希望と命が飛んでいた立川の空。今その空の下、ビールに命を宿す1人の男がいます。
もくじ
・あの日と同じ空の下・時を超えて繋がるクラフトマン
・本物のビールに立飛のアレンジを
・ビール工場の秘密
・本物を知って欲しいから
・程よく砕き、徹底的に磨く
・デザイナーさんに聞く、ロゴとラベルに込めた想い
・清水さんから溢れ出すビールを立川で
・世界と繋がる場所
あの日と同じ空の下
東京都立川市。
駅前におしゃれな商業施設や数々の百貨店が立ち並ぶ街。昭和記念公園といった広大な緑を感じられる場所がありながらも、都会的な生活ができるこの地は、近年人気が急上昇しています。
そんな立川の空に、昔は民間の飛行機が飛んでいたことをご存知でしょうか?
遡ること大正時代。立川陸軍飛行場が開設され、昭和初期には民間機が往来しており、羽田空港ができるまでは立川と世界は飛行機で繋がっていたのです。当時国内第4位の航空機メーカーとして飛行機を設計・製造・販売していた「立川飛行機株式会社」もありました。
当時の人たちは立川の広い空を鳥のように海外に飛び立つ飛行機を見上げ、憧れを抱いていたことでしょう。
今回は、その空の下で「本物のビール」を追求し、知の限りで命を込めてビールをつくるブルワーがいる「立飛麦酒醸造所」を訪れました。
最寄り駅は、空を駆ける多摩都市モノレールの「立飛駅」。
賑やかなショッピングパーク方面をクネクネと歩くこと10分。
広い空と住宅街の中に、立飛麦酒醸造所が見えてきました。穏やかな住宅地の景観に馴染む、落ち着いたグレーの倉庫のような建物に、ビールを感じるオレンジ色で「BREWERY TACHIKAWA TACHIHI」が浮かび上がります。
扉を開けるとすぐにタップルームが。
店内の奥にはシルバーに輝く醸造所の様子を見ることができる、スタンディングスタイルのかっこいいタップルーム。取材日当日は太陽が仕事をしている時間から楽しそうにビールを飲む人でいっぱいでした。
時を超えて繋がるクラフトマン
立飛ホールディングスが運営する「立飛麦酒醸造所」は2021年12月にオープンしたばかりの新しい醸造所です。
ビール醸造のきっかけは、廃業になったカミカゼブルワリーがあった広大な敷地を立飛ホールディングスが買い取ったことだったそうです。その際に、ご縁があって長年ビール醸造をしていた清水秀晃さんに声がかかり、立ち上げ当初からヘッドブルワーとして醸造の全てが任されることになりました。
「カミカゼブルワリーは老朽化が進んでいたため設備を使用することはできず、別の場所で一からブルワリーづくりをすることになりました」
まっさらな状態の立飛麦酒醸造所のスタートから関わり、1年半でビール醸造免許を取得すると、すぐにビール醸造を開始。長年の経験と熟練の技がある清水さんだからこそなし得たことです。
また立飛ホールディングスの前身は「立川飛行機株式会社」。飛行機とビール。物は違えど、物づくりへの熱い思いを持ったクラフトマンシップに共感したため「立飛麦酒醸造所」という漢字の名前にしたそう。
立飛麦酒醸造所の入り口からも、当時の名残が感じられる立川飛行機の工場として使われていたノコギリ屋根(現在は倉庫として使われている)を見ることができます。
クラフトマンシップを継承し、一から自分の手で創り上げたこの醸造所で、自分がつくりたいビールを生き生きと楽しそうにつくる清水さんからは、美しいビールのような黄金のオーラが出ていました。
清水さんの笑顔を見ていると、ビールが飲みたくてたまらなくなります…早速ビールをいただくことにしました。
本物のビールに立飛のアレンジを
清水さんは立飛麦酒醸造所のビールを「本物のビール」と語ります。
「うちのビールは麦芽とホップと酵母と水しか使ってません。酵母は乾燥酵母ではなく液体酵母で、炭酸ガスもナチュラルカーボネーション(酵母の働きによって発生する炭酸ガス)でつくっている、本物のビールです。そこに必ずアレンジを加えて立飛らしさを出しています」
そんな本物のビール達をご紹介します。(価格は全て、S400円、M700円、L1,000円/税込)
『ペールエール』『ヴァイツェン』(写真左から)
「ペールエール」は、モルトの旨みが広がるなか、フルーティーで柑橘感もあるホップが優しく広がります。
