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Column あなたと同い年ビールは?大手ビールメーカーのロングセラー13本を集めてみた!

2025/12/18


「このビール、私と同い年なんだよね」ーーそんな会話、ちょっとしてみたくなりませんか?

当たり前のようにあったビールには、実はそれぞれ長い歴史とストーリーがあります。

今回は、発売年を「年齢」に見立てて(2025年時点)、大手各社のロングセラービールをずらりと並べてみました

味わいの特徴だけでなく、「どんな時代に生まれたビールなのか」もあわせて眺めると、一杯が少し特別に感じられるかもしれません。


2004年生まれ・21歳


キリン 一番搾り とれたてホップ生ビール


2004年11月2日に初登場したのが、「とれたてホップ一番搾り」、現在の『キリン一番搾り とれたてホップ生ビール』。2002年に「今しか飲めない特別な一番搾り」として、その年に収穫した日本産ホップを使用した「キリン 毬花一番搾り<生>」を発売。その後を引き継いだビールです。“とれいち”という愛称でも知られ、一番搾りブランドの中でも旬のホップのおいしさに特化したシーズナルビールとして知られています。

岩手県遠野市でその年に収穫したホップを水分を含んだ生の状態で急速凍結し、その「凍結ホップ」を丁寧に麦汁へ手投入するというこだわりよう。青草やフレッシュな果実を思わせるような香りを閉じ込めつつ、一番搾り麦汁だけを使う「一番搾り製法」によって、雑味のない上品な味わいを実現しています。

発売開始から21年。22年目を迎えている“とれいち”。毎年「今年もとれいちの季節が来たな」と楽しみにしているファンも多い、ホップ好きの秋の風物詩と言えるビールです。21歳になった“とれいち”は、大人としての落ち着きと遊び心をあわせ持つ、ホップ好きにとって同世代のように頼もしい一本です。


1991年生まれ・34歳


キリン 秋味

1991年9月11日に誕生した『キリン秋味』は、「秋の味覚に合うビール」をコンセプトにした季節限定商品。

麦芽をキリンラガービールの約1.3本分使用し、アルコール度数は6%。豊かなコクと飲みごたえを持たせつつ、初秋にも合う飲みやすさを両立させた、まさに“秋ならではのおいしさ”を目指したビールです。

発売から30年以上。紅葉や秋刀魚とともに、「秋味が出ると秋が来たな」と感じる方も多いのではないでしょうか。34歳の秋味は、派手ではないけれど毎年確実に季節を知らせてくれる、頼れる“秋の同級生”のような存在です。


1990年生まれ・35歳


キリン 一番搾り®︎ 生ビール

1990年3月22日に発売されたのが、『キリン 一番搾り®︎ 生ビール』。日本の新たな定番ビールとなるべく“一番搾り®︎麦汁だけでつくるビール”というアイディアのもと誕生しました。

キリンビール独自の一番搾り®︎製法とは、ろ過の工程で最初に流れ出る一番搾り®︎麦汁のみを使用する製法のこと。麦のうまみを引き出すために、通常のビールの1.5倍の麦芽を贅沢に使用しています。

クリアな味わいと爽やかな香り、麦のうまみが感じられるバランスのとれた洗練された味わいです。35歳になった一番搾りは、日常にも特別な日にもそっと寄り添ってくれる、“クラスのまとめ役”的なポジションのビールかもしれません。


1989年生まれ・36歳


サントリー ザ・プレミアム・モルツ

1989年発売の「モルツ スーパープレミアム」、2003年に現在の『ザ・プレミアム・モルツ』に名称が変更されました。日本で「プレミアムビール」というカテゴリーを強く印象づけた存在のひとつ。

うまみ成分がたっぷりと含まれている「ダイヤモンド麦芽」を使用し、丁寧に釜で二度に渡り煮出しを行う「ダブルデコクション製法」でつくられています。また、厳選した麦芽や欧州産アロマホップを100%使用し、良質な天然水を使用していて、華やかな香りと豊かなコクが特徴です。

グラスに注いだときのきめ細かな神泡も含めて、ちょっと特別な日の一杯として定着しました。36歳のプレモルは、背伸びしすぎない大人の贅沢を知っている、同世代のご褒美担当のような存在ですね。


1988年生まれ・37歳


サッポロ 冬物語

1988年、日本で初めての冬季限定ビールとして誕生したのがサッポロ『冬物語』です。小麦麦芽を一部使用したなめらかな口当たりに、チェコ・ザーツ産のファインアロマホップを贅沢に使用することで、上質なコクと香りを引き出しています。冬の食卓に合う、ちょっと贅沢な味わいのビールです。

38年目を迎える「冬物語」のサイトでは、毎年のデザインや味わいの変遷を振り返る“これまでの冬物語”ギャラリーも公開されており、パッケージの歴史を眺めるだけでも楽しいブランドです。

