1853年、浦賀にペリーの黒船がやってきた。
浦賀は一目見たいという好奇心旺盛な庶民でごった返す。
その翌年開国した日本に、ペリーはビールを献上した。
「土色をしておびただしく泡立つ酒」と当時の日本人はビールを表現した。
あれから170年。
浦賀があった久里浜で、今ビールを造る日本人の僧侶がいる。
このビールを飲んだらペリーはどう思うだろうか。
飲んで欲しい、ペリーに、そして今を生きる人々に。
今回は2023年4月にオープンしたばかりの、日本でも非常に珍しい僧侶が醸す「法龍山麦酒」を訪ねました。
もくじ
・黒船の町で、金色が光る・僧侶が醸す“テラピスト寺(じ)ビール”
・クラシカルな「唯我独尊」と四季を感じる限定ビール
・無限の味、ビール造りは面白い!
・「唯我独尊」に込めた想い
・自らの手で作り上げた醸造スペース
・豊かな発想で広がる未来
・自ら切り開いた道のその先に
黒船の町で、金色が光る
法龍山麦酒があるのは神奈川県横須賀市久里浜。久里浜はペリーが来航したことでも有名な、かつての浦賀の場所に当たります。
都内から京急電車に揺られ約1時間。
徐々に車窓が自然豊かになってくると最寄駅の「京急久里浜駅」に到着します。
駅からすぐのどこか懐かしさを感じる小さな商店街を歩くと、足元にペリーの代名詞とも言える黒船を見つけました。
小さいながらも程よく人が往来している商店街は、ゆったりとした買い物や散歩にちょうど良い穏やかな雰囲気です。
そんな商店街を2分ほど歩くと、日本の伝統が息づくような木目と輝くガラスで出来た一際目を惹くお店が現れます。
キリッとした和の風情も感じるお店には、「法龍山麦酒」と金色で書かれたお寺を感じさせる看板が。
その美しさに一見敷居が高そうな佇まいですが「麦酒」の文字に誘われて、背筋を伸ばしお店の中に足を踏み入れました。
タップルームの中に、お釈迦さまの教えでもある「唯我独尊」の書を発見。
※「獨」は独の旧字体。以下、独と記載。
伝統的な和の雰囲気がありながらも、カウンターのタイルやライト、風鈴など所々にあるモダンなアクセントがとってもおしゃれ。
そして美しく整った店内の奥には醸造スペースがあり、タイミングが合えばカウンターで一杯飲みながらビールを造る様子も見ることが出来ます。
カウンターの向こうから醸造責任者の藤堂曜平さんが出迎えてくれました。藤堂さんのご実家は、同じ横須賀市内にある「法龍山最光寺」というお寺です。
最光寺は729年に建立された由緒あるお寺で、法龍山麦酒の「法龍山」はお寺の山号から取ったそうです。
また、定番ビールの商品名も「唯我独尊」の漢字一文字ずつから取っており、それぞれの漢字からインスピレーションが湧いたスタイルを醸造したそう。
僧侶が醸す“テラピスト寺(じ)ビール”
ビールと僧侶。全く関係性がないようにも感じますが、150種類ものスタイルがあるビールと多くの宗派がある仏教は、それぞれ酒と宗教という世界の中で非常に多様性が高いという点で共通しているようにも感じます。
またヨーロッパではトラピストビール(※)という、キリスト教の修道院で造られるビールがあります。飲用に適した水を確保するのが難しかった中世ヨーロッパでは、代わりとなる飲料としてビールやワインが保存の利く飲み物として修道院で造られ、振る舞われてきました。
僧侶が仏教を学び修行をする場でもあるお寺が母体ということは、日本のトラピストビールとも言えるのではないでしょうか。藤堂さんは、寺+トラピストの造語で「テラピスト寺(じ)ビール」と表現しています。
※トラピストビールの定義は、①修道士が自ら醸造するか、修道士の監督のもとで醸造されたものであること。 ②“トラピスト会に属した修道院”の敷地内の醸造所でつくられていること。 ③営利目的ではなく、ビール販売の収益は修道院の運営やメンテナンスに充て、残りは慈善団体に寄付すること、という3点を満たすことが要件とされています。
それぞれの漢字がどんな味わいになったのか…さっそく僧侶が醸す唯我独尊ビールを飲んでみました。
クラシカルな「唯我独尊」と四季を感じる限定ビール
飲み比べセット(1,500円/税込)で、左から「独」「我」「尊」「唯」「梅サワーエール」。
定番の「唯我独尊」ビール4種類は、基本的にあまり流行り廃りのない、クラシカルなスタイルのものにしたかったという藤堂さん。醸造に使っている水は、日本の名水百選にも選ばれている横須賀市の「走水(はしりみず)」を汲んできて使用しているというこだわりぶり。
『唯』(グラス500円、瓶770円/税込)
「唯」は、20度程度の発酵温度のエール系ビールよりも、さらに高い30度以上の温度で発酵させる、醸造方法においても“唯”一無二のセゾンです。
