どうしても語りたくなるものって、誰にでもあるのではないでしょうか。
私の場合、たくさんのブルワリーやビアバーを取材すると、誰かにその魅力を伝えたくて、ことばを尽くしてしまいます。
埼玉県ときがわ町のブルワリー・Teenage Brewingもそのひとつで、立ち上げ当初からビールの味わいからスタンス、発信力まで、注目し続けていたブルワリーです。
そんなTeenage Brewingが、セカンドブランドの立ち上げを発表。
その名も「Nobody Brewing(ノーバディー・ブルーイング)」。
今回、第一弾として発売された3種を飲んでみたと同時に、代表の森大地さんにもお話を伺いました。
「Nobody Brewing」とは

2025年10月24日に立ち上がった「Nobody Brewing」。
「クラフトビールをもっと身近に」というコンセプトのもと、クラフトビールをブームで終わらせず日常の選択肢として根づかせていくことを目指して立ち上がりました。

Teenage Brewingはこれまで、音楽やアート、カルチャーと共鳴するクリエイティブなビールづくりで、独自のポジションを築いてきたブルワリーです。
そんなTeenage Brewingとは共通の信念を持ちながらも、「もっと多くの人が手に取りやすいクラフトビールを」という発想から生まれたのがNobody Brewingです。
- ・Nobody Brewingブランドメッセージ
Nobody Brewingのビジョンは、
「国内ビール市場の中で、クラフトビールのシェアを10%超へと押し上げる新しいムーブメントを。」
私たちが目指すのは、一時的なブームではありません。
クラフトビールがカルチャーとして息づく社会をつくること。
音楽やアートのように、人と人、場所と場所をつなぐ力を持つ存在にしていくことです。
「何者でもないブルワリーが、みんなとカルチャーをつくる。」
Nobody Brewingは、その共創の象徴であり、変化の起点になります。
ひとつは最高の品質を追求しながらも尖ったクラフト精神を突き詰め、もうひとつはその楽しさをより開かれた形で広めていく——この二つのラインで、日本のクラフトビールシーンの底上げを狙います。
Nobody Brewingのビール3種飲んでみた

ブランド立ち上げと同時に発表されたのは、コンセプトを体現する3種のビール。
ピルスナーの魅力を研ぎ澄ませた『The Minimal』、ときがわ町産のヒノキと柚子を使った『The Folk』、ラガーの飲みやすさとIPAの華やかなホップアロマを掛け合わせた『The Glitch』の3種です。
さっそく、Nobody Brewing第一弾の3種を飲んでみました!
■シンプルのなかに残る味わいの記憶
『The Minimal』

ピルスナースタイルでつくられた「The Minimal」。アルコール度数4.5%。
ピルスナーの魅力を極限まで引き出し、麦芽のやわらかな旨みと、心地よく締めくくるほのかなホップの苦みで、日常にも特別な時間にも寄り添う、何度でも飲みたくなる飽きのこない味わいです。

グラスに注ぐと、淡くホップが香ります。「こうきたか!」と思わずにはいられない、Teenageのビールではあまり感じられなかったシンプルで控えめな印象。一口飲むと、軽やかな飲み口と一緒に透き通った麦の旨みが広がり、後口はすっと抜けていきます。ただ、どこかでTeenageらしさを感じるのは、口の中に広がるホップの香りの印象なのか。すっと抜けていった味わいでも、その味をまだ覚えているし、このあとも飲み進めたくなります。洗練されている度が抜群。
・ペアリングミュージック

■ときがわらしさNo.1
『The Folk』

Hinoki Yuzu Aleというスタイルでつくられたのが、日本の奥ゆかしい美意識を一杯に閉じ込めた「The Folk」。アルコール度数5.0%。
埼玉県ときがわ町産のヒノキと柚子を丁寧に漬け込んだエールは、ヒノキの清々しい香りと柚子の爽やかさが、森の静けさとやさしい風を思わせる、伝統とモダンが溶け合う心安らぐ和のハーモニーが感じられます。

