Bar アメリカ南部のブルワリーを再現! 絶品郷土料理も楽しめる「Southbound」に行ってきた

2023/08/22

横浜市内のなかでも屈指のディープエリアである「野毛」。500店舗近いお店がひしめき合う、呑兵衛なら必ず訪れたい飲み屋街のひとつです。

以前は、女性一人ではやや訪れにくい雰囲気もあったそうですが、近年ではおしゃれなバーや入りやすい立ち飲み屋も多く出店するように。新旧の文化が混ざり合う、良い意味で“雑多な感じ”が心地よく、唯一無二の場所として若者にも人気のスポットとなっています。


そんな野毛エリアに2022年12月にオープンしたのが、アメリカ南部のクラフトビールと絶品料理が楽しめる「Southbound(サウスバウンド)」。野毛の“ハシゴ酒”に組み込みたくなる大岡川沿いに佇むビアバーは、ふらっと立ち寄って一杯もできたり、郷土料理を楽しみながらわいわいとビール片手に語ったりもできる居心地の良い空間でした。

今回、代表取締役社長であるグレイソン・シェパードさんにお話をお伺いしてきました!


日ノ出町駅から徒歩1分。アメリカ南部のブルワリーを再現


京急 日ノ出町駅から徒歩1分、JR・横浜市営地下鉄 桜木町駅から徒歩8分ほどの場所にあるSouthbound。すぐ近くには「孤独のグルメ」に登場した「第一亭」もあります。

お店は大岡川沿いに面しているので桜のシーズンはたくさんのお客様でにぎわうそう。また、元々この場所には30年以上にわたり郵便局があったそうで、間違えて入ってくる人もちらほら。ついでにそのままビールを楽しんで帰る方もいるそうです。
青い看板が目印!
パッと目をひく青い看板。なんとこちらはグレイソンさん自らデザインしたそうです。
代表取締役社長 グレイソン・シェパードさん
Southboundの代表グレイソン・シェパードさん。「自分でやったほうが納得のいくデザインにできるし、それに節約にもなりますからね」とにっこり。

Southboundは、アメリカの東海岸を中心に海外からクラフトビールなどを直輸入するカーディナルトレーディング株式会社の直営店。取り扱うクラフト飲料は小規模であったり家族・個人経営の会社のものが多く、アメリカ東海岸出身であり、現地のトレンドやブルワリー事情をよく知るグレイソンさんが本当においしいと思うものを輸入しています。
オリジナルデザインの提供用グラスは購入可能
内装に関しては業者に頼みましたが、『アメリカのブルワリーの雰囲気を再現したい』というこだわりをしっかりと伝えました。天井が高くて、材質がむき出しな感じですね

BGMはアメリカ本場のブルワリーにいるかのような気持ちにさせてくれる70~80年代のハードロックをチョイス。「良い選曲だね!」と、音楽の話で盛り上がるお客さんもいるそうです。


中央に並ぶ、あたたかみのある長方形の木のテーブルにもこだわりが。

団体客の方はもちろん、お一人様やお友だち同士、カップルで来られた方が同じテーブルの別のお客様とお話してワイワイしたり。そういうところもアメリカっぽい雰囲気が感じられるかなと思っています


太陽の光が差し込む店内は、明るくて開放感があるので女性の一人客も少なくないそう。

カウンター席や立ち飲みスペースもあるので、スタッフと話したり、静かに一人でビールを楽しんだり。その日の気分で自分の時間を過ごすことができます。


店内はカウンター席、テーブル席、スタンディング席、テラス席をあわせて、36席。土日は12時から営業しているので、子ども連れのファミリーが訪れることもあるそう。近隣住民や、近くで働いている人たちが多く訪れます。


日ノ出町は「フレンドリーで“ちょうどいい街”」


もともと、東京に15年ほど住んでいたというグレイソンさん。結婚を機に横浜でインポーターとして会社を創業したといいます。

野毛といえば「ハシゴ酒」。これは小さな個人店が立ち並ぶ街ならではの特徴です。それぞれの店は必ずしもライバル同士というわけではなく、互いに協力しあってお付き合いをしているところも少なくありません。

