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Bar 【埼玉県川口市】「びぃる食堂ぬとり&ぬとりブルーイング」に行ったらご近所さんになりたくなった

2024/03/20


次に住む家を決める時、近くに通いたい飲食店があるかも決め手になるんですよね

家の間取りや家賃、交通の便、近くにスーパーがあるかなど、住む上で考えることといえば利便性や金銭的なことが先走ってしまいそうなところですが、その考えをある人から聞いたとき膝を打った。

そして、この場所に来たときまさに「このお店があるからここに住みたくなる」と思った場所である「びぃる食堂ぬとり&ぬとりブルーイング」を取材しました。



川口駅から徒歩10分。黒壁の建物とぬとりちゃんが目印


埼玉県のJR京浜東北線 川口駅西口から道をまっすぐ進んで徒歩10分ほど。黒い壁の建物と、赤鼻の「ぬとりちゃん」の看板が目印の「びぃる食堂ぬとり&ぬとりブルーイング」に到着しました。

カラカラカラと引き戸を開けると、なんだろうこの懐かしいようなあたたかい雰囲気は…!


光が差し込む店内には、星形の照明や提灯が天井から下がり、自社のTシャツやグラウラーが壁に飾られ、天井には「祝開店」のポスターや店主のおふたりのイラストが貼られていたり。

木のテーブルはあたたかさを演出してくれ、プラスチックの椅子は「さあさあ座って」と誘ってくれているよう。


麦の袋で造られたメニュー入れやはっさくが置かれた台などなどたくさんの物が目に飛び込んできますが、そのごちゃつきが、何ものをも受け入れてくれているような美しさで、落ち着く空間です。

入った瞬間からもう「ぬとり」の虜になっていたことは否めなかったのですが、このあとぬとりのみなさんのお話を聞いてさらに魅力にどっぷりと浸かることになるとは…。

写真左から代表の山田泰一さん、副代表の山田小葉さん、稲住花梨さん、星野玲さん、岡嶋清華さん
「合同会社ぬとり」を立ち上げたのは、代表であり醸造責任者の山田泰一(たいち)さんと、副代表の山田小葉(こば)さん(通称:おかみ)ご夫婦。

びぃる食堂ぬとりにはタップが8つとスイングカランが2つ(通常使用しているのは1つ)設置。自社醸造ビール含め、ゲストビールも繋がります。また、食堂ではおかみが作る「こばんざい(滋養メシ)」も提供され、図書館も運営しているという気になるトピックがてんこ盛りのお店です。

そもそも、「ぬとり」という店名の由来も気になるところですが、“ぬとりのはじまり”から探っていきたいと思います。

ぬとりのはじまり

ぬとりのはじまりは2013年

山田ご夫婦が、隅田川の遊覧船で飲んだ酸っぱいビールに衝撃を受けたのがはじまりでした。


泰一さん「おもしろいビールだなと思って調べてみると、そのビールを造っていたのが隅田川ブルーイングで、『ヴァイツェン』というビールだということを知ったんです。さらに調べていくと、富士桜高原麦酒という醸造所がおいしいヴァイツェンを造っているらしいと知り、下北沢の酒屋「北沢小西」で飲めると聞いて向かいました。初めて飲んだとき、『これはうまい!』と思ったと同時に、様々なビールが店内に置かれていることにも興味を持ったんです。それから妻とふたりで通い始めて、ビールにハマっていきました」


その後2015年頃までは「ビールを生業としたい」と考えてはいたものの、「ビール屋さんなのか、それともライターなのか」など様々考えあぐねていたそう。そんなとき、「Beer++(ビアプラスプラス/旧:十条すいけんブルワリー)」の立ち上げのタイミングに出くわしたのだとか。

泰一さん「“一軒家を改装してビールを造っているらしい”と聞いて見に行ってみたら、ものすごく感動したんです。『こんな風にできるんすか!これは夢がある!』ってビールを飲みながら話をしていて、そのときブルワリーを始めようと決心しました

「生ビールの達人」こと海老原清さん(左)と、研修中の泰一さん(右)
具体的な構想を進めるなかで、「相澤塾」という小規模の醸造所の開設を目指す塾に通いはじめた泰一さん。そのときに出会った「ライオットビール」や「松戸ビール」などの立ち上げや醸造にも関わり、「HIGHBURY -THE HOME OF BEER-」でも働いたり、「銀座ライオン銀座7丁目店」で1日研修を受けたりと、お店の立ち上げから醸造〜お店の運営までを、さまざまな場所で経験を積んだそうです。

