株式会社ヤッホーブルーイング(以下、ヤッホーブルーイング)から「バレルフカミダス B-18」、「バレルフカミダス B-21」、「バレルフカミダス ブレンデッド B-22, B-23, B-24」「バレルフカミダス B-25」が4種同時にリリースされました。
今回、ヤッホーブルーイング醸造責任者「もーりー」こと森田正文さん(以下、もーりー)とブレンドや製品化を行った「がみた」こと田上峻さん(以下、がみた)に、日本国内でも数少ないバレルエイジドビールである超レアビール「バレルフカミダス」の魅力に迫ります!
「バレルフカミダス」を担当した、がみた(左)とヘッドブルワーのもーりー(右)
バレルエイジドビールの面白さとレアビールの所以…
「バレルフカミダス」は「バレルエイジド」というスタイルで造られたビールです。一般的にエールビールの工程の中で熟成は、2週間から1ヶ月ほど。しかし、バレルフカミダスは半年以上の時間をかけて造られたバーレイワインをさらに木樽で3ヶ月も熟成されてやっと製品として完成します。
使用した木樽も、今回はアメリカで2年間バーボンを熟成させ、さらに日本国内の蒸留所でジャパニーズウィスキーを20年間熟成させていた、まさに酸いも甘いも噛み分けたような古樽が使われたんだそう。
もーりー曰く、樽を選ぶときは「できるだけボロボロなことがポイント!」なんだとか。その理由は、樽に使われている木本来のエグみがそれまで熟成させていたウィスキーに移り、代わりにウィスキーの香りと味わいを木がたっぷり吸っているから。その特長を活かすために、木樽の洗浄は行わず入っていたウィスキーを払い出してから1週間以内にビールを詰めるようにしているそうです。 だからこそ、バレルフカミダスの独特の深みのある香りと味わいが生まれるのです!
そんなバレルフカミダスは、同じウィスキーを入れていた樽、同じ木を使った樽に同じ原酒を入れて同じ期間熟成させていても味わいが異なるのだとか。造り手が全てコントロールできるわけではなく、同じ味には二度と会うことができないのが面白いところ。 それ故に大量生産ができず、膨大な時間と手間をかけて造られるバレルフカミダスは超希少レアビールなのです。
「バレルエイジド」ビールとは?
「Barrel(木の樽) Aged(熟成した) Beer(ビール)」 木樽をビールの熟成樽として利用したビアスタイル。木樽で熟成することによって、樽ごとの個性と熟成期間で味わいが異なる自然まかせのビール。熟成に使用する木樽は、それまでウィスキーやバーボン等を熟成させてきたものを利用することによって、ウィスキーやバーボンの香りがビールに移るところが特徴。
バレルフカミダスが生まれたのは「半分偶然」だった?