東京にもそういうお店はあると思いますが、よりフレンドリーですね。その雰囲気が好きになりました。都会だけど、ゆったりしているというか。ちょうどいいんですよね


横浜という街の雰囲気にすっかり魅了されたグレイソンさん。Southboundのある日ノ出町エリアは以前は少し立ち寄りづらい空気がありましたが、近年ではおしゃれなカフェやギャラリーなども増え続け、若者が訪れやすい街に発展しました。

そんななかでも、気軽に立ち寄れて、1・2杯飲んでいけるようなカジュアルなお店がまだ少なくて。それに、アメリカのブルワリーって街に住む人が集まる集会場のような場所でもあるんです。そんな場所を日ノ出町につくりたかったんです

そうした背景から、地元のイベントに出店したり活動に参加したりするなど、地域との連携の強化も心掛けているといいます。


独自の発展を遂げたアメリカ南部のクラフトビール


店名「Southbound(=南の方、南方面)」の由来は、グレイソンさんの故郷である「アメリカ南部」から。取り扱うクラフトビールはほぼすべてアメリカ東海岸・南部から輸入したものです。

クラフトビールといえばアメリカ西海岸のイメージを持つ人が多いかもしれませんが、Southboundでは日本ではなかなか出会う機会の少ないアメリカ南部のビールに出会うことができます。

南部はクラフトビールの発展が遅かったぶん、他の地域の特徴を取り入れつつ独自のオリジナリティを出す。それが特徴ですね。例えば、ウェストコーストIPAにしても、西海岸のそれとはちょっと違って、モルティでバランスが取れているんです
まずはメニューをチェック!
タップは12種。“バランス”を重視したラインナップになっているので、IPAやブラウンエール、ダークエール、サワー、度数高めのビールなど、様々な味わいを楽しむことができます。タップは定期的に入れ替わるので、訪れるたびに新たなビールと出会えるかも。

『夏でもスタウト系があるのは良いね!』という嬉しい反応もいただきます

この言葉、ビール好きの皆さんなら「うんうん」と頷いてしまいますよね。
個性豊かなビールがずらり
冷蔵庫には缶やボトルのクラフトビールがずらり。もちろんすべてアメリカ南部から輸入したものです。冷蔵庫のラインナップも定期的に入れ替わります。とくに夏場はフルーツサワーも人気なのだとか。


これだけ種類があると選びきれない…という人も多いかもしれません。そんな時は気軽にスタッフさんに聞いてみてください。

スタッフがその日の気分や好みの味わい、今日の1杯目におすすめのビールなど、ラインナップの中からおすすめをご提案します!


というわけで、筆者が今回リクエストしたのは「今日のようにすごく暑い日(気温37℃)の1杯目にぴったりのビール」。


提供していただいたのは、Hardywood Park Craft Breweryの『リッチモンドラガー』(pint:1,300円、Half pint:800円/税込)。麦芽100%のすっきりした味わいで、アルコール度数は5%。まさにゴクゴク飲みたい1杯目にぴったり!バージニア州産のカスケードホップが全体のホップの2割を占め、ほのかにシトラスの香りが漂います。


「もう一杯飲むなら、フルーツの酸味が疲労回復を助けてくれるサワー系がおすすめですよ」ということで、いただいたのはHidden Springs Ale Worksの『ライオットジュース』(473ml缶:1,650円/税込、持ち帰り価格は15%引)。

見るからに美味しそうな色合いは、飲んだ印象もそのまま。ブラックベリーと酸味のあるライム、まろやかなバニラの絶妙なバランスは、一度飲んだらやみつきになる味わいです。

ここでしか味わえない!? アメリカ南部の絶品郷土料理

おすすめフード3種をチョイス
Southboundで提供するフードは、もちろんアメリカ南部の郷土料理。グレイソンさんがアイディアを出し、それを料理人の浜崎さんが見事に再現。日本中探してもなかなかお目にかかることのできないアメリカ南部のフードをいただくことができます。日本で南部の郷土料理に出会えたことに感動するアメリカ人のお客さんもいるのだとか。

味にもしっかりこだわっているので、食事目あてで訪れるお客さんも。随時新メニューが登場する予定なのでこちらも要チェックです!


