普段よくビールを飲む私たち『ビール女子』にもいつか「結婚・妊娠・出産」が待っているかもしれない。日常的にビールを飲む私たちだからこそ気になる『アルコールと妊娠の関係』を行動派産科医として数多くのプロジェクトを通して妊産婦の方に関わられている竹内正人先生にお話しを伺う本企画。Vol.2は妊活中に絞ってお話を伺いました。最終回は出産を終えた女性、現在授乳中の方のアルコール事情と妊娠出産を通してアルコールをコントロールする方法・心構えについてお話を伺います。
Vol.1、Vol.2がまだの方はぜひこちらも合わせてどうぞ >妊娠中ってビール飲んだらダメなの?-産科医に聞く、ビール女子の妊活事情Vol.1>妊活中はアルコール制限よりもまずライフスタイルを見直そう!-産科医に聞く、ビール女子の妊活事情Vol.2
妊娠期に比べ、赤ちゃんを出産した後はどんなリスクが?
「出産後、多くの赤ちゃんは母乳から栄養を取ります。もちろん粉ミルクで育てる場合もありますが、母乳で育てる場合はお母さんが口に入れたものが代謝されて母乳となり赤ちゃんも飲むので、お母さんが食べるものや飲むものには注意が必要。」と竹内先生。 「アルコール代謝のピークは飲んでから30分から90分。ビールを飲んだら90分置いてから授乳するというような方法を取った方がいいですね。逆に90分置いてから授乳できるタイミングでビールを飲む。だいたい一回授乳すると2時間くらいは間隔が空くし、夜だともう少し長く間隔が空くこともあるので、そのインターバルを利用するとか。」 軽くビールを飲んでも、90分くらい空ければなんて話は初耳だったので驚きでした。授乳中ももっとシビアなのかと思い、ビール女子としては「出産に伴い、いったいいつまで飲んだらいけないの?」と気になっていたところ。 -今日は飲み会だったから、今日だけ粉ミルクで代用する・・・というような話も聞いたことがあるのですが。 普段は飲ませているのなら止めるのは良くない、という竹内先生。母乳は赤ちゃんが飲んだ分だけ作られるし、飲ませなかったら胸が張ってしまって詰まったり、出なくなってしまう可能性もあるのだとか。「赤ちゃんが飲むことで絶えず循環させていくことが大事。ずっとミルクならそれはそれで良いけれど自分の都合でその時々でコントロールできるものではない。」と竹内先生はいいます。 アルコールでなくても、かぜひいて薬をのんでるから母乳を飲ませない、という話も昔はよく聞きましたが、母乳は飲ませ続けないと出なくなるので常に薬も食べ物も母乳を赤ちゃんにあげることを前提として摂取するのが基本と今は考えられているのだとか。 産後、赤ちゃんはママのお腹の中とは切り離されて、一人の人となります。でも、授乳中はママとまだ繋がっているも同然。授乳を通してコミュニケーションをとっているのだから、常に、赤ちゃんという相手あってのことだということが竹内先生のお話からも良く分かります。 「母体のことを考えればバランスよく食べること、アルコール飲むのであれば暴飲することなく、ストレスがたまらない程度にタイミングを考えて飲むことが大切。」と竹内先生。
妊活期から産褥期までのアルコールコントロールのコツとは。
今回先生にお話を伺ってあらためて感じたのは、妊活期から産褥期まで、絶対ダメということではなくても、アルコール量をコントロールしてバランスのとれた生活をこころがけることが大切だということ。それでも、バリバリ働いて、一般的に妊娠適齢期を少し過ぎたくらいでそろそろ妊活を・・・と思う女性も多い今の時代。妊娠・出産までに長く働いてきた人ほど、ビールやアルコールを飲む場というのはどうしても多く、親しんできた方も多いはず。 -私たちを含め、そんな女性たちがこれから妊娠・出産を経験するにあたって、アルコールコントロールについての何かアドバイスなどあればぜひ伺いたいのですが・・・「医療的なリスクで云々ということよりも、『赤ちゃんと一緒に食べる、飲む』という意識が大切。」と竹内先生。 赤ちゃんだけでもお母さんだけでもなく、“母子が心身ともに健康であること”が一番大事だということ。「妊娠して急には変われないかもしれないけれど、お母さんは体調の変化も伴って徐々に心境にも変化が訪れるはず。お母さんと赤ちゃんは一緒という考えのもと、自分のライフスタイルの中でコントロールしていってほしいですね。」 普段、日常的にビールを飲んでいる、私たち“ビール女子”。人生にはいつ、どんな時、転機が訪れるかわかりません。今回のこの特集では「この量なら飲んでも大丈夫ですよ」という明確な結果を示せるものではありません。でも、いつか妊娠したい方、今妊娠している方、授乳期にある方が、すぐにできる具体的なアクションということでなくても、少しだけ、頭の片隅にこれらの知識あるだけで、より健全で安心なビアライフが送ることができるのではないでしょうか? 多くの女性がより美味しく、より楽しく、そしてより健康的なビールとのお付き合いを考えるきっかけになりますように。 竹内先生、ありがとうございました。