ビールといえば、「苦い」という味わいが特徴として一番に思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか?だけど、一口に苦いといってもビールによって苦みの程度が違います。
そこで、苦みの指数を表す単位「IBU」別にビールを飲み比べてみたら、どんな発見があるだろう?とふと疑問に思い、IBU10単位ごとに用意した10種類のビールを、編集部で飲み比べしてみました!
ふだんコンビニやスーパーで見かけるビールのIBUってどのくらい?そもそもIBUってなに?というポイントについてもご紹介します。
ビール表記の「IBU」とは?
皆さんが普段ビールを飲んだ時に感じる「苦い!」という感想。そのビールの苦みには、実は専門用語があるのです。
それが「IBU」。IBUとは「International Bitterness Units(国際苦味単位)」の略で、ビールの苦みを測る単位です。一般的には0~100の数値で表示されていて、数値が大きいほど苦みが強いとされています。ちなみに、一般的によく飲まれている大手ビールメーカーのピルスナーのIBUは、大体15前後です。
ビールが苦いのは普通のこと。しかし、種類によってその味わいは様々です。香り高くフルーティーだったり、ゴクゴク飲みやすい味わいだったり、ガツンと感じるしっかりした飲み口だったり…。
そこで、「IBUが10単位ごとにアップしていくとどんな違いがあるのだろう?」「何か面白い発見があるかも」と、ふと疑問に思い、10種類のビールを用意して飲み比べてみました!今回用意したビールで一番IBUが低いのが『バドワイザー』で10、一番高いのが『ストーン ダブルバスタード2022』で100です。
さらに今回は、それぞれのIBU数値を伏せた状態、いわゆる「ブラインドテスト」をルールとして、実際の数値を知らない状態で、ビール女子編集部メンバーが感じた苦さ順に1位~10位に並べてみました。当然ながら、IBUの数値が高くなるにつれて苦みも強く感じるのかと思いきや、結果は意外な方向に…!?
ビール女子編集部がブラインドテスト!苦さ順TOP10
今回準備したのは、こちらの10種類。(左上から)
ー バドワイザー(IBU10)
ー スーパードライ(IBU16)
ー 常陸野ネストビール ペールエール(IBU20)
ー パンクIPA(IBU35)
ー 毬花 -Marihana-(IBU45)
ー キャプテンクロウ・エクストラペールエール(IBU57)
ー おさるIPA(IBU65)
ー インクレディブルペダルIPA(IBU75)
ー スルガベイインペリアルIPA(IBU90)
ー ストーン ダブルバスタード2022(IBU100)
第1位:ストーン ダブルバスタード2022(IBU100)
泣く子も黙るIBU100!満場一致で苦さNo.1でした。こちらはアメリカのArrogant Brewingが送り出すBastardシリーズ。「一般受けしなくてもいい。自分達が飲みたいビールを形にする」と宣言するブリュワリーの精神性をそのままに表したといっても過言ではないほどの強烈な苦さに圧倒されます。
とはいえビール好きが集まるビール女子編集部。「一番苦いけど、好き!」と盛り上がりました。
そもそもIBU90以上のビールを手に入れるのはそう簡単ではありません。様々なブリュワリーが数量限定でリリースすることが多いようなので、気になる人は随時チェックしてみてください!
