あなたにとって2024年はどんな一年でしたか?
人々が集まって飲むビールの魅力が再認識される中、各地のクラフトビールイベントも活気を取り戻し、新たな出会いと発見に満ちた一年となりました。
そんな2024年の締めくくりとして、ビール業界で活躍する“7名のビール人”に、この一年を漢字一字で振り返っていただきました。
2024年の思い出のビールに加え、新年に向けての思いや年末年始におすすめのビールも教えていただきました!ビール片手に最後までご覧ください。
※五十音順
1人目:HAZY LABO 東里聡さん
2人目:エチゴビール 阿部誠さん
3人目:サッポロビール 有友亮太さん
4人目:ナガノトレーディング バルマス朱美さん
5人目:伊勢角屋麦酒 鈴木成宗さん
6人目:ひみつビール 藪木啓太さん
7人目:反射炉ビヤ 山田隼平さん
「熟成がもたらす新たな可能性」
1人目:合同会社hazy labo 代表 東里聡さん
映像の音声技術者「MAミキサー」として40年間従事。定年退職後、埼玉県狭山市にテイスティングルームをオープン。2023年12月に醸造免許を取得。実験的醸造所として、Hazy IPAの常温熟成や酵素の可能性、酸化対策などのテーマを日々探求している。
Q. 2024年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
東里さん:今年の漢字は「熟」です。オリジナルHazyの提供を始めてから気が付いた事ですが、ホットサイド酸化対策をするとHazyは熟成させる事が可能です。今年前半、ホップバーンが少し出ているHazyがありました。 常温コンディショニングの3ヶ月後ホップバーンは消滅しましたが、それだけではなくそのHazyの味が向上していました。アロマ、味の複雑さ、コクなどが増加して初期よりも美味しくなっていたのです。
この話は、皆様に「信じられない!」と言われる事が多いのですが、これは本当に起きていることです。面白い事にHazyを常温熟成させると、ホップのスペックにないアロマが出てくる事が多いのです。 現在ワンウェイ樽で11ヶ月常温熟成させたHazyがありますが、とても興味深い味になりました。お客様の評価も常温熟成Hazyのほうが圧倒的に高いのです。HAZY LABOは、このとても興味深い常温「熟」成Hazyの世界を今後も探求していきます!
Q. 2025年はどのような1年にしたいですか?
東里さん:HAZY LABOは、2024年11月に本格的な缶詰め機を導入しました。今後は缶での販売に注力していくので、2025年は販路を拡大していかなければなりません。そのためには、今まで以上に商品力の強化が必要です。
それに向けて考えている現在の構想の一つは、酵素の可能性を探ることです。 酵素剤を使うことはあまり一般的ではありませんが、大きな可能性を秘めています。今までにない新たなアロマが出現したこともあります。 2025年は、新たなアロマを出現させられるように引き続き研究していきます。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
東里さん:『HBC1019』です。HAZY LABOのビールの名前は、殆どがホップの品種名です。まだ名前の付いていない新種のホップ。そのHBC1019のみを使った8%のHazyです。
ハイアルなので敬遠する方もいると思いますが、このHazyはアルコール感が殆どなくドリンカブル。エキゾチッククリームキャラメルとメロン、そしてココナッツのような複雑なフルーツ感が感じられると思います。副原料を使わず、このホップのみを使ったHazyはあまり多くありません。 個性的な味ですが苦味も少なく、バランス良く美味しく仕上がったと思います。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
東里さん:私がビールに求めているものは「驚きと感動」です。美味しくても、想定内あるいは経験済の味のビールには驚きと感動は少なくなります。私は「新たなアロマ&フレーバーに出会うためにビールを作っている」と言ってもいいでしょう。先日、そんな新しい風を感じるHazyに出会いました。
グリーンチークの7%のHazy『ロスト・イン・マイ・カレイドスコープ』です。スイカと巨峰のようなアロマ。このようなアロマの出ているHazyは、今まで経験したことがありませんでした。そして空輸なのにホップバーンがなく、雑味も極端に少なくドリンカブルで上品なHazy。まさに「驚きと感動」を久しぶりに体験しました。「そんな驚きと感動を皆様にお届けできるブルワリーになりたい」というのがHAZY LABOの目標のひとつでもあります。
■関連記事:【埼玉・新狭山】Hazy IPAの実験と研究が行われている醸造所「HAZY LABO」に行ってきた
「クラフトの心を繋ぐ30年」
2人目:エチゴビール株式会社 代表取締役社長 阿部誠さん
阿部誠さん
新潟県新潟市生まれ。1990年(株)ブルボン入社、お菓子の営業畑を経て、2018年エチゴビール(株)代表取締役社長就任。2020年ブランドメッセージ「Let’s be romantic, act on stage!」を確立。このメッセージ「ロマンを語ろう!舞台に立とう!」を表現する為、全商品リニューアル。エチゴビールブランドの認知度を高め、より多くの皆様に楽しんでいただけるよう鋭意取り組んでいる。
