東京都墨田区曳舟。
東京のシンボルでもあるスカイツリーがそびえ立つ押上駅から1駅の曳舟駅周辺は、東京の東側ならではの下町情緒溢れる街。
昔ながらの温かい雰囲気を残しながら、近年はマンションも多く立ち再開発が進んだり、新しいお店も続々と増えたりと、ニューウェーブが常に巻き起こっている地域でもあります。
そんな曳舟にある『THE ALL DAY(ザオールデイ)』は、筆者も足繁く通うお店です。
多くの人の日常に溶け込み「居場所」になっているTHE ALL DAYの魅力をたっぷりお伝えします!
もくじ
・スタンディングメインの自然と繋がりが生まれるビアバー・子どもから大人まで、全ての人が楽しめる場所を
・贅沢素材を使用したフレッシュアイス
・畜産農家から直送の肉を使用!ジューシーな自家製ソーセージ
・「おかわりしたくなるビール」が並ぶタップリスト
・カジュアルフレンチ・イタリアン料理とランチメニュー
・みんなの居場所をつくる
スタンディングメインの自然と繋がりが生まれるビアバー
東武スカイツリーライン・曳舟駅から徒歩3分ほどで今回の目的地THE ALL DAYに到着。レンガの外装が目印です。

THE ALL DAY は地域の人が集う、大人も子どもも楽しめるクラフトビールと自家製ソーセージとアイスが魅力のビアバーです。
店内に入るとまずエネルギッシュなオレンジの天井と、素敵な壁のアートが出迎えてくれます。

スタンディングがメインの店内は、「お客さん同士がビールを飲みながら近くの人と自然と会話が始まるようなグルーヴを生み出すきっかけになれば」という思いから、自由に動けるような広々とした空間になっています。

カウンター席は全部で8席。窓際のカウンターはしっぽり落ち着いて飲みたい時にもぴったりの席です。
キッチン前のカウンター席は料理を作っているシェフと楽しくお話ししながらビールが飲めます。
ここに座ると目の前で美味しそうな料理が仕上げられる様子が見えるので、食欲がそそられ気がつくとつい料理の追加オーダーをしてしまう席。

奥に行くと広々としたソファ席もあります。
ここは家族で団欒を楽しむ方やグループで飲みにきてゆっくりと過ごす方に人気の席。賑やかなスタンディングのフロアから1段小上がりになっているのもあって、落ち着いた雰囲気で過ごすことができます。

窓際にはおもちゃや絵本、雑誌などが置いてあります。大人がビールを楽しんでいる間子どもは自由に遊んでOK!ファミリー大歓迎です。
天井を見上げると可愛らしいお花のアートも。近くにある花屋「NOT FLOWER」から仕入れているもので、月に1回ほどアートが変わるので店内にいながらその時々の季節感を感じられるところも魅力です。
子どもから大人まで、全ての人が楽しめる場所を
「THE ALL DAY」は浅草にある「THE DAY east tokyo(ザデイイーストトウキョー)」の姉妹店で、2023年にオープンしました。オーナーの長谷川将人さんは銀座のイタリアンのお店で飲食の世界に飛び込み、その後神楽坂のイタリアンで数年店長を務めていました。
売り上げが伸び悩んだ時にイタリアンの競合が多い地域のなかで真っ向勝負するよりも、オリジナリティを重視して自家製のソーセージを使ったホットドッグで勝負しようと決め、そこからほぼ独学でソーセージ作りを極めてきました。
その頃に出会ったアメリカ西海岸の代表的なブルワリー「ラグニタス」のビールの味に衝撃を受け、お店で取り扱い始めることになり、自家製のホットドッグとビールの組み合わせがそこで生まれることに。
そして浅草にクラフトビールと自家製ソーセージの店「THE DAY east tokyo」をオープンし、姉妹店である「THE ALL DAY」を、自身が暮らす街でもある曳舟にオープンしました。
長谷川さんは大のスノーボード好きで、飲食の世界に入る前はスノーボードの専門学校にも通っていました。今でもシーズン中でお店が休みの日には、何度も滑りに行くほどです。

