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Column 5月23日は「世界カメの日」!カメにちなんだビール7種を飲みながらカメに想いを馳せてみた

2022/05/23

2月22日は猫の日、11月1日は犬の日。では、5月23日は何の日かご存知でしょうか?

じつは、「世界カメの日」なのです!

  • 「世界カメの日」

    ーカメを想い、カメを知り、カメに敬意を払い、カメの生存と繁栄のための人類の行動を促す日ー
    (「American Tortoise Rescue」が2000年に制定)


写真は私と一緒に暮らしているクサガメです。

毎日晩酌のお相手をしてもらい、私を癒したり叱咤激励してくれたりしています。


猫や犬と比べるとカメは少し存在が地味で静かなので、あまり感情がなさそうに思われがち。

しかし意外と懐いたり、自己主張が激しかったり、頑固だったり、それでいて気まぐれに距離を取ってきたり、達観したように静寂したり…とても感情豊かな生き物なのです


「カメに注目したことがなかったなあ」という方も多いかもしれませんが、折角の「カメの日」。

皆さんもビール片手に、1年に1度、カメに想いを馳せてみませんか?


カメとヒトとの関係


普段は意識したことない皆さんも、実は幼い頃から様々な“カメ”に触れ合ってきたのではないでしょうか

「亀山さん」「亀戸」「亀有」のように「亀」の付く名字や地名、日本三大発明の一つの「亀の子束子(たわし)」のように「亀」の付く商品もたくさんあります。

「古事記」や「日本書紀」にもカメが登場しており、古くから日本において人々に愛され、共に生きてきたことが伺えます

また、世界でも多くの民話に登場したり、神獣とされていたり、古代ギリシャ時代からカメのコインがあったりと、カメは古くから世界中の人々の生活に密接に関わり、親しまれ、溶け込んでいるのです。

カメは万年

カメの歴史は古く、最古のカメが現れたのは今から2億4000万年前とも言われています。

人類の誕生は700万年前と言われているので、カメは私たちの大先輩なのです。


写真は1億1000万年前のウミガメの化石(サンタナケリス)ですが、既に一見しただけで「カメ!」と分かる見た目をしていますね。

現在も世界中で約300種ものカメが、海、川、陸と様々な環境で生活しています。

そしてどのカメにもあの重たそうな「甲羅」があり、カメをカメたらしめる特徴になっています。

川崎悟司さん著書の『カメの甲羅はあばら骨〜人体で表す動物図鑑〜』が話題になったことからご存知の方も多いかもしれませんが、カメの甲羅(背中側)は背骨と肋骨で出来ているのです。

そんな重く硬い甲羅を持ち、焦らずゆったり長ーく生きる道を選んだカメ。


過去には200年以上も生きたカメがいたという記録も残っています。

「カメは万年」という長寿の象徴として縁起の良い動物だけあって、カメをモチーフにしているビールやブルワリー等、探してみると意外とあるのです。

そんなカメにちなんだビールをご紹介します!

ビールで元気に!カメのように長生きを!「ガラパゴレーシング」


神奈川県足柄上郡開成町にある「ガラパゴレーシング」。

開成町は、神奈川県で一番小さな街ながら住みたい街ランキングで上位に上がるほど今人気急上昇中の街。

水と自然が美しいこの街で「地に生き地を感じ、地を楽しむ」という想いの元、美味しいビールやお料理、ゆったりとした時間を提供してくれるのがガラパゴレーシングです。


空を見上げ物思いに耽っている可愛いリクガメのロゴが目を引きます。

そんなガラパゴレーシングにビールやブルワリーのこだわり、リクガメのロゴの理由をお伺いしました!

■ビールのおすすめポイントは?


一回仕込み200ℓの小規模生産ブルワリーですが、出来る限り丁寧に仕上がってくれればと仕込んでいます。

■ブルワリーのこだわりは?


ビールの楽しさ(1人でも、大切な方とでも、ビールを飲む場所も含めて)が、伝えられる場所になっていましたら嬉しいです。

■“ガラパゴレーシング”という名前やカメのロゴにした理由は?


ガラパゴス諸島のリクガメは、とても長生きするそうです。皆様が、たまにはビールでも飲んで長生きして貰えればと言う意味合いと、レーシングは泡の軌跡をスペルを変えて、グラスに綺麗な泡の軌跡の出来る様な品質の高いモノを目指す意味と遊び心から。

カメにまつわるエピソードをお伺いしたところ「リクガメのモチーフのおかげで、気に入って頂ける機会も多いので、嬉しいです」とおっしゃる通り、パケ買いしたくなる可愛さ!

