あなたにとって2019年はどんな一年でしたか?今年もたくさんのビールが世に出て、たくさんのビールが日々の生活に幸せをもたらしてくれました。
あのとき飲んだビール、あの人と飲んだビール。今年出会ったビールを思い出しながら、1年を振り返ってみるのはいかがでしょうか?
2019年の最終日、一年の締めくくりとして、ビール業界で活躍する7名の “ビール人” に、この一年を漢字一文字で振り返ってもらいました。ビールをつくる人、注ぐ人、提供する人、ビールと飲み手を繋ぐ人。さまざまな形でビールに携わる人々に話を聞いたところ、それぞれに計り知れない熱い想いがありました。
普段飲んでいるビールの裏側の世界を覗きこむような気持ちで、ぜひあなた自身の一年を振り返りながら、ビール片手にお読みください。
「沢山のあたたかな言葉に涙した幸せな体験」
1人目:株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 「てんちょ」こと井手 直行さん
Q. 2019年の活動を『漢字一言』で表すなら?
「よなよなエール」ファンの皆さんに「幸せ」をお届けするのが私達の使命ですが、逆にファンの皆さんから「幸せ」を沢山頂いた1年でした。北軽井沢に1000人のファンを迎えて行ったイベント「超宴(ちょううたげ)」では沢山の喜びや応援のメッセージを頂きました。
ファンの皆さんが自主的に主催してくれたイベント「ファン宴」も感激しました。そして10月にお台場で2日間開催予定であった1万人のファンイベント「よなよなエールの超宴」は台風の直撃で2日間共中止になったにも関わらず、あたたかい声や応援のメッセージを沢山寄せていただき、涙したのも幸せな体験でした。
Q. 2020年はどんな1年にしたいですか?
今やっている活動をさらに広げていく1年にしたいです。ファンイベントは「よなよなエールの超宴」の開催の他に、今までとは違うファンイベントの形を模索していきたいです。また、看板ビールの「よなよなエール」を前面に出した、何か面白いことができればいいなと思っています。
その他、久しぶりに新製品の発売を検討していたり、既存製品のリニューアルも予定しているなど、2020年も様々な活動をしてまいりますのでクラフトビールファンの皆さんには是非楽しみに待っていてほしいと思います。
■ヤッホーブルーイング
https://yohobrewing.com/
■よなよなの里(よなよなエール公式通販)
https://yonasato.com/
「“ホップでビールを選ぶ” 楽しさをもっと広げていけたら」
2人目:サッポロビール株式会社 新井 健司さん
Q. 2019年の活動を『漢字一言』で表すなら?
「ホップでビールを選ぶ」という新しいビールの楽しみ方を広めるために、フラッグシップとしての『SORACHI1984』を発売。そして、他の日本産フレーバーホップも本格的に世の中に出した年でした。ありがたいことに色々なメディアに取り上げていただき、多くの方に支えていただけたと感じています。
また、キリンビール社との史上初の共同企画を実現し、ビール業界に新しい一面を見せられました。振り返ると「ターニングポイントになった」と言えるような、ビール業界・ビール文化に小さな「芽」を出すことができた年だと考え、この漢字を選びました。
Q. 2020年はどんな1年にしたいですか?
まずは「SORACHI1984」をしっかりと根付かせながら、“ホップでビールを選ぶ”楽しさをもっと広げていきたいと思います。加えて、日本産ホップをもっと多くのお客様に知っていただき、楽しんでいただけるようにしていきたいと考えています。日本産ホップを使用したビールが飲める場所を広げ、日本のホップ産業をもっと盛り上げていきたいです。
「SORACHI1984」を製造しているサッポロビール仙台工場
また、キリンビールさんとの次なるたくらみも考えたいと思いますし、他のビールメーカーさんとも絡みながらビールをより楽しいものにしていきたいと考えています。どんなことをしていくかは、ぜひお楽しみに。【関連記事】日本が誇るホップ「ソラチエース」100%の新商品!マスターブリュワーに魅力を聞いてみた
■サッポロビール:https://www.sapporobeer.jp/
■SORACHI1984:https://www.sapporobeer.jp/innovativebrewer/SORACHI1984/
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「造り手の思う最適解はあっても、飲む人の正解はそれぞれ」