そんな長谷川さんが名付けた「THE ALL DAY」という店名もじつは、スノーボードからきています。
「THE DAY」はスノーボード用語で「最高の日」という意味。「天気も雪のコンディションも最高だし、メンバーも最高。これ以上いい日はないよね!」という瞬間にスノーボーダー達が使う言葉です。そんな「THE DAY」をお店に来てくれた全ての人に感じてほしいという思いで「ALL」がつき、「THE ALL DAY」になりました。
「ALL」=「全ての人」という想いはどこからきているのか。長谷川さんにお聞きしました。
長谷川さん「これまで飲食店を何年もやってきたなかで、お客さんが来れなくなるタイミングがあるのが寂しいなと感じることが何度もありました。例えば妊娠出産のタイミングはお酒が飲めなかったり、子どもが生まれるとなかなかビアバーには連れて行きにくかったり。だから自分が曳舟で子育てをしていることもあって、この街に子どもも大人も楽しめるビアバーを作ろうと思ったんです」

どんな人でも楽しめるビアバーをつくるヒントになったのが「アイス」だったといいます。
沖縄が好きでよく行くという長谷川さんは旅先でとあるアイスクリームショップに出会います。そこではアイスの販売をしながら、店の奥にアパレルのショップが併設していたりカウンターではちょっとした料理を楽しめたり、大人から子どもまで様々な人の笑顔が溢れる空間があったそう。
そこからインスピレーションを受けて、浅草のTHE DAY east tokyoでも提供している「自家製ソーセージ」に加えて、THE ALL DAYでは「自家製アイス」を作ることに決めました。
贅沢素材を使用したフレッシュアイス
提供するアイスは6種類。日替わりで提供していて、素材が生きた手作りならではの優しい味わいが特徴です。
アイスに使用している食材は新鮮なフルーツや贅沢なナッツなど、こだわりの素材をふんだんに使用しています。
そのためアイスのみを販売しているお店だったら原価の問題からなかなか500円では提供できないような高クオリティの味を、飲食店だからこそ実現可能なワンコインで提供しています。
アイスも他の料理と同じように作りたてが1番美味しいということで、あえて小ロットでほぼ毎日新しいものを仕込んでいるそう。フレッシュな状態で提供しているからこそ、素材そのものの豊かな風味が楽しめるところがポイント。
また、不定期ですが、原材料にビールを使用したアイスが食べられる日もあります!これはビアバーが作るアイスならではの魅力。スムージー系のビールが入荷した時に作ることがあるそう。
以前筆者はビールのアイスを何度か食べたことがあるのですが、使用するビールによってフルーティーさが際立つパターンと、面白いことにしっかりとビール味のアイスになるパターンもあり新しい美味しさにワクワクさせられます。
今回は大人気のこちらのアイスをいただきました!
『自家製アイス/メープルチーズケーキ』(税込500円)

押上にある「BERTH COFFEE ROASTERY “Haru”」でチーズケーキを作る際に余ってしまったケーキの切れ端を送ってもらいアイスにアップサイクルした一品。丁寧に焼き上げた本格的なチーズケーキをそのまま使用しているので、濃厚なチーズケーキの味わいがしっかりと生きています。定期的にケーキの切れ端が送られてくるので、これまで何度か登場している準レギュラーのメニューです。
畜産農家から直送の肉を使用!ジューシーな自家製ソーセージ