セゾン酵母からくるというパンが発酵する時のような香りにそそられて一口飲むと、爽やかで澄んだ液体が広がります。するとすぐにセゾンらしい優しい酸味が広がり、最後は心地よいスパイシーな余韻が残りました。
酸味やスパイシーな香りなどセゾンらしさを表現するため、34度にして発酵。セゾン酵母の味わいを引き出すため香り付けのホップも強いものは使用していないため、すっきりとした味わいが特徴です。
セゾン酵母達の頑張りを真っ直ぐに感じられるセゾンは、真っ直ぐすぎて逆に新しささえ感じる感動の一杯。
『我』(グラス500円、瓶770円/税込)
「我」は、ビールのスタイルの中でも我の強いスタイルをということでIPAです。グラスに注がれた濃い銅色からも我の強さが伺えます。
しっかりと苦みを感じ、アルコール度数も高めでモルト感が存分に感じる、イングリッシュ系のIPAに近いクラシカルな設計です。
しっかりとしたホップとモルトの香りに誘われ一口飲むと、ホップの苦みとモルトの香ばしさがそれぞれ我を持って主張してくるのに、両者が非常にバランスが取れているので重厚感がありながらももたれるような嫌らしさがありません。
使用するホップによって幅広く様々な味わいのあるIPAの中で、「これこれ、これだよ!」と原点回帰させられる法龍山麦酒のIPAは、モザイクのみの単一ホップで造られているといいます。古典的なIPA好きにも、ガツンとした苦みのあるIPAはまだ飲んだことがないという方にも、ぜひ飲んで欲しい一杯です。
『独』(グラス500円、瓶770円/税込)
「独」は、色合い的にもスタイルとしても、他と少し違う“単独”の存在として考えるスタウトです。
ずっしりとした黒い色からはモルトのローストされた香りが漂ってきます。モルトの香ばしさとコーヒーのような奥深い香りが口の中に広がると、舌の上をトロって液体が滑って行きました。味も香りも濃くてトロみがあるのにとても飲みやすく、くどさが全くありません。
ロースト香やモルトの味わいを楽しめるよう、ホップの香りと苦みは抑えめ。ドライスタウトでシルキーに仕上げ、炭酸量は抑えめでオートミール由来の粘度となめらかさが感じられてクリーミー。
濃厚ながらスッと染み渡るスタウトは、黒ビールの香ばしさは好きだけど重くてちょっと…という方にも飲んで欲しい一杯。バニラアイスやクリーム系のスイーツ、クリーム系のパスタやチーズにも合うとのこと。
食事にもデザートにも、食後のチーズをつまみながらのもう一杯にも。しっかりと独立した存在感でありながらどんなシチュエーションにもいけちゃう「独」に惚れ惚れしつつ飲み干しました。
『尊』(グラス500円、瓶770円/税込)
「尊」は、18世紀頃にイギリスで発祥したエール系の元祖といわれ、尊い存在であるということでペールエールです。
美しい黄金色のペールエールからは洋梨のような甘い香りを感じ、一口飲むとモルトとホップの軽やかな柑橘の香りのバランスが絶妙で尊すぎます。原材料はシンプルに、SMaSH(シングルモルト・シングルホップ)で造っているそう。ホップはシトラのみで、人によって感じ方が様々になるという面白いビールです。
華やかで美しいスタンダードなペールエールなのに、初めてドンピシャの相手に出会ったようなトキメキを感じ、香りを楽しんでは味を楽しみ…を繰り返してしまいました。
ひたすら強い柑橘系かと思っていたシトラですが、使い方やモルトとのバランスでこんな表情を見せることに驚きました。様々なホップを使って楽しむビールも面白いですが、シンプルの中にある深みや面白さはより奥深い世界かもしれません。
また定番ビールに加え、醸造所限定で季節に合わせたビールも楽しめます。醸造所限定ビールは、1回限りの一期一会なビールです。
「同じレシピで2回は造らない」という理由は、季節の定番メニューにしてしまうとつまらないと考えているからだそう。「150種類以上もビアスタイルがあるのに、決まったものしか造らないのはスタイルを知ってもらう機会も少なくなってしまう」と話す藤堂さん。お客様には、まだ出会ったことのないスタイルのビールを飲んでほしいと考えているそうです。
『梅サワーエール』(グラス500円、瓶880円/税込)
真夏に飲みたくなる梅の香りが爽快な「梅サワーエール」。真夏を意識して造られたエールで、酸味ですっきりしてもらいたいと開発。
香りはまさに「がっつり梅」!鼻と口いっぱいに梅の香りと酸味が広がります。真夏にぴったりの南国らしい甘味がふわっと通り過ぎると、後からトロピカルな香りと最後にモルトを感じられることで「梅サワーじゃなくて、梅サワーエールだぞ!」というメッセージを受け取った気持ちに。
使用する梅はお寺の境内に植えてある梅の木から収穫したものを使用しているそうなので、体も心も健やかになっていきそうです。うだるような夏の暑い日に、この梅サワーエールで元気を取り戻した方がたくさんいたのではないでしょうか?
