あなたにとって2023年はどんな一年でしたか?
アフターコロナでの日常を過ごす中でビール業界を取り巻く状況は日々変わりつつも、コロナ禍前と同じようにお店でビールを楽しめるようになりました。
そんな2023年の締めくくりとして、ビール業界で活躍する“7名のビール人”に、この一年を漢字一字で振り返っていただきました。
2023年の思い出のビールに加え、新年に向けての思いや年末年始におすすめのビールも教えていただきました!ビール片手に最後までご覧ください。
【7人のビール人】
1人目:サッポロビール 有友亮太さん
2人目:伊勢角屋麦酒 出口善一さん
3人目:Teenage Brewing 森大地さん
4人目:Southbound グレイソン・シェパードさん
5人目:ディレイラブリューワークス 山﨑昌宣さん
6人目:クラフトビアマーケット 田中徹さん
「ビール業界にとって恵まれた年」
1人目:サッポロビール株式会社 ビール&RTD事業部 ヱビスブランドグループ Chief Experience Brewer 有友亮太さん
2012年サッポロビール株式会社へ入社。2016年に研究機関にうつり研究や国際学会などに参加。その後ドイツに1年留学して「BREW MASTER」の資格を取得。帰国後はパイロットプラント勤務を経て商品開発を担当し、現在はヱビスのChief Experience Brewerとして、ヱビスブランドの商品開発および来年4月開業予定のYEBISU BREWERY TOKYOの開業に向けて主に製造面や開発面の立ち上げを担う。
Q. 2023年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
今年の漢字は「恵」です。2023年5月にコロナが5類に移行し行動制限が解除、また10月には酒税改正があるなど、ビール業界にとって恵みや転機となる出来事が多い年でした。また個人としてはヱビスブランドでクリエイティブブリューラインを立ち上げ、「ヱビス ニューオリジン」と「ヱビス オランジェ」を開発・発売し、お客様に楽しんでいただく機会に恵まれた年でした。
2024年4月には「YEBISU BREWERY TOKYO」の開業を控えており、ヱビスビール発祥の地である恵比寿での35年ぶりの醸造再開に向けて、今も準備に奔走している最中です。こちらもお楽しみにしていただければと思います。
■「ヱビス オランジェ」紹介記事:中の人に聞く!新商品『ヱビス オランジェ』知っておきたい3つのこと。
Q. 2024年はどのような1年にしたいですか?
人とのつながりを大切にしながらヱビスブランドを中心に活動の幅を広げる1年にしたいと思います。24年4月にはYEBISU BREWERY TOKYOの開業を控えており、提供されるビールの開発だけでなく、お客様と直接お話もできるよう「BREWER’S ROOM」という場所も設けています。
お客様とコミュニケーションをとる中で得た着想もどんどん商品やサービスに活かしていきたいと思います。またビールの醸造から始まった恵比寿という地で、再び地域の皆様に受け入れていただけるよう地域の取り組みへの参加や企画により地域共生にも貢献していきたいです。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
もちろんヱビスビールです!ヱビスビールのシンボルである恵比寿様は七福神の1柱であり縁起の良い神様です。福神である恵比寿様と今年を締めくくり、新しい年の幸せを願ってお楽しみいただけると嬉しいです。また味わいに関しましてもヱビスの華やかな香り、余韻を感じるコクのある味わいは年末のご馳走や年始のおせちといったやや味の濃い料理とも相性がよく、年末年始の皆様の華やかな食卓をよりお楽しみいただけると思います。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
今年の4月15日(土)、16日(日)にSHIBUYA STREAMで開催された、日本×オレゴン州のクラフトビールイベント「Hood to Fuji」で飲んだ「Black Tide Brewing」さんと「Culmination Brewing」さんのコラボビール『I Dream of Filbert』は印象に残っています。チャイの茶葉だけではないスパイスの香りや清涼感、ヘーゼルナッツのちょっとしたアクセントが効いていて美味しかったのを覚えています。
複数の副原料を組み合わせてバランスよく味をまとめることは難しいことだと思うので、日々研究されているのだろうなと勉強になりました。学生時代を仙台で過ごしたこともあり、Black Tide Brewingさんはいつか訪れたいブルワリーの一つです。
■サッポロビール公式HP:https://www.sapporobeer.jp/
「ビールが元気と笑顔を与えている」
2人目:有限会社 二軒茶屋餅角屋本店 伊勢角屋麦酒 ブルーマスター 出口善一さん
1967年6月生まれ。2009年有限会社二軒茶屋餅角屋本店入社。2014年3代目ヘッドブルワーとなり数々の世界大会で賞を受賞。2年に1度のビールのオスカーと言われる「The International Brewing Awards」では、2大会連続『ペールエール』が世界一に。現在、ブリューマスターとして若手が活躍できるよう販売に力を注いでいる。
Q. 2023年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
今年の漢字は「喜」です。今年は、前途が見えない3年前とは違い、コロナ禍が明けビールのイベントがあちらこちらで再開しました。コロナ禍で体力が落ちている中イベントが戻りだしたので体がついて行けず、私自身は「忙」という漢字が思い浮かんできますが、お客様方が待ちに待ったイベントの開催でお気に召すクラフトビールを、好きな仲間と「乾杯ぃぃぃっ!!」っと飲んでいる笑顔を見てると嬉しいですね。楽しく飲んでいる姿を見るだけで嬉しく感じますし、我々が造ったビールが元気と笑顔を与えていると思うと喜びもひとしおです。ビールを介して喜びの輪を広げましょう!!