THE ALL DAYでは日替わりで5種類の自家製ソーセージを提供しています。
ソーセージのレシピは全部で15種類ほどあり、季節の旬の食材を使用したり、イベントの際にはその時しか食べられない限定ソーセージを提供していたり、来るたびに様々な味わいを楽しめます。
美味しさの秘訣はズバリ「鮮度」です。使用している肉は岩手県の久慈ファームという畜産農家から直接仕入れているので、卸業者を介さない分新鮮な肉を使用できます。
オーダーをしてから肉を挽いてもらい、翌日にはもうお店に到着するというスピーディーさ。鮮度が高いので添加物を使用することなく素材そのものの味わいの安心安全のソーセージを楽しめます。
今回は定番メニューの2種類のソーセージをいただきました!
『自家製ソーセージ/あらびき・イカスミブラック』(1本税込1,080円、2本税込2,160円)

あらびきは、豚肩ロースとウデ肉、バラ肉のブロックを手切りして作っているゴロゴロの超あらびきソーセージ。ひとくち食べればプリっと弾力のある食感と、肉汁溢れる豚肉のうまみに溺れます。噛めば噛むほどに口の中に美味しさが広がる…。
イカスミは、豚肩ロースとウデ肉、背脂とイカスミを入れて塩胡椒で味を整えた、見た目のインパクトとは裏腹にシンプルで飽きないような味わい。お肉本来のうまみとイカスミのうまみが合わさってクセになる美味しさの一品。

1本140グラムあるというボリュームたっぷりのソーセージは、ナイフを入れようとすると抵抗があるくらいプリップリの弾力感。切ると肉汁が弾けるくらいジューシー!ソーセージによって豚肉や鶏肉の種類・部位も違うので様々な食感が楽しめます。あっさりふわふわの鶏肉のソーセージも、豚肉のソーセージとまた違った美味しさでおすすめ。

鮮度にとことんこだわっているTHE ALL DAYのソーセージは、他ではなかなか食べられない特別な美味しさです。一度食べると来るたびにオーダーしたくなること間違いなし。
「おかわりしたくなるビール」が並ぶタップリスト

ビールは9種類の国内外のクラフトビールが楽しめます。

全部で30ブルワリーくらいから仕入れており、国内ブルワリーのランナップが多め。提供しているビールはほとんどがついおかわりしたくなるような飲みやすいもので、料理と一緒に楽しむのにぴったりです。

ホップがよく効いている華やかなビールよりも、ずっと飲み続けられるような心地よい味わいのビールが多く、ゆったりと過ごす時間のお供にふさわしいビール達が楽しめます。

タップリスト9番のビールは「リアルエール」となっており、こちらのハンドポンプから提供します。
リアルエールはイギリス発祥のスタイル。通常のエールビールはタンクの中で2次発酵行い酵母を樽や瓶に移す前に除去するところ、リアルエールは酵母を除去せずに生きたまま樽に移すので樽の中で味わいが変化していきます。
ほぼ無炭酸のビールで、井戸のような仕組みで汲みあげて提供されます。炭酸がないので飲みやすさがあり、素材そのものの味わいを感じやすいところもポイントです。
リアルエールを提供するビアバーが減少する中でも、つくり続けているブルワリーがいるからこそ、文化や美味しさを伝え続けたいという思いで9番に繋げています。

ビールを提供する際に大切にしているのはそれぞれのブルワリーのつくり手の思いを飲む人に届けること。オーナーの長谷川さんは仕入れているブルワリーの方全員と直接会って、思いを吸収してお店に持ち込んでいます。
どんなビールなのかよりも、どんな人がつくっているのかがお客さんに伝わることが重要だと考えているそう。

入り口には名だたる人気ブルワリーの方々のサインも!訪れるブルワーからも、THE ALL DAYのタップリストを見ると「バランスがいい」と太鼓判を押されるほどだとか。ビールのラインナップはお店の居心地の良さをつくる上で重要な要素になっています。
今回はその中から2種類ビールをいただきました!
『ごぼう抜き』シンキチ醸造所(ハーフ 税込1,100円)