1品目は「“スモーキー”プルドポークナチョス」(1,700円/税込)。山盛りトルティーヤに自家製のプルドポーク、グレイソンさんの“母親の味”を再現したサザンコールスロー、チェダーハラペーニョソースなど3種のソースが風味豊かなアメリカ南部のナチョス。

ボリュームがあるので2~3人でシェアするのもおすすめですが、アメリカ人なら一人で平らげてしまう人もいるとか…!


2品目の「ビアバターハッシュパピー」(700円/税込)は、自社輸入のビールととうもろこしの粉で作った丸い揚げ物。見た目はサーターアンダギーにそっくりですが、一口かじってみるとまったく別物!ピリリときいたコショウがビールとの相性抜群です。南部ではフライドポテトの感覚で食べられているそう。プルドポークとハッシュパピーの組み合わせは定番メニュー。

ちなみに、ハッシュパピーという名前の由来は諸説あるのですが、そのうちの一つは「これを食べた子犬が黙ったことから、ハッシュパピー(Hush Puppies)という名前になった」のだとか。子犬も黙る美味しさ!


3品目は、「サウスバンドチーズディップ」(600円/税込)。チェダーチーズとマヨネーズ、そして赤ピーマンの水煮が入ったアメリカ南部の定番スナック。トルティーヤチップス付きなので、軽いおつまみとしてもぴったりの一品です。

アメリカ南部への愛とこだわりを感じるSouthbound


随所にアメリカ南部への愛とこだわりが感じられるSouthbound。グレイソンさんが熱く語るアメリカ南部のビールや料理などのお話は、終始とても印象的でした。

アメリカ南部のビールに出会う最初のきっかけがSouthboundになれば嬉しいですね。新型コロナも落ち着いてきて、海外旅行もしやすくなったので、いつか南部でクラフトビールを飲んでみてほしいです


クラフトビールの業界って、とても温かいんです。お互いライバル同士でもあるけど、何か困ったことがあったら助けあう。それが日本だけじゃなくて、世界中そうなんです。また新しい仲間が増えたね!って喜び合える。こうやってお互いに影響を与えることで、日本のブルワリーの質もどんどん上がっていけば嬉しいですね
提供:Southbound
グレイソンさんが目指す、アメリカ南部のブルワリーのような“街の小さなコミュニティ”。コロナ禍を経て、人と人とのつながりが希薄になったり、それまでとは異なる距離感が生まれたりするなか、いま人々が求めているのは大きすぎない、まさに“街の小さなコミュニティ”ではないでしょうか。

自分が落ち着けて、肩肘張らずにふらっと立ち寄ることのできる気軽な場所。グレイソンさんのお店づくりに対する温かな気持ちがそのままに現れている「Southbound」。ぜひ一度足を運んでみてくださいね。

 Southbound

〇住所:神奈川県横浜市中区日ノ出町1-24 日ノ出町ビル 1F
〇交通:京急 日ノ出町駅から徒歩1分、横浜市営地下鉄 桜木町駅から徒歩8分
〇TEL:045-341-0325
〇営業時間:
【火】17:00~22:00
【水木】15:00~22:00
【金】15:00~23:00
【土】12:00~23:00
【日】12:00~21:00
〇定休日:月曜日
〇座席:36席(カウンター席、テーブル席、スタンディング席、テラス席)※テラス席のみペット連れOK
〇支払い形式:キャッシュオン(現金、クレジットカード、電子マネー、スマホ決済可)
〇喫煙:禁煙
〇お子様連れ:子供可、ベビーカー入店可
〇HP:https://southbound.jp/
〇Instagram:https://www.instagram.com/southboundjp/
〇Facebook:https://www.facebook.com/southboundjp/


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羽柴観子 ライター

九州出身、東京在住。ビールと猫と映画が大好き。「春はお花見しながら、夏はビーチサイドで、秋は秋刀魚を焼きながら、冬はお鍋と…」何かしら言い訳をつけて一年中ビールを呑んでいます。美味しく呑むために毎朝のランニングにもハマり中。

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