
好きなジャンルの新しい音楽を探したり、好きなアーティストのルーツとなる音楽を見つけたり。
CDショップは、そんな“ディグる”たのしさがある、唯一無二の場所です。
音楽配信ストリーミングが世に広まったなかでも、お気に入りのCDは手元に持っていたいという人や、レコードならではの音をたのしんだりコレクションする方も多くいます。
タワーレコード渋谷店(以下、タワレコ)は、日本随一のCDショップ。筆者自身も、学生時代から足繁く通い、試聴機で音楽を聴きながら何時間も居座ったことのある場所です。
そんなタワレコ渋谷店が大幅リニューアル!なんと、レコードフロアの一角にビアバーが誕生しました。
音楽とクラフトビール。一見異なるカルチャーのようでいて、実はどこか似ている——そんな新しく生まれたタワレコのビアバーに行ってきました。
もくじ
・タワレコ渋谷店が大幅リニューアル!6階フロアにはビアバーも!・「好き」からはじまった新規事業
・12タップに込めた「選べるたのしさ」
・音楽とクラフトビールの親和性
・音楽から生まれる、コラボリールのストーリー
・ブルワリーの夢はついえない
タワレコ渋谷店が大幅リニューアル!6階フロアにはビアバーも!

2026年2月28日(土)、タワレコ渋谷店が大幅リニューアルしました。
テーマは「トレンドの、その先の“好き”へ。」
訪れる人々が“好き”を見つけ、深め、共有できる、音楽とカルチャーとファンが交差する「新体験型ミュージックストア」としてリニューアルしました。
一度は訪れたことがある人なら、入口からガラッと変わった雰囲気に胸が高まるはず。
ぜひ、1階からすべての階をのぞいてみてほしいのですが、今回筆者が訪れたのは、6階。

約10万枚のレコードが並ぶ「TOWER VINYL SHIBUYA」、そして目的地である「TOWER RECORDS BEER(タワーレコードビア)」があるフロアです。
まず、エスカレーターで6階に到着すると目の前に広がるのは、レコードの数々!

ジャケットを眺めているだけでも1日中いられるフロア。棚も低めなので、見渡せるのもたのしい。

そして、店舗の奥に進んでいくと見えてきたのが「TOWER RECORDS BEER」です。

ふらりと立ち寄りやすいカウンターのみの店内。レコードフロアとゆるやかに続いているような空間も心地よい。

店内に設置されたカウンターやテーブルには、再開発が進む渋谷と本計画を重ね合わせ、再生材や古材を使用。渋谷という街とのつながりを意識したデザインになっています。

レコードのようなカウンターがかわいい!

タップ数は12。ビアスタイルはフルーツエールやIPA、ラガー、スタウトなど幅広いのもうれしい。

壁にはレコードが並び、タワレコ創業者のラッセル・ソロモンさんのタワレコポスターも。

また、缶ビールも販売されていて、お土産に購入して持ち帰ることも可能。車で来た人やお酒が飲めない人用に、ノンアルコールの販売も行っています。
「好き」からはじまった新規事業
左から、武藤孝之さん、中谷司さんそう語るのは、プロジェクトを担当したタワーレコード株式会社 コーポレート室 経営企画部 部長の武藤孝之さん。
もともと社内の構造改革プロジェクトに携わり、同じチームの新規事業専任部長の中谷司さんと話すなかで、お互い大の“クラフトビール好き”であることが判明しました。
そこから自然と、訪れたブルワリーの話をしたり、買ったTシャツを見せ合うなどのやりとりをしていったそう。
そんななかプロジェクトのなかで社長から、「新規事業でやりたいことはないの?」と聞かれたとき、ビールが好きすぎるあまり、すかさず「ビール醸造所をつくりたいんです」と伝えたそう。

しかし、実際調べていくと、タワレコ内に醸造所をつくることは、大規模な床の補強工事等が必要になる、といった問題が発覚し、断念。ただ、「ビアバーならつくれるのでは」と方向転換し、プロジェクトが進行していったそうです。
そして、構想開始から約1年で、タワレコ渋谷にビアバーが誕生しました。
12タップに込めた「選べるたのしさ」

店内のタップ数は12。
ラインナップは、担当のおふたりが意見をかわしながら決めているそうで、「どのスタイルをどれくらい入れるか」は、毎回悩みながら組み立てているのだとか。
「たとえば6とか8タップだと、ひとつのスタイルで1種類しか飲めない可能性もあります。だから、ひとつのスタイルでも2〜3種類提供できるように幅を持たせたかったんです」と武藤さん。
こうしたこだわりのもと、TOWER RECORDS BEERでは、スタイルの種類だけでなく、その中の幅もたのしんでもらえるようなラインナップがそろいます。
また、普段あまり選ばないビールにも自然と手が伸びるのも、このタップ数ならではの魅力です。
ちなみに武藤さんはヘイジーIPA、中谷さんはインペリアルスタウトが好みのスタイルだとか。

クラフトビールを“選ぶたのしさ”そのものを体験できる12タップ。
その日の気分や好奇心に寄り添いながら、自分だけのお気に入りを見つけることができそうです。
お店で使用しているグラスは購入も可能サイズは「S」と「L」のふたつがあります。なかでもパイントグラスの導入にはこだわりがあったそう。
写真はSサイズ手に伝わる重みとともに、一杯の満足感もぐっと増していきます。
音楽とクラフトビールの親和性