では色とりどりの可愛いリクガメビールをご紹介します。

セゾン


お店は田畑に囲まれていて、丹沢山系を見渡せる2階テラス席もあることから、海外の田舎な雰囲気に合えばという想いで醸造されているセゾン。最初に爽やかな酸味がやってきて、小麦の香りが広がり、スッキリ晴れた太陽の下でゴクゴク飲みたくなるようなフレッシュな飲み心地。

晴れ渡った空の下、芝生の上で一休みしているゾウガメが思い浮かびます。

▶︎▷▶︎一緒に乾杯したいカメ:ガラパゴスゾウガメ…セゾンはガラパゴレーシングが最初から醸造しているビールで、ガラパゴレーシングの名前やロゴの由来でもある「ガラパゴスゾウガメ」と語り合いながら飲みたいと思ったため。

 『セゾン』

  • 〇ビアスタイル:セゾン
  • 〇アルコール度数:5%
  • 〇原材料:麦芽、ホップ、酵母、ハーブ
    〇HP:https://garapago-r.com

IPA


とってもクラシカルな IPA。色も濃く、ホップの香りとレモンの皮のような苦みが舌の上に残ります。

舌にじんわり滲み入るクラシックな苦みは、強い意思を持って長く生きてきたカメの歴史を感じました。

▶︎▷▶︎一緒に乾杯したいカメ:アルダブラゾウガメ…インドで暮らし2006年に亡くなったアルダブラゾウガメ(推定250歳以上)の 「アドワイチャ」は、18世紀半ばにイギリスによるインド支配の基礎を築いたと言われるロバート・クライヴの飼っていたカメ。IPAの歴史と重なるところがあり、アドワイチャに色んなお話を聞かせてもらいながら飲みたいと思ったため。

 『IPA』

  • 〇ビアスタイル:IPA
  • 〇アルコール度数:6%
  • 〇原材料:麦芽、ホップ、酵母、ハーブ

アンバー


グラスに注いだ途端に広がる香ばしい香り。モルトの風味と絶妙な渋み、しっかりとしたコクとほのかに酸味も感じます。美しい月の輝く夜に飲みたくなるような風味。

「月とすっぽん」なんてことわざはありますが…月にも負けない渋い輝きを放つスッポンと一緒に「ムーン・リバー」を口ずさみながら飲みたくなるようなビールです。

▶︎▷▶︎一緒に乾杯したいカメ:スッポン科…アンバーの色や味から月夜を連想。「月とすっぽん」なんて言われているけれど「月」も「すっぽん」もどちらも美しいよね、と香り高いアンバーをスッポンと飲みながら話したいと思ったため。

 『アンバー』

  • 〇ビアスタイル:アンバー
  • 〇アルコール度数:5.5%
  • 〇原材料:麦芽、ホップ、酵母、ハーブ

ポーター


ライトにサクッと飲める黒ビール。軽いながらも、口いっぱいに広がる燻製の香りが食欲をそそってきます。焼き鳥などの直火焼きのお肉、甘じょっぱいお料理と合わせたい味です。

日本でよく見かける「クサガメ」のオスは、大人になると真っ黒になります。

サラッとしていながらも、結構人懐っこい黒化したクサガメがとっても似合うビールです。

▶︎▷▶︎一緒に乾杯したいカメ:クサガメ…選んだ理由は、クサガメの色や性格とこのポーターがぴったりだったこと。また、燻されたビールの香りと私が一緒に暮らしているクサガメの香ばしい香りがマッチしたので、相席して飲みたいと思ったため。

 『ポーター』

  • 〇ビアスタイル:ポーター
  • 〇アルコール度数:6%
  • 〇原材料:麦芽、ホップ、酵母、ハーブ
どのビールにも原材料にハーブが入っており、自然豊かな街や空を感じる気持ちの良い飲み心地。お店ではこだわりのお食事と一緒に味わえることから、食事と合わせてゆっくりした癒しの時間にぴったりなビールばかり。

健康なカメは甲羅の模様が美しい年輪のようになると言われています。

それは美味しいビールのグラスに残る美しいレーシングのよう。

ちょっと足を伸ばしてゆったりとした開成町の自然の中で、「ガラパゴレーシング」という名前に込められた想いのように、美味しいビールを飲んで元気になりませんか?

【関連記事】可愛いリクガメが待つ、美しいビールの店「ガラパゴレーシング」に行ってきた


神秘的なカメの誘い「江の島ビール」


歴史に触れながら美しい自然の中を散策でき、素敵なお店もたくさんある魅力的な古都・鎌倉。

そんな鎌倉で、日々ビールを「育てる」という思いの元、妥協のないビール造りをしているのが「鎌倉ビール」です。

そして鎌倉ビールの定番商品として2004年から販売しているのが、カメのパッケージがお洒落な「江の島ビール」。

江の島ビールやブルワリーのこだわり、パッケージのカメに込めた想いをお伺いしました!