Q. 2024年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
阿部さん:今年の漢字は「繋」です。 2024年一番のトピックスは、5月新潟駅にオープンした「HUB Echigo Beer PUB」です。2020年にブランドの認知度を高める為「エチゴビールが飲めるお店をもっと増やさないと」と考えたのですが、コロナ禍の真只中で実現には厳しい状況でした。
そんな中、2005年から「HUBエール」の提供で繋がりのあったHUBさんにお声がけしたのがきっかけで、目指していたお店「HUB Echigo Beer PUB」のオープンに至りました。今ではここを起点に地元の方々はもとよりビールファンだけでなく多くの方との繋がりが生まれています。またこれからもHUBさんと連携し商品提供、企画を通じて、その繋がりの輪を大きくしていければと考えています。
Q. 2025年はどのような1年にしたいですか?
阿部さん:2025年2月にエチゴビールは操業開始30周年を迎えます。これは日本のクラフトビールが誕生して30年を迎えることとなります。エチゴビールが考える「クラフト」とは、「つくり手の思い」これが伝わるビールを届けることが、全国第1号クラフトビールメーカーとしての使命だと考えます。
2025年はもっと多くの方々にこのつくり手の思いが詰まったビールをお届けする為、地元での繋がりは勿論、より多くの方が手に取って頂ける様、お取り扱い頂く店舗を増やし生産能力を高めていきたいと思います。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
阿部さん:2024年12月発売の期間限定ビール『にぎわいみかんの団欒エール』です。小麦麦芽と小麦を使用したやわらかな口当たりが特徴の白ビールをベースに、みかん果汁と4 種類のスパイス(オレンジピール、レモンピール、コリアンダー、ジンジャー)を使用したビールです。みかん果汁のジューシーさと、コリアンダーやジンジャーなどのスパイシーさをほんのり感じる、リラックスした楽しい団欒にぴったりの味わいに仕立てました。
イラストの白熊たちのように、年末年始をにぎやかで和やかな雰囲気とともに楽しく過ごしていただきたいという願いを込めています。クラフトビールを飲み慣れた方にも、クラフトビール初心者の方々にも、より広く気軽に手に取り楽しんでいただけるものですので、是非ご賞味ください!
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
阿部さん:定番ですが、伊勢角屋麦酒さんの『ペールエール』です。この一年エチゴビールはクラフトビールを飲み慣れた方、初心者の方、より多くの方々に手に取って頂くため、ロマン溢れるビールを造ってきました。伊勢角屋麦酒さんのペールエールは爽やかな柑橘系の香りがして、飲みやすく、後味もスッキリしているため、多くの方が日常的に気軽に飲めるクラフトビールです。今年参考にしたビールの一つのため、ご紹介いたしました。
■関連記事:
・来年30周年を迎えるエチゴビール!新潟駅にオープンした新店舗と限定ビールの魅力を徹底レポート
・【12/6発売】エチゴビール“白熊シリーズ”新作『にぎわいみかんの団欒エール』を飲んでみた!この冬を彩る一本
「恵比寿の地で育む新たな挑戦」
3人目:サッポロビール株式会社 ビール&RTD事業部 ヱビスブランドグループ Chief Experience Brewer 有友亮太さん
有友亮太さん
2012年サッポロビール株式会社へ入社。入社当初は北海道の工場にて勤務。2016年に研究機関にうつり研究や国際学会などに参加。その後ドイツに1年留学して「BREW MASTER」の資格を取得。帰国後はパイロットプラント勤務を経て商品開発を担当した後、「ヱビス ニューオリジン」「ヱビス クリエイティブブリュー 燻」などの開発も担当。現在は、ヱビスのChief Experience Brewerとして、ヱビスブランドの「CREATIVE BREW」シリーズの商品開発および2024年4月3日に開業したYEBISU BREWERY TOKYOの醸造責任者を担当している。
Q. 2024年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
有友さん:今年の漢字は「育」です。今年最も大きな出来事は「YEBISU BREWERY TOKYO」の開業でした。35年ぶりに恵比寿でのビール醸造を無事に再開、スタッフとともにつくり上げたビールをお客様に提供し、「おいしい」というコメントをいただいたときの感動は忘れられません。今後もビールを通してお客様と良好な関係を育んでいく場としていきたいです。
また今年9月に発売した『ヱビス クリエイティブブリュー 燻』はYEBISU BREWERY TOKYO開業時に発売した『煙々』が育ち、全国へ羽ばたいていった商品です。YEBISU BREWERY TOKYOでアイデアを生み、育てていくという取り組みは続けていきたいです。その過程を恵比寿に来ていただき、一緒に体験できると嬉しいですね。
