ビアバー
JR町田駅と並び、多くの人が行き交う小田急町田駅。
百貨店も併設され、通勤のために利用する人から買い物のために利用する人まで、様々な方が利用しています。

武相ブリュワリーはそんな小田急町田駅を出て徒歩1分という好立地!待ち合わせ場所にも最適な旧カリヨン広場内にお店を構えています。
「武相」とは、かつて町田・相模原・大和・海老名・綾瀬・厚木・座間を含む地域を指した名称(※諸説あり)。この歴史にちなんで、ブリュワリーの名前が付けられました。
ビアバーには醸造所が併設され、タイミングによってはブルワーが仕込みなどの作業をしている姿を眺めながらビールを楽しむことができます!
店内に入ると、欧米のビアバーに来たかのような、スタイリッシュながらもカジュアルで落ち着いた空間が広がります。
入り口に入って目の前にビールサーバーが。
カウンターを利用すれば目の前でビールを注ぐ姿が見られ、臨場感が高まります。
「オープンしてまだ間もないですが、日々お客様とのコミュニケーションを通してより良いお店づくりを進めています」
と話すのは、武相ブリュワリーの店長兼、ビールの醸造を務める今福さん。町田初のブリュワリーがどのようにして誕生したのか、赤裸々に語っていただきました。
飲食店を襲ったコロナ禍が、共同ブリュワリーを立ち上げるきっかけに
町田に飲食店を展開する10社が共同出資で立ち上げた「武相ブリュワリー」。このプロジェクトが立ち上がったのは、世界中を襲ったコロナ禍がきっかけだったそう。
今福さん:多くの飲食店がコロナ禍で影響を受けていた時に、経営者や関係者が集まり、街の活性化に向けて意見を出しあう「武相審議会」というものが行われていたんです。その中で、各参加者が「自分が町田市長なら」というテーマでアイデアを出しあっていた時に、町田発のクラフトビールをつくりたいという案が浮上しました。町田にはいいお店がたくさんあってほとんどのお店がビールを提供しているけど、町田でつくられたビールってないよね、という話になり、店舗同士で協力しあってビールをつくれないかとこのプロジェクトが立ち上がりました。
焼肉屋や居酒屋、イタリアンレストランなど、それぞれ異なる業態の飲食店を運営する10社が集い、町田商工会議所や法人会など、町田の地域コミュニティの繋がりを活かしながら始まったビアバーの立ち上げ。2024年の1月から本格的に計画が進みました。今福さんも、その時期に10社のうちのキープ・ウィルダイニング社の代表から声がかかり、ジョインすることを決意したそう。
今福さん:私は元々10社のうちの1つのキープ・ウィルダイニング社に6年間務めていたのですが、コロナをきっかけに転職し別の企業に勤めていたんです。ただ、在職中に「いつかビアバーを立ち上げたい」と代表に伝えていたのを覚えていてくれて、声をかけてくれました。家族もいたため、お話をもらった時は悩む時間もあったのですが、自分の夢を叶えられる機会は滅多に来ないと感じ、挑戦することを決めました。
今福さんが立ち上げに参画し、本格的に始まった町田初のブリュワリーの立ち上げ。しかし、10社の共同出資による初めての取り組みなだけに、オープンまでには様々な紆余曲折があったと話します。
今福さん:飲食店の経営においてはスペシャリストたちが集まっているので強みもたくさんありましたが、誰もビールづくりの経験がなかったため、タンクの輸入やビールをつくるための設備工事といった面で、想定よりも後ろ倒しになってしまったりと苦労する面がありました。また、10社集まるとそれぞれ大切にしている考え方が異なる部分があり、意見のすれ違いが起こったりすることも少なくありませんでした。しかし、全員が「町田のために」という共通の使命感を持っていたため、会議を重ね、1つずつ課題をクリアしていくことができました。
様々な課題を乗り越え、飲食店同士の繋がりで紹介してもらった東京都文京区にあるアウグスビールに協力をしてもらいながら、ビールづくりを開始。並行しながら、より地域の繋がりを大切にしたいという想いから、ビールブランドの一般公募を始めました。
1200件以上の応募の中から、町田の市鳥であるカワセミの名前を取り入れ、ビールのブランド名を「Kawasemi Brew(カワセミブリュー)」に決定。ロゴにもカワセミがあしらわれた町田を象徴するビールが誕生しました。
町田を愛する人々にビールの名前を決めてもらうという取り組みの効果もあり、武相ブリュワリーのオープン初日には、1時間前から開店待ちの列ができ、最長90分待ちになるほどの大盛況になったそう。
今福さん:店舗の前の広場が埋まってしまうほど多くの方にお越しいただきました。小田急線沿いにはビアバーも多く、町田の人々もビール好きの方が多いと聞いていましたが、想像以上に反響をいただいたことはとても嬉しく感じています。
「町田の玄関口になりたい」こだわりの料理とビールの先にある想い
「飲食店のプロたちが集まるのだから、ビールだけでなく料理も抜かりないものにしたい」
武相ブリュワリーで提供されているメニューには、飲食のプロの共同出資だからこそできるこだわりが詰まっています。
まずはビールのラインナップ。フラッグシップビールである「JIYU 〜じゆう〜」を始め、5種類のビールが繋がっています。その他のビールも日本らしさを感じられるネーミングが特徴ですが、スタイルや名前についても町田にちなんだこだわりがあると今福さんは話します。
今福さん:繋がりをテーマに、町田の人々に愛されるようなお店を目指すために、ビールのスタイルは個性的なものではなく、定番のスタイルを揃えることを重視しました。また、フラッグシップビールの「JIYU 〜じゆう〜」はこの町田市で自由民権運動が行われていた歴史から名前を取り、地元の繋がりを感じてもらいたいという想いで名付けました。その他のビールも町田の歴史や風土に基づいたネーミングで決めています。
さらにこだわりは料理にも。町田のビアバーであることをテーマに、地元の食材を活用したメニューから、ビールを使ったメニューなど、1品1品のメニューがビールに合うだけでなく、町田の繋がりを感じられるようにつくられているそう。
今福さん:例えば、ランチではホットドッグ、ディナーでは盛り合わせや単品でお出ししているソーセージは、町田名産品にもなっている独逸屋さんと共同開発したソーセージを使用しています。また、ランチ・ディナー問わず人気のフィッシュ&チップスでは衣にビールを混ぜていたり、デザートにも黒ビールを使用していたりと、細部にまでこだわったメニューを提供しています。ビールだけでなく、料理にもそういったこだわりを感じながら楽しんでいただけるとうれしいです。

