お休みの日の昼下がり。
右から左へ流すようにかけていたラジオから、なつかしのバンドの曲が流れてきた。
学生の頃に入っていた軽音サークルで、「こんな風になれたらいいのに」という想いを抱きながら、繰り返しくりかえし練習し、コピーしていたバンド。
自然と体は揺れ、手持ち無沙汰を感じた私は、奥の方にしまっていたギターを取り出した。
あの頃のようにうまくはいかないけれど、指の動きや感覚は体が覚えていた。
もうふにゃふにゃになってしまった指先に、ギターの弦の感触が刺さる。
少しの寂しさと懐かしさを感じながら、Baerlic Brewingの『Punk Rock Time IPA』を飲んだ。
ポップでパンチのあるパッケージとは裏腹に、適度な苦みが体中に染み渡る。
叶えられなかった夢と、今必死に生きている現実世界の間でふわふわと漂いつつも、最後はやっぱり音楽に救われながら。
Illustration:natsuru(@NaTsuRuuuu)
Text:山吹彩野
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