丸みを帯びたフォルムで厚手のジョッキに注がれる黄金色のビール。白くてクリーミーな泡がジョッキからあふれるとき、思わずゴクリと喉が鳴ります。ジョッキが目の前に来たとき、逸る気持ちを抑えてジョッキを掲げてナズドラヴィ(乾杯)する。そして一口。あ~、幸せ!!
…好きすぎて感情が出てしまいましたが、そんな光景が見られるのは樽生で提供するお店ならでは。
今回は東京都内で『ピルスナーウルケル』と『アサヒスーパードライ』を知り尽くした注ぎ手が在籍する3つの専門店をご紹介します。
もくじ
・「ピルスナーウルケル」とは
・伝統的な注ぎ方で楽しむウルケル
・1店舗目:ブラッセリー・ビアブルヴァード(新橋)
・2店舗目:ピルゼンアレイ(銀座)
・3店舗目:ブルヴァール・トーキョー(日本橋)
・泡を楽しむ注ぎ方「ミルコ」
ピルスナーの元祖「ピルスナーウルケル」とは
世界で最も飲まれているビアスタイルであるピルスナー。その始まりは1842年にチェコの街・ピルゼンで「ピルスナーウルケル(以下、ウルケル)」が誕生したことにあり、ピルスナーの元祖とも言われています。
ウルケルは1842年の誕生以来、チェコのみで製造され、製法や味わいを変えないまま現在に至ります。クリーミーでしっとりした白い泡、そして黄金色に輝くビール。トリプルデコクションによる麦芽由来の甘みと、ザーツ産ホップ由来の苦みの調和が素晴らしい。
今では世界約50ヶ国以上で販売されていて、世界中はもちろん日本にも熱狂的なファンが多く、私もその一人です。
これまでは業務用に「瓶」と「樽生」で販売されていたウルケル。過去に期間限定・地域限定で「缶」で販売されたときはすぐに売り切れとなり、販売店を何軒もハシゴする人が続出しました。
2021年4月に首都圏・関信越エリアで「缶」での通年販売が始まり、ファンの間で話題になっています。6月には数量限定ですが、全国でも販売されるそう。
伝統的な注ぎ方で楽しむウルケル
ウルケルには「醸造家がビールを醸造し、注ぎ手が完成させる」というポリシーがあります。“バーテンダー”と呼ばれる注ぎ手のことを大切に考えており、プロの注ぎ手「タップスター」を育成するプログラムをチェコで開催しています。
タップスターにはウルケルを注ぐ役割以外に、自らの言葉でその歴史や品質を語り、ウルケルの魅力を発信していく役割も担っています。
今回は、そんなタップスター・佐藤さんが運営する都内の3店舗を紹介します!いずれの店舗でも最高の品質で注がれたウルケルとスーパードライを楽しむことができ、とっておきのビール体験ができるはず。
※新型コロナウイルスの影響で、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
1店舗目:Brasserie Beer Blvd.(ブラッセリー・ビアブルヴァード)
新橋駅より浜松町方面に向かって徒歩5分。カルチャーセンタービルの2階にブラッセリー・ビアブルヴァード(以下、BBB)はあります。小さい水色の看板と階段下にある看板が目印。
カウンター席やスタンディング席のほか、テーブル席、半個室があります。1人で訪れカウンターで楽しむ人からグループで利用する人まで、様々なシチュエーションで利用されているそう。新橋から少し離れていることもあり、うるさすぎない程度のちょうど良い賑わいです。
通りに面した窓から光が入る店内は、クラフトビールの看板などがにぎやかに飾られています。
BBBではウルケル含めタップ数が13個あり、スーパードライやクラフトビールの樽生も取り扱っています。また、ワインやウイスキー、カクテルなど、ビール以外のお酒もあるので、ビールが苦手な人と訪れても楽しく過ごせそう。
おすすめメニューは、ハラディンカで注ぎ上げた「ウルケル(0.5リットル、税込1,250円)」と『カリーブルスト(税込980円)』です。
