Bar 【東京・湯島】明るい時間から寄り道したくなるブルワリー「THIS BREWING」に行ってきた

2024/10/16

秋葉原と上野の中間に位置する街、東京都文京区の「湯島」。飲食店街がひしめくグルメな街ながら、一本裏道に入るとローカルで落ち着いた空気が広がっています。


東京メトロ千代田線の湯島駅から徒歩2分、昔ながらの街並みの中に目を引くスタイリッシュな建物が…!


青いタイルが特徴的なビルの1階は全面ガラス張り。天気のよい日にはファサードが開き、テラス席として開放されているようです。店内を覗いてみると、L字カウンターの奥にビールの醸造タンクが見えます。



まるでカフェのようにモダンでスタイリッシュなブルワリー&タップルーム「THIS BRWING」。どうやらデザイン会社が手掛けているのがその秘密のようです。


今回はデザイン会社がブルワリーを立ち上げたきっかけや、店名の「THIS」に込められた想い、デザインとクラフトビールへのこだわりをたっぷりご紹介していきます!


デザイン会社がブルワリーを立ち上げた理由


2023年7月、東京メトロ千代田線の湯島駅から徒歩2分ほどの場所にオープンした、ブルワリー&タップルーム「THIS BREWING」。地域の人々が行き交う落ち着いた路地を抜けると、“CRAFT BEER”と書かれた看板が目に飛び込んできます。



青いタイルが特徴的なビルの1階と2階に構える「THIS BREWING」の店内は、明るく開放的な空間。シンプルながらもスタイリッシュなデザインで一見カフェのような雰囲気ですが、それもそのはず。


「THIS BREWING」を手掛けているのはデザイン事務所「TANGRAM」、オーナーの矢吹誠さんは「TANGRAM」のクリエイティブディレクターを務めながら、ビールのレシピやデザインを担当しているのです!


ビール好きが高じて、クリエイティブディレクターの業務と並行してブルワリーをオープンした矢吹さん。現在はビールのレシピやデザインを考えながら、仕込みやブルワリーの業務を担当しているマネージャーの一ノ瀬さんとともにブルワリーとタップルームを運営しています。


前職では、アメリカンクラフトビールのインポーターで営業と配達を行いながら、「いつか自分の手でしっかり面倒を見られるような醸造に挑戦したい」と思っていたマネージャーの一ノ瀬さん。クラフトビール業界に長く携わっていましたが、実際にビールを醸造するのは今回が初めてなのだそうです。


現在は少しずつビールのレシピ作りも手掛けるようになり、試行錯誤を楽しみながら理想のビールを追求されているようですよ。



1階のカウンターはスタンディング中心で、ファサードは季節や気温によって開き、テラス席として開放されています。



2階はカフェのようにゆったり、14席の広々とした空間です。


シンプルながらもどこかあたたかさを感じられる店内は、訪れる人々に居心地のよさを提供しているようで、お客様の中には一人で訪れて本を読んだり、パソコンで作業したりする人もいるのだとか!ビールを飲みながらカフェのようにくつろげるのは嬉しいポイントですよね。


日常に少しの揺らぎと寄り道を


店名である「THIS」のロゴをよく見ると、Hの横線の部分が直線でないことに気付きます。実はこの“揺らぎ”こそが「THIS BREWING」のコンセプトなのです。

一ノ瀬さん「THISのロゴのHの部分が少しゆらっとなっているのは、『ピンと張り詰めた日常の中に揺らぎを与えたい』からなんです。このコンセプトはオーナーが外国に行った時に、昼間からビールを飲む人々の姿を見たのがきっかけで生まれました。日本はコーヒーなどでリフレッシュする人が多いと思うのですが、例えば仕事の合間でもビールを1杯飲んで、仕事に戻っていく…そういう場所があってもいいんじゃないかなって。カフェのように気軽に寄り道してもらって、時間を問わずビールを楽しむ場所を提供したいという考えから『THIS BREWING』が生まれました」



販売されている缶のデザインも、ラインを使いながら、直線的ではなく少し揺らいでいる表現を使っているのが分かります。もちろん缶も、自社によるデザイン。


「this west coast IPA」のラインはWの形になっていたり、「this sour ale w/raspberry」のラインは果実をイメージしていたりと、なんとも魅力的なデザインです。



Tシャツやグラスなど、オリジナルグッズのデザインも、自社で手掛けられています。読めそうで読めないアルファベットのような形が可愛らしく、好奇心をくすぐられますね!


気軽に寄り道してもらって、コーヒーのようにビールを楽しむ場所を提供したい」という想いから生まれた「THIS BREWING」ですが、実際に近所に住む方から海外の方まで、幅広い年齢層や国籍のお客様が訪れるそうです。


いま、ここでしか飲めないクラフトビール


「THIS BREWING」で提供されているビールは、自社ビール5タップとゲストビール2タップの計7タップ。自社ビールは定番を設けず、季節の移ろいとともにその時々で手に入る材料などを使ってビールを展開しているのが特徴です。


「THISには『いま・ここ』という意味が込められています。『This Place』や『This Time』のように、“現在”を意識した名前です。ビールも特定の名前はつけず、スタイルだけで表現しています。定番ビールは特に設けていないので、来るたびにレシピが違う『いま』のビールを楽しんでもらえたら嬉しいですね」


雑味が少なく、スッキリとした味わいが特徴である「THIS BREWING」のビール。明るい時間帯からすっと飲めるビールが居心地のよさにも繋がるだろうという考えから、過度なフレーバーには頼らず、アルコール度数が低めのスタイルをメインに造っているのだそう。



「繰り返し造るビールもありますが、その都度新しいレシピを試しています。例えば『this west coast IPA』と『this sour ale w/raspberry』は特に人気なので、この2つはレシピを変えながらも4〜5回ほど醸造しました。ゲストビールについては、黒ビールやラガービール、アルコール度数が高めのビールなど、当店がまだ造っていないタイプをセレクトしています」



季節のフルーツやスパイスを入れるレシピを意識されているそうで、お客様からもらった梅や、親族の農家の方からもらったぽんかんを入れたこともあるのだとか!


