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Column “幽霊”を意味する「“ファントム”ブルワリー」ってなに?日本で活動するファントムブルワリーも一部紹介

2024/08/29


夏の風物詩といえば、何を思い浮かべますか?花火に風鈴、蚊取り線香、そして…怪談!有名な怪談では四谷怪談や皿屋敷などがありますが、怪談の主役といえば「幽霊」ですよね。

そんな「幽霊」を英語で表現すると「ファントム(phantom)」ですが、ビールの用語にも「ファントムブルワリー」という言葉が存在します。

一見怖いワードだけど、ビールでいう「ファントム」ってなに?亡霊のようなブルワリーなの…?などなど、その正体について暴いてみました。

また、2024年8月現在ファントムブルワリーとして活動しているブルワリーも一部ご紹介。あなたの地域でも、ひっそりと活動しているブルワリーがあるかもしれません。近くに出没する「ファントム」を見つけるきっかけにしてみてください!

■ライター:村岡 由美香


そもそも“ファントムブルワリー”って?


「ファントムブルワリー」とは自分の醸造所を持たずに他の醸造所へ委託醸造する形で、自分の造りたいレシピでビールを醸造するブルワリーのこと。「ジプシーブルワリー」や「クライアントブルワリー」と呼ばれることもあります。

委託先で自身が醸造作業をしたり、銘柄ごとに委託先を変えたりと、ブルワリーによって対応はさまざま。

また、一貫してファントムブルワリーとして活動するブルワリーもいれば、いつか自分の醸造所を持つことを目標とし、その第一歩としてファントムブルワリーの道を選ぶブルワリーもいます。そのため、“元ファントム”であるブルワリーも

FarYeastBrewing ファーイーストブルーイング
その一例として有名な国内のブルワリーは、「Far Yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)」。2012年からファントムブルワリーとして活動を開始し、ベルギーのデグラール醸造所で場所を借り、初のオリジナルブランド『馨和 KAGUA』を醸造。

その後、2017年には自社工場「源流醸造所」を山梨に、そして2020年には醸造所を併設したビアレストラン「Far Yeast Tokyo Brewery & Grill」を東京に構え、ファントムブルワリーという形ではなくなりました。

■「Far Yeast Tokyo Brewery & Grill」詳細記事:
【五反田駅から徒歩3分】Far Yeast Brewingの新しい旗艦店は醸造所併設店!さっそく行ってきた



そんな「ファントムブルワリー」ですが、具体的にはどんなブルワリーがあるのでしょうか?ということで、2024年8月現在、日本国内で活躍するブルワリーを3ヶ所をご紹介します!


THC CRAFT

愛知県・豊橋出身の4人のブルワーが集結し醸造する「THC CRAFT。2019年に開催されたビアフェスで出会った4人が「豊橋をビールで盛り上げよう」と、2020年に活動をスタートしました。

ファントムブルワリーとして活動することを選んだ理由は、4人それぞれが別々のブルワリーに勤務していたから。なんと、皆さんが普段活躍されているブルワリーは、金子 巧さんが和歌山県「 NOM CRAFT」、川合 崇浩さんは愛知県「渥美半島醸造」、鈴木 諒さんは東京都「CRAFTROCK BREWING」、そして手嶋 弘樹さんは神奈川県「横浜ベイブルーイング」と、ビールファンに人気なブルワリーの醸造家が集まる、頼もしすぎるチーム。

そんな実力ある4人が、「THC CRAFT」では自分たちの好きなタイミングで自由に醸造しています。


醸造するビールのコンセプトは「豊橋の魅力発信」。豊橋で活躍するTattooアーティストや日本画家、クリエーター、地元企業などと幅広くコラボして、全国に豊橋愛を伝えています。

大好きなビールを通して豊橋に興味を持ってもらい、来てみたいと思ってもらえるような商品づくりを心がけていて、毎回豊橋にまつわる方々とコラボをしているとのこと。「ビールを飲みながらその人や企業についても知りながら飲んで欲しいです」と話してくれました。


おすすめビール『BLACK THUNDER STOUT』

豊橋銘菓『ブラックサンダー』とのコラボ商品。生産工程で出る破片を使用することで食品ロスの削減につなげている、「530(ゴミゼロ)運動発祥の町豊橋」らしい素敵な発想のアップサイクルビールです。

アルコール度数は5.0%。ブラックサンダーの風味を最大限活かせるよう、スタウトをベースにした「Chocolate Milk Stout」というビアスタイルに仕上がっています。

ブラックサンダーを使いつつも甘さは控えめで、容量の大きなパイントグラスでも飲めるほどドリンカビリティ。チョコレートやコーヒーといったロースト感あるデザートとのペアリングがおすすめ。もちろんブラックサンダーとの相性抜群!おすすめの飲み方は、チューリップグラスに入れて少しずつ温度変化による違いを楽しむこと。温度が上がるにつれて、ブラックサンダーの風味が顔をのぞかせますよ。

 THC CRAFT

〇活動地域:愛知県豊橋市
〇HP:https://thccraft.stores.jp/
〇Instagram:https://www.instagram.com/thccraft/
〇購入可能店舗:THC CRAFT ONLINE SHOP/道の駅とよはし(Googleマップ