Q. 2025年はどのような1年にしたいですか?
有友さん:ブルワリーの開業など今年はじめた取り組みを大きく実らせるような年にしたいです。そのために引き続き「CREATIVE BREW」シリーズ、YEBISU BREWERY TOKYOというヱビスブランドのチャネルを介して、お客様とどのようなコミュニケーションが図れるかを考えていきたいと思います。またビールのアイデアも膨らませていきたいので、いろんな場所でいろんなビールを飲みたいです。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
有友さん:今年ももちろんヱビスビールです!「ヱビスは何度でも完成する」というメッセージのもと、常にその時代の最高のおいしさをお届けするため8年ぶりにリニューアルいたしました。新たにホップの使用方法を最適化し、より麦の旨味を際立たせたコクのある味わいは年末のご馳走や年始のおせちといったやや味の濃い料理とも相性がよく、皆様の華やかな食卓をよりお楽しみいただく一助になると思います。福神である恵比寿様と今年を締めくくり、新年の幸せを願ってお楽しみいただけると嬉しいです。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
有友さん:思い出に残ったビールのあるシチュエーションは、「YEBISU BREWERY TOKYO」で我々が醸造したビールをお客様が楽しまれている様子です。開業前のブルワリーはガランとしていて無機質かつ不安でいっぱいでしたが、たくさんのお客様にご来場いただき楽しんでいただけたことで気も満ち、場として完成したなと感じました。
ヱビスビール発祥の地「恵比寿」で無事醸造を再開できたこともうれしかったですが、できたビールが皆様に受け入れていただけたということが一番うれしく思い出に残っています。
■関連記事:
・【体験レポ】恵比寿駅から徒歩5分「YEBISU BREWERY TOKYO」が4/3オープン!限定ビールも続々登場
・中の人に聞く!新商品『ヱビス オランジェ』知っておきたい3つのこと。
「信頼の絆が育むビール文化」
4人目:株式会社ナガノトレーディング 代表取締役 バルマス朱美さん
バルマス朱美さん
岡山県出身。関西学院大学卒業後、アパレル企業ブランド商品営業部を経て、輸入卸業に転職、酒類食材輸入卸及び直営店運営責任者となる。その後、パートナーのAndrew Balmuthと共に、アメリカに特化する会社、ナガノトレーディングを経営。2013年バレンタインデーに直営店「アンテナアメリカ 横浜・関内(1号店)」のオープンを皮切りに、現在は横浜店(横浜駅横浜ジョイナス内)、品川店(品川駅品川アトレ内)、東京店(東京駅八重洲地下街)の4店舗とオンラインストアにて展開中。夫は創業者アンドリュー・バルマス。
Q. 2024年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
バルマス朱美さん:今年の漢字は「繋」です。弊社が新しいお取引を開始するきっかけの多くは「既存取引先メーカー(ブリュワリー)から」「友人関係から」の「繋がり」。今年の初輸入ブリュワリーは14社。例えばアメリカでは有名な東海岸の老舗アラガッシュ(Allagash Brewing)を初輸入できたきっかけは西海岸の老舗の雄、シエラネバダ(Sierra Nevada Brewing)からの紹介。信頼ある「繋がり」からのご縁は、同時にブリュワリー同士がライバルであり同志という「繋がり」を感じる瞬間でもあります。
またアメリカのブリュワーに人気のホップを日本のブリュワリーにもお届けする事業など、「繋がり」のご縁で始まるビジネスが増えたように感じます。コロナ禍を脱出して、日本のお取引先様やビールファンの皆様とも繋がっていますね!