Q. 2024年はどのような1年にしたいですか?
クラフトビール片手に笑顔の輪を広げたいですね。クラフトビールを飲んだことがない方やビギナーの方々が、クラフトビールの醍醐味!多様な中からお気に入り(自分に合った)のビールを探すところまで興味付けできればと思ってます。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
※引用:伊勢角屋麦酒 HP
伊勢角のビールは全部お勧めなんですが…年末年始には『ZAKU 酒粕 Hazy IPA』ですね。三重県を代表する清酒メーカー清水清三郎商店様の『作』の酒粕、三重県独自のビール用吟醸酵母「BMK3」を使い、三重県産山田錦の酒米を使い「にごりビール」に仕上げました。白濁したStraw色の外観から、タンジェリン・グレープフルーツ・パイン様の香りの奥に白ワインのようなニュアンス。そして清酒の吟醸香がほのかにやってきます。まろやかなフルーティーさ、トロピカルシトラスが合いまって、とろりとした口当たりに清酒感が現れます。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
思い出に残ったビールはKNEE DEEP BREWING CO.の『Deep Island』です。
そして思い出に残ったシチュエーションは、T.Y.HARBOR Breweryの主催する「Brewers Camp」ですね。毎年開催されており、前回は静岡県函南町の「negura campground」で行われました。5社のブルワリーが参加し、5社のビールが飲み放題。豪華のディナーが食べ放題。富士山を眼前に見ながら澄んだ空気の中、クラフトビールを飲みだし、日暮れには焚火の炎を眺めながらクラフトビールに溺れる最高のひと時でした。
■関連記事:【満員御礼】イオンリカー × ISEKADO BREWERY コラボツアー開催!
■伊勢角屋麦酒 公式HP:https://www.biyagura.jp/
「一緒に働く仲間・出会う人々すべてが新しくなった年」
3人目:株式会社キルク 代表取締役社長 / Teenage Brewing ブルワー 森大地さん
2023年6月に販売を開始した埼玉県ときがわ町のクラフトビール醸造所「Teenage Brewing」。既成概念にとらわれない自由な創造性と、10代の頃にあった恐れを知らない飽くなき探究心で、新しい驚きと感動を創ることを目指している。スタイルはIPAを中心にサワーエールやスタウト、ケルシュ、ラガーなど。ブルワリーのチームメンバーが音楽畑の出身ということもあり、音楽や映画などのカルチャーとビールの繋がりも大切にしています。
Q. 2023年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
今年の漢字は「新」です。これまで音楽の会社として13年間やってきましたが、数年前から研修や研究などの準備を進め、2023年から「Teenage Brewing」として新たにビール事業を始めることとなりました。ブルワリーのある埼玉県ときがわ町も新天地で、プライベートでも初めて住む街に引越しをして、一緒に働く仲間・出会う人々すべてが一新した2023年でした。