日本ではあまり馴染みのないバレルエイジドビール。その味わいはビールでありながらウィスキーの香りや味わいをふくんだビール好きも、普段ビールをあまり飲まない人も思わず驚いてしまいそうな異次元のフレーバー。そんなビールが造られた「はじまり」を聞きました。
2012年、クラフトビールの本場アメリカに勉強に行っていたもーりーが衝撃的な出会いをしたのが全てのはじまり。 アメリカの醸造所を見学している中で、「飲んでみろ」とホコリをかぶったような見るからに古そうな瓶から出された、バーボン樽で熟成されたスタウト。「こんなビールがあるのか!」という衝撃を忘れられずに日本でもこのビールを造りたい! と意気込んで帰ってきたそう。
アメリカでの「バレルエイジドビール」
2000年代からトレンドとして造られ、4000社ほどにのぼるアメリカのブルワリーのほとんどがバレル(木樽)を所有している。初めて造られたのはGoose Island Beer Companyの「バーボンカントリーインペリアルスタウト」と言われている。 アメリカの酒文化として、バーボンをよく飲まれているためにブルワリーとバレル業者の間でエコシステムが成り立っている。木樽はバーボンやウィスキー樽が人気。
しかし、当時ヤッホーブルーイングに帰ったもーりーにはスタンダードビールのレシピを安定させなければいけない等の課題が山積み。社内からは当然、「そんなビールが売れるのか」「他にやることがあるのではないか」と反発を受けたんだとか……。
そんな中、ヤッホーブルーイングでパートとして働いていたおじいちゃんから、これで造ってみろと小さな木樽を渡されたそうです。実はそのおじいちゃん、只者ではなく、軽井沢蒸留所で30年以上ウィスキー造りに携わっていた、いわば木樽熟成のプロ。そんなおじいちゃんに教えてもらいながら、造った初めてのバレルエイジドビールは偶然にも「美味しくできてしまった」のです。
それによってヤッホーブルーイング内でも受け入れられ、造られたはじめたバレルフカミダスは、「半分は決心、半分は偶然」によって生まれたビール。今か今かと待つファンも居るほどのレアビールのはじまりがこんな偶然だったとはびっくりです。
これまでの3年間、樽のみで販売された製品も含めて、ヤッホーブルーイングからリリースされたバレルフカミダスは全部で15種類。どれももう出会うことはできないビールであり、そこに今回加わった4種類もいずれは二度と飲めなくなってしまう貴重なビール。この絶好の機会を見逃す手はないはず!
ビールであることを忘れてしまいそう! 摩訶不思議な味わい
今回はリリースされた4種の中から瓶で発売された「バレルフカミダス B-18」を実際に味わってみました。 グラスから立ち上るのは、甘みの中にもほんのりと木の香りがまじったようなややスモーキーな香り。口に含むとレーズンやチョコレートを思わせるような重厚な甘みを感じます。ウィスキー樽で熟成させている香りや味わいが移っていることもあり、ビールであることを一瞬忘れてしまいそうになります。 もーりー曰く「おつまみには、お手軽に食べられるチョコレートやパイの実がオススメ」なんだとか。食事時にはもちろん、食後にもゆったりと楽しめるビールです。
今回は原酒となったバーレーワイン「ハレの日仙人2014」と飲み比べてみたのですが、その味わいの違いは歴然! 熟成期間が長いために、「ハレの日仙人 2014」は他のエールビールよりもアルコール度数が高く重厚な味わいですが、バレルフカミダスはそんなハレの日仙人の味わいにあった酸味がまるくなり、より味が濃厚に凝縮された印象でした。どちらもハイアルコールであることは間違いないのですが、比べてみるとハレの日仙人がすっきりとした味わいに感じてしまうほどです。
「バレルフカミダス」4種類の味と特徴!
「バレルフカミダス B-18」はメープルシロップのようなやわらかな甘さが特徴。 「バレルフカミダス B-21」はフルーティーな味わいながらに飲みくちがドライ。 「バレルフカミダス ブレンデッド B-22, B-23, B-24」はそれぞれがもつ香ばしさ、ウィスキー香、ウッディさが調和したバランスの良い味わい。 「バレルフカミダス B-25」はウィスキーの香りと味を強く引き継いだ味わい。 になっているんだとか。 ちなみに担当がみた一番のオススメは自分でブレンドをしたバランスの良い「バレルフカミダス ブレンデッド B-22, B-23, B-24」だそうです♪
「バレルフカミダス B-18」はすでに発売が終了してしまっているようですが、その他のバレルフカミダスはよなよなエール公式ビアバル「YONA YONA BEER WORKS」各店やクラフトビール専門店などでもまだまだ飲む機会はあるそうです。 これを逃してしまうともう出会えない! 一期一会のビールに会いに足を運んでみてはいかがでしょうか♪
バレルフカミダス
◯アルコール度数:12.5%
◯発売日:2016年11月11日(金)
◯発売場所:公式通販サイト「よなよなの里」(瓶のみ)