3人目:「麦酒大学」学長 山本 祥三さん
Q. 2019年の活動を『漢字一言』で表すなら?
令和という新しい時代が始まり、ビール業界にとっても新しい時代の幕開けだったと感じています。ビールの多様性という文化への注目が高まった数年前より、2019年は注ぎ方という古くからあるビールの技術への関心、ホップという原料に焦点をあて生産者をクローズアップする取り組みや各メーカー間の壁を越えた原料視点でのファン作りなど、繋いでいく・新しい時代という意味で「維」という文字を思い浮かべました。今までとは違うビールファンへの広がりに業界の未来は明るいと感じた一年でした。
Q. 2020年はどんな1年にしたいですか?
造り手の思う最適解はあっても、正解は飲む人それぞれだと感じています。ビールの製品自体に向いている意識をブランドやビアスタイルを問わず、一人一人の個性が出るビールの楽しみ方にシフトさせていける広く深いビールの情報を伝わりやすい方法で発信していけるような取り組みをしたいですね。
オリンピックイヤーでもありますから外国人来街者が多い街でインバウンド向けに「Pouring techniques」を伝えられるようなことも考えています。なにより、みんながビールを飲むことが楽しいと思えるような1年にしたいですね。
【関連記事】注ぎ方でこんなに変わる! 中野駅チカ『麦酒大学』でこだわりの一杯を
■「麦酒大学」Twitter:https://twitter.com/beer__college
「楽しい体験創りに挑戦していける手ごたえ」
4人目:スプリングバレーブルワリー株式会社 代表取締役社長 島村 宏子さん
Q. 2019年の活動を『漢字一言』で表すなら?
今年は、これまでで最も色々な人たちとともに新しい“ビール体験”を創造することができた年でした!SVBを愛してくれているファンの皆さんのアイディアを取り入れ、一緒になって実施したイベント。そして最近少しずつ増えているSVBを提供してくださっている飲食店の方たちとのコミュニティの創造など。ますますおいしいクラフトビール、楽しい体験創りに挑戦していける手ごたえを感じています。
Q. 2020年はどんな1年にしたいですか?
来年はいよいよ5周年を迎えます。みなさんがアッと驚くような新コンテンツを通じて、ビールのワクワクする未来づくりにSVBスタッフ一丸となって、ビール愛、SVB愛全開で取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
■SPRING VALLEY BREWERY:https://www.springvalleybrewery.jp/
「小規模ブルワリーが存続できるよう、業界が一つにならなくてはと感じた年」
5人目:「麦酒倶楽部ポパイ」創業者 青木辰男さん
Q. 2019年の活動を『漢字一言』で表すなら?
私は今年のクラフトビールを漢字一文字で表すと、統一の「一」を選びました。第二次クラフトビールブームと言われ把握できない程、マイクロ、ナノブルワリーが立ち上がり喜びたいところですが、昨年の酒税法改正で発泡酒免許のあり方は私が望む美味しいビールの観点から見ると心から喜べない。非常に問題点が多く、酒造免許の取得にも指導官の意が統一されていなく、とてつもなく時間がかかるのと、ビールとはかけ離れた発泡酒を造らされる、また開業しても高課税に苦しめら厳しい状況下に置かれている。小規模醸造所が生き延びるためには、さらなる規制緩和が必要と考え、早急に業界が一つになり、マイクロ、ナノブルワリーが存続出来るよう、御上に陳情する「働き」が必要だと感じた年でした。