「神は細部に宿る」という言葉がふさわしいほど、ほどこだわり抜かれた料理やビール。思わず全部飲みたい・食べたい!と感じてしまいますが、武相ブリュワリーが目指しているのは町田の玄関口になること。そのため、自店だけで完結せずに、ブリュワリーをきっかけに、ぜひ他のお店にも足を運んでほしいという想いで運営されているそうです。
今福さん:店内もクラシックでありながらカジュアルな雰囲気を意識していますが、あえて座席を高く設定して、次のお店に行きたくなるような空間にしました。町田には他にも素敵なお店がたくさんあるので、ぜひこのブリュワリーを起点に、多くのお店を楽しんでいただけたらうれしいです。
こだわり抜かれたビールと料理を食べ飲みしてみた
町田を盛り上げたいという想いの元、こだわり抜かれてつくられたビールと料理。実際に体験させてもらいました!
『JIYU 〜じゆう〜』
(レギュラー:税込990円 ラージ:税込1,485円)
ニューイングランドIPAスタイルのフラッグシップビール「JIYU 〜じゆう〜」。グラスの色が鮮やかなオレンジ色に染まり、見た目の美しさに心を奪われます。鼻を近づけてみると、様々なホップによる華やかな香りにガツンと引き込まれます。飲んでみると、想像以上にスッキリ!ほどよいとろみがありながらも重さを感じることはなく、するすると飲めてしまう美味しさです。まさに自由という名前に相応しく、味わうほどに心が解放されるような1杯です。
『KINU 〜きぬ〜』
(レギュラー:税込880円 ラージ:税込1,375円)
小麦がベースになったベルジャンウィットビアスタイルの「KINU 〜きぬ〜」。町田にある幕末のシルクロードと呼ばれた「絹の道」が名前の由来となっています。小麦由来の優しい甘さとコリアンダーやオレンジの風味豊かな香りが印象的な、絹の名に相応しい繊細さを兼ね備えた1杯。普段ビールをあまり飲まないという方にもぜひ試してもらいたいビールです。
『ソーセージ盛り合わせ(4本)』(税込 2,310円)
町田にあるドイツソーセージ店から仕入れたソーセージを使用した盛り合わせ。見た目の美しさに魅了されますが、さらに印象的なのはその味!
左からシーフード・チョリソー・ローズマリー・ナッツと、これまでにない味の組み合わせのソーセージを楽しむことができます。シーフードはエビやイカなどの風味がふわっと香り、チョリソーはレッドペッパーがアクセントになったジューシーで本格的な辛味が楽しめます。ローズマリーは香りが豊かでビールとの相性が抜群。最後のナッツにはソーセージの中にもクルミなどがふんだんに練り込まれていて、どれも声をあげたくなるほどのおいしさでした。
ブリュワリーとして様々なビールをつくりながら、町田全体の食文化を盛り上げていきたい

立ち上げのきっかけから、紆余曲折を経てお店がオープンするまで、そして内装から料理やビールまで、全てにおいて「町田のために」想いが込められている武相ブリュワリー。お話を聞くうちに武相ブリュワリーだけでなく、町田という街にさらに深い魅力を感じました。
数々の想いを胸にビールづくりを続ける今福さんに、これから実現したいことを最後にお尋ねしました。
今福さん:ブルワーとしては、これからさらにビールづくりに励み、春夏秋冬でシーズンごとの限定ビールをリリース予定です。その他にも町田にある大学の学生とコラボした限定ラベルの販売や、地域クリエイターとのコラボレーションも進めています。また、お店としてはより多くの方に町田の飲食店を楽しんでもらえるよう「飲み歩きマップ」の作成を進めています。いずれはお店の目の前の広場で、町田起点のクラフトビールイベントを開催できるように、ビールをきっかけに町田全体を盛り上げられる施策を続けていきたいと思います。
町田という地域を、町田を愛する人を、結んでいく1杯。武相ブリュワリーはただのビアバーでなく、地元への愛に満ち溢れたお店だと感じました。飲食のプロフェッショナルたちが力を合わせて築き上げた本気の料理とビールを味わったら、誰もが町田をもっと好きになるはず。
お仕事帰りに、今度の週末に、ぜひ一度足を運んでみてください!
武相ブリュワリー(BUSO BREWERY) 町田駅前店
〇住所:東京都町田市原町田6丁目12−19 小田急町田駅ビル 東口広場 旧カリヨン広場
〇アクセス:小田急町田駅より徒歩1分
〇営業時間:11:00 - 23:00
◯定休日:不定休
〇決済方法:カード、電子マネー、QRコード決済
〇公式HP:https://www.buso-brewery.com/
〇note:https://note.com/buso_brewery