Q. 2024年はどのような1年にしたいですか?
Teenage Brewingのブルワー。左から醸造長の及川季節さん、森大地さん、Vit Kalousek(通称Vitek)さん
とにかく最高のビールを徹底的に探究していきたいです。絶対に妥協しないこと、そして10代のような冒険心を忘れないこと、それを具現化するために多くの知識を得ること。2024年もその姿勢を変えずに貫いて、一人でも多くの方に感動していただけるビールを提供していきたいと思っています。音楽人としても、運営中のライブハウスもさらに盛り上げていきたいですし、自分の音楽も合間を見て作りたい音楽を突き詰めていけたらなと。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
Teenage Brewingから、ニュージーランドの新しいホップ「Superdelic」をフィーチャーした『Super Boys』というDIPAが、Citraバージョン/Mosaicバージョン/Nelson Sauvinバージョンとそれぞれ組み合わせを変えた3パターンでリリースされます。飲み比べできて楽しいと思いますので是非お試しください。それ以外もTeenageの商品はどれもおすすめです(笑)
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
もはやミーハーなくらいに巷で話題ですが、「Fidens Brewing」の『Jasper』は以前から飲みたくて期待値も高かったせいか、飲んだとき感動的な美味しさでした。衝撃度では「KOBO Brewery」の 『JOLOKIA ALE』。とんでもない辛さ(笑)KOBOはコラボで富山のタップルームにもお邪魔して、そのシチュエーション込みで素晴らしい時間でした。あとは「Casa Agria Specialty Ales」と「North Park Beer Company」コラボの『Ox-Fu!』や、「Evil Twin Brewing NYC」の 『Greenhouse Imperial Lager』あたりは好みでした。
■Teenage Brewing紹介記事:音楽家がつくるビール!わざわざ行きたいときがわの風が通る空間Teenage Brewing / Taproom "bekkan"へ行ってきた
■Teenage Brewing公式HP:https://teenage.jp/
「お客様に美味しいビールを届けるために慎重に行動した年」
4人目:カーディナルトレーディング株式会社 代表取締役 グレイソン・シェパードさん
1984年アメリカ・バージニア州生まれ。2007年にアメリカの大学を卒業してすぐに来日。外資系コンサルなどのキャリアを経て、アメリカのクラフトビールを輸入するため2018年にカーディナルトレーディングを創業。現在20社近くのブルワリー輸入しており、2022年に直営店の「Southbound」を横浜にて開業。
Q. 2023年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
今年の漢字は「慎」です。コロナ禍で多くのクラフトビールに関わる業者(製造者、インポーター、小売店、飲食店など)はいずれも辛い2年半を過ごしましたが、2023年になってようやく市場に元気が戻りました。しかし、依然として円安や物価高騰など、厳しい環境要因が続いています。
醸造所や輸入されるブルワリーが増えているなか、クラフトビール、特に最先端であるアメリカのクラフトビールを日本で広めていくためには、ただ単にブルワリーやブランドの数を増やすのではなく、味や品質、ストーリーで勝負しなければならないと思います。そのため厳しい環境が続く中、お客様に響くクラフトビールを作る・持ってこれるように慎重に行動する必要があると考えます。
Q. 2024年はどのような1年にしたいですか?
カーディナルトレーディングはコロナ禍直前に事業を始めたため、思うようにイベントに出展できなかったり、販売先の新規開拓が難航したり色々と苦戦しました。しかしコロナ禍が明けるのを見据えて、昨年直営店の「Southbound」を開業し、クラフトビール好きに認識されるようになってきました。
2024年はさらに直営店の存在感を増しながら、魅力的なストーリーを持つアメリカ南部を中心としたクラフトブルワリーを日本に紹介していきたいです。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
直営店の1周年を記念して、取引するブルワリーであるバージニアビアカンパニー(以下、VBC)とのコラボレーションビールを作りました。その名は、『ヨコハマサンライズ』。VBCのみなさんは、日本への輸入を開始した2019年以来厚くサポートしてくれ、4年経った今年は、共同オーナーのクリスさんを日本に招くことができました。その長年の関係もあり、特別なビールを一緒に醸造することにしました。
ヨコハマサンライズはアマリロとストラタホップを使用したヘージーIPA。色が美しく明るく、新鮮なグレープフルーツの香りが広がり、ダンクな後味が引き立つ味わいが特徴です。バージニア州のウィリアムズバーグから日本の横浜まで、そしてその間のあらゆる場所も、つながるクラフトビールコミュニティを祝福した逸品!