最も伝統的な注ぎ方・ハラディンカで注がれたウルケルは、最初に泡を注ぐため適度に炭酸が抜けています。しっとりした泡は口当たりをなめらかにし、カラメルのような麦芽の風味やスパイシーな味わいなど、複雑な味わいが魅力的。さらには、麦芽の甘みとホップの苦みとのバランスがよく次の一口を誘います。
自家製のソーセージは大きめのひき肉で食べごたえがあり、カレー風味で味付けしてあります。ウルケルの苦みに負けない味付けで、ジョッキも箸も止まらないベストな組み合わせ。
店名の「Brasserie(ブラッセリー)」とは元々醸造所を指すフランス語でした。醸造所内で食事を提供する流れがあり、現在では堅苦しくなくリラックスしてお酒と料理を楽しめるフレンチレストランの一種と定義されているそう。そして、「Blvd. = boulevard(ブルヴァード)」には「市街地の大きな並木通り、大通り」という意味があります。
人や車が小路から大きな通りに合流して集まってくるように、おいしいビールや食事を目指して、たくさんの人々が合流し集えるような楽しい場所になればと思い名付けられました。
そんな思いが込められているBBBでは、カジュアルでにぎやかな雰囲気の中で、格別なビールとイタリアン出身のシェフが手掛ける料理が楽しめます。いろいろなシチュエーションで利用できそうですが、日常使いのお店としてもおすすめです!
※緊急事態宣言に伴い5月11日(火)まで休業しています。状況により再開時期が変更になる可能性があります。詳細はSNS等でご確認ください。
Brasserie Beer Blvd.(ブラッセリー・ビアブルヴァード)
〇住所:東京都港区新橋5-10-8 カルチャーセンタービル2F
〇TEL:03-6435-9266
〇営業時間
【月~金】16:00~20:00
【土】15:00~20:00
〇定休日:日曜日、祝日
※時短営業を行っています
〇公式ホームページ:https://www.beerboulevard.com/
〇Facebook:https://www.facebook.com/brasseriebeerblvd/
〇Instagram:brasseriebeerblvd
2店舗目:PILSEN ALLEY(ピルゼンアレイ)
銀座駅・数寄屋橋交差点から徒歩3分、JR有楽町駅から徒歩7分の場所にある立ち飲みバー「ピルゼンアレイ」。
赤い外壁に白い文字で描かれた「PILSEN ALLEY」の文字、白い看板の上にはランプ灯のようなライトが目を引く外観。海外のビアバーの雰囲気をまとう入口で、少し入りにくい感じがするかもしれませんが、気軽にドアを開けてください。すぐにバーテンダーさんの明るい声が出迎えてくれますよ。
店内は細長く、カウンターのみとシンプルな造りです。立ち飲みということもあり少人数で訪れる方が多いそう。少し混み合っているように見えても、お客さん同士譲り合って利用するような優しくアットホームな雰囲気。また、正面のドア以外にも入り口があるため、奥の席に入りたい時でも心配無用です。
提供している飲み物は「ウルケル」と「スーパードライ」。目の前でビールが注がれる様子を愛でながら、バーテンダーさんとのおしゃべりも楽しめます。また、料理は『ミックスナッツ&プレッツェル(税込500円)』や『サルサ&トルティーヤチップス(税込600円)』、『イタリア産生ハム(税込700円)』など、手軽に食べられものが揃います。
おすすめのメニューは、ハラディンカで注ぎ上げた「ウルケル(0.5リットル、税込1,250円)」と『ポテトサラダ(税込550円)』です。
ウルケルはビール自体の香りや味わいがしっかりしているため、ビールだけでも楽しめますが、ワインのように料理との相性を合わせるような楽しみ方もできます。
「ポテトサラダ」は少し酸味が効いていてウルケルの甘みとうまく調和します。また、オリーブオイルも入っていて、オリーブの旨味とオイリーさがウルケルの苦みとよくマッチします。