そして2020年に、現在のびぃる食堂ぬとりの前身となる「麦酒処ぬとり」をオープン!2021年1月よりビール醸造を開始しました。


“つながり”から発想し造られる自社醸造ビール


食堂併設の醸造所は4坪ほど。250リットルの醸造タンクが4基設置されています。

取材日はせんべいを使ったビールの仕込み日。店内にいても麦芽の香りがたちこめてきました。

泰一さん「せんべいを使おうと思ったきっかけは、草加煎餅でも有名な隣町・草加市に、僕と妻が『ぬとり』を開業する前に、場所探しをかねてまちづくりリノベーションスクールに積極的に通っていて。そのとき繋がったせんべい屋さんからお話があって使うことになりました。どうも“割れせん”が結構出るらしく、『これで作れない?』と言われて。せんべいもお米だからやってみようかと、とりあえず味のついてないせんべいをもらってきました。麦50キロに対して、せんべいは5キロほどを使用して造っています」


ラガーにしようと思ったのは、「せんべいの味を出せるよう、すっきりとしたタイプのラガーが良いのでは」と取材日の前々日に決まったそう。ホップはハラタウを使用して、華やかさが若干のるようにイメージ。「せんべいの香ばしさが出て欲しいんですけどね。そこから発展があれば、醤油付きの割れせんを使ったビールも造ってみたいです」と泰一さん。


仕込みを行なっていたのは、ぬとりの店長・稲住花梨さん。2月より醸造を担当することになったそうで、この日ももくもくと作業に励んでいました。


飲みたい欲が湧いてきたところで、ぬとりのビールを3種いただきました。

遠野とぬとり 2023』(小サイズ:税込550円)
岩手県遠野産のフレッシュホップ・センテニアルをアロマホップとして使用し造られたラガー。青々しい香りにセンテニアル由来の柑橘香が香り、飲み口は爽やかでモルトの甘みも感じられるバランスのよい味わい。

ぬとりでラガーを造ったのは今年が初だそうですが、以前より、遠野のホップ栽培のコーディネータ・神山(こうやま)さんを招いて「遠野とぬとり」という遠野産ホップ、ビール、農作物の魅力を伝えるイベントを行っていたのだそう。開催3回目になって「私たちもビール工場なのに、何故これまで遠野産ホップを使ってビールを造ってなかったんだろう?」ということに気づき、神山さんに相談したところ、新品種ホップ開発用の圃場を運用している「Tono Hachiman Hop Field」さんからホップを譲っていただく事に。

圃場内には、毬花咲耶姫命(マリバナサクヤヒメ)という神様が祀られている忽布神社があり、ご加護を受けながら現地で収穫した縁起の良い逸品です。


超ぬとぺ』(小サイズ:税込550円)
麦とホップをたっぷり使用したクラシックなIPA。麦の甘みを活かすためにカラメルモルトを使用。麦の甘みをしっかりと感じながらもIPAらしいガツンとしたホップが効いています。ボディもしっかりしていますが、爽やかさも感じられてごくごくと飲みたくなる1杯。

“ぬとぺ”とは「“ぬとり”の“ペールエール”」の略。しかも“超”が付いてしまうのだから、ぬとりを味わうには、飲まないわけにはいかない!


ぬとロン』(小サイズ:税込750円)
アジロンというワインに使われる葡萄を全体量の4分の1を使用してつくられたポーター。ブドウの皮も発酵中につけこんだビールで、「ほぼワイン」という人も多いそう。香りは芳醇でほんのり麦の香ばしさがあります。セゾン酵母を使用しているためかフルーティー!ABVは8%ですが見た目よりもするすると飲めます。

どのビールも麦芽の甘みが感じられ、どこかに安心するようなやさしさが感じられるのと同時に、味わいや香りにどこかぬとりらしいスパイスも効いた味わいです。


ちなみに、お伺いした日のタップリストのほぼ半分が黒ビール!「好きなように造っていたら、気がついたら黒ビールが多くなってしまったんですよね(笑)」と、泰一さん。


他ではなかなか見ないタップリストで、“ビールの変態”なのが伝わってきました。それでも、どの黒ビールもそれぞれの個性があり全く違う味わい。中には、柚子を使った酸味のある黒ビールも!小さい店内で、黒ビールの概念さえも一気に覆してくれるぬとりに感服です。


そんなビール造りのイメージのもとを辿ると、人や場所との繋がりから発想することが多いのだとか。

泰一さん「遠野のフレッシュホップの話もありましたが、取りに行けるなら現地に行きたいっていう思いはありますね。廃棄をなくしたいという思いはなくはないんですが、それよりも、困っていることを解決したいという思いの方が強いかもしれません」