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
今年5月に、カリフォルニア州サンタクルーズにある「Sante Adairius Rustic Ales」のビールを初めて輸入しました。実はカーディナルを始める前からの友達で、「機会があれば日本で何かやろうね」とずっと話してきたんです。今年来日が決まったら、タップテイクオーバーを行うことにしていました。酸味のあるファームハウスエールが得意でさまざまなビールを譲ってくれたのですが、そのうちに印象に残っているのは『Westly』。
『West Ashley』という、杏子を使ったオーク樽で熟成したエールを、さらに杏子の量と熟成の期間を倍増。アプリコットとオークの風味が芳醇で、特徴的な酸味と繊細な甘みが絶妙なバランスです。かなり希少のためいつ入手できるかわからないのですが、また日本のみなさんに共有したいビールです。
■Southbound紹介記事:アメリカ南部のブルワリーを再現! 絶品郷土料理も楽しめる「Southbound」に行ってきた
■公式HP:https://southbound.jp/
「ここ数年で一番怒涛だった年」
5人目:株式会社シクロ代表取締役 / シクロホールディングス株式会社会長 Derailleur Brew Works代表 山﨑昌宣さん
大阪府大阪市出身。2008年大阪市内で「株式会社シクロ」を発足。 2018年ビール醸造所「Derailleur Brew Works(以下、DBW)」を設立、初代醸造責任者を社長業と兼任。 現在は、第一線からは退くもコンセプトディレクションに従事。コンペティションに積極的に出品し、国内外で多数受賞の一方、独創性と伝統の融合をモットーに、ビールとはなんぞやと自らをも揺さぶる、多くの問題作をリリースし続けている。
Q. 2023年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
今年の漢字は「俄(にわか)」です。2日間で述べ98,000人を動員した怒涛のビールと音楽の祭典「坂ノ上音楽祭」を主催し、今年のビールシーズンをスタート(大盛況で感無量です。ありがとうございました)。韓国、台湾でのリリース、アジアデビューを挟んで、われわれDBWにとって東日本初の2階建てフルオープンビアスタンド「スタンドうみねこSiB100」の開業、新たなサケスタイルの提案としての獨酒ハイブリッド「DB-69」の第一弾リリースで年の瀬を締めます。
振り返りながら2018年のオープン以来立ち止まる暇がなかったながらも、一番の怒涛の一年だったと感じています。「にわか」って“ものごとが急に変わる様”という意味で、このスピード感で閉塞的状況や、また過去の自分を打破し続けたいなと選びました。
一方でこの漢字、新参とか、造詣も浅い一過性とか、ネガティブな使い方をされることもありますが、本来は、江戸後期に宴席や路上で行われた即興の芝居を指し、茶番のことを指すそうです。職業的芸人でない、いわゆる素人(=俄)が演じたことからそう呼ばれたとか。即席を目指した新鮮な趣向を本質とし、民衆の美的行動を即座に丁寧に掬い取る素人芸。中世では総じて【風流】といいました。われわれビール業界の素人が、シーンの空気を掬い取り、新しいビール造りにチャレンジし続ける、これもまた現世の風流。なんつって(笑)
Q. 2024年はどのような1年にしたいですか?
2024年は、新しいサケスタイルの創造と模索をテーマとした酒造横断コラボプロジェクト【DB-69】を年4回行う予定なので、そこから生まれる科学反応や知見を得られることが楽しみですね。坂ノ上音楽祭も2年目を迎えさらなるパワーアップを行いますし、海外展開を予定しているので、常温保存のための設備増強と、ホスピスとアパレルマイクロファクトリーの複合施設内への工場の拡張移転も計画中です。アジアやヨーロッパのビアギークやブルワリーたちとの交流もできるんじゃないかと期待しています。
大きくすることはスケールメリットを得られるのですが、小回りが効かなくなるのは面白くないので、200リットル規模のブリューパブを大阪と福岡に建設中です。実験的なものや、小ロットへのきめ細やかな対応や提供が、レスポンシブルにできることこそが、マイクロブルワリーの魅力なので、それは残し続けていきたいです。あかん、大忙しですね、、来年も。来年の漢字も【俄】でいきます(笑)
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
うちの醸造長がこの質問に答えたくてウズウズしてると思いますが、前述したDB-69の第一弾『DB-69 Paragraph oK(a) 2023』です。秋田の最強りんご集団「OK,ADAM」とのコラボレーションで作ったハードサイダー獨酒とでもいいましょうか。