「ペールエールは多くのブルワリーでつくっているので、そこの本気度を測る1番の指標になります」と清水さんが話すように、一口飲むと清水さんの本気が口のなかいっぱいに広がります。
そして、小麦を使い酵母の独特なバナナ風味が特徴の「ヴァイツェン」。立飛のヴァイツェンは、他にないような気品高い苦みをわずかに感じます。
「ホップは白ワインみたいな香りもするニュージーランドのネルソンソーヴィンを使用しています。自分がワインも好きなので、ちょっとワインに寄ったアレンジです」
どちらも優しく澄んだ味がする中で、立飛の個性がふんわり光る唯一無二の味わいになっています。
『ピルスナー』
ピルスナーといえばチェコ発祥のビールです。なんと立飛では、ピルスナーを飲むときに使われる専用グラスで飲めるというこだわりぶり。
きめ細かいクリーミーな泡で口を滑らかに潤すと、優しいモルトの旨みと香りが広がり、どんどん飲めてしまいます。
「日本で馴染みのあるジャーマンピルスナーもありますが、うちはピルゼンモルトとチェコのザーツしか使っていないボヘミアンピルスナーです」
黒板に目をやると「当醸造所ヘッドブルワーが1番力を入れている」との文字が。ビールの苦みや炭酸が苦手で…という方に、是非この清水さんの力のこもったピルスナーを飲んでいただきたい!
『ゴールデンエール』
黄金の輝きに見惚れながら一口飲むと、コクとグレープフルーツのようなホップの香りが効いていて、喉越しも最高でビールを飲む手が止まりません。最後の一口を飲むとホップの苦みが爽やかに口に残り、後味を噛み締めました。
「ピルゼンモルトを使用していて、モルトはピルスナーと同じ。ホップにアメリカのタラスやザーツなど色んなホップを使っていますが、タラスがピンクグレープフルーツみたいにキリリとしているので飲みやすいです。あとは、ベルジャン酵母ではなく、アメリカのエール酵母を使用しています。そこが一般的なゴールデンエールとはちょっと違うところです」
『ゴールデンエール・アフターバーナー44』
そしてゴールデンエールと全く同じモルト・同じつくり方で、ホップの種類を変え使用量を2倍にしたのが季節限定の「アフターバーナー44」。
これはパワフル!ホップの量が2倍というだけあって苦みもしっかり感じられるかっこいい味。力が漲ってきます。
「IBUが24.4のゴールデンエールに対して、これは48位。苦みが倍です。アフターバーナーというのは戦闘機が飛び出す時に、排気のところを真っ赤に燃やす装置です。排気のところに燃料を噴射して、最後にもう一度パワーをつける。そのイメージをビールに感じてもらえればと思ってます」
感じます、真っ赤に燃える、パワー!
『ベルジャンホワイト』
オレンジピールとコリアンダーが入ったこのスタイルの伝統に則し、今回紹介するなかで唯一このビールだけは副原料を使っているそう。
季節限定のベルジャンホワイト、なんとインターナショナル・ビアカップ2022で金賞を受賞し、Belgian-StyleWitbierスタイルで世界一のチャンピオンになりました。オレンジピールとコリアンダーのスパイシーさが絶妙に香りますが、爽やかでスッキリ飲める印象。
「ホップにちょっと変わったヒュールメロンを使っています。オレンジピールとコリアンダーの香りが強いので、ヒュールメロンの香りはそんなに際立たないように。伝統は守りつつ、全く同じではない立飛らしさを出してみました」
『4種ビール飲み比べセット』(1,500円/税込)
定番のペールエール、ヴァイツェン、ピルスナー、ゴールデンエールが楽しめる4種のビール飲み比べセット。一気に4種を並べて飲み比べることもできますが、カードを渡して1杯ずつ好きなタイミングで飲むことも可能。自分のペースで飲み比べられるのも嬉しいですね。
どのビールも綺麗に澄んだ自然な味わいで、体が喜びながら潤って行くのが分かります。無理のない自然な環境の中で、スクスク育ってきたビールの嬉しそうな様子を感じました。
ビール工場の秘密
今回は特別に、ビールがつくられる醸造所を案内していただきました。
醸造所のレイアウト、設計、動線、使用する機械の選定など、清水さんがビール醸造設備のエキスパートの方々と共に考え上げた醸造スペース。
清水さんの "知”が詰まった圧巻の醸造所をご覧ください。
まずは麦芽を運ぶ作業。