例えば、ぬとりで提供している「ビアビス」。麦芽の風味が感じられる甘さ控えめなビスケット。一口サイズなのでぽんっと口に入れながらざくっと噛んで麦芽の食感と味わいを存分に味わえますが、これは「麦芽粕」で作っています。

麦芽粕は、ビールを造る上でどうしても出てしまう。でも産業廃棄物で捨てるのは嫌だと思い相談したのが、おからを使ったビスケットも作っている同じ市内にあるパン屋さん。「今私たちはこういう問題抱えてるんです」という話をしたら「ちょっとやってみます」と一回で作っていただいたのが「ビアビス」だったのだそう。

素材の味わいをたっぷり感じられるビアビスは、個人的に「ぬとロン」との相性が抜群でした。テイクアウトも可能です。


また、ぬとりの方々は農家などにも足繁く通っているそう。この日店内にあったはっさくも川口にある高津園芸から譲り受けたもの。農家ともやりとりし、麦芽粕を堆肥に使ってもらう代わりに、ビールで使う副原料や野菜を仕入れているそうです。

泰一さん両者にとってウィンウィンになるようなやりとりをしてビールを造りたいと思っているんです」

活動するなかでどうしても出てきてしまう困り事が、ちょっとした声かけや心遣いで新しいものに生まれ変わる。そうすることで、また新しい方の元へ渡り、想いを伝えながらサイクルする暮らしの健やかさを感じました。


注ぎ手によって味わいが変わる「スイングカラン」のある食堂


ぬとりのビールの魅力は、オリジナルビールだけではありません。店内には、直径5ミリ9ミリのスイングカラン(※)の2つが設置されています。これは、お店をはじめるときには導入を決めていたのだそう。

※スイングカラン…昭和初期、日本のビアホールで主流だったビールタップのこと。スイングという名前の通りタップをくるっと回転させてビールを注ぐ。ビールが注がれる勢いが早く、過度な炭酸が溶け込まないため爽やかでやわらかい口当たりのビールになる。ビールが通る管が太いのも特徴で、管の太さによっても味わいが変わる。


泰一さん「色々なビアバーを回ったんですが、新橋のビアバー『ピルゼン アレイ』では『アサヒ スーパードライ』をさまざまな注ぎ方で提供していて。『サトウ注ぎ』『マツオ注ぎ』『シャープ注ぎ』の3種類なんですが、味が全然違うんですよ。『なんじゃこりゃ!』ってこの時も衝撃を受けまして。それからラガーにもハマってさまざまなお店を飲み歩く中で、『ローカルブルワリーのビールを造りながら、ブリューパブのようにスイングカランでビールも提供できたら。そこに、料理が好きなおかみの食事も絡めたら面白いんじゃないか』と思ったんです」


スイングカランは注ぎ手によって、注ぎ方によってもまったく異なる味わいのビールを注ぐことができます。過去には、お客さんが自分でカラン注ぎを体験してもらうイベントなども開催したそう。


なんと、取材の数日前に「2階のクラフトビール屋つむぎ」で注ぎ方のブラッシュアップを行なっていたそうで、この日はブラッシュアップ前と後の、2種の『サッポロ生ビール黒ラベル』を出してくださいました!

ブラッシュアップ前の黒ラベルは、やさしく丸い味わい。一方新しい注ぎ方になると、キレがより強調された味わいに変化。同じ注ぎ手でも注ぎ方を少し変えるだけで、同じビールでも変幻自在に味わいを変えることができるなんて…!自分の舌でそれを目の当たりにし、ビールの注ぎの奥深さを再確認しました。


スイングカランでは現在黒ラベルを提供していますが、今後は社醸造ビールをカランで注ぎたいと画策しているそう。この日造っていたせんべいラガーも、カランで注がれるかもしれません。


毎日食べたくなる滋味深い「滋養メシ」


ぬとりに来たら欠かせないのが、副代表であるおかみが作る「滋養メシ」。ぬとりでは、おかみのお名前「小葉(こば)」+「小皿料理」として“こばんざい”とも呼ばれています。

こばんざいのテーマには、お店の名前にも繋がりが。

小葉さん「お店の屋号を考えていたとき、『nutrition』(ニュートリション)っていう英語を見つけてそれがなんか良いなと思って心に残ったんです。それをもじって、店名を『ぬとり』にすることにしたんです。意味は『栄養素』。思いとしては、『養たっぷりの食事をとって、健康になって、長生きして、ビールを飲もう』っていうテーマではじめたんですね」


そして、いろんな場所へ赴くことが大好きなご夫婦は、同業の仲間のところに行って、インスパイアを受けた料理を出していると言います。

例えば、この日いただいた『福島のイカ人参』『福島のネギのマリネ』の2品は、先日福島の「イエロービアワークス」に行った際に食べた、郷土料理にインスパイアを受けて作ったのだそう。


福島のネギのマリネ」(税込480円)は、もともと農家であるイエロービアワークスさんが作ったネギを使用。力強い味わいで素材を生かした料理をと考え作られた逸品。大ぶりに切られたネギを口に運ぶと、とろっとしたネギに旨みがたっぷり絡んで箸が止まらない…!


