ビール女子のみなさま、こんにちは! ポートランド在住の東リカです。
ポートランドの女子ブルワーをリレー形式で紹介するこの企画。7人目は、前回のシャノンさんと同じ職場、「マクメナミンズ・エッジフィールド(McMenamins Edgefield)」でワインとサイダーを造るリズ(Liz Kelly-Campanale)さんです。
リズさん、急にお時間を作っていただきありがとうございます!こちらでサイダーを造っていると伺いました。
リズさん
この場所を作ったマクメナミンズは、オレゴン州のブリューパブの先駆者としてや、歴史的建築物を利用したブリューパブとホテル、映画館などの複合施設で知られているけれど、このエッジフィールドでは、ビールの他に蒸留酒、ワインやサイダーも造っているの。
ワインとサイダーは同じ施設。ワインを樽に詰め終えて、タンクが空く時期にサイダーを造るの。ワインは1年に1度の仕込みだけれど、この地域はいいリンゴがあってサイダーは1年中造れるから。
リズさんは、ずっとワインとサイダーの両方を造ってきたんですか?
リズさん
ここに来るまでは、ワインね。実家がカリフォルニアのワインカントリーなんだけど、両親がワイン好きで、ワインを持ち寄って飲み比べるホームパーティーをしょっちゅう開いていたから、ワインは身近な存在だったの。
大学では科学が得意だったんだけど、右脳と左脳の両方、それに実際に手を使って何かを生み出すクリエイティブな仕事をしたいと思うようになって。実は法律の道も考えていたんだけど、試しにウィラメットバレー(オレゴン州のワインカントリー)でワイン造りのクラスを取ってみたら、すっかりハマっちゃった。
それで、ワイン造りの道を選んだんですか。
リズさん
そう。
だって、「自分の手で造った!」って言えるものがある仕事って、素晴らしいでしょ!
大注目のクラフトサイダー業界
サイダーについては、どうお考えですか?ワイン造りとだいぶ違いませんか?
リズさん
サイダーは、今、ものすごく注目されているエキサイティングなクラフト飲料よね。オレゴン州やワシントン州では、業界全体のレベルが上がっている。マクメナミンズがサイダーを造り始めたのは1992年なんだけど、ブリューパブのタップに入る数もじわじわと増えていて、今は4タップがサイダーってことも珍しくない。
白ワインとサイダーの発酵には共通する部分もあるんだけど、ブレンドはだいぶ違うわね。
ワインのブレンドは複数の風味の違うワインだけを合わせるけれど、サイダーは、様々な果物やスパイス、ハーブなどをブレンドして、まるで料理をするように新しい味を大胆に生み出していける。例えば、りんごにブラックカラントと梨とか、いちごとバジルとか。面白いわ。
あとは、造れる頻度ね。サイダーはビールと同じで1年中、ダウンタイムがないのよ。
「SheBrew」にもマクメナミンズとしてサイダーを出品されるんですよね?
リズさん
そう。
『ハイビスカス・ローズヒップ・スパイス・サイダー』を今、ちょうど造っているの。
女性ブルワーやワインメーカーはまだ少ないですが、女性であることによって、何か感じることはありますか?
リズさん
ビール、サイダー、ワインなんかのクラフト飲料業界は、まだ女性が入りづらい「ボーイズクラブ」的なメンタリティがあるかな。でも、女子が少ないポジションを奪い合うんじゃなくて、全体数を増やそうって協力し合う姿勢が大事よね。「SheBrew」は、お互いにサポートするコミュニティだと思うわ。
マクメナミンズは、割と女性ブルワーが多いのよ。私には小さい子供が2人いるんだけど、産休も取れたし、もう1人のワイン&サイダーメーカーと協力して時間も調整できてる。理解のある職場だと思うわ。ワインの仕込みの時期だけは、めちゃくちゃ忙しいけれど…出産の時期も、仕込みに支障が出ないように計算したのよ(笑)。
すごい!将来的には、自分でワイナリーやサイダリーを作りたいと思いますか?
リズさん
うーん、そうでもないかな。独立すると、お酒を造る以外の仕事もたくさんしなきゃいけないでしょう?今みたいに、セールスをする必要がなくて、クリエイティブな作業に集中できる方が性に合っているかも。
リズさんの代表作は何ですか?
リズさん
感謝祭の時期に合うクランベリーとシトラス入りのサイダー『Crangerine Dream』かな。初の私のサイダーレシピだったんだけど、すごく好評でね。毎年、季節限定で造っているわ。「造ったの、私よ!」って、エゴが満たされたところもあるけど、それだけじゃない。お客さんが「美味しい」って笑顔になるのを見ると、その人の生活をちょっとだけ、いいものにできたんじゃないかなって思えるの。
素敵ですね。最後に日本のビール女子へのメッセージをお願いします。
リズさん
クラフトビール、サイダー、ワイン、どれもクラフト飲料って、少し敷居の高いところがあると思う。「クラフトビール好きなの?」って聞かれて、「あまり知らないんだけど」って応える人は少なくないでしょ。でも、十分な知識がないからって引け目を感じたり、自分の好みを言えないってことはない。ウンチク語る人なんて相手にしないで、色々飲んで、自分の好きなものが何かを探せばいいと思う。
ありがとうございました!では、SheBrewの会場で。