■ビールのおすすめポイントは?

ビアスタイルはアメリカンスタイルペールエール。アメリカンホップを使い、海風を感じさせる爽やかさを表現しました。赤みがかった色は稚児が渕からの夕焼けをイメージしています。シラス料理にもあうように、すっきりしたバランスのよい味わいにしています。

■ブルワリーのこだわりは?

鎌倉生まれ、鎌倉育ちのクラフトビール醸造所です。鎌倉らしさを感じていただけるような、麦芽・ホップ・酵母の特徴を活かしながら、バランスのとれたきれいな味のビール造りを心掛けています。鎌倉ビールの醸造設備はそのほとんどが手作業の半自動です。ブルワーが丹精込めて造ったビールをぜひ味わってください。

■カメパッケージにした理由は?

亀石

カメは江の島の象徴です。島の形がカメに見えるとも言われています。稚児が渕側には、亀石と呼ばれる石があり、江島神社の奥津宮には、亀石・八方睨みの亀の絵があります。

八方睨みの亀

江の島ビール


注いだ瞬間現れるのは美しい夕陽の色。味は柑橘系のホップ香が爽やかで、きりっとした味わい。フレッシュな中にコクのある柔らかい甘味と爽やかな苦みが調和して、とても飲みやすいお味。


ちなみに、ラベルのカメは空想上のカメ。リクガメとウミガメの特徴を併せたカメにすることで、江の島のもつ神秘的なイメージを表現しているそうです。

そしてパッケージにはこんな文章も添えられています。
  • 灯台で風の音を聞けば、思い出の詩が流れてくる。富士の傍らの雲は、亀の背で琵琶を爪弾く弁財天だったのか。 芳醇な香りと清澄な喉越しは様々な料理と心地好いメロディーを奏で始める。生きた酵母と無ろ過の味をお愉しみください。
神仏習合の時代には「金亀山与願寺」と号していた江島神社。

「江の島ビール」はそんな江島神社の祈願水仕込み。

神聖な「江の島ビール」を一口飲めば、この神秘的なカメがあなたを至福のひと時へ誘ってくれるでしょう…。

▶︎▷▶︎一緒に乾杯したいカメ:サンタナケリス(絶滅種)…1億1000万年前にいたウミガメの「サンタナケリス」は陸生のカメの特徴もあるためパッケージのカメとピッタリ。「空想上のカメ」の誘いによって絶滅種と飲む空想も楽しいなと感じたため。

 『江の島ビール』

  • 〇ビアスタイル:アメリカンスタイルペールエール
  • 〇アルコール度数:5.5%
  • 〇原材料:麦芽、ホップ
  • 〇URL:https://www.kamakura-beer.co.jp
  • 〇醸造所:鎌倉ビール醸造株式会社

「タートル」と「米」ということは…日本酒好きも必見「タートルエール」


山形県庄内町にある酒屋「梅川」のオリジナル商品で新潟県の「新潟麦酒」が製造しているビール「タートルエール」。

その名もズバリ「タートル」です。


そしてパッケージにはビールの原料の「麦」ではなく「」の絵が。

日本酒好きの方なら、これでピンときた方もいるのではないでしょうか。

「タートル」と「米」の答えをビールのおすすめポイントと共にお伺いしました!
■ビールのおすすめポイントは?

酒米でも使用されている「亀の尾」米が使われています。黒ビール特有の色ですが、スッキリ飲める味わいが特徴です。「つや姫」米が使われている「プリンセスエール」とのハーフ&ハーフの飲み方もお勧めです。瓶内発酵、酵母濾過していないので濁りがあるのが特徴です。

■カメにちなんだ商品名にした理由は?

明治時代に栽培されていた「つや姫」の祖「亀の尾」米の「亀」からタートル。エールビールのエールと応援「エール」を祖「亀の尾」と合わせて「タートルエール」に。

■「亀の尾」を使用した理由は?

亀の尾は弊社のある庄内町(旧:余目町)の阿部亀治が見つけたお米です。名品種の祖でもあり、品種改良が進み栽培されなくなった米を復活させて日本酒にも使われるようになりました。幻の米を使ったエールビールとして「亀の尾」への関心が高まり町の活性化に繋がることを願って作った商品です。

タートルエール


濁りの強い黒ビールからは、スッキリとした中にも香ばしさとお米の甘みを感じます。伝統とこだわりを感じる黒ビールです。

「亀の尾」の創選者の阿部亀治さんは「亀の尾」の噂を聞きつけてやってくる人々に無償で種籾を渡していたそうです。「亀の尾」と真っ直ぐ向き合い研究を続け、農業改革をし、利益や名誉ではなく全国に「亀の尾」が広まることが喜びだったという亀治さん。

「亀の尾」の歴史を感じながら、カメのように我の道を実直に進んだ亀治さんに想いを馳せて、「タートルエール」を飲んでみるのはいかがでしょうか?