Q. 2025年はどのような1年にしたいですか?
バルマス朱美さん:アメリカでの物価高は依然として日本以上に厳しいですが、そんな中、弊社がアメリカに特化した輸入業をしている専門性と、その幅広い繋がりをさらに広げ、よりアメリカ食文化の楽しさをご提供することを使命と考えています。個性的かつ優秀なクラフトビールを揃えることはもちろんですが、美味しいもの好きの日本の皆様をワクワクさせるような一役を担えるよう、さらなるレベルアップの年にしていきたいです。
個人的には、弊社は直営店アンテナアメリカや卸売営業スタッフなど皆様に接しているスタッフだけでなく、バックオフィスにもたくさんいますが、社員の懇親会もコロナ禍以降中断していたので、2025年は笑顔で開催できる1年にしたいです!
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
バルマス朱美さん:大人数や、ゆっくり飲む時間を楽しめそうな今年の年末年始は、「特別なものを特別な人と感動をシェア」できる大瓶がオススメです。弊社からのプレミアムブランドにはモンキッシュやトリリウムのようなアメリカ国内でも入手困難なラインナップがありますが、特に発売直後に即完売を連発、ファンを熱狂させているのがイーヴルツィン(Evil Twin)。
その中からまさに年末に新規入荷される逸品『Evil Twin / The Great Northern Barrel Aged Series46 Imperial Stout』。バレル熟成させたインペリアル・ペイストリースタウト。ブリスバーボンメープルシロップ樽32ヶ月バレル熟成後、ウィレットバーボンバレル32ヶ月バレル熟成。食後のゆったり談笑する時間にぜひ。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
バルマス朱美さん:今年、日本を最も興奮させたものは、「LAドジャース」「大谷選手」でしょう!(流行語大賞にならなかったのが不思議!)
連日のホームラン、盗塁、さらには悲願のワールドシリーズ優勝と、日本全国民がドジャースファンにでもなったかのような(笑)連日の歓喜!ドジャースの本拠地ロサンゼルスからも、その快進撃や優勝の歓喜を表現するビールが次々と発売され、弊社でも緊急輸入や追加増産依頼を行うなど、今年ならではのシチュエーションがとても印象的でした。それぞれのブリュワリーが発売した「ドジャース」「優勝!」をイメージしたビールも、そのパッケージやネーミングも興味深かったです。
2025年には日本で開幕戦が予定されていますし、今からワクワクしますね。もちろん応援限定ビールも予定されていますので、どうぞお楽しみに!
<2024年に発売されたドジャース応援ビール・祝優勝ビール>
・『Los Angeles Ale Works - Blue Vibes WC IPA』(5月発売)
・『Topa Topa - Blue Heaven』(5月発売)
・『Monkish - DDH LA Hat』(5月発売)
・『Los Angeles Ale Works - Blue Vibes 2 West Coast IPA』(追加生産9月発売)
・『Monkish - Blue Heaven on Earth DDH IPA』(追加生産10月発売)
■関連記事:
・約300種類のアメリカンビールが揃う!東京駅 八重洲地下街にオープンした「アンテナアメリカ 東京店」に行ってきた
・【スポーツ観戦×クラフトビール】ビール片手にアイスホッケー観戦したら最高だった
〇アンテナアメリカHP
〇ナガノトレーディングInstagram
〇アンテナアメリカ関内Instagram
〇アンテナアメリカ横浜Instagram
〇アンテナアメリカ品川Instagram
〇アンテナアメリカ東京Instagram
「450年の歴史に築く新たな礎」
5人目:有限会社 二軒茶屋餅角屋本店 ISEKADO 代表取締役社長 鈴木成宗さん
1575年創業「二軒茶屋餅角屋本店」の21代目で、大学時代に専攻した微生物学への情熱を再燃させ、1997年にクラフトビール製造販売とレストラン業を開始し、ISEKADOを創業。創業時より国際大会での優勝を目指し、自ら審査員資格を取得。また、伊勢の森で採取した野生酵母「KADOYA1」の研究で博士号を取得し、自ら「研究開発型ブルワリー」を体言する発酵野郎。
Q. 2024年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
鈴木さん:今年の漢字は「礎」です。角屋創業450年を翌年に控えて、新たな成長の基礎を築くべく、マーケティングチームを組織し、戦闘力を上げ、海外への進出、新たなビールを生み出す活動、店舗の展開など攻めの活動を加速しました。
一方でCOO体制を本格稼働しCEOとCOOの分業を図り攻守のバランスをとることに加えて、取締役と執行役員による月例役員会の開催をはじめ、経営陣に厚みを持たせました。ビールの世界を面白くしたいという思いを実現していくための『礎』を作る一年であったと思っています。