小さな通り沿いにある小さな立ち飲みバー「ピルゼンアレイ」。ピルゼンの町並みを表したタイルで彩られていたり、壁一面にウルケルの言葉があしらわれていたりと、ウルケルファンには堪らない内装になっています。
ちなみに、BBBは「大通り」という意味があるとお伝えしましたが、店名の「Alley(アレイ)」は「小さな通り」という意味。数寄屋通りに面した小さな通り沿いで「日本で、うまいピルスナーだけを飲ませるお店」にしようと決めたそうです。
一杯だけでも立ち寄れるのがピルゼン アレイの魅力。0次会や飲み直しにさっと一杯なんていかがでしょうか?もちろん、ちゃんと立っていられるなら何杯飲んでも大丈夫ですよ。
※緊急事態宣言に伴い5月11日(火)まで休業しています。状況により再開時期が変更になる可能性があります。詳細はSNS等でご確認ください。
PILSEN ALLEY(ピルゼンアレイ)
〇住所:東京都中央区銀座6-4-14 HAOビル1F
〇TEL:03-3572-1655
〇営業時間
【月~金】17:00~20:00
【土日祝】15:00~20:00
〇定休日:日曜日、祝日
※時短営業を行っています
〇公式ホームページ:https://www.beerboulevard.com/pilsen/
〇Facebook:https://www.facebook.com/pilsenalley
〇Instagram:pilsenalley
3店舗目:BULVÁR TOKYO(ブルヴァール トーキョー)
最後にご紹介するのは東京・日本橋室町にある「ブルヴァール トーキョー」。佐藤さんがタップスターを取った後に開店したお店で、ウルケルとチェコ料理を楽しむビアバーです。
三越前駅から徒歩3分ほど、商業施設コレド室町3の裏手に建つ黒っぽいビルの2階と3階にあります。ウルケルのグラスが描かれた白い看板が目印で、1階は別のお店なので入り口を間違わないようにご注意ください。
2階と3階は異なるコンセプトで設計されています。
2階はカウンター席を中心にしたバー。ダークカラーを基調とした内装と落ち着いた照明で、しっとりとした大人の雰囲気が漂う空間です。
仕事終わりにふらっと立ち寄る方やゆっくりとお酒を楽しみたい方など、様々な方が訪れるそう。カウンター席に座り、目の前で注がれるビールを眺めるだけでも心を癒やしてくれそうですよね。
3階はテーブル席を中心とした空間。白を基調とした内装で明るくやわらかな雰囲気です。20~30名で貸し切りも可能で、パーティなどにもピッタリ。こちらは3人以上のグループ利用が多いそう。
ビールは「ウルケル」と「スーパードライ」のほか、国内外のクラフトビールを扱います。カウンターのバックバーにはウイスキーやリキュールのボトルがずらりと並び、バーテンダー出身の佐藤さんのこだわりが感じられます。
イタリアン出身のシェフがビールに合う料理を提供します。『ポテトサラダ(税込580円)』や酸味が効いたソーセージのマリネ『ウトペネッツ(税込630円)』、チェコの居酒屋で定番の『カマンベールのマリネ(税込780円)』などのアペタイザーから、『シュニッツェル(税込1,180円)』や『三元豚ロースのグリル』などの肉料理、サラダやシャルキュトリー、パスタまで幅広く揃います。
こちらのお店でも、ハラディンカで注いだウルケル(0.5リットル、税込1,250円)におすすめ料理の『グラーシュ(税込1,680円)』を合わせます。
中欧では馴染みのある伝統料理「グラーシュ」。2~3人でシェアすると丁度よさそうなボリュームです。牛バラ肉がほろほろになるまで煮込まれ、もっちりとした食感のパンが添えられています。牛肉の旨味がつまった濃い味でウルケルがどんどん進みます。パンにはナツメグが練り込まれていて、独特な後味がクセになりそう。
2階と3階とで異なる雰囲気を持つ「ブルヴァール トーキョー」。その時の気分やシチュエーションに合わせて使い分けができる便利なお店です。最高の品質で注がれたビールと、チェコ料理をはじめとしたビールに合う西欧料理をご堪能ください!