『ストーン ダブルバスタード2022』
- 〇ビアスタイル:アメリカンストロングエール
- 〇アルコール度数: 11.0%
- 〇IBU: 100
- 〇原材料: 麦芽、ホップ
- 〇URL: https://www.antenna-america.com/products/b010-b22177
- 〇醸造所: Stone(ブランドはArrogant Brewing)
第2位:常陸野ネストビール ペールエール(IBU20)
愛らしいフクロウのロゴでお馴染み、木内酒造の『常陸野ネストビール ペールエール』。今回IBUが3番目に低いものとして用意したビールでしたが、なんと2位という結果に。
IBUは20と、苦みでいうとかなり穏やかなはずなのですが、時間が経ってからもずっとビールらしい苦みを感じました。IBU値が近い「スーパードライ」や「パンクIPA」はキレを感じる苦みですが、「常陸野ネストビール ペールエール」はホップ由来のしっかりとした苦味がある印象。
「常陸野ネストビール ペールエール」の香り高さが独特な苦みに影響しているのかもしれません。
『常陸野ネストビール ペールエール』
- 〇ビアスタイル:ペールエール
- 〇アルコール度数: 5.5%
- 〇IBU: 20
- 〇原材料: 麦芽(外国製造)、ホップ
- 〇URL: https://kodawari.cc/ec_shop/goods.php?no=8&detail_search=
- 〇醸造所: 木内酒造
第3位:インクレディブルペダルIPA(IBU75)
アメリカ・コロラド州デンバーにあるブリュワリー Denver Beerが手掛ける『インクレディブルペダルIPA』。デンバーには400を超えるクラフトビールのブリュワリーがあり、クラフトビールの聖地としても有名です。
こちらのビールは、しっかりとした苦味を感じる一方で、トロピカルフルーツのフルーティーな味わいも特徴的。香りの印象としてはHAZY IPAに近いものを感じました。
アルコール度数は7%とやや高めですが、強めの炭酸がすっきりとした飲み心地を与えてくれるのでゴクゴク飲み進めることができます。
『インクレディブルペダルIPA』
- 〇ビアスタイル:アメリカンIPA
- 〇アルコール度数: 7%
- 〇IBU: 75
- 〇原材料: 麦芽、ホップ
- 〇URL: https://www.antenna-america.com/products/b046-c12003
- 〇醸造所: Denver
第4位:キャプテンクロウ・エクストラペールエール(IBU57)
長野県東御市にあるブリュワリー OH!LA!HO BEER(オラホビール)の『キャプテンクロウ・エクストラペールエール』。
パッケージに「尋常じゃないほどのホップが使われているんだぜ」と書かれているように、通常の2倍以上のホップを使用しているそうです。
一口飲んだ瞬間に「あ、苦い!」と思わず口に出してしまうほど。これぐらいの苦さをおいしく感じ始めたあたりから苦いビールにハマっていく気がします。程よいキレ、香り、苦味。飲みごたえは抜群です。
『キャプテンクロウ・エクストラペールエール』
- 〇ビアスタイル:アメリカンスタイルペールエール
- 〇アルコール度数: 5%
- 〇IBU: 57
- 〇原材料: 麦芽、ホップ
- 〇URL: https://ohlahobeer.com/captaincrow/
- 〇醸造所: OH!LA!HO BEER
第5位:おさるIPA(IBU65)
「キャプテンクロウ・エクストラペールエール」よりもIBUの数値は高いのですが、『おさるIPA』のほうが若干、苦みがおだやかな印象を受けました。編集部内でも唯一意見が割れたほど。
箕面ブリュワリーの期間限定商品として発売されていた「おさるIPA」は、2020年から定番商品に仲間入りするほど人気のビールです。ラベルのおサルのイラストが目を引きます。
アメリカンホップを5種類使用したIPAで、爽やかな苦味と軽快な飲み口の絶妙なバランスが魅力。食事との相性も良く、食中酒としても楽しむことができます。
『おさるIPA』
- 〇ビアスタイル:IPA
- 〇アルコール度数: 6%
- 〇IBU: 65
- 〇原材料: 麦芽、ホップ
- 〇URL: https://store.minoh-beer.jp/products/detail/12
- 〇醸造所: 箕面ビール
第6位:スルガベイインペリアルIPA(IBU90)
ベアードブルーイングの『スルガベイインペリアルIPA』は、なんとアルコール度数8.5%、今回のビールの中では2番目に数値が高いIBU90。強烈な苦味が特徴的で、ビアスタイルは通常のIPAに比べて大量のホップを使用したインペリアルIPAです。しかし、ビール女子編集部のブラインドテストでは6位という結果に。
確かに苦みは強く感じるのですが、飲みはじめに感じる、強いアルコールによる甘さの余韻がマイルドな印象を与えてくれているのかもしれません。飲み口はしっかりとしていて重めなので、1日の終わりやリラックスタイムにゆったりと飲むのがおススメです。
ラベルには花火が描かれていますが、これは設立者のブライアン氏がイラストを手掛けるアーティストに「スルガベイ インペリアル IPAはホップのキャラクターの花火大会」だと説明したからだとか。
『スルガベイインペリアルIPA』
- 〇ビアスタイル:インペリアルIPA
- 〇アルコール度数: :8.5%
- 〇IBU: 90
- 〇原材料: 麦芽(イギリス産)・大麦・ホップ・糖類・酵母
- 〇URL: https://store.minoh-beer.jp/products/detail/12
- 〇醸造所: ベアードブルーイング
第7位:毬花 -Marihana-(IBU45)
コエドブルワリーが醸造する『コエド 毬花 -Marihana-』は、アルコール度数が4.5%と控えめ。通常のIPAよりも度数が低いとされるセッションIPAなので、あまりお酒に強くない人でも飲みやすい1本です。
アルコール度数が低いせいか、そのぶんピュアなホップの味わいや香りが感じられるので、苦味は感じつつも、優しい口当たりでとても心地よく飲むことができます。ちなみに「毬花」とはホップのこと。ホップを贅沢に使用した「毬花 -Marihana-」を表すのにぴったりなネーミングですね。
『毬花 -Marihana-』
- 〇ビアスタイル:セッションIPA
- 〇アルコール度数: :4.5%
- 〇IBU: 45
- 〇原材料: 麦芽、ホップ
- 〇URL: https://coedobrewery.com/jp/beers/
- 〇醸造所: コエドブルワリー
第8位:パンクIPA(IBU35)
スコットランドの人気ブリュワリー、ブリュードッグの定番商品である『パンクIPA』。IPAといえばコレ!という人も多いのではないでしょうか?