Q. 2025年はどのような1年にしたいですか?
鈴木さん:2024年の活動が実を結ぶ年にしたい。この数年力をかけてきた海外生産がいよいよ実現する準備に入り楽しみにしています。ISEKADOがもう一回り成長する数年の成長期の最初の一年にしたいと思います。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
鈴木さん:『Neko Nihiki』350ml缶です。ペールエールと並ぶISEKADOの看板であり、Hazy IPAファン方々のみならず、猫好きのみな様からも愛されてきた「Neko Nihiki」が、先ごろリニューアルされて350ml缶になりました。従来より20ml増えて値段は据え置きです。Neko Nihikiの8.5%のアルコールと濃密なフレーバー、そして缶に描かれた2匹の猫は、きっと思い出に残る年越しのシーンを演出してくれるものと思います。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
ベトナムでベトナム戦争の英雄だった方と飲んだピルスナーは、いろいろな思いが去来してその味を噛み締めました。
■関連記事:【超朗報】「ねこにひき」が缶になって登場!中の人に聞く「ねこにひき」の全て
〇Instagram:https://www.instagram.com/isekadoyabrewery_official/
「日々の生命が紡ぐ醸造物語」
6人目:ひみつビール合同会社 社長 藪木啓太さん
1988年6月生まれ。3児の父。元スラックラインプロライダー。高校、大学時代の同級生と将来独立開業する約束を果たすべくビール業界へ。2021年ひみつビールを創業。農業をしながらビール造りを行うファームハウススタイルのビールを主軸に、既成概念にとらわれない自由な発想で様々なビールをリリース。1杯のビールの中に生命の躍動を感じるビールを造ることを目標としている。
Q. 2024年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
藪木さん:今年の漢字は「生」です。5月に娘が生まれたばかりで毎日の成長が楽しみです。ビール造りにおいても酵母の生命活動は欠かせないし、農作物もみんな生きているのでその時々で毎回違う。その味わいを最大限生かすためにはどうするのがいいのか、それを毎回考えながら醸造と向き合っています。それから、仕事終わりや仲間と一緒に飲むビールは最高に美味しいですよね!生きてるってことを実感する瞬間です!
Q. 2025年はどのような1年にしたいですか?
藪木さん:一緒にひみつビールを創っていく仲間を見つけたいですね!仲間ができたらやれることも増えるので、やりたいと思っているたくさんのことをどんどん実行していきたいです。
25年中にできるかわかりませんが直営店も持ちたいなと思っています。それから、あまり外に出ていけていないのでもう少し外に出て、普段からひみつビールを応援してくれている方たちと交流したいなと思っています!見かけた時にはお声がけくださいね!