また、店内にはウルケルにまつわる写真やイラストが飾られ、ウルケルの歴史を感じることができます。ぜひお店に足を運んで実際に見てみてくださいね。
※緊急事態宣言に伴い5月11日(火)まで休業しています。状況により再開時期が変更になる可能性があります。詳細はSNS等でご確認ください。
BULVÁR TOKYO(ブルヴァール トーキョー)
〇住所:東京都中央区日本橋室町1-12-6 日本橋ムロホンビル4(2F・3F)
〇TEL:03-6910-3590
〇営業時間
【月~金】11:30~14:00、16:00~20:00
【土曜日】15:00~20:00
※時短営業を行っています
〇定休日:日曜日・祝日
〇公式ホームページ:https://www.beerboulevard.com/bulvar/
〇Facebook:https://www.facebook.com/bulvartokyo
〇Instagram:bulvartokyo
泡を楽しむ注ぎ方「ミルコ」
そして、ぜひお店に訪れた時に試していただきたい「ミルコ」をご紹介します!
ミルコはグラスいっぱいに泡を満たす注ぎ方です。ミルコは泡を楽しむ飲み方なので、極力泡が残っているうちに飲み切るのがおすすめ。
どのタイミングで飲めばいいのか、佐藤さんに尋ねました。いろいろな提案の仕方があるそうですが、今回は2パターンを教えていただきました。
1つ目のパターンは、デザートと一緒に楽しむ。ビールの苦味成分は泡に集まるため、泡だらけのミルコは結構な苦みがあります。コーヒーのように甘いデザートの味を引き締めるのに適しているそう。
2つ目のパターンは、テキーラのショットのように楽しむ。友人たちと飲んでいて「もう帰らなきゃ。でも、もう一杯飲みたい」というときにミルコをオーダー。最後に乾杯して、パーッと飲んで解散!という飲み方もあるそう。
チェコでの乾杯の掛け声は「Na zdraví(ナズドラヴィ)」。「ナズドラヴィの数だけ幸せになれる」と言われており、チェコの人は何度も乾杯をするそうです。
憧れからはじまったウルケルへの思い
最後に佐藤さんにお話を伺いました。
佐藤さんはチェコで本場のピルスナー文化に触れとき、ウルケルに魅了されたといいます。チェコの人が0.5リットルのグラスで、ハラディンカで注いだウルケルを10~20杯も飲む様子を見て、「飲み飽きさせないウルケルの味わいもすごいし、飲み続けられるように注ぐバーテンダーもすごくかっこいい」と強い印象を受けたそう。その時からウルケルは憧れのビールになりました。
しかし、当初はBBBやピルゼンアレイでウルケルは扱っておらず、チェコから輸入したタップでスーパードライを提供していました。ハラディンカをヒントに「サトウ注ぎ」を開発し、3種類の方法でスーパードライを注いでいました。その後、アサヒビールがウルケルの輸入をしたことから、ウルケルのグローバルマーケティングチームと仕事をはじめるように。そして、ウルケルから直接招待を受け2018年に日本人初のタップスターとなりました。
「ピルゼンアレイは、ウルケルへの憧れを持ってスタートしたお店で、後からたまたまウルケルがやってきました。偶然でもあるし、ビールが繋いでくれたご縁だと思っています。ウルケルは、日本のピルスナーに慣れている人たちからすると、少しクセがあるように感じる人もいると思います。トークを交えながら、伝統的な注ぎ方できちんと提供することで、ウルケルの魅力を伝え、お客様に理解していただく。ウルケルの持つパッションを広げるのがタップスターの役割だと思っています。」と笑顔で話す佐藤さんの目は真剣ですが、キラキラと輝いていました。
佐藤さんの熱い思いが詰まったお店でしか体験できない樽生のウルケルで、ぜひ何度もナズドラヴィをしてください。ウルケル片手に皆で幸せになりましょう!
関連記事はこちら
■日本人初のTAPSTERが誕生したばかり!『ピルスナーウルケル』って知ってる?■知ってもっと楽しい!ピルスナーの元祖『ピルスナーウルケル』を最高の品質で注ぐ名人“タップスター”の存在