いかにんじん」(税込500円)は、福島の地元のお店で食べたいかにんじんを再現。いかとにんじんを切って醤油のタレに漬け込むだけということですが、にんじん独特の硬さや臭みがなく、やさしい旨みがたっぷり染み込んだ味わい。小葉さんおすすめは「超ぬとぺ」と合わせること。ホップの香りが薬味の役割を果たしてくれます。


また『秩父のしゃくし菜漬け』(税込600円)は、ぬとり開業前から工場のことや地域のことなど色々教えてもらったりした先輩である埼玉「秩父麦酒」との交流の中で見つけた地元料理だそう。秩父は古くからしゃくし菜の栽培が盛んに行われている地域で、地元の人はしゃくしな漬けをよく食べ、メーカーも作るほど地元に愛された味わい。油で炒めてあり、やさしい塩気と旨みはビールも進みますが、白米も必須!


野菜中心の優しい食事を紹介してきましたが、お肉料理のような力強い食べ物ももちろんあります。

小葉さん「うちの食堂は設備的に、アパートをリノベーションした食堂でコンロが奥まっていたり、どうしても柱が抜けなかったり、その関係で換気も少し弱いんです。そのため揚げ物などの匂いの強い中華系の料理とかは提供していないんですね。でも、やっぱりビールに合う力強い食べ物も出したいと思って、お肉を焼いたがっつりとしたポークローストなどを提供しています」


そう言いながら提供していただいた「ポークロースト」(税込1,200円)は、がっつりとした人気の一品。しっかりとした味付けがビールを誘う味わい。一口サイズで食べやすいのも嬉しい心遣い。ガツンとした味わいと噛みごたえで、しっかりとした食べ応えはあるものの、やわらかくておいしい…。ご飯と汁物もあるので、注文して一緒に食べれば定食にもなります。


そしてなんと、狩猟免許も持っているという小葉さん。先輩である静岡の「フジヤマハンターズビール」の皆さんが狩りへ行くときに同行したのがきっかけ。そのときに刺激を受け、ちゃんと学びたいと思い免許を取得。ぬとりでジビエを提供することもひとつのメッセージだと思っているのだそう。

小葉さん「今は鹿のソーセージを提供していて、先日も兵庫の猪肉をぼたん汁として提供したんですが、いつも以上にお客さんが来てくださって。本気で伝えようと思えばお客様も興味を持ってくださると思っていますし、私たちもストーリーをちゃんと伝えられるところから仕入れています。2023年は猟に行けなかったので、来シーズンは自分で獲ったジビエを提供したいですね」


元々「年を取ったら食堂がやりたいな」と考えていた小葉さんですが、ビールを造りお店を開きたい夢を持つ泰一さんと一致し、今があるのだそう。

口に運ぶたびに旨みの波がきて、そのたびに「週7で通いたい」と思ったほどの「こばんざい」と、泰一さんたちが造るぬとりのビール。お互いの味のすり合わせは行っていないそうですが、お客さんにもよく「ぬとりのビールはやさしく麦の甘みも感じられて、おかみの料理と合う」と言われるそう。自然と寄り添うこばんざいとビールは、いろいろな組み合わせで楽しみたくなります。


さまざまなものをつなぐあかはな図書館


びぃる食堂ぬとりから外に出ると、道を挟んで真向かいに「あかはな図書館」という文字が目に止まりました。じつはこの図書館もぬとりが運営するもの。(2024年3月より「びぃる食堂ぬとり」内へ移動)


図書館をはじめようと思ったきっかけを、ぬとりのあかはな舎(広報部門)であり舎長の星野玲さんに伺いました。

星野さん「埼玉県草加市にある『シェアアトリエ つなぐば』さんがはじめられた『さいかちどブンコ』のアイデアをいただいてはじめました。一区画ごとを月額で提供し、オーナーになれるという取り組みです」