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
ひみつビールオリジナルスタイルのミルキーエールです!商品名でいうと『アザラシミルク』や『くじらのたまご』、『鬼らっこサワー』ですね。アルコール度数を感じさせないジューシーな飲み口ですが、この3つはアルコール度数が10%を超えていて、気づいた頃にはいい感じに酔いがまわって気持ち良くなってしまうビールです(笑)年末年始のゆっくりできる時や、家族や仲間と集まる楽しいひとときをもっと楽しくするのにぴったりかなと思います。原材料には自家栽培のコシヒカリとローカルミルクの大内山牛乳を使っています。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
Alesong Brewing & Blendingの『RAKKO』です。このビールはFUJI to FOODというイベントに参加させてもらった時にAlesongと一緒に造ったビールなのですが、海藻の旨味と酵母や微生物の独特の香りと酸味が渾然一体となった素晴らしいビールでした。ブルワリーとコラボすることは初めてで最初がアメリカの大好きなブルワリーだったのでとても感慨深いです。
現地で飲んだのでアメリカの空気感も一緒に味わえたのですが、それを抜きにしても最高の1杯でした。
■関連記事:【インタビュー】大切な人にだけ教えたい、ひみつのクラフトビール。三重県で居場所を創るブルワリー「ひみつビール」のこだわりを聞いてみた
「世界が認めた味を届ける挑戦」
7人目:株式会社蔵屋鳴沢 反射炉ビヤ 醸造長 山田隼平さん
毎晩のように酒を飲んでいた両親の影響で、学生時代は山梨大学ワイン学科にてワイン醸造を学ぶ。大学を卒業した2015年に反射炉ビヤに入社。2019年から反射炉ビヤ醸造長となり、2023年には、手掛けたビールが世界最大級のビールコンペディション「World Beer Awards」で世界最高金賞を受賞。現在、醸造家となって10年目を迎える。
Q. 2024年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
山田さん:今年の漢字は「届」です。振り返ると2024年は自分達の造るクラフトビールを、より多くの方へ届けることに奮闘した1年でした。昨年名誉ある大会での世界最高金賞受賞に歓喜し、当初は酔いしれていたこともあって「世界一になったので沢山の注文や反響があるだろう」という考えがありました。しかし現実はそう甘くありません。
もちろん受賞後に祝福のお言葉や多くのご注文をいただきましたが、生産体制が変わるほどの大きなムーブメントは起きなかったのです。いまや数多くの娯楽や情報が錯綜する世の中で、自分たちの製品であるクラフトビールの魅力とその成果をブルワリー自らでしっかりと示し、お客様の手に届けていくことが重要であると思い知らされました。
2024年では販売経路はもちろんのことSNSやイベントを通じて、自分達が自信をもって造りあげる、世界にも認められたビールを、より多くの方へ丁寧にコツコツと届けていった1年でした。その甲斐あって今年の年末は受賞したビールの生産割合が最大となり、タンクフル稼働で忙しくビール造りをさせてもらっています!
Q. 2025年はどのような1年にしたいですか?
山田さん:自分たちが造るビールの品質が世界から認められ、それを多くの方へ届けていくところまで進んできました。そんな反射炉ビヤが今こそ「伝統と革新」という自分たちのもつテーマに焦点を当て、保守的ばかりにならず、楽しみながら新しいものづくりに挑み続けることを大切にしたいと考えています。ビールの届け方もパワーアップさせたいですね。最近だと映像を絡めたクラフトビールの発信に挑戦していきたいと思っています。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
山田さん:オススメのビールはもちろんイギリスで開催された世界大会World Beer Awardsにて世界最高金賞を獲らせていただいた『New World Kölsch』です。Kölsch(ケルシュ)とはドイツのケルン地方で伝統的に醸造されているビールのスタイルで、エール酵母を使いながら、ラガーのように低温でじっくり発酵、熟成することで、スッキリとした味わいが魅力です。
そんな伝統製法を取り入れつつ、反射炉ビヤらしく新しい風を吹かせるため、通称“New world”ホップとも呼ばれる、ラガービール専用に開発されたアメリカの最新ホップ「Lorien」品種を使用して華やかな印象に仕上げています。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
山田さん:思い出に残ったビールのシチュエーションは、ビール女子さんと共同開催したコラボビール『モウモウショ』イベントです。ビールの構成を考える企画会議から始まり、パッケージデザイン投票から先行試飲イベントまで、お客様に一からクラフトビールへ楽しく関わっていただくというテーマの試みでした。
コロナ渦からスタートし、始めはオンラインイベントとしてスタートしましたが、今年は初のリアルイベント開催!今までに例を見ないイベントで、ビール女子さんと試行錯誤し、日々打ち合わせを重ねてつくりあげました。それだけに、イベントを楽しむお客様の姿を目の当たりにして、心の底から嬉しかったことを覚えています。またこのようなイベントを企画出来るよう頑張りたいです!
■関連記事:ビール女子×反射炉ビヤのコラボビール第二弾が完成!猛暑を乗り越えるライチセゾン
〇Instagram:https://www.instagram.com/hansharo_beer/
以上、ビール業界で活躍する7名の“ビール人”に、今年の一年を漢字一文字で振り返っていただきました。
2025年には「さまざまなことにチャレンジしていく!」という気概を感じるコメントに、ビール女子編集部一同パワーをもらいました。
みなさんも、ビール片手に自分の一年をゆっくり振り返りつつ、来年の抱負も語り合って過ごしてみましょう!