重たい麦芽を運ぶのに使用するフォークリフトですが、ここでは運ぶためだけにあるのではありません。
じつはこの麦芽保管庫の上は麦芽破砕室になっていて、4m上の2階まで麦芽を持ち上げる役割も果たしています。
麦芽破砕室がわざわざ2階に設置されているのもこだわりが。破砕室の真下にはタンクが設置されていて、破砕した麦芽がそのままタンクに落ちるよう設計されているのです。さらに、破砕機がすぐに洗えるよう水道も設置する徹底ぶり。
先ほどの破砕機の真下に向かうと破砕後の麦芽が落ちる糖化釜と、煮沸釜があります。真ん中には全てのバルブの開閉や温度設定ができるタッチパネルが。オートマチックでありながら、タンク内部の細かい部分の洗浄はタワシを使い人間の手で洗うそう。
「ビールづくりは掃除が8割。掃除だけはどんなにしてもしすぎることはない」
立飛ビールの澄んだおいしさの裏にはこのような努力もあったのです。
また、周りの住宅への配慮のため、立飛醸造所には麦汁の煮沸の際に出る蒸気を外へ排出させる煙突がありません。では蒸気はどこへいくのかというと、すぐ横にある管で全て吸い込み冷たい水で冷やしてお湯にするのです。このお湯はタンクに貯めて再利用。そのため、水の使用量も一般的なビール醸造所の3分の1程度だといいます。
こうしてでき上がった麦汁は発酵タンクに移送し、1週間〜10日ほどかけて発酵していきます。
「最初は元気よく糖を食べて発酵していた酵母は、徐々に元気がなくなりタンクの下に下がってくる。その間は毎日糖度をチェックしています。酵母は温度変化にも敏感で雑菌にも弱いので、発酵タンクは常にチェックして綺麗にしなければなりません」
そして酵母は、乾燥酵母ではなく液体酵母を使っていると言います。
「乾燥酵母を使っているところが多いと思いますが、自分は液体酵母を使ってます。液体酵母だと味が全然違うんです。でき上がりの香りで分かります」
液体酵母で発酵のコントロールを上手にすると、オフフレーバーが一切ないビールになるそう。その理由はというと…
「バターや炊き立てのご飯のようなダイアセチルという未熟臭が、うちのビールは全くしないです。ビールづくりにおいてダイアセチルって絶対出てしまうもので、じゃあそれをどうやって消すかというと、酵母自体が自分で消すんですよ。でも酵母が自分で消す前に温度を下げちゃうと消せなくなってしまう。酵母は3日位かけて自分で消すんですが、その間はそっとしておいてあげるんです。酵母は生きてますから」
まるで我が子を見守るように酵母への想いを語る清水さん。
じつは発酵タンクにもそれぞれの個性があるそうで、「一番左端のこの子は左隣がいないせいか元気すぎちゃう(笑)タンクも生き物なんです」
隅っこ好きの私としては、この発酵タンクの気持ちがよく分かります…。
発酵工程のこだわりは酵母だけでなく、炭酸ガスにも。
「一般的には発酵後にガスを抜き気の抜けたビールをつくって、貯蔵タンクに入れたときに炭酸ガスを入れる強制カーボネーションをするんです。でも自分はそれは一切やりません。発酵で出てきたガスを麦汁中に溶け込ませるナチュラルカーボネーションでつくります。だからうちのビールは全くお腹が張らないし時間が経ってもおいしく飲めるんですよ」
お客さんから聞いた「グラスに注いだビールが飲みきれず、ラップをして冷蔵庫に入れたら、翌日もガスが出ていた!」というエピソードも教えてくれました。
発酵が終わった上澄のビールは、発酵タンクと向かい合わせになっている貯蔵タンクへ移動させ熟成させます。
「ラガーは熟成する時間が長いためタンクを長く使うし、テクニックも必要だったりするのでクラフトビールでラガーをつくるところはあまりないかなと思います。うちはピルスナーをつくっているので、空きそうなところを狙ってつくります」
黒板に書いてあった「1番力を入れている」ピルスナー。そんな手間と時間を惜しまずつくられていると思うと、おいしさもひとしおですね。
全ての醸造工程を終え、醸造設備の隅にある瓶と樽詰めを経て、隣の部屋に移動すると冷蔵部屋が。
清水さんがおもむろに上から垂れ下がっている紐を引くと…
扉が上がり最初の麦芽保管スペースに戻ってきました。つまり、醸造所内を順を追って一周すると、ビールが完成するという最大限の効率化を実現した醸造所になっています。これも、清水さんのこれまで長年の経験で培ってきたものが結集した賜物です。