その他にも、雨の日にさっぱりできそうな『サワーIPA』や、地元で破棄される予定だったみかんを使用した、環境にも優しい『みかんIPA』などを限定で醸造しています。
お店では小ぶりなグラスでの飲み比べセットもあるので、まずは飲み比べセットでお気に入りのスタイルを見つけるのもいいかも。
ビールの説明や飲む順番など藤堂さんが丁寧に教えてくださるので、クラフトビール好きはもちろん、あまり飲み慣れていない方もしっかりと楽しめます。
藤堂さん「うちのビールはごくごく飲むより、ゆっくり味わって飲むのがおすすめです。時間が経って少し温度が上がってくるとそれぞれのビールの特徴がよりしっかりと出るので、ゆっくりと楽しんでもらえたらと思います」
お店で飲まれる際は、藤堂さんとお話ししながらゆっくりとより深く法龍山麦酒を楽しんでみてください。
無限の味、ビール造りは面白い!
初めは「僧侶が醸すビール」ということに興味を持ちお伺いしましたが、ビールをいただくと、ただただその美味しさに圧倒され、藤堂さんのビール造りへの想いに魅了されました。実家がお寺ということですが、なぜビール醸造をするようになったのでしょうか?その動機について、お伺いしてみました。
藤堂さん「高校生くらいの時は料理やバーテンの仕事をしたいと思っていました。でも色んな人と関わるうちに趣味でできることは趣味でやるのが1番良いと思い、趣味では出来ないお酒造りの仕事がしたくて醸造関係の学校に入学しました」
試験醸造もできる学校でお酒の醸造に関する専門的な知識を身につけた藤堂さん。しかし卒業後すぐにビール醸造の道に進んだ訳ではありませんでした。
藤堂さん「1番最初は北海道のワイナリーで3年、その次に和歌山で1期だけ日本酒造りをしました。その後もお酒造りの仕事を探していたんですけど、酒造業界って人手を増やすことがあまりない。お酒関係の工場もありますが、僕は自分が造りたいものを造らなきゃ意味ないじゃんって思っていて。結局、地元の知り合いが運営していた飲食店のお店が閉まることになり、居ぬきで店を引き継いでくれる人を探していたので、そこを引き継いで5年半ほどお店を経営しました。飲み手も作り手もやったので、間に立つ仕事も面白いかなって」
元々料理好きなこともあり、その後も場所を変え都内の飲食店で働いていたそうです。その中で藤堂さんはある悩みを抱え、それが転機となりビール醸造の道へと進んでいきます。
藤堂さん「僕は軽い発達障害があるんです。軽度なので一般社会に入れなくはないのですが、だからこその生きづらさがあります。過集中とか気になることをやらないと気が済まなくなるという特徴があって、1人で仕事をしている分にはいいのですが、ミニマムな人間関係の職場だとその関係性に軋轢が生じてしまうこともある。そんな中、元からあった自分でお酒を造りたいという想いの実現に向けて、いろいろ調べてみたんです。
設備や資金面、最低醸造量等を考えるとワインや日本酒は難しい。そこでビール醸造を調べると、石見麦酒さんが考案した「石見式」という方法があるのを知りました。これだと設備だけだったら400〜500万円でできるんです」
「石見式」とは、ポリ袋を冷蔵庫に入れて発酵させる画期的な醸造方法で、設備費用が圧倒的に安く抑えられるためこの方式を導入しているマイクロブルワリーも多いといいます。
藤堂さん「動き出したのが2年前の夏です。昨年3月に会社を起こし、1年かけて醸造免許を取得しました。元々ビールが造りたかったというより、酒類が造りたくて、その中で設備や資金面で1番ハードルが低かったのがビールと言った感じなんです」
初めは消去法で選んだビールでしたが、醸造を始めるとその面白さに魅了されていったそう。
藤堂さん「僕はワインも日本酒も造っていましたが、個人的にはビールが1番面白いです。酵母やホップの種類もたくさんあり、種類の選別、使い方、使うタイミングで味が変わるので無限のレシピがある。それが造っててすごく楽しいです」
またマイクロブルワリーならではの面白さもあると言います。