缶を開けると、ふわっと柚子の香り!そのあとに感じるのがヒノキ。一口飲むと、ゆずとヒノキが一度に感じられます。どちらかだけではなく、ふたつが重なることで感じられる初めての味わいだけれど、こういう味わいの原料があるのかもと思わされるくらいマッチしている不思議。舌の上でほんのりとした苦みも感じつつ、あとにふんわりと残るヒノキが心地よい。3種のなかでときがわらしさを一番に感じる。
・ペアリングミュージック

■ホッピーでごくごく飲める
『The Glitch』

ラガーのクリアな飲みやすさと、IPAの華やかな香りが融合したIPL(インディア・ペール・ラガー)の「The Glitch」。アルコール度数5.0%。
ホップ由来の柑橘香が全体を爽やかに包み込み、ドライな後味が次の一口を誘います。まるで心地よいグリッチノイズのように、あなたの感覚を鮮やかに揺さぶる一杯です。

グレープフルーツを思わせる爽やかな柑橘の香りが立ちのぼり、口当たりはなめらか。キリッとしたドライな味わいで、後味はすっと軽やかに抜けていきます。3種のなかでも最もホッピーさを感じる華やかな一杯で、その名のとおり、ざらっとしたノイズのような個性が感性に引っかかる、印象深い香りと味わいです。
・ペアリングミュージック

3本飲んでみた感じた共通点は、クリアさ。ビール自体の液色がどれもクリアなことにまず驚いたと同時に、味わいでも終始芯の通った透き通った印象。ただ、その上に、独自の個性が光っています。
Teenageのビールをこれまで飲んできたからこその驚きに加え、飲みやすさの上にある独自の個性が、忘れられない味わいを生み出していると感じました。
森大地さんインタビュー
今回、Teenage Brewingの代表であり、Nobody Brewingの仕掛け人でもある、森大地さんにお話を伺うことができました。
■今回のプロジェクト「Nobody Brewing」にかけた思いは
森さん:
音楽で心が震えるような感動をクラフトビールでも届けられると信じて、Teenage Brewingを立ち上げました。ありがたいことに多くのクラフトビールファンの方々に共感していただいていますが、クラフトビールという文化を、もっと広い層に届けたいと考えています。
ただ、そのためには価格という大きな壁がありました。
Nobody Brewingは、その壁を壊すための挑戦です。
クラフトビールの面白さや魅力はそのままに、原価を抑える工夫をしながら、Teenageらしいカルチャーの匂いや尖った個性をしっかりと残しています。
クラフトビールをブームではなく文化にするという想いを大切に、これからもその輪を広げていきたいと思っています。
音楽で心が震えるような感動をクラフトビールでも届けられると信じて、Teenage Brewingを立ち上げました。ありがたいことに多くのクラフトビールファンの方々に共感していただいていますが、クラフトビールという文化を、もっと広い層に届けたいと考えています。
ただ、そのためには価格という大きな壁がありました。
Nobody Brewingは、その壁を壊すための挑戦です。
クラフトビールの面白さや魅力はそのままに、原価を抑える工夫をしながら、Teenageらしいカルチャーの匂いや尖った個性をしっかりと残しています。
クラフトビールをブームではなく文化にするという想いを大切に、これからもその輪を広げていきたいと思っています。
■なぜこの3種に?