シンキチ醸造所は季節によって変化する旬の果実や野菜を使用したビール造りを得意とする群馬県高崎市にあるブルワリーです。今回いただいたのは、高崎産の朝採りごぼうを使用したベジタブルエール。ごぼうの風味豊かなうまみと心地よい土っぽさを感じる味わいで、体の中にスッと浸透する、優しく包み込んでくれるような味わいです。シンキチ醸造所のビールをタップから飲むことのできるお店はなんと東京ではここTHE ALL DAYだけです。最高に食事と相性のいいシンキチ醸造所のビールをぜひ味わいに来てほしい。
『Sky Walker IPA』 Yorocco Beer(ハーフ 税込900円)

鎌倉にあるヨロッコビールが定番で造り続けているオールドスクールなアメリカンIPA。モルトの香ばしさとほのかに感じるホップのシトラス感のシンプルイズベストな味わいで、いつまででも飲んでいたいと感じさせてくれる飲み疲れないIPAです。ドライで程よい苦みもバランスよく感じることが出来て、ここまでドリンカブルなIPAだったらパイントでごくごくと飲めてしまいそう。
カジュアルフレンチ・イタリアン料理とランチメニュー

料理メニューはカジュアルなフレンチ、イタリアン料理が楽しめます。ビアバーで提供している料理メニューではなかなか出会えないものもあり、普段あまりレストランに行くことがない人でもフレンチやイタリアンの入り口として楽しんでほしいとのこと。
その中からリピーターも多い人気メニューをいただきました。
『シラスと青唐のオープンオムレツ』(税込1,080円)

ふわふわの卵の中に、シラスとピリッとした青唐辛子がアクセントになっているビールが進むオムレツ。飽きの来ない味わいでついつい手が伸びてしまうのであっという間になくなってしまう美味しさです。

料理に合うようなワインやクラフトジン、ジャパニーズウイスキーも提供しており、ワインは約200種類ほどの豊富な品揃えです。

ランチは週明け以外(月曜が祝日の場合は火曜が休み)営業していて、ホットドッグセット、パスタセット、ライスプレートの3種類で日替わりでメニューが変わります。全てスープとサラダ付きで税込1,300円。ランチには自家製のアイスミニサイズが300円で付けることができて、ビールもハーフパイント100円引き、パイント200円引きでオーダーできます。昼飲みもぜひ!
みんなの居場所をつくる
1人でふらっときてスタンディングでビールを楽しむ人がいて、カウンター席で友達と料理をシェアしながら会話を楽しむ人もいる。

家族で大人がビールを楽しむ間、子どもは楽しそうにどのアイスを食べようか選んでいる。
入り口付近の席にはわんちゃんがいて別のお客さんが撫でながら会話が始まる。
THE ALL DAYには大人から子どもまで様々な人の笑顔がいつも溢れています。

長谷川さん「目指しているのは、ファミレスみたいな、公民館みたいな場所です。どんな人がいつ来ても居心地いい空間をつくりたい。そしてこの場所から曳舟や東東京の地域ももっと盛り上げていきたいです。」
THE ALL DAYに通うようになり、地方出身の筆者は初めて街に友達ができて、初めて東京に自分の居場所をつくることができました。このお店が好きと思うだけでなく、この街まで好きだと思えるような人との繋がりを生み出してくれる場所になっています。

こだわりの自家製ソーセージにアイス、美味しい料理。そしてついお代わりしたくなるような心地の良いビールのラインナップに温かいスタッフたち。全ての要素がこの居心地の良さを生み出すために欠かせないものだと感じます。
今日も多くの人の笑顔を生み出すTHE ALL DAYで、ぜひ一緒に乾杯しましょう!
THE ALL DAY
〇住所:東京都墨田区東向島2-24-14(Googleマップ)
◯アクセス:東武スカイツリーライン 曳舟駅から徒歩3分、京成線 曳舟駅から徒歩5分
◯営業時間:
[月]17:00〜24:00
[火・水・木・金]11:30〜14:00、17:00〜24:00
[土]12:00〜23:00
[日]12:00〜22:00
◯定休日:不定休
◯決済方法:現金、クレジットカード、電子マネー、QRコード
◯Instagram:https://www.instagram.com/theallday___/