オーロイブルーイング


2022年より、香川県・高松で活動しているブルワリー「オーロイブルーイング

ブルワリー名にある「おうろい」とは、香川県の古い方言で「恵みの雨」のことを指し、「クラフトビールを軸に人、地域、世の中に潤いを」をスローガンに、香川県を元気にしていきたいと活動しています。「香川県からでも面白いことはできる!」を体現することで、若者の地方離れを抑え、移住者の増加につなげていこうという姿勢が素敵。

その一環として、2024年6月からビールフェス「SANUKI BEER MEETING」も主催しているオーロイブルーイング。「香川の人にもっといろんなブルワリーを知ってもらいたい」「全国のブルワー仲間たちに香川を知ってほしい」という想いのもと全国各県からブルワーを招待するイベントで、2025年も6月7,8日に開催を予定しているんだそう。


ブルワーは、渡辺仁史さんお一人。元々は自動車の整備士だったそうですが、大手コーヒーチェーン店に入社後、焙煎の研修で滞在したアメリカでクラフトビールに出会いました。帰国して数年後に、山梨県「Far Yeast Brewing」に入社。さらにその後、醸造所のスタートアップに携わり経験を積み、地元香川にてブルワリーを始めたという経歴を持ちます。

現在はファントムブルワリーとして活動しつつ、いつか自社醸造所を設立したいと日々尽力しているのだそう。

醸造するビールのこだわりポイントは、どんなときでも飲めて食中酒にもなるような、クリーンで後味がスッキリしたものであること。ホップが主役のスタイルでも重い質感にならないように、全体のバランスや後味の消え方がシャープになるように醸造しています。


おすすめビール『koero』

ニュージーランドの先住民が使う言語、マオリ語で雪が溶けることを意味する「Koero」。アルコール度数は5.0%で、ほのかな柑橘の香りが特徴のすっきりシャープな味わいが楽しめるピルスナー。米を使用した軽やかなベースのボディに、ニュージーランドホップのみを使用して、雪解け水をイメージした1杯です。

食中酒にしても、昼間から休憩がてら飲むのもok。キンキンに冷やした状態のキレを味わった後に、徐々に開いてくるNZホップの風味を楽しんでください!

 オーロイブルーイング

〇活動地域:香川県高松市
〇HP:https://ohloybrewing.com/
〇Instagram:https://www.instagram.com/ohloybrewing/
〇購入可能店舗:直営店「OHLOY STORE」(Googleマップ)/OHLOY ONLINE STORE


ようかいブルーイング

2023年9月に設立され、北海道・札幌で飲食店を経営しながらビール醸造を手掛けている「ようかいブルーイング。「飲み手とより深く関わる機会を作りたい」という想いのもと、“醸造家と話せるビアバー”というコンセプトのビアバーを運営しています。

「ようかいブルーイング」の名前の由来は、「ファントムブルワリー」から。「幽霊」を日本らしく解釈して「ようかい」と名付けたのだそう。一つ目の幽霊が、グラスからちょこんと顔をのぞかせているロゴも可愛い!

写真手前:ブルワー・河野功さん/写真後ろ:仕込みを協力する「月と太陽BREWING」の醸造長・佐々木啓太さん

ブルワーは店長である河野さんお一人。東京の会社に勤めていたときに通っていたブルワリー「ガハハビール」をきっかけにビール業界に入りたいと思い立ち、その後福岡県「糸島ハローブルワリー」で醸造を学んだのだそう。

自社ブルワリーは構えずビアバーを開いた理由は、「自社ビールだけでなく国内のさまざまなブルワリーのビールを飲める場所を提供したい」という思いから。一方、これまでの醸造経験も活かしたいと、ファントムブルワリーとしても積極的に活動しています。

お客さんとの会話を大事にしているため、お客さんの要望をレシピ作成に取り入れつつ、そのとき自分が造りたいビールを自由に醸造しているというこだわりを持っています。


おすすめビール『ようかいセッションIPA』

過去に醸造した『ようかいIPA』を、夏仕様にして造られたセッションIPA。アルコール度数は5.0%。IPAの特徴であるホップ由来の豊かな香りはありながら、苦みを抑えてあるので癖なくごくごく飲める、夏にぴったりなビールです。

「ようかいセッションIPA」は期間限定ビールですが、日々さまざまなオリジナルビールが更新・提供されているそうなので、その移ろいを楽しみにぜひ訪れてみてください!

 ようかいブルーイング

〇活動地域:北海道札幌市
〇ビアバー住所:北海道札幌市北区北24条西4丁目3−25 メトロビル 2F(Googleマップ
〇営業時間:
[火〜日] 18:00-26:00
[定休日]月曜
〇Instagram:https://www.instagram.com/yokaibrewing/
〇提供店舗:ようかいブルーイング 店舗内


様々なブルワリーを彷徨いながら、個人の自由な発想・醸造スタイルでビールを醸している「ファントムブルワリー」は、実はひっそりとあなたの近くでも活動していて、ビアフェスやビアバーなどでもふと出会えるかも。

いろんな「ファントムブルワリー」に注目して、その個性あふれるビールを味わってみてくださいね!


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