森さん:
クラフトビールを知らない方でも、クラフトビールのスタイルによって異なる、色々なおもしろさや奥深さを感じてもらえるように意識しました。
すっきりとしたピルスナーの「The Minimal」は、誰でも手に取りやすい入口として。
ヒノキと柚子のエール「The Folk」は、Teenage Brewingらしい香りと遊び心を感じられる一本として。
そして、ニュージーランドホップがしっかりと香るIPL「The Glitch」は、クラフトビールの世界の広さと多様性を伝えるために選びました。
それぞれ異なる角度からクラフトビールの魅力を表現できる、この3種がNobody Brewingの最初のラインナップにふさわしいと思っています。
クラフトビールを知らない方でも、クラフトビールのスタイルによって異なる、色々なおもしろさや奥深さを感じてもらえるように意識しました。
すっきりとしたピルスナーの「The Minimal」は、誰でも手に取りやすい入口として。
ヒノキと柚子のエール「The Folk」は、Teenage Brewingらしい香りと遊び心を感じられる一本として。
そして、ニュージーランドホップがしっかりと香るIPL「The Glitch」は、クラフトビールの世界の広さと多様性を伝えるために選びました。
それぞれ異なる角度からクラフトビールの魅力を表現できる、この3種がNobody Brewingの最初のラインナップにふさわしいと思っています。
■今後の展開・展望について
森さん:
12月には新しいビールを全国でリリースし、来年からはNobody Brewingとしてイベントにも積極的に出店していきたいと考えています。
そして約1年後には常温流通を実現させ、スーパーやコンビニなど、より身近な場所でも手に取っていただけるようにしていきたいです。
いつでもどこでも気軽に楽しめるNobody Brewingと、感情を揺さぶるような体験を届けるTeenage Brewing。
この2つのブランドを通して、「クラフトビールを文化にする」という僕たちのビジョンを、より多くの人と共有していきたいと思っています。
12月には新しいビールを全国でリリースし、来年からはNobody Brewingとしてイベントにも積極的に出店していきたいと考えています。
そして約1年後には常温流通を実現させ、スーパーやコンビニなど、より身近な場所でも手に取っていただけるようにしていきたいです。
いつでもどこでも気軽に楽しめるNobody Brewingと、感情を揺さぶるような体験を届けるTeenage Brewing。
この2つのブランドを通して、「クラフトビールを文化にする」という僕たちのビジョンを、より多くの人と共有していきたいと思っています。
“クラフトビールを文化へ”の第一歩

2023年にTeenage Brewingが生まれてからの歩みは、ただビールをつくるだけでなく、日本全国、そして世界を飛び回りながら、さまざまなビールを飲む方やブルワリー・ビアバーとの出会いを通して「ビールをとりまく今」に真剣に向き合い続けてきた時間だったのだと感じます。
そんなTeenage Brewingのセカンドブランドとして誕生した3種を飲んだとき、まず胸を打ったのは、その味わいの驚くほどのクリアさ。同時に、「クラフトビールが好きな人」と、「まだ届いていない人」とのあいだには、大きなギャップがあるのだという現実にも気づかされました。
けれど、この3本が世の中に並ぶことで、そのギャップは少しずつ埋まっていくのではないでしょうか。味わいも、価格も、手に取りやすさも、いろいろな意味でクラフトビールへのハードルがふっと下がり、「クラフトビールって、こんなにおもしろいんだ」と感じてくれる人が、きっと増えていく。
そんな未来を、この缶に、注いだグラスの中に、静かに、でも確かに見た気がしています。
クラフトビールが好きな人が「こんなおもしろいクラフトビールあるんだよ」とおすすめするのにも相応しい3種です。
「何者でもないブルワリー(Nobody Brewing)が、みんなとカルチャーをつくる」
ひとりのファンがまた次のファンをつくり、その輪が少しずつ、でも着実に広がっていく。それは、いちブルワリーだけの物語ではないのだと感じます。
クラフトビールをブームで終わらせず、暮らしのなかの「文化」として根づかせていくための、確かな第一歩を感じました。
「次は誰とこのビールを飲もう」「誰におすすめしよう」——そんなことを考えながら、グラスの底に残った余韻を、いつまでも大事にしていたくなる3本でした。
Nobody Brewing
〇Instagram:https://www.instagram.com/nobody.brw/
〇X:https://x.com/nobody_brw
『The Minimal(ザ・ミニマル)』
- 〇スタイル:Pilsner
酒税区分:ビール
アルコール度数:4.5%
容量:350ml
参考小売価格:650円(税抜)
※オープン価格
保存方法:要冷蔵(5℃以下推奨)
『The Folk(ザ・フォーク)』
- 〇スタイル:Hinoki Yuzu Ale
酒税区分:発泡酒(麦芽使用率50%以上)
アルコール度数:5.0%
容量:350ml
参考小売価格:730円(税抜)
※オープン価格
保存方法:要冷蔵(5℃以下推奨)
『The Glitch(ザ・グリッチ)』
- 〇スタイル:IPL
酒税区分:ビール
アルコール度数:5.0%
容量:350ml
参考小売価格:780円(税抜)
※オープン価格
保存方法:要冷蔵(5℃以下推奨)

お酒は二十歳になってから。