近所の小学生や中学生も通うあかはな図書館。本棚の区画ごとにオーナーがいて、オーナーがおすすめしたいと思う本を並べています。見てみると、講談師の方やライターなどさまざまな方の棚が。それぞれの個性が溢れた棚で眺めているだけでも心躍ります。

星野さん「オーナーの方が時々イベントを行ってくれたりもするんです。 去年は近隣の小学校や中学校の子供達向けの夏休み企画としてライターさんが読書感想文教室、講談師さんが講談教室を開いてくれて。あとは古本市も定期的にしてるんですけど、近所の人が古本を持ってきてくれたりもします。」


図書館と食堂のガラス窓に描かれたペイントは、カメラマンであり、ぬとりのスタッフでもあるオカジマサヤカさんが描いたもの。常連からぬとりのスタッフになったそうで、ライブペイントなどのイベントも行っています。

本を通して、大人も子供も交わることができる図書館。びぃる食堂ぬとり内に移動することで、また新しい交流や出会いが生まれるきっかけになるかもしれません。

取り組みの先にある「身養醸繋」(しんようじょうけい)とは


ビールを造り、食堂を運営し、図書館をつくり。また個々の取り組みではランニング活動や店内イベント、イベント出店、スタッフは全国をかけまわり交流を深めるなどなど、さまざまな活動を行う合同会社ぬとり。


ぬとりのコンセプトは、栄養たっぷりの料理を食べて、健康になって、ビールを長生きで飲みたいということ。スタッフもみんな食いしん坊で、いろんなとこへ行くのも好き。ビール工場へ学びに行ったりするなかで、それぞれがそれぞれのインスパイアを受けて、ぬとりに帰って形にしようとアイデアを持ち合い、アップデートしていきます。


最近は、社訓を身養醸繋(造語・しんようじょうけい)と改めて定めたのだとか。「心と身に栄養を取り入れ、醸成させる=道を作る、次へ繋ぐ」という思いが込められています。このモットーを実現していくのがぬとりの役目だと、スタッフの皆さんが目をキラキラさせて話してくれました。

14時の開店時間には


びぃる食堂ぬとりの開店時間は14時。お昼時よりは少し遅く、家事や仕事が終わった人が立ち寄るにはまだ早い時間だけど、どうして14時なのだろう?そんな風に思っていたとき、外を大勢の小学生が歩いてきました。

小葉さん「子供たちの下校時間なので14時に店を開けてるんです。こども110番のお店なので


学校の先生からは、店内には入ってはいけないと注意されてしまっているようですが、子供たちがペイントをするオカジマさんの姿を眺めていたり、工作したものをぬとりスタッフに見せたり。ぬとりの方々も子供たちに「おかえりなさい」と声をかけながら子供たちの下校を見守っているのが印象的でした。


そして、筆者は今までブルワリーやお店も多々取材させていただきましたが、インタビューの中で自社以外の名前を聞いた数では圧倒的な多さだったかもしれません。それは、自分たちだけではなく、他者(と書くのも憚られますが)とつながることで初めて、ありふれた日常が実現すると考えられているからではと感じました。

また、お話を聞きながら感じたのは、古き良き日本の日常であるご近所づきあい。たとえて言うならば、醤油がないからお隣さんに借りたり、困っている人がいたら声をかけたりというような、今の日本ではある意味珍しい日常がぬとりの周りでは当たり前に起こっています。

この日出会った方々やお話に出てくる方々は言うなれば、想いの距離が近い“チームご近所”。それぞれが困りごとを相談し、得意を渡し合いながら、健やかでより良い暮らしを営んでいることに、何度私もご近所になりたいと思ったことか…。

毎日でも通いたい「びぃる食堂ぬとり&ぬとりブルーイング」は、一度足を運べば居心地の良さにハマってしまうはず。

 びぃる食堂ぬとり&ぬとりブルーイング

〇住所:〒332-0015 埼玉県川口市川口6-9-5 滝沢コーポ102
〇アクセス:JR京浜東北線川口駅西口ロータリーから 徒歩10分
〇営業時間:14時〜22時
〇定休日: 月曜日・火曜日
営業日及び時間は変更することもありますのでSNSや電話等で最新情報をご確認の上ご来店ください。
〇ご予約番号:048-437-2822
〇HP:https://nu10rin.com/
〇Instagram:https://www.instagram.com/nu10rin_brewing/

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山吹彩野 編集・ライター

星の準ソムリエの資格を持つ星空エディターで、星や宇宙を編集して伝えるWEB SPACE「星とくらす」を運営。最近では星を眺めながら、ビールと宇宙をつなげたいと日々考えている。好きなビアスタイルはIPA。音楽、カメラが好き。

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