IBU35ということで数値的にはそこまで高くないのですが、柑橘系の香りと飲んだ後に残る余韻の存在感は抜群。それでいてすっきりとした飲み心地という絶妙なバランスで、まさに何本でも飲みたくなってしまう安定感があります。
パンクIPAには、創業者のジェームズ・ワットの「採算を度外視してでも世界一のIPAを作りたい」という気持ちが込められていて、希少ホップの「ネルソンソーヴィン」という品種が惜しげもなく使用されているそうです。
『パンクIPA』
- 〇ビアスタイル:IPA
- 〇アルコール度数: 5.4%
- 〇IBU: 35
- 〇原材料: 麦芽、ホップ
- 〇URL: https://www.brewdog.jp/
- 〇醸造所: ブリュードッグ
第9位:スーパードライ(IBU16)
お馴染み、アサヒ『スーパードライ』は、キレを伴う苦みが強いイメージがありますが、実はIBU16とかなり苦さ控えめ。10種類を飲み比べていくと、確かに苦さはほとんど感じませんでした。
スーパードライの特徴は何といってもキレと辛口。飲み口がすっきりとしていて、爽快感でいうと群を抜いています。特に高温多湿なアジアの夏にはこういったビールがぴったりなのではないでしょうか。さすがは“ドライ”という概念を定着させた1本ですね!後味もスッキリとしているのでどんな場面でも気軽に飲むことができます。
『スーパードライ』
- 〇ビアスタイル:ピルスナー
- 〇アルコール度数: 5%
- 〇IBU: 16
- 〇原材料: 麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ、米、コーン、スターチ
- 〇URL: https://www.asahibeer.co.jp/superdry/
- 〇醸造所: アサヒビール
第10位:バドワイザー(IBU10)
10種類のなかで最もIBUが低かったのはアメリカ合衆国のアンハイザー・ブッシュ社が製造する『バドワイザー』。1876年に生産が始められた歴史あるビールです。
香りはそこまで強くありませんが、すっきりクリアな味わいなので、ゴクゴク飲みたいとき・ちょっと気分を変えたいときなどにオススメです。
また、軽い飲み口なのでピザやフライドチキン、BBQなど味付けが濃くてジューシーな食べ物との相性は抜群です!コンビニやスーパーなどで手軽に購入しやすいのも魅力ですね。
『バドワイザー』
- 〇ビアスタイル:アメリカンラガー
- 〇アルコール度数: 5%
- 〇IBU: 10
- 〇原材料: 麦芽、ホップ、米
- 〇URL: https://www.budweiser.jp/
- 〇醸造所: アンハイザー・ブッシュ・インベブ
「IBU」はビール選びの強い味方!活用してみよう
というわけで、ビール女子編集部によるIBUのブラインドテストは意外な結果になりました!
2位:(IBU20)常陸野ネストビール ペールエール
3位:(IBU75)インクレディブルペダルIPA
4位:(IBU57)キャプテンクロウ・エクストラペールエール
5位:(IBU65)おさるIPA
6位:(IBU90)スルガベイインペリアルIPA
7位:(IBU45)毬花 -Marihana-
8位:(IBU35)パンクIPA
9位:(IBU16)スーパードライ
10位:(IBU10)バドワイザー
アルコール度数やビアスタイル、ブリュワリーなど、ビールを買う際の選択肢はさまざまでありますが、そのひとつにIBUも追加してみてはいかがでしょうか?「苦いビールはちょっと苦手…」という人のためにビールを選ぶ際にも、便利な指標として活用することができそうです。ますますビール選びが楽しくなりそうですね!