ビール好きの皆さん、クラフトビールのなかでも人気を博している、「Hazy IPA(ヘイジー・アイピーエー)」をご存じでしょうか?
Hazy IPAとは、濁っていて、オレンジ色や黄色の見た目が特徴のビールで、IPA(インディア・ペールエール)から派生したスタイルのひとつ。アメリカ北東部のニューイングランド地方発祥のため、「ニューイングランドIPA」とも呼ばれています。
今回は、いま世界中で大ブームを巻き起こしているHazy IPAの特徴や魅力をお伝えしつつ、編集部おすすめのHazy IPAもご紹介します!
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※記事最終更新日:2023/10/01
Hazy IPA、どんなビアスタイル?
2010年代半ば頃からアメリカで人気に火が着き始めたHazy IPAは、「Hazy」という単語が示すとおり濁っていて、色味はオレンジ色や黄色の見た目をしています。飲み口はフルーティーでとってもジューシー。Hazy IPAは通常のIPAよりも苦さが控えめなので、幅広いビール好きに好んで飲まれています。
ちなみに、ニューイングランド地方のバーモント州にある「Alchemist(アルケミスト)」というブルワリーが製造している「Heady Topper(ヘディートッパー)IPA」が起源とされています。
アルケミストは家族経営の小さな醸造所なので、ヘディートッパーIPAは地元民でも入手困難。そのため、なかなか日本ではお目にかかることはないかもしれません。そんなレアな存在であるへディートッパーIPAこそ、Hazy IPAの元祖なのです。
いくつもの別称を持つHazy IPA
Hazy IPAには、発祥地の名前にちなんで「ニューイングランドIPA」、これまでのトレンドであったウェストコーストIPAに対して「イーストコーストIPA」、味わいの特徴から「ジューシーIPA」など様々な別称があります。もしかすると、知らないうちにHazy IPAを口にしたことがある人もいるかもしれませんね。
日本では2017年頃から広まり始め、まだまだ歴史の浅いビアスタイルにもかかわらず、ビールファンの間でその人気ぶりは群を抜いています。これまでスタンダートとされてきた、強い苦みが特徴のウェストコーストIPAなどとしばしば比較されることもあるHazy IPA。どんな特徴があるのかを解説していきます!
苦さ控えめなHazy IPA、秘密は製法にあり
通常のIPAはホップの香りと苦みが特徴的で、アルコール度数もやや高め。それに対してHazy IPAは苦さ控えめなのですが、その理由は「ドライホッピング」という製法にあります。
ホップは熱を加えると苦みが出るため、通常は発酵前の麦汁を煮沸する際に投入します。一方で、ドライホッピングは、発酵がある程度終了した段階でホップを入れる手法。こうすることによって、ホップの苦みは残らないのに、ホップの香り豊かさだけは残るのです。これは二つ目の特徴でもある「華やかでジューシーなフレーバー」にも関係してきます。
ホップの豊かな香りと華やかでジューシーなフレーバーが魅力
ホップのアロマが強く感じられるHazy IPAはフルーティーでジューシーな香りも魅力。ホップは熱を加えないと苦みが出ない分、香りは強く残るのですが、逆にいうと熱を加えてしまうとその香りは消えてしまうのです。そこで先ほどのドライホッピングの手法が生きてきます!Hazy IPAでは、煮沸工程でのホップの投入を避け、発酵が進んだところでホップを投入し、香りを引き出しています。
また、フルーティーでジューシーなフレーバーの秘密はホップの種類にあります。21世紀に登場したアメリカ産のフルーツ系ホップである、シトラ、アマリロ、モザイク。あるいは、オーストラリア、ニュージーランドなどといったホップの新たな産地として注目されているニューワールド産ホップであるギャラクシーなどがHazy IPAには用いられています。
飲まずとも見分けられる!?Hazyな見た目
Hazy IPAという名の通り、最も印象的なのはオレンジ色や黄色に「濁った」見た目ではないでしょうか。Hazy IPAを濁らせている要因はいくつかあるのですが、主要因としては二つ。一つ目は「ホップや麦芽の外皮に含まれるポリフェノール」。二つ目は「タンパク質」です。
Hazy IPAは口あたりをソフトにするため、タンパク質を豊富に含む麦芽やオーツ麦などを使うことが多くあります。ドライホッピングする際に出てくるホップ由来のポリフェノールがタンパク質と結合することで、Hazy IPA特有の濁りが発生します。
他にも、糖分に比べると1万倍ほどの大きさである酵母や、でんぷんなども濁りの要因としてあげられます。ですが、あくまでもソフトな口あたりや味わい、香りを追求した結果濁ってしまったということも念頭においておきましょう。
編集部おすすめのHazy IPA
Hazy IPAの特徴もおさえたところで、そろそろ実際に飲みたくなってきた方も多いのではないでしょうか?ここで編集部おすすめのHazy IPAをご紹介します!『ニューイングランドIPA ねこにひき』
伊勢角屋麦酒がアメリカポートランドにあるCulmination brewing(カルミネーション・ブルーイング)とコラボレーション醸造したビールです。日本のクラフトビール審査会「JAPAN BREWERS CUP」での受賞歴を持ち、ブルワー(ビール醸造家)からの評価も高い「ねこにひき」。発売されるとすぐ完売するほどの人気があります。見かけたら、迷わず連れて帰ることをおすすめします!
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『Far Yeast Hop Frontier -Juicy IPA-』
Far Yeast 東京シリーズなどで知られるFAR YEAST BREWINGから発売されている「Far Yeast Hop Frontier -Juicy IPA-(ファーイースト ホップフロンティア ジューシーアイピーエー)」。最新のホップ理論と先進的な醸造手法を用いてHazy IPAのさらなる新領域に挑戦。“ホップアロマ”に着目し開発されたビールです。バイナップルやオレンジなど、トロピカルなフレーバーは暑い季節にもぴったり!
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『BREWDOG HAZY JANE』
instagram(@brewdogjapan)
スコットランドのブリュードッグから発売されている「BREWDOG HAZY JANE(ブリュードッグ ヘイジージェーン)」。2020年4月のパッケージデザインのリニューアルに伴い、アルコール度数が7.2%から5.0%に。口当たりはまろやかでありながら、柑橘系のすっきりとした味わいでキレも感じられるのが特徴です。
『ニューベルジャン ブードゥー レンジャー ジューシー ヘイズ』
instagram(@newbelgium)
アメリカ・コロラド州のブルワリー「New Belgium Brewing(ニューベルジャンブルーイング)」が手掛けるHazy IPA。トロピカルな風味とシトラスの香りが印象的で、ドライな飲み心地。すっきりとした味わいながらもアルコール度数は7.5%あるので、ガツンと飲みたいときにもおすすめです!
まとめ
ブーム真っ只中ともいえるHazy IPA。各ブルワリーからも今後さらに色々な味わいのHazy IPAが発売されるかもしれません。IPAには様々な種類がありますが、ショップ店頭やクラフトビールが飲めるお店でHazy IPA、あるいはニューイングランドIPA、ジューシーIPAなどの名前を見かけたらぜひトライしてみて頂けると嬉しいです!
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