本物を知って欲しいから
随所にこだわりが感じられる醸造スペースでつくられる「本物のビール」。立川生まれの清水さんは立川の人たちに「本物のビール」を知ってもらいたいと言います。
「故郷でビールがつくれるなんてなかなかないことです。立川の人たちには本物のビールを知ってもらいたい。だから必ず副原料を使わなくてはならない発泡酒の製造免許ではなくて、スタイルに忠実な原料のみでつくれるビールの製造免許を取りました。自分はヨーロッパの伝統的なスタイルとか王道を行くようなビールをつくりたい。日本で一般的に流通しているビールもいいですが、ビールって世界中に150ものスタイルがあってそのスタイルごとにストーリーがある。お客さんにはビールと共にそういうストーリーやつくり手の想いを伝えて感動してもらいたいです」
ドイツ人のお客さんやドイツに5年間住んでいたというご近所さんが立飛麦酒醸造所の『デュンケル』を飲んで「ドイツを思い出した」「ドイツのミュンヘンで飲んだものと全く変わらない!」と、清水さんのビールを絶賛してくれたそう。こういう瞬間に、本物にこだわったビールつくりをして良かったと感じるそうです。
立川で本物のビールを広める清水さんですが、パッケージには記載されない部分にもこだわりや故郷への想いが隠れています。
「同じビール免許を持っている大手メーカーなどは、一般的に酵母とタンパク質の濁りをとるためにフィルターなどで濾過をするんです。そうするとビールが透き通ってすごく綺麗になるけど自分はしません。あとは立川の水にもこだわって使っています。水道水なのでフィルター濾過はするものの、カルシウムを加えてpH調節することもしないですし、醸造を補助する為の副原料を入れることもないです。本当の意味で“麦芽とホップと水と酵母”しか使っていません。全く手を加えない、素顔のままのビールです」
ここまで純粋なビールはなかなかないでしょう。
程よく砕き、徹底的に磨く
細部にまで妥協のない清水さんですが、ビール醸造で1番大事にしているのは意外にも「麦芽の破砕」だと言います。
「無駄なく綺麗な麦汁をつくるためにはしっかり破砕をしなくてはなりません。しかし破砕し過ぎると濾過の際に詰まる原因になります。ビールづくりにおいて1番大事なのは程よい破砕です」
こうしてつくられる美しいビール。そのビールを入れる樽の洗浄も徹底的でした。
「うちの樽は機械で洗うのですが、全て2回洗うんです。本当は1回で十分なのですが、樽は中が見えないから、洗い終わった樽と洗う前の樽が混ざってしまう可能性があります。万が一混ざってしまって洗っていない樽にビールを詰めたら、一生懸命つくったビールも台無しになってしまい、立飛ビールは変な味がすると思われる。2回洗えば、もし1回しか洗っていなくてもセーフです。掃除と一緒で洗浄にやりすぎはない」
また、一切の汚れを許さない醸造所の床は全て真っ白。「床はあえて汚れの目立つ白にしています。髪の毛一本でも、すぐ分かります」
四方八方どんな些細なところまで、徹底的に磨き上げられた醸造所。語彙力のない私はひたすら「すごい…」と驚嘆するしかありませんでした。
デザイナーさんに聞く、ロゴとラベルに込めた想い
立飛麦酒醸造所は可愛くおしゃれな雲のロゴや美しいラベルも印象的。このデザインのことを伺おうとしたところ、「じつはこの方、ロゴをデザインしてくださった方です」と清水さん。
なんと偶然にもこのロゴやラベルのデザインをした建築デザイナーの清水卓さんがご夫婦で、ベルジャンホワイト世界チャンピオンのお祝いにタップルームにかけつけて、ビールを楽しんでいらっしゃいました。
同じ「清水」さん同士の2人。清水卓さんは立飛ホールディングスが建設した立川にある商業施設「グリーンスプリングス」の総合建築デザイナーでもあります。
立飛ホールディングスがビールの醸造を始めるということで、ラベルのデザインを依頼されたことがきっかけとなり2人は出会ったといいます。清水卓さんがその時のことを話してくださいました。
「ずっと清水さんはビールの話ばっかりしてて(笑)清水さんの話を聞いているとビールを飲みたくなる。それをデザインに解釈して表現したいなって思いました。最初はしらふで話し合いをしていましたが、やはりビールを飲みながらじゃないと進まないよねと(笑)だいぶビールを飲みながら話し合いました」
