Event 【国際女性デー】世界中の女性醸造家が造る女性のためのビールって何!?千葉のブルワリーで探ってきた

2016/03/08

毎年 3 月 8 日は、女性の権利と世界平和をめざす「国際女性デー」。それにちなみ、世界各国では記念行事や催しがさまざま開催されています。そのひとつとしてアメリカの『 Pink Boots Society 』が中心となり、女性による女性のためのビールが毎年世界中で醸造されているのをご存知でしょうか?

Pink Beer Society

2014 年からスタート! 3 年目の今年は「ゴーゼ」


国際女性デーにあわせ、 Pink Beer Society が「 Big Boots Brew Day 」を設定。今年は 3 月 5 日を醸造の日と定め、その日、参加する世界中のブルワリー 90 カ所で同じテーマのビールを醸造します。
今年のビールは「ゴーゼ」。塩と乳酸菌が使われるこのビールは、ドイツハルツ地方のゴスラーで生まれ、現在はライプツィヒを中心に醸造されていますが、現在、アメリカを中心に大人気のビアスタイルで、日本でも今後注目のビールです。

2014 年はペールエール、2015 年はレッドエール。毎年、醸造するビールのガイドラインが提示され、ブルワリーではそれに添って醸造します。でも、多少のアレンジは可能。ブルワリー毎に特徴ある Pink Boots Society のビールが誕生します。

<今年のガイドライン>
50% Pilsner Malt (or Am. Two-Row Pale)
50% Wheat Malt
Noble Hop addition
Cracked Coriander
Sea Salt
OG (Plato) 1.036-1.056 (9.0-13.8)
ABV 4.4%-5.4%
IBU 10-15
Color SRM 3-9 (6-18 EBC)

※今回のレシピではコリアンダーなど副原料を使用するため、日本の酒税法上は発泡酒となります。


Pink Boots Society(ピンクブーツソサエティ)とは?


ピンク・ブーツ・ソサエティは、ビール業界で働く女性が、教育を通して経験を積み、才能あふれるビールのスペシャリストに育つことを支援するアメリカで発足した団体です。ビールに関係する仕事に従事する人ならだれでも登録可能。
[ネーミングに込められた想い]
P—Passion(熱意) I—Integrity & Inspiration(整合とひらめき) N—Networking(連携) K—Knowledge(知識)

B—Beer & Brewing(ビールと醸造) O—Opportunity(チャンス) O—Open Exchange of Ideas(アイデアの交換) T—Teach(技術) S—Success(成功)



ピンクの長靴、ピンクのウェアを着てビールを造ろう!


日本人としていち早くこの活動に賛同しメンバー登録している東京・代々木のビアパブ「Watering Hole(ウォータリングホール、以下WH)」オーナーの筒井美千子さんと、 1998 年から醸造するロコビア(千葉県佐倉市)の女性ブルワー鍵谷百代さんは、 2014 年からこのビール醸造に参加しています。
Pink Beer Society

まずは、麦芽の粉砕からスタート。今回のビアスタイル、ゴーゼを造るキーとなる原料は、アシッド・モルト。乳酸菌が使われたモルトは、一粒噛んでみると、粒の中に酸味を感じ、そのままおつまみにしてもよさそうな味わいです。特殊なモルトのため、通常の粉砕機ではなく、小さなミルで別粉砕し、仕込槽に投入します。

 

▼このミルはお手製だそう。粉が舞わないように細かい所まで配慮されています。
Pink Beer Brewery


▼投入は、WHオーナーの筒井さん。ゴーゼらしさを出すために予定よりアシッド・モルトを多めに投入します。


Pink Beer Society

▼麦汁の味わいは甘酸っぱく、これだけでも体に良さそうなおいしさ!仕上がりが楽しみです。


Pink Beer Society

▼こちらは昨年のボトルラベル。毎年テーマのイラストが発表され、そのデザインを必ずラベルに使用します。


Pink Beer Society


出来上がりは約1ヶ月後。Watering Hole 他で味わえます!


待ち遠しいビールは 4 月上旬にリリース予定。Watering Hole(東京・代々木)で樽生が味わえる他、ビンでの小売りは、シモアール各店ロコビアのウェブショップ他で販売予定(※)。このビールの売り上げの一部は「 Pink Boots Society 」に寄付し、クラフトビール業界で働く女性の地位向上と、奨学金などの教育的資金を中心に役立てられます。

ちなみに、これまで日本でこの活動に参加しているのはロコビアでの醸造のみでしたが、来年以降にはぜひ参加したいと手を挙げている女性ブルワーもいるとか。女性が女性のために造る同じテーマのビールを、飲み比べることが出来ればうれしいですね。

もっと女性が活躍する日本のクラフトビールの未来、ビール女子のみんなで乾杯しましょう!

※詳細はロコビアのHPに掲載予定です。

Pink Beer Society

▲今回参加のみなさま(前列 左より WH店長の成田さん、ロコビア醸造長の鍵谷さん、後列左より 筒井さんとお嬢さん、ビアソムリエの大木さん、宮原


 

◼︎こちらも合わせてどうぞ/


 ▼日本初!2014 年のPink Boots Society 醸造にビール女子編集部が参加してきました! 

時差の関係で日本が一番早く醸造スタート。だんだん他の国の人たちが醸造をはじめるのがSNSで確認できて、世界とのつながりを感じながらの作業でした!次回はちゃんとピンク色を着て参加します♪(編集員:宮原佐研子)

【関係先】

Pink Boots Society : http://pinkbootssociety.org

Watering Hole : http://wateringhole.jp

ロコビア ユーカリが丘醸造所 : http://www.locobeer.jp

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ライターの紹介

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宮原佐研子 ライター・エディター

ゴクゴクたしなむBEER LOVER。企画開発の仕事を経て、ビアジャーナリストとしてライター活動中。季刊誌『ビール王国』(ワイン王国)、『クラフトビールの図鑑』(マイナビ出版)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』『ビールの教科書』(宝島社)、グルメサイト「ippin」キュレーター 他

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