Q. 2020年はどんな1年にしたいですか?
私は輸入ビールを口にするたびに感動を覚えると同時に悔しい思いをしています。まだまだ、私のレシピでは追い着けない。様々な難問はありますが限られた中ではあるが研究をして心を打つビール造りにチャレンジしたいと思っています。
また現在、NPOでビアカレッジ、ティスティングの勉強会を行っていますが、仲間と共にもっと力を入れ知識を広めプロフェショナルを育てる活動を行って行きたと思います。クラフトビールファンのさらなる応援をお願いしたいと思います。
【関連記事】100タップの前でビールのおいしさに酔いしれる。「クラフトビールの聖地」麦酒倶楽部ポパイに行ってきた
■麦酒倶楽部ポパイ:http://www.lares.dti.ne.jp/~ppy/
「力強くもあり儚くもある経験をした一年だった」
6人目:TKBrewing株式会社 髙林 亮一さん
Q. 2019年の活動を『漢字一言』で表すなら?
「Brut IPA」を覚えていますか?2019年前半に様々な醸造所がリリースしだして、「瞬」く間に見かけなくなってしまったビールスタイルです。TKBrewingでも話題作「Sugi Daddy Brut」を醸造し好評でした。そんなビールスタイル流行ってたね、と記憶される2019年になりました。またTKBrewingで印象深かったのは、川崎界隈のビアバーとのコラボビール「Kawasaki Red IPA」3部作をリリースしたことです。それぞれ一「瞬」にして完売し、地域の繋がりを実感しました。このような力強くもあり儚くもある経験をふまえて、2019年の漢字を「瞬」にしました。
Q. 2020年はどんな1年にしたいですか?
2019年は醸造を頑張りすぎてインプットがおろそかになっていたので、2020年は多様なインプットを積極的に行って、ビール造りに反映していきたいと思っています。要はいろいろ飲み歩きたいってことです。その結果として、新たな切り口の新作をどんどん出し、毎週新作リリースを継続していきます。また、今までは近所のイベントへの出店がメインでしたが、ちょっと大きめなビアフェスなどにも出していきたいと企画しています。
【関連記事】夫婦の絆を感じるクラフトビールづくり。週末限定で楽しめる川崎の「TKBrewing」直売所に行ってきた
■TKBrewing:http://tkbrewing.com/
■Facebook:https://www.facebook.com/TKBrewing.jp/
「世界の金賞に返り咲いたとき、長かった夜が漸く明けていく様に感じた」
7人目:有限会社二軒茶屋餅角屋本店 代表取締役社長 鈴木 成宗さん
Q. 2019年の活動を『漢字一言』で表すなら?
今年は昨年夏に稼働した下野新工場でのビール醸造がようやく軌道に乗り始めました。社運をかけ稼働した新工場でしたが、当初は品質のアジャストに苦しみました。もしかしたら二度とかつての伊勢角屋麦酒は取り戻せ無いかもしれないと眠れない夜がいく夜も過ぎました。
それだけに今年3月にInternational Brewing Awards2019で再び世界の金賞に返り咲いたときは、社長としての責任をひとつ果たせた安堵と社員達の苦労や多くのシーンがフラッシュバックし涙が溢れました。長かった夜が漸く明けていく様に感じたあの時の鮮烈な思いから「曙」の文字を選びました。併せて今年10月に立ち上げた日本ホームブルワーズ協会が日本のホームブルーイングのあけぼのになって欲しいと言う思いを託しました。
Q. 2020年はどんな1年にしたいですか?
2020年は会社も日本のホームブルーイングも大きく羽ばたき飛翔する年であって欲しいと思います。
【関連記事】「家でビールがつくれる?」ホームブルーイング解禁への活動がスタート!発起人に話を聞いてみた。
■伊勢角屋麦酒:https://www.biyagura.jp/ec/
■日本ホームブルワーズ協会:https://www.japan-homebrewers.com/
以上、ビール業界で活躍する7名の“ビール人”に、今年の一年を漢字一文字で振り返っていただきました。みなさんも自分の一年を、ビール片手にゆっくり振り返ってみてくださいね。
今回「ビール女子」では、「#ビールの思い出2019」を付けた投稿を募集します!2019年、どんなビールに出会ったか、思い出に残っている出来事などをぜひ教えてください。投稿はビール女子のTwitter公式アカウントでシェアさせていただくかもしれません。みなさんからの投稿お待ちしております!
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