一年を振り返りしみじみとでもよし、年の初めにみなさんで分け合い酌み交わす目出度いサケにしてもらうもよし。老若男女、ライトもハードもみんな楽しめるサケにしあがっていると思います。スタンドうみねこ各店には、先行リリースされると思います。ぜひともご賞味ください。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
思い出に残ったビール。僕実は京都に移住してるんですけど、お値段以外は気軽に行ける和食割烹があるんです。アラカルトオンリーの。年季の入った京長屋を改装されていて、伏見だったり、日本海寄りだったり、とにかく京都や滋賀の美味しい日本酒がいっぱいあるから、二杯めからはいただくんですけど、一杯目は、ビールをいただくようにしてるんです。何度か伺ううちに、大将がどこかから聞いたか、僕が醸造に携わっていることを知ってくださって。それからは銘柄が変わって。しれっと京都の地ビールを扱って、ビールといえばそっとその瓶を出してくださるんです。フラッグシップのペールエールです。
「あ、覚えていてくれてはるんやな」って嬉しくなりますね。2階に大将のご家族が住んでらっしゃって、まだ2歳ぐらいでしょうか?お子さんが階段から降りてきて僕が食べてるテーブルまで遊びに来てくれることがあって、そのときは、2代目が僕にビールを注いでくれます。彼に急かされてグラスを慌てて空にするのが、僕の一番好きな、その店のルーティーンなんです。
■「スタンドうみねこSiB100」紹介記事:大阪から渋谷へ!カオスな文化が混じり合い、個性的なビールを楽しめる空間「スタンドうみねこ SiB100」に行ってきた
■DBW 公式HP:https://derailleurbrewworks-store.com/
「焼肉 x クラフトビールという新業態の店舗をオープンした年」
6人目:株式会社ステディワークス 代表取締役 田中徹さん
東京都三鷹市生まれ。樽生クラフトビール30種類を均一価格で提供するビアバー「CRAFT BEER MARKET」(以下、CBM)を筆頭に、「立飲みビールボーイ」「ヤキニクラフト」などクラフトビールに特化した飲食店を18店舗運営する。2019年にはブリューパブ「CRAFTROCK BREWPUB&LIVE」を開店し、クラフトビール製造も開始した。また、音楽とクラフトビールを融合させたフェス「CRAFTROCK FESTIVAL」を主催し、2024年5月、10周年を迎える記念興行を立川ステージガーデンで開催する。
Q. 2023年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
今年の漢字は「肉」です。11月に焼肉×クラフトビールの新業態店舗「ヤキニクラフト神田店」をオープンしましたが、構想からいざ実現!に向け、ひたすら焼肉店を回った一年でした。
CBMの既存店でもホルモンやフライドチキンを料理の看板メニューに転換する計画があり、カラオケボックスにスタッフを集め、テイクアウトのフライドチキンを数十種類持ち込んでお腹一杯食べ比べたのも、良い思い出です(笑)。
Q. 2024年はどのような1年にしたいですか?
2023年は脱コロナが進み、お店にようやくコロナ禍以前の活気が戻ってきました。コロナ禍の約3年間、お客様からたくさんの応援の言葉を頂き、前を向き続ける事が出来たと思っています。2024年は、その感謝の気持ちを噛み締めながら、今まで以上に皆様に楽しんで頂けるお店づくりに励んで参ります!
まずは年始より全店舗で創業価格キャンペーン(CBMは480円均一!)を開始します。常連様も、久しぶりのお客様も、ぜひ近くのお店にお越し頂き、クラフトビール始めをして頂けますと嬉しいです。
■キャンペーン詳細掲載記事:ビールニュース7選!クラフトビアマーケットでビールがお得に、ファミマ限定クラフトビール登場など
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
年末年始、昼間からのんびりゆるゆると味わって欲しいのが『Afraid to Know (ベルジャンセッションダークエールwithミント) / CRAFTROCK BREWING collab with Bearwear』。 東京を拠点に活動するオルタナティブロックバンドBearwearとのコラボレーションビール第2弾は、ミントを使用したBelgian Seesion Dark Ale。
スパイシーで複雑味のある酵母の香りと、幾重にも重なる麦芽のキャラクター。一見すると飲みづらそうに見えて、アルコール度数は4.5%でミントの爽やかな香りも相まってするすると飲めるビールです。 タンクからサービング、最高鮮度の状態でこのビールを楽しめる「CRAFTROCK BREWPUB&LIVE」は、年末年始は12/29〜1/3(元日は休み)お昼から夜まで通し営業します!是非!