梅を漬け込んだ「this gose w/ume」が好評だったため、冬には柚子やシナモン、ナツメグなどのスパイスを使ったビールも仕込む予定だそうです。


季節や地域とのつながりを感じられて、「いま」を楽しめるビールの中から、今回は人気の2種類をいただきました!


this hazy IPA』(Regular:税込800円/Large:税込1,200円/Take out:1,000円)



「THIS BREWING」で人気の HAZY IPA。少し甘めのピーチやライチのような香りで、口に含むとグレープフルーツなどの爽やかなシトラス感が駆け抜ける、すっきりとした飲み口です。

重たくならずに飲めて、「THIS BREWING」らしさを感じられるとっておきの1杯ですよ。


this saison w/rosemary & fresh lime』(Regular:税込850円/Large:税込1,250円/Take out:1,050円)



「THIS BREWING」で何度も醸造されている、セゾンスタイル。グラスに添えられたフレッシュライムを絞りながら、味のグラデーションを楽しめるのが特徴のビールです。ジューシーなライムの果汁感と、鼻に抜けるローズマリーの香りが絶妙なバランスで、ごくごく飲んでしまう1杯。

最後にライムをグラスの中に入れて飲むのもおすすめですよ。



店内では缶ビールも販売されています。テイクアウトはもちろん、抜栓料200円を支払うと店内で飲むことができますよ。


Panino 生地を楽しむパニーノ」(税込850円)




フードメニューのおすすめは、ピザ生地のサンドイッチ、パニーノ。


御徒町で人気のナポリピッツァ専門店「Fakalò pizza gallery」の特製生地の中に、チーズとハムとバジルが入った、スペシャルな一品です。


片手で食べられるピザのような感覚で、食べやすいスタイルながらボリュームはたっぷり。注文が入ってから作られるので、出来たてが食べられるのも嬉しいポイントです。もちろんビールとの相性も抜群で、ハムの塩気とバジルの香りが食欲をそそります。

パニーノにはセゾンが合います。パニーノにハーブを足すような、トッピングのイメージで組み合わせて楽しんでみてください。


Beer Con Gelato(ビア・コン・ジェラート)」(税込950円)



アイスクリームのスタウト(黒ビール)がけを意味する、ビア・コン・ジュラート。

濃厚な風味のミルクアイスクリームは、世田谷区の羽根木にあるカフェ「Bole(ボール)」の自家製アイスクリーム。実は、オーナーの矢吹さんがクリエイティブディレクターを務めるデザイン会社は「THIS BREWING」と別にカフェも2店舗経営しており、そのうちの1店舗が手作りアイスクリームを提供する「Bole」なのだとか。


コク深い黒ビールをかけると、ミルクアイスクリームの甘さが引き立ち、ぜいたくなマリアージュが楽しめます。締めのデザートにもおすすめですよ!


明るい時間から気軽にビールを楽しんで


「当店はチャージ料ゼロで1杯800円から楽しんでいただけるので、一番は気軽に立ち寄ってもらいたいという思いがあります。お昼にゆっくりビールを飲むのもおすすめですし、夜にパニーノやソーセージと一緒にしっかり飲んでもらうのも大歓迎です。明るい時間から飲めるよう度数の高いビールはあまり造らないようにしているので、カフェ感覚でビールを楽しんでもらえたら嬉しいですね


「THIS BREWING」に来たらぜひ思い思いにゆっくり過ごしてほしい、と笑顔で話してくれた一ノ瀬さん。


2階席に座ってビールを飲んでいると、空間にもビールにも心地よい余白が感じられて、日々の緊張がゆるゆるとほどけていくようでした。忙しなく過ぎていく毎日だからこそ、寄り道は必要なのかもしれません。



ビールを片手に本を読んだり、仕事をしたり、ふらっと寄り道したくなる魅力にあふれた「THIS BREWING」。


店内で過ごすひとときは、日常に豊かな揺らぎと癒しを与えてくれるはずですよ。

 THIS BREWING

〇住所:東京都台東区上野1-3-7 ナガホリ第一ビル 1&2F(Googleマップ
〇アクセス:湯島駅 6番出口より徒歩2分
〇営業時間:
[水曜日、木曜日]15:00〜21:00
[金曜日]15:00〜22:00
[土曜日]13:00〜21:00
[日曜日、祝日]12:00〜20:00
〇定休日:月曜日、火曜日
〇決済方法:現金、各種クレジットカード、電子マネー、QRコード
〇公式サイト:https://thisbrewing.jp/
〇Instagram:https://www.instagram.com/thisbrewing/


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mei ライター

東京都在住、フリーランスのライター・インフルエンサー。WEBメディアを中心に執筆しつつ、商品やイベントのプロデュース、デザインなどSNSを通してマルチに発信中。お酒(ビールは毎日飲んでいます!)と旅と芸術をこよなく愛しています。

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