6階フロアでは常に特大スピーカーから音楽が流れていて、お客さんのなかには、6階で購入したレコードを眺めながらビールをたのしむ方もみられました。
「ビールと音楽の親和性は高いと思うんです。ブルワーさんと話してみると『若いときよくタワー通ったよ』とかバンド活動をしている方や、音楽好きの人が本当に多かったんです」と武藤さん。
実際に音楽は、最初はなんとなく耳にした一曲からはじまり、気づけばジャンルやアーティストをたどりながら、自分の好みを少しずつ見つける“音楽をディグる”(=掘り下げて深掘りして聴いたり、調べたり、良い音楽を発掘する)たのしみがあります。
クラフトビールもまた、最初の一杯をきっかけにスタイルやブルワリーの違いを知り、自分の「好き」を探していくため、感覚が近いものを感じます。
何より、音楽とビールはどちらも一緒にたのしめるカルチャーです。
左からereさん、新田大樹さんただ飲む、ただ聴く、というだけではなく、それぞれの体験がゆるやかに交差する場所です。
音楽から生まれる、コラボビールのストーリー

このお店のもうひとつの魅力が、コラボビール。ビアバーオープン時には、4ブルワリーとコラボしたビールが発売されました。
コラボの際には「音楽とのつながり」を大切にしていて、ネーミングやストーリーを相談しているそう。
■CITY HOP/REVO BREWING

REVO BREWINGのペールエール「CITY HOP」は、1970〜1980年ごろに日本で流行した都会的に洗練された音楽「シティポップ」をもじったもの。
味わいは、軽やかで飲みやすく、すっきりとした口当たりの中にモルトのやさしい香りが広がる仕上がり。最初の一杯にもぴったりな、心地よく寄り添ってくれるようなペールエールです。
■BRIT HOP/鍵屋醸造所

鍵屋醸造所のイングリッシュIPA「BRIT HOP」は、1990年にイギリスで誕生した音楽ムーブメント「ブリットポップ」をもじったもの。また、ブルワーも過去に音楽活動のためイギリスで数年過ごした経歴の持ち主。
味わいは、しっかりとした苦みを感じつつも、どこか落ち着きのあるクラシカルな印象。キレのよさとバランスのよさが共存する、イングリッシュIPAらしい一杯です。
■LISTEN TO THE MUSIC/open air brewing

open air brewingのWest Coast IPA「LISTEN TO THE MUSIC」は、タワレコ発祥の地であるアメリカ西海岸(=West Coast)発祥のビアスタイルを採用。ラベルには、ポップなタワレコ外観のイラストが描かれています。ウエストコーストといえばウエストコーストサウンド。その代表格ともいえるThe Doobie Brothersの曲「LISTEN TO THE MUSIC」。
タワレコのコーポレートボイスである「NO MUSIC, NO LIFE.」にもかかるということで、連想ゲームのような感じで考えていったそうです。
味わいは、苦みと香りのバランスがよく、すっきりと飲み進められる仕上がり。ウエストコーストIPAらしい爽快な飲み心地で、何杯でも楽しみたくなる一杯です。
■KILLER TUNE/Teenage Brewing

Teenage BrewingのDDH IPA「KILLER TUNE」は、店舗のCDなどのポップでよく書かれる「キラーチューン」(=これさえ聴いておけば間違いなし)ということばを採用。Teenageのヘイジー系はインパクトが強いという印象があったため、この名前を採用したとか。ラベルのタワレコカラーもかわいい。

味わいは、ホップ由来の華やかな香りがしっかりと立ち上がり、飲みごたえのある濃厚な仕上がり。ヘイジーIPAらしい存在感があり、まさにキラーチューンな一杯です。
今後も、さまざまなブルワリーとのコラボを定期的に行っていく予定だとか。
タワレコの音楽を通じたビールづくりやネーミング、その背景にもぜひ注目してみてください。
ブルワリーの夢はついえない

今後この場所で、リリースパーティーやDJイベントなども、定期的に開催されるとのこと。

また、ブルワリーのTTO(=タップテイクオーバー。特定のブルワリーのビールのみをタップで提供する)イベントを通じて、音楽とたのしめるようなイベントも行っていきたいとか。
また、最初に社長に伝えた「タワレコ醸造所をつくる」という夢は今もまだ持ち続けているそうで、他のタワレコ店舗にもビアバー展開を検討していき、今後の可能性を模索していきたいと話します。
武藤さん「今まで私たちはずっとCDなどの音楽パッケージを売ってきたんですが、生産自体も減ってきていますし、商品ばかりではない何か軸をつくらなきゃというのはずっと課題でした。そのなかで飲食事業やマーケットプレイス事業などを新しく進めなければということで、今回のビール事業はひとつの飲食事業の軸となればと思っていますね」

そんなわくわくな未来を描きながら、まずはこの場所から。
音楽を“聴く”だけでなく、ビールと一緒に“味わう”。
そんな新しい時間が、タワレコ渋谷には生まれていました。

ビールやグラスを買ってこのタワレコの袋に入れてもらったとき、タワレコに足繁く通っていたころの気持ちが蘇ってきました。
家までの帰り道、袋を片手にわくわくしていたあの時間。
そのたのしみな気持ちは、大人になった今でもかたちを変えて、まだ感じることができるんだと気付かされます。
レコードを探したあとに一杯をたのしむもよし、ビールをきっかけに音楽に触れてみるのもよし。
ふらりと立ち寄って、軽く一杯を味わうのもよし。
音楽が好きな人も、ビールが好きな人も、それぞれのたのしみ方で過ごせる空間。
そんな時間を、ぜひ一度体験してみてください。
TOWER RECORDS BEER
〇住所:東京都渋谷区神南1-22-14 タワーレコード渋谷店 6階アナログレコードフロア(Googleマップ)
〇営業時間:12:00~21:30(L.O. 21:15)
〇休業日:不定休
〇席数:オールスタンティングで最大20名前後
〇支払い方法:キャッシュレス決済のみ
〇公式Instagram:https://www.instagram.com/tower_records_beer/

お酒は二十歳になってから。
