Interview クラフトビール案内人に聞く!日本とポートランドの違いって何?

2018/08/21


ビール好きの間では「クラフトビールの天国」として知られる街、ポートランド。そんなポートランドで活躍する、クラフトビールの案内人、レッド・ギレン(Red Gillen)さんに、ポートランドのクラフトビールシーンについてお話をお聞きました。

【前編】クラフトビール案内人に聞く! ビール女子が行くべき3つの厳選ブルワリー


レッド・ギレン オ州酒 ポートランド


レッドさんは、ポートランドを中心に、オレゴン州のビールカルチャーを日本語で(!)紹介する「オ州酒ブログ」や現地飲食ツアー「フーディー・ドリンキー(Foodie Drinkie)」のファウンダーを務める、日本のビール好きにとって、ものすごく頼りになるクラフトビールの案内人です。


https://www.oshuushu.com/


前編では、ポートランドの3つのおすすめブルワリーを教えてもらいました。後編では、ポートランドと日本のクラフトビール業界の違いについて、お話を伺います。


レッドさんの現地ツアー

 

ところで、レッドさんって、どれくらい「オ州酒ブログ」、続けているんですか?


レッドさん


2008年からだからもう10年!

こっちに引っ越して来て、ポートランドのクラフトビールのことをもっと知りたかったのと、日本語を忘れないようにって目的で始めたんだけど、おかげでいろんな人と知り合ったね。


2011年ごろ日本に行って、クラフトビールのバーで飲んでたら「ブログの方ですね」って声をかけられて。「読者いたんだー!」って、もう、すっごい嬉しかった(笑) それがきっかけで、ブログだけじゃなくてツアーも始めることにしたの。最初は、会社員しながら週末だけツアーをしてたんだけど、2014年に会社を辞めて、専念することにしたんだ。


ツアーは日本人が対象ですか?

レッドさん


今は、お客さんの9割くらいが日本人。で、そのうち7割くらいが飲食業界の人。

最近はみんな自分でネットとかで情報を得て、携帯の地図を見て、行きたいお店にたどり着けるでしょ。だから、美味しいお店へ行きたいってだけじゃなくて、もっと作り手の話を聞きたい人とか、プラスアルファの体験を求めている人が問い合わせてくれる。


僕が伝えたいことも、作り手の哲学とか方針とか、ストーリーの部分。ビールの味は、飲めばお客さんがそれぞれ自分で判断できるからね。



ポートランドと日本のクラフトビールの作り手たち

醸造家 Fuji to Hood ポートランド

 

先日開催されたイベント「Fuji to Hood」もそうですが、日本とポートランドのビール業界をつなぐお仕事もたくさん手がけていますよね。日本とポートランドのクラフトビール業界ってやっぱり違いますか?


レッドさん


うん。でも、まずはポートランドと日本の同じところから話そう。同じなのは、作り手の学ぶ姿勢。コラボなんかするときは、どちらもきちんとお互いの話を聞いてくれる。


 

それは大事なことですよね。やっぱりクラフトビールを作る人って真摯にビールに向き合っているんですね。イメージ通り。
違いはどうですか?


レッドさん


日本のブルーワーは、モノ作り自体にすごくこだわるよね。だから、ポートランドのブルワリーの見学に来たら「どうすればこの味を日本で再現できるか?」という視点から、「どうやって作ったんだ?」と、製造過程を細かく学ぼうとするところがあるね。チェックリストを一つ一つチェックしていく感じ。


ポートランドは、ビールは飲んだら酔うし、美味しいのは当たり前って感じで、理詰めで味を再現しようってところはあまりないかな。それよりソフトの部分をもっと大事にしてる。ビールを通じて人間同士を繋ぎたいとか、コミュニティづくりに貢献したいとか、ね。


 

なるほど。なんとなく分かる気がします。



日本のクラフトビール業界のいいところは?

グレート・ノーション クラフトビール レッド

 

クラフトビール作りでは、ポートランドの方が日本の先を行っているかと思いますが、ポートランドの人が日本のブルーワーから学んだりすることもありますか?


レッドさん


うーん、いい質問!そうだなあ…。日本のブルーワーとお客さんとの距離の近さは、結構すごいと思う。日本だとビールフェスティバルなんかがあると、ブルーワーが実際その場にいて、ビールを注いでくれたりするよね。

作り手が実際にお客さんと会うってことは、ポートランドだと実はなかなかないんだよね。美味しいビールが完成したら、「後は任せた」って帰っちゃう。

こっちのブルーワーもフェスとかに出て、お客さんと実際に顔を合わせるってことを取り入れたら面白いかも。


 

そう言えば、「オレゴン・ブリュワーズ・フェスティバル(Oregon Brewers Festival)」に行ったときも、ビールを注いでくれたのは、みんなボランティアの人たちでした。毎日、大勢のボランティアが集まるほど、クラフトビールのコミュニティが強固だってこともすごいと思いますが、確かに作り手さんと話せたら、ファンは嬉しいかも!いろんな意見とかお願いとかしたい人もいそう(笑)。


レッドさん


あとね、日本のホップの名産地、岩手県・遠野なんかは、ホップ農園を観光に活用していたりするでしょ。ポートランド近郊のホップ農家もそういうことやりたいと思ってる。


 

ホップ農園内で美味しいビールと食事と…って、なんかポートランドっぽくて、人が集まりそうですね。


レッドさん


道や建物の整備とか、飲食を出すならそのライセンスとか、いろいろ準備は必要なんだけどね。でも、ビールそのものだけじゃなくって、もっと広げてビールの裏のストーリーも伝えていけたら面白いよね


 

やっぱりいろいろな交流がさらにクラフトビール業界を面白くする気がします。
レッドさん、今日はありがとうございました!



ということで、2回にわたり、ポートランドのビール事情を丁寧にお話してくれたレッドさん。レッドさん、これからも日本とポートランドのビール業界をつなぐ架け橋でいてください! 

日本でもポートランドでも、もっともっと美味しいクラフトビールができますように。


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東リカ ライター

「ビール天国」と呼ばれるポートランド在住のフリーライター。美味しいクラフトビールが大好きです。

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