いつもは建築デザインをなさっている清水卓さんは、ラベルのデザインは初めてだったそう。
「ラベルデザインは100年以上前から伝統がある。そう言ったグラフィックデザイン的伝統とかヘリテージは奥深くあるんですが、ここはゼロから新しくやりたいという醸造所。そういった思いも込めたデザインにしました。そして飛行機を造っていた会社が前身です。飛行機って空が命なので『空』をテーマにしました。ロゴも日本画のような雲にして。空が広いんですよ、立川って」
ラベルもグラデーションがとても美しく、鮮やかでありながらもどこか郷愁を感じる色使いが素敵です。
「ビールを飲み始める時間の空って夕焼けですよね。タップルームから外を見るとちょうどのこぎり屋根が夕焼けの逆光で見える。それをシンプルでモダンに表現しました。このグラデーションにはビールのグラデーションの意味もあるんですよ」
この美しいラベルにこんな想いが込められていたとは…。
黄金に輝く立飛麦酒醸造所のロゴTを着こなす清水卓さんと、シンプルな“ALESHIMIZU”のTシャツがかっこいい清水醸造長。2人の深いビール談義は尽きることがないのでした。
清水さんから溢れ出すビールを立川で
清水さんに今後のことをお伺いすると、嬉しそうにビールのことを語ってくださいました。
「とにかく色んなビールをつくりたいなって。頭の中にいっぱいあります。皆さんが日本で飲んだことないようなビールをどんどんつくっていきたいです。今考えているのは、バレンタインに飲みたくなるようなビールです。『今日は立飛でビール飲もうよ』って好きな人を誘って来てもらえたら」
バレンタインに飲みたくなるビール…清水さんの思い描くバレンタインのビールが気になって仕方がありません。例え1人ぼっちでも、これは飲みに行かなくては。
「ビールをつくっている人間からすると、空気に一瞬でも触れる瓶詰め作業は味を落としてしまう作業なので葛藤があるんです。皆さんに届けられるよう瓶詰めはしますが、是非タップルームに来て飲んで欲しいです」
お店が遠くて立飛のビールを飲んだことがないという方はまずオンラインショップなどで瓶ビールを飲んでみて、いつかタップルームに来た際に、その味を比べてみるのも面白いかもしれません。瓶のおいしさに増して、感激するビールが待っていますよ。
清水さんのビールを飲み干して帰る頃にはもう陽は落ち、立川の空は深い闇になっていました。自信に満ち溢れ、濁りや迷いのない清水さんの熱い眼光が立川の夜に光り、この地を明るく潤していました。
あんなにもビールを飲んだのにお腹が軽く、少し散歩をしながら隣駅の高松駅から帰ってみようと思い歩いていると、暗闇にそびえる白い塔が現れました。
これは昭和13年に建設された給水塔で、平成17年までここの地区に水を供給していたそうです。
歴史を感じる給水塔。立飛麦酒醸造所もまた、この給水塔のように地元の方の喉と心を潤し続けることでしょう。今、立川で新しい歴史が始まったのです。
世界と繋がる場所
その昔、飛行機で立川と世界は繋がっていました。そして今、ビールで私たちと世界を繋げてくれるブルワーが立川にいます。私たちはそのブルワーの命の宿るビールを飲み、世界中を旅します。
海外旅行はなかなかできないけど、世界のビールを飲みたい!本物のビールが飲みたい!
そんなビール好きの希望の場所「立飛麦酒醸造所」。泡立ちぬ、行かねば。
立飛麦酒醸造所
〇住所:東京都立川市高松町1-23-14〇交通:多摩都市モノレール「立飛駅」徒歩10分/立川バス立川駅北口バスターミナル 乗り場4番「立飛本社前」徒歩10分
〇TEL:042-527-1894(受付時間 9:00~17:00)
〇営業時間:11:00〜18:00
〇定休日:火・水曜日
〇席:スタンディング形式
〇支払い形式:現金、クレジットカード、電子マネー
〇喫煙・禁煙:禁煙
〇HP:https://www.tachihibrewery.com/
〇Instagram:https://www.instagram.com/tachihi_beer/
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