Release 三陸の風土を抱きしめる。岩手県大船渡市・三陸ビール『雨ニモマケズ、風ニモマケズ』を飲んでみた

2026/06/26


雨の日も、風の日も。
うまくいかない日も、少しだけ前を向きたい日も。

そんな日々のそばに、そっと置いておきたくなるビールが届きました。

岩手県大船渡市のブルワリー「三陸ビール」から発売されたペールエール雨ニモマケズ、風ニモマケズ』。宮沢賢治が手帳に書き残した言葉に着想を得た、三陸の風土と、そこに暮らす人々の姿を重ねた一杯です。

派手に気分を変えるのではなく、静かに寄り添ってくれる。
まるで、雨上がりの空にふっと光が差すようなビールを、実際に飲んでみました。

岩手県大船渡市に生まれた「三陸ビール」とは


三陸ビールは、“人と人、人と自然をつなぐビール” をコンセプトに2018年に岩手県大船渡市で誕生しました。


三陸沿岸は、海、山、川に恵まれた自然豊かな地域である一方、自然の厳しさとも隣り合わせにある土地です。三陸ビールは、そんな三陸の風土や人、自然の魅力をビールを通して届けることを大切にしています。


東北・三陸で育った農作物や海産物を副原料に使ったビールづくりも特徴のひとつ。ビールを飲むことで、遠くにある土地の景色や空気、人の営みに少しだけ触れられるような、旅の入口のような存在です。


今回登場した「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」は、三陸ビールの新たなセカンドライン第一弾となるペールエール。宮沢賢治の言葉に重ねているのは、自然の脅威と豊かな恵みのなかで、地域を愛しながら前を向いて歩む人々の姿です。


ラベルには、紫波町在住の染色工芸家・小田中耕一さんによる新作版画を採用。アートワークは、三陸ビールのブルワリー&タップルームのアートペイントも手がけた鷲尾友公さんが担当しています。

力強くも温かい佇まいは、まさにこのビールの軸をあらわしているようです。

「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」を飲んでみた


グラスに注ぐと、穏やかな琥珀色。

鼻を近づけるとふわりと広がるのは、甘く熟したみかんのような香り。柑橘の明るさがありながら強く主張しすぎず、香りでも穏やかさを感じます。

ひと口飲むと、まず感じるのは、するりと入ってくるやわらかな飲み口。モルトのほんのりとした甘みと、柑橘のふんわりとした香りがゆっくり広がり、そのあとにグレープフルーツのピールをかじったような、心地よいほろ苦さが残ります。


その苦みは、決して強すぎないけれど、静かにあとを引くもの。楽しいことばかりではない日々のなかで雨にも風にもさらされながら、それでも前を向いて暮らしていく。そんな人の背中に、そっと寄り添うような余韻です。

「負けない」という言葉から想像する力強さとは少し違って、このビールにあるのは、無理に奮い立たせる強さではなく、日々を受け止めるためのやわらかな強さ。

疲れた日にも、うまくいかなかった日にも、静かにグラスを傾けたくなる味わいです。

ふんわりと続く苦みの余韻が心地よく、気づけばまたひと口。

雨の日も、風の日も、なんでもない一日の終わりにも。するすると杯が進む、暮らしにそっと寄り添うペールエールでした。

一緒に聴きたい音楽は


坂本美雨 with CANTUS「星めぐりの歌」

このビールと一緒に聴きたいのは、坂本美雨 with CANTUSの「星めぐりの歌」。

宮沢賢治が作詞・作曲した“星めぐりの歌”は、初期の童話「双子の星」に登場し、のちに「銀河鉄道の夜」の世界にも響く静かで祈りに満ちた一曲。坂本美雨さんのやわらかな歌声に、CANTUSの澄んだコーラスが重なり、まるで雨上がりの空に星がひとつずつ戻ってくるよう。

「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」のやさしい苦みをゆっくり味わいながら聴くと、夜空をめぐる星々を見上げるような静かな旋律とグラスの中の柑橘の余韻が静かに溶け合っていきます。

雨の日も、風の日も。
うまくいかない日も、なんでもない一日の終わりにも。

三陸の風土に想いを馳せながら、夜空を見上げるように味わいたい組み合わせです。

セカンドライン続々登場


「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」という言葉は、強くあれ、というよりも、静かに生き続けることの尊さを教えてくれる言葉のように感じます。

このビールも、まさにそんな存在でした。

華やかすぎず、重たすぎず、けれど確かに心に残る。
三陸の自然、そこに暮らす人々、そして宮沢賢治の言葉が、やさしい苦みとともにグラスの中で重なっていきます。


また、三陸ビールのセカンドライン第二弾として、Hazy IPAやませの頃に」も登場しています。
やませ
春から夏にかけて三陸沿岸を吹き抜ける、冷たく湿った風「やませ」。海から流れ込んだ霧がリアス海岸の山々を包み込み、ときに雲が山から海へ流れ出すような幻想的な風景を生み出します。

そんな三陸ならではの季節の情景をイメージして醸造された「やませの頃に」は、NZ産ホップを主体にしたHazy IPA

白ぶどうや柑橘、トロピカルフルーツを思わせるみずみずしい香りと、やわらかな口当たり、穏やかな苦みが調和した、ジューシーで飲み飽きしない一杯です。


三陸の風土や景色、人々の暮らしを、より自由な発想で表現していく三陸ビールのセカンドライン。

グラスの中に広がる三陸の物語を味わってみてはいかがでしょうか。

 『雨ニモマケズ、風ニモマケズ』

 『やませの頃に』

  • 〇ビアスタイル:Hazy IPA
    〇アルコール度数:6.0%
    〇醸造所:三陸ブルーイング・カンパニー合同会社(三陸ビール)

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山吹彩野 編集・ライター

好きなビアスタイルはサワー。犬が好き。

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