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Column 新1万円札の顔!日本のビール産業の礎を築いた「渋沢栄一」ってどんな人?

2019/06/14


2024年に紙幣デザインが一新されると発表されてから早数ヶ月(※)。新しい気持ちになる!と感じたのはいいものの、「新紙幣の顔になる人ってどういう人なんだろう?」と思った人も多いのではないでしょうか。
※2019年6月公開の記事です。

じつは、新1万円札の顔となる「渋沢栄一」氏は、日本の礎を築いた人。さらには、日本のビール産業の礎を築いた人なのです!今回は、日本のビール産業の発展を支えた渋沢栄一氏とビールについて深掘りしてみます。

約500の企業の設立に関わった男。渋沢栄一氏ってどんな人?

渋沢栄一氏は1840(天保11)年に、現在の埼玉県深谷市血洗島の裕福な農家に生まれました。こどもの頃から勉強を学ぶ機会を与えられて、14~15歳頃には家業のひとつ、染料である藍の葉や藍玉の取引などを手伝っていたそうです。この頃から、後に「日本資本主義の父」と呼ばれることになる基礎が磨かれていたのかもしれませんね。

その後、満91歳までの生涯のなかで、約500の企業の設立、もしくは設立を後援したのだとか
例えば、日本最初の銀行である第一国立銀行を設立したあとは、第一勧業銀行、東京海上火災、JR各社、日本製紙、帝国ホテル、清水建設などなど…。今名前を聞いてもすぐ頭に浮かぶほど有名な、多岐にわたる分野の企業に関わりました。さらには、約600の教育機関や社会公共事業の支援にも力を入れていたそうです。

仕事はとても忙しかったでしょうし、少し怖い人なのかと想像しましたが、「怒るという感情を忘れられたのではないか」と言われるほど、とても温和な性格だったそうです。

そもそも新紙幣の顔ってどうやって決まるの?

国立印刷局によると、新紙幣の顔は下記のように決められます。
肖像をはじめとするお札の様式は、通貨行政を担当している財務省、発行元の日本銀行、製造元の国立印刷局の三者で協議し、最終的には日本銀行法によって財務大臣が決めることになっています。 お札の肖像の選び方には、特別な制約はありませんが、おおよそ次のような理由で選定されています。(国立印刷局HPより引用)

渋沢栄一氏とビールの関係

渋沢栄一氏は、サッポロビール株式会社(以下、サッポロビール)やキリンビール株式会社(以下、キリンビール)の創立と発展に関わった人でした。



1885(明治18)年に、キリンビール前身の会社である「ジャパン・ブルワリー・カンパニー」が創立され、翌年の増資の際、日本人株主の一人として加わり、1889(明治22)年の重役会で重役に任命されました。1896(明治29)年に理事員を辞任しています。

1887(明治20)年に、現在のサッポロビールの前進の会社である「札幌麦酒会社」が創立され、その発起人の一人として参画し、その後も経営に携わり、1894(明治27)年には会長に就任しました。
1906(明治39)年、札幌麦酒、日本麦酒、大阪麦酒が合併し、大日本麦酒株式会社になった際も、1909(明治42)年まで取締役として関与しています。

ビールの会社の設立に関わった渋沢栄一氏は、よほどのお酒が好きだったのかなと思いましたが、資料によると、そうではなかったようです。一橋家士官時代や1868年フランスから帰国後に少し飲んでいたそうですが、元々あまり好きではなかったようで、以降は全く飲まなくなったそうです。少しくらい、ビールの味見はしたのでしょうか?

明治時代のビールって?

西洋の食文化とともに広がったビールですが、この頃のビールは贅沢品でした。1877(明治10)年に東京で売り出された札幌麦酒の値段は、大瓶で16銭、小瓶で10銭だったそうです。かけそばが1杯8厘だったので、現在に換算すると大瓶が約6,000円です。なかなか手が届かないですよね。
また、1889(明治22)年の国産ビール瓶が登場するまでは、輸入ビールや輸入ワインの空瓶を再利用していたそうです。当時は法律や規格がなかったため、容量がバラバラでした。ちなみに、大瓶の容量が定められたのは昭和19年(1944年)のことです。


今回は、新しい1万円札の顔となる渋沢栄一氏とビールの関係について紹介しました。
今までよくわかっていなかったお金も、その肖像となる人を知ることで、さらに身近な存在になるかもしれません。渋沢栄一氏がビール産業の礎をつくったことを知ると、ビール好きならなおさら親近感を抱いてしまいますね。


■参考資料

「公益の追求者・渋沢栄一」渋沢研究会編、山川出版社
「渋沢栄一を知る事典」公益財団法人渋沢栄一記念財団編、東京堂出版
「記憶と記録のなかの渋沢栄一」平井雄一郎・高田知和編、法政大学出版局
「ビール礼賛」山本幸雄、東京書房社
「日本のビール面白ヒストリー」端田晶、小学館
「大日本麦酒の誕生」端田晶、雷鳥社
「図解ビール」キリンビール株式会社
「日本ビール検定公式テキスト(2018年4月改訂版)」一般社団法人日本ビール文化研究会監修、マイナビ出版



◯文   :きのこ(Kanako Kinoshita)
◯イラスト:てまり
◯デザイン:吉田歩未
◯編集  :山吹彩野・酒井由実


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数年前に突然ビールの奥深さに目覚めて以来、寝ても覚めてもビールのことばかり考えています。全国の大手ビール工場や醸造所に通い、ビール関連の本を読み漁り、さまざまな勉強会やイベントに参加。日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として、IBC(インターナショナル・ビアカップ)の審査員を経験(2018年、2019年、2020年)。日本ビール検定2級。日本ビアジャーナリストアカデミー10期生。紙面協力:ライフスタイル情報『CHANTO』。

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