藤堂さん「クラフトビールって同じビアスタイルのものでも、完璧に同じじゃなくていいっていう世界なのも良いですね。直火で造るのに温度経過が全く一緒なんてあり得ないので、大体ここら辺を目指して行こうという火加減で造ります。味が外れないレベルの、『今回は香りが強いよねとか、モルト感が強く出たな』というのは全然ありだと思ってます。工場であれば温度管理などがもっと徹底されるので均一化できますが、バッチ差があるのもマイクロブルワリーの面白さだと思います」
昔から料理や物づくりが好きだったという藤堂さんには、想像力が掻き立てられるビール造りが1番合っていたんですね。
藤堂さん「ビール醸造は、最初から最後まで自己完結するのが楽しいです。頭の中でレシピを描き、ビールの味をイメージしながら、これ入れてみようかなとかここを改良しようかなと逆算して造るのが楽しくて」
醸造学校での学びやお酒造りの経験、そして何より藤堂さんの豊かな想像力が法龍山麦酒には詰まっています。
面白さを感じながら、楽しく造られるビールたち。
法龍山麦酒のどのビールにも共通する真っ直ぐな美味しさは、きっとそんな藤堂さんの想いによるものなのでしょう。
「唯我独尊」に込めた想い
実家がお寺ということでお釈迦様の教えでもある「天上天下唯我独尊」が商品名になっていますが、こんな想いも込められているそうです。
藤堂さん「『唯我独尊』って自分勝手だとか自己中心的な意味で使われることがありますが、本来は、『人はみんなオンリーワンで、生きているだけで尊いんだよ』って意味なんです。そんな意味のある「唯我独尊」ビールの元に人々が集まり、喜んでくれる場になって、このビールを飲んだ一人一人が楽しくなってもらえたらなと思っています」
「唯我独尊」の文字はお母様の書道の先生が書かれた字で、ラベルのデザインは寛永通宝の並びに合わせてご自身で作られたそうです。
ちなみに醸造所限定のビールの可愛い龍のラベルは、X(旧Twitter)で募集したものだそう。クラシカルなビールにはかっこいい唯我独尊のラベル。一期一会で様々な味が楽しめる限定ビールにはほんわか可愛い龍のラベル。それぞれがビールのイメージともぴったりです。
自らの手で作り上げた醸造スペース
そんな“テラピスト寺(じ)ビール”が造られる醸造スペースも案内していただきました。
藤堂さんがビール醸造の道を選ぶきっかけともなった石見式の発酵タンクでは酵母が元気に活動中。ビニール袋なので酵母の様子も見ることができ、ビール好きとしては興奮してしまいます。
冷蔵庫の中には爬虫類飼育用のサーモスタットが入っており、自動で設定温度になるように調節されるそうです。また冷蔵庫の上の木の部分は1回の醸造量を増やせるようにご自身で作られたというから驚きです。
藤堂さん「購入もできますが、自分で作るとかなり安く済むのとサイズを合わせたいっていうのもあって。なんでも自分で作るのが好きなので、お店の外にあったカウンターなども自分で作りました」
また環境への配慮や飲食店を経験されている藤堂さんならではの気遣いも。
藤堂さん「ビニール袋を見るとエコじゃないように見えるかもしれませんが、タンクを洗うのは大変ですし薬剤も使うので、こっちの方がエコなんです。ワンウェイで捨てると汚染リスクも低いです。またケグもワンウェイにしています。そうすることにより置く場所も確保しなくていいし、ステンレスのケグは高いので初期投資も安く済みます。飲食店の送り返す手間も減らせますし。量も多すぎない方がお店の方も喜ぶので、少なめの10Lにしています」
こじんまりとした醸造スペースですが、綺麗に磨かれた鍋や手作りで一工夫加えられた発酵タンク、冷蔵庫から直接繋がっているタップなど、藤堂さんのこだわりが随所に感じられます。
タップルームもご自身で作られたカウンターやイーゼル看板、お母様のお知り合いの先生の書など、美しくキリッとした中にも暖かさが感じられ、居心地が良いのでついつい長居してしまいそうです。
豊かな発想で広がる未来
どのビールを飲んでも真っ直ぐな美味しさがあり、藤堂さんの逆算された世界観を味わうことが出来る法龍山麦酒。次のビールはどんなイメージが膨らんでいらっしゃるのでしょうか。
藤堂さん「新商品開発の環境づくりのためにクラウドファンディング(※)をしていて、別ブランドで薬膳ビールも造りたいなと思ってます。実は中医学的にビールの原料って体に良いものばかりなんです。ただ冷たいので体を冷やしてしまうのが良くない。だから消化を助ける作用のあるものを入れて、20度位で飲むのがおすすめというビールを造りたいです」