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
『CRISPY BOY / FUKUOKA CRAFT』です。CRAFTROCK BREWINGで以前ブルワーとして働いていた「ナルハンダ」氏がオーストラリアのブルワリー「Sailor’s Grave Brewing」での武者修行を終え、日本でブルワリー立ち上げ準備中の現在、サポートブルワーとして働くFUKUOKA CRAFTで仕込んだビール。 飲んだ瞬間から、ナルお得意の攻めすぎないバランスの妙を感じられ、温度変化とともに表情が変わる、なんとも味わい深い圧巻の一杯でした。 クラフトビールファンの方は、ぜひ今後の「ナルハンダ」に注目ですよ!
■ステディワークス 関連記事:
・神田駅から徒歩30秒!“セルフ飲み放題×焼肉”がコンセプトの「ヤキニクラフト」に行ってきた
・【クラフトビール散歩】都内に9店舗あるクラフトビアマーケットを制覇してみた
■CBM 公式HP:https://www.craftbeermarket.jp/
「過去3年間からの進展だけではなく、さらに発展した年」
7人目:株式会社さいたまアリーナ 事業部事業企画課 鈴木一紀さん
1980年生まれ。2005年にさいたまアリーナに入社。2012年からは、さいたま新都心けやきひろばで毎年春と秋に開催される国内最大級のクラフトビールの祭典「けやきひろばビール祭り」(以下、ビール祭り)に携わる。
Q. 2023年の活動を「漢字一文字」で表すなら?
今年の漢字は「展」です。新型コロナウイルスの影響により2020、2021年のイベントは中止。2022年は厳しい人数制限、時間制限がある中でのビール祭りの開催であったため、2023年のビール祭りでは4年ぶりに制限なしのビール祭りを開催することが出来ました。
ただイベントが戻ってくるだけではなく、来場される皆さんの快適性なども考慮して出店数や会場レイアウトを変更したり、キャンピングテーブルエリアを新設したり、ビール祭りと県内観光をセットにしたツアーを販売したり、ビアライブを開催したりと新たな取り組みも行いました。停滞していた過去3年からの進展だけではなく、さらに発展し、新たに展開することが出来た一年でした。
■2023年ビール祭り潜入レポ:300種類以上のビールが集合!国内最大級のクラフトビールイベント「けやきひろば春のビール祭り」が4年ぶりに屋外で開催
Q. 2024年はどのような1年にしたいですか?
国内最大級のクラフトビールの祭典「けやきひろばビール祭り」は、クラフトビールを知らない方にもマニアの方にも楽しんでいただけるイベントを目指して毎年開催しているイベントです。これからも基本軸は変えることなく、多くの皆様に楽しんでいただけるイベントが開催できればと考えています。皆様の新しいビールとの出会いをお手伝いする新企画も検討中ですのでお楽しみに。
Q. 年末年始におすすめのビールを教えてください!
地元さいたまのU.B.P Breweryの『BANDIERA IPA』です。U.B.P Breweryは浦和で2店舗のビアパブを展開し、さいたまのクラフトビールシーンを盛り上げ続けている小林さん(通称:かまくらさん)が昨年オープンしたブルワリーです。今後ますます人気になっていくであろうブルワリーのひとつで、今年のビール祭りにも出店していただきました。
「BANDIERA IPA」はIPAながら、苦みも強すぎず、何杯でも飲めてしまいそうなビールです。年末年始に食事と一緒にでも良さそうですし、ビール単体としてもお楽しみいただけると思います。定番商品ではないそうですが、今なら浦和のビアパブでも飲めるほかに、缶の展開もあるのでオンラインショップからも買えるそうですのでおススメです。
Q. この一年で思い出に残ったビールと、この一年で思い出に残ったビールのあるシチュエーションを教えてください。
今年は、ビール祭りとのコラボビールを反射炉ビヤさん、DD4D BREWINGさんと一緒に醸造させていただきました。それぞれのブルワリーさんのビールに対する熱い思いも聞くことが出来て非常に刺激を受けましたし、皆さんとビールを飲み交わしたことも含めて思い出深い経験になりました。
■けやきひろばビール祭り 公式HP:https://www.beerkeyaki.jp/
以上、ビール業界で活躍する7名の“ビール人”に、今年の一年を漢字一文字で振り返っていただきました。
2024年には「さまざまなことにチャレンジしていく!」という気概を感じるコメントに、ビール女子編集部一同パワーをもらいました。
みなさんも、ビール片手に自分の一年をゆっくり振り返りつつ、来年の抱負も語り合って過ごしてみましょう!
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