ビール女子読者の皆さん、こんにちは。イラストレーターの楠木雪野(くすききよの)です。 「ビール女子のためのビール入門ガイド」、第3回目では、ビールを造る工程のひとつである「発酵」の種類、そして「エール」と「ラガー」についてのお話です。
ビールの発酵は3種類!
まずは少しおさらい。前回の「ビールはどうやって造られるの?」での工程の5番目に「発酵」が出てきました。「発酵」とは、酵母菌などの微生物が糖質をアルコールと炭酸ガスに分解すること、でしたよね。
そしてここからが今回のお話。 ビール造りにおける発酵は、「上面発酵」「下面発酵」「自然発酵」の3種類に分類することができます。私たちが飲んでいるビールのほとんどは、「上面発酵」「下面発酵」のどちらかで造られています。
上面発酵
古くからのビールの造り方。酵母が麦汁の表面に浮き上がっていくのでそう呼ばれる。常温〜やや高温で発酵し、発酵期間は3〜4日。(その後の熟成期間は約2週間)
下面発酵
中世以降始まった造り方。酵母がタンクの底に沈んでいくのでそう呼ばれる。5度前後の低温で発酵し、発酵期間は7〜10日。(熟成期間は約1ヶ月)
自然発酵
培養されていない野生酵母を使った造り方。今では数多くは造られていない。代表的なものはベルギーの「ランビック」という種類(スタイル)のビール。日本では岩手県のブリュワリー「いわて蔵ビール」が造っている。
そうだったのか、「エール」と「ラガー」
そして、上面発酵で造られるビールを「エール」、下面発酵で造られるビールを「ラガー」といいます。よく聞くこれらの言葉、そういう意味だったんですね。
上面発酵(エール)の方が歴史は古いのですが、下面発酵(ラガー)は中世以降に始まり、19世紀以降、世界的に主流となりました。 下面発酵(ラガー)は低温で発酵が行われるため、雑菌が繁殖しにくく製造管理がしやすいといったメリットがあり、一定の品質を保ったビールを大量生産するのに向いていたからです。
私たちがよく目にする大手ビールメーカーのビールも、ほとんどがこのラガーの「ピルスナー」という種類(スタイル)のもの。世界で最も普及しているビールがこの「ピルスナー」なのです。
エールとラガー、それぞれの美味しさ
しかし、ラガーが世界的に普及した後も、イギリスやベルギーではエールが好まれてきました。のどごしが良くすっきり爽快、ゴクゴク飲めるのが特徴であるラガーに対し、エールには芳醇で濃厚な味わいと飲み応えがあります。
またその種類(スタイル)は多岐に渡り、様々なビールの個性や多様性を楽しむことができます。クラフトビールメーカーではたくさんのエールビールが造られており、近年では再びエールの人気が高まっています。
皆さんも「エール」「ラガー」という言葉を頭の片隅にとどめつつ、それぞれの美味しさをぜひ意識して味わってみてはいかがでしょうか。
第4回目では、そんなラガーやエールをさらに細かく分類した、ビールの種類(=スタイル)についてご紹介しますのでお楽しみに! それではまた次回!