ついついビールは飲みすぎてお腹を壊してしまいがち…20度が適温というビールも面白いですし、体に良いビールがあれば毎日気兼ねなく飲めます。このクラウドファンディングでは、発達障害の方がのびのび働ける環境づくりにも目を向けていらっしゃいます。
※クラウドファンディングは10月16日に募集を終了し、めでたく目標金額を達成されました。皆が生き生きとしている職場で造られる薬膳ビール、今から楽しみです。
藤堂さん「発達障害の方が働くモデルケースのような場にしたいと思っているんです。発達障害の方はクリエイティブなことならできる、という人も多い。またビール造りは単純作業もあるので、軽度の自閉症の方も働ける環境になればいいなと思ってます」
また、ビールを通しての地域活性を、横須賀全体でも実現したいという想いもあるそうです。
実は法龍山麦酒に到着した時お隣のコーヒー屋さんからコーヒーの良い香りが漂っていたのですが、今年の冬はお隣のコーヒー屋さんとのコラボしたビール造りも考えているとか。
藤堂さん「横須賀と三浦半島にもっとブルワリーが増えてほしいなと思っています。地元のブルワリーと飲食店さんにも参加してもらってフェスなどもやったら楽しいんじゃないかなと思ってます」
ゆっくり宿泊してもいいですが、都心からも近いので日帰りでも思い切り楽しめます。またビール業界だけでなく異業種とのコラボもしていきたいと思っているそう。
藤堂さん「今Vtuberの方とコラボして配信したりもしているんですけど、別の界隈とのコラボをすると、違う世界観が感じられたり繋がりが増えるので面白いんです」
また、小ロットで造ることができるため、オリジナルビールも受け付けているそう。結婚式の引き出物や、大人の遊びで10人ほどで集まって造ってもらうことも可能。ラベルがついているので飲み終わっても形として残り、さまざまな用途で思い出のビールを造ることができそうです。
300本位は20〜30万円ほど。10人だと2〜3万円の負担に。半年間毎月5〜6本ずつ家に送られてくるようにできたり、半年ごとに色々なレシピを試してもらうこともできるそう。何よりプロと相談しながら思い描くビールを造れるなんて夢のよう。オリジナルビール醸造はご希望の方がいれば対応可能とのことなので、気になる方はぜひ問い合わせてみてください。
自ら切り開いた道のその先に
ー他人にばかり頼らずに、道は、自ら切り開いてこそー
これは釈迦の言葉です。
この言葉のように、自ら切り開いたビール醸造の道で、己の心に従いビールを醸す藤堂さん。だからこそ「唯我独尊」なビールを醸せるのでしょう。
釈迦の仏教は非常に合理的で科学的と言われています。
見えないものに救いを求めるのではなく、己と向き合い、世界を原因と結果で捉えようとするそうです。
ビール醸造もとても科学的です。
ミクロな視点において科学的なのは勿論ですが、レシピを考え、そこに向かうにはどうしたら良いか知識を持って検討し、実践する姿は科学者のよう。
藤堂さんのお話を聞いていると、非常にロジカルで理路整然としており、ブルワーと僧侶という相容れないように感じる職業ですが、科学的という部分で繋がっているように感じました。
久里浜にはたくさんのお花が楽しめる「くりはま花の国」やペリー・黒船関連の歴史的な見所もたくさんあります。
久里浜観光をしながら、法龍山麦酒で一服したり、瓶でお持ち帰りして海岸で飲んでみたり。
ちょっとだけ遠出して、法龍山麦酒をグビッとしながら癒しの小旅行をしてみませんか。
法龍山麦酒
〇住所:神奈川県横須賀市久里浜 4-14-1 原ビル 1 階〇交通:京急久里浜駅から徒歩2分
〇TEL:046-827-7861
〇営業時間:12:00〜20:00
〇定休日:毎週木曜日、第2・4水曜日
〇席:スタンディング形式
〇支払い形式:現金、クレジットカード、電子マネー(QR決済は不可)
〇喫煙・禁煙:禁煙
〇HP:https://horyuzan-bakusyu.com/
〇X(旧Twitter):@HoryuzanBrewery
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