▶︎▷▶︎一緒に乾杯したいカメ:ニホンイシガメ…タートルエールや亀の尾のお話から日本の伝統や歴史に触れ、日本固有種の「ニホンイシガメ」と日本の未来を語りながら飲みたいと感じたため。

 『タートルエール』

  • 〇ビアスタイル:ペールエール
  • 〇アルコール度数:4.5%
  • 〇原材料:麦芽、米(亀の尾)、ホップ
  • 〇URL:https://www.umaisake.ne.jp
  • 〇製造者:新潟麦酒株式会社
    〇販売者:株式会社梅川

ビールを早く運ばなくちゃ!「ギネスビール」のカメの広告


世界中で愛されているスタウトといえば「ギネスビール」。

このギネスビールの広告には、色々な動物達が出てくるとってもかわいい動物園シリーズがあります。

作者はジョン・ギルロイ。名前は分からなくても絵を見れば「どこかで見たことある!」となるのではないでしょうか。

動物園シリーズの広告は1928年から1960年とギネス史上最も長い広告キャンペーンとして人々を楽しませてくれました。

この広告の中にカメがギネスビールを甲羅に乗せて運んでいるものがあります。


このカメは「変なもの乗せられた」というよりは、「こぼさないように運ばなきゃ」とギネスビールを気にしている様子。

疲れた人間を美味しいビールで癒してくれようとしているのです。

なんて優しくて健気…その心意気に目頭が熱くなります。

足をよく見ると「美味しい状態を届けたい!」と、結構急いで歩いてくれているのが分かります。


きっと誰よりもビールに真剣なのでしょう。

これぞプロフェッショナルですね。

こんな風にカメが運んできてくれたと妄想しながらギネスビールを飲んでみると、深みが一層増すかもしれません。

▶︎▷▶︎一緒に乾杯したいカメ:オサガメ…ギネスビールが誕生したアイルランド周辺の水温の低い海もオサガメは回遊していること。また、ギネスビールをグラスに注ぐと現れる綺麗な波の中を、潜水能力の高いオサガメと一緒に泳ぎたいなと思ったため。

 『ギネスビール 』


カメにちなんだビールを飲みながらカメに想いを馳せてみる

長寿の象徴のカメにちなんだビールからは、深いこだわりや他に流されない強い信念に触れ、まさに甲羅をまとって生きることを選んだカメのようだと感じました。


南大西洋のセントヘレナ島にいるアルダブラゾウガメのジョナサンは190歳にもなり、存命の陸生動物の中で最も長生きをしているとギネス記録にも認定されています。

陸で生活している地球全員の先輩なのです。


今から190年前と言えば西暦1832年。

日本は江戸時代で葛飾北斎がカメの絵を描いている最中だったかもしれないですし、ペリーはまだ来航しておらず、日本にビールはまだ入ってきていません。

電話がまだ発明されていない時代から、スマホが当たり前の時代へ。

時代や地球の急激な変化をジョナサンはゆったりと見守ってきました。


カメをみていると時間の流れがゆっくりになったように感じ、とても癒されます。

しかし日本では、外来種のカメが増えたことが問題になっています。

海外から人の手によって連れてこられたカメたちが、人の手によって自然の中に放たれ、元々日本にいるカメや他の動植物の邪魔をしてしまい、防除しなければならない事態になっています。

また海では人によって引き起こされる海洋汚染やウミガメの産卵場所でもある砂浜の埋め立てや護岸工事等、環境問題がウミガメの生活や生存を脅かしています。

ビール作りの環境負荷もビール好きには看過できない問題です。
【関連記事】地球のために、現代を生きるビール好きとして知っておきたいこと〜ソーシャルグッドなビール消費〜

190年の時を生きているジョナサンは、今の地球を鳥瞰ならぬ亀瞰し、何を思っているのでしょうか?


カメの未来。ビールの未来。

1年に1度、この「世界カメの日」にビールを飲みつつ、ちょっとでもカメに想いを馳せてもらえたら嬉しいです。

\楽しいビール情報が届く/

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中林麻依 ライター

「亀がいる、ビールがある、多分そこには私がいる」。クサガメの甲羅♂に晩酌のお相手をしていただき、ビールに浮かぶ泡沫に己を案じる。甲羅とビールと太宰治が、私を生かしてくれている。週末は赤提灯に誘われて、酒場で夜が更けていく…。

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