37歳の冬物語は、平成生まれの冬をずっと見守ってきた、頼もしい冬の先輩のようなビールと言えそうです。

1987年生まれ・38歳


アサヒ スーパードライ


1987年3月17日に発売された『アサヒスーパードライ』は、いわずと知れた“辛口”ビールを広めたビールです。「飲んだ瞬間の飲みごたえ」「瞬時に感じるキレのよさ」が特長です。

発売当時、それまでの日本のビールにはなかったシャープな後味が支持され、「とりあえず生」の文化とともに、一気にスタンダードな存在へ。グッとくる飲みごたえと飲み進めたくなるキレのよさは、多くの人に愛されています。

今や“国民的ビール”と言っても過言ではないロングセラービールです。38歳のスーパードライは、親世代から自分たち世代まで幅広く愛されてきた、クラスで一番有名な同級生のような存在かもしれません。


1986年生まれ・39歳


アサヒ 生ビール マルエフ

1986年2月に発売された『アサヒ生ビール』。当時、「ユウヒ(夕日)ビール」と言われるほどの低迷期だったアサヒビールを復活の願いを込め「マルエフ」という開発記号でビールづくりにとりかかります。その結果、「コクがあるのに、キレがある。」それまでなかった味わいが誕生しました。

「スーパードライ」の発売に伴い缶は終売となり、飲食店でのみ根強く愛されてきましたが、2021年に缶も復活し、「マルエフ」という愛称とともに再注目されているブランドです。

「まろやか仕立て」製法で丁寧に造られたビールで、やわらかな口当たり、まろやかな味わい、ほどよい苦みが特長。スーパードライより1歳年上。 “おつかれさま”と言いたくなるような、やさしい味わいが魅力の先輩ビールです。39歳のマルエフは、昭和・平成・令和と時代をまたいでそっと寄り添ってくれる、包容力のある優しい先輩のようなビールです。


1985年生まれ・40歳


サッポロ クラシック

1985年6月12日、地域限定ビールの先駆けとして北海道への感謝の気持ちを込めてつくったのが北海道限定ビール『サッポロ クラシック』です。

北海道産ホップ、北海道産大麦麦芽を一部使用し、副原料を一切使わない麦芽100%の生ビールで、北海道の食や気候と合わせた爽やかな味わいが特長です。

40年にわたり、北海道の人々と共に歩んできた、現在では“北海道の味”として道内外のファンに親しまれています。旅行先で見かけるとつい手に取ってしまう、特別感のあるロングセラーです。40歳になったクラシックは、北海道に帰るたびに再会できる、同窓会で必ず会える同級生のような一本かもしれません。


1977年生まれ・48歳


サッポロ 生ビール黒ラベル

1977年4月1日に誕生した「サッポロびん生」、現在の『サッポロ生ビール黒ラベル』。当時は熱処理ビールが主役の時代でしたが、飲食店で樽生ビールが人気だったことから、時代に先駆けて瓶で「生ビール」を発売。生ビールの時代を切り開いてきた立役者です。その後、1989年に愛称であった「黒ラベル」が正式な商品名となりました。

「完璧な生ビールを。」をコンセプトに、生のうまさにこだわる黒ラベル。ビールの風味を劣化させる成分を持たない大麦から生まれた「旨さ長持ち麦芽」を使用し、麦のうまみと爽やかな後味など、バランスの良さを追求し、何倍でも飲み飽きない味わいです。

2025年12月製造分より、クオリティアップを発表。“研ぎ澄まされた一口目のうまさ”へのこだわりを進化させ、麦のうまみや爽やかな後味の完璧なバランス、白く美しいクリーミーな泡に磨きがかけられています。パッケージはこれまでのデザインよりも余白をつくり、スタイリッシュさ、シンプルさを追求。これまでと同様に、缶の真ん中の黒い星マークは健在です。48歳の黒ラベルは、どの世代とも自然になじむ、みんなから頼られる先輩のようなポジションのビールと言えそうです。

1959年生まれ・66歳


オリオン ザ・ドラフト

1959年5月17日、沖縄全島一斉発売されたのが、現在の『オリオン ザ・ドラフト』のルーツとなる「オリオンビール」です。

オリオンビールは、1957年に誕生した初めてのビール企業です。缶入り生ビールへの展開、デザインの刷新を繰り返しながら、沖縄の“地ビール”として愛され続けてきました。

現在の「ザ・ドラフト」は、伊江島産の大麦や“やんばるの水”を使った、まさに“沖縄クラフト”と呼べるビール。すっきりとした味わいに加え、麦の旨みもプラスした「澄みと旨み。」が感じられるビールに進化しています。66歳のオリオンは、戦後の沖縄と共に歩んできた人生の大先輩として、これからも島の乾杯シーンを優しく見守ってくれそうです。

1890年生まれ・135歳


サッポロ ヱビスビール

1890年2月25日に「恵比寿ビール」、現在の『ヱビスビール』が発売されました。発売から130年以上たった今も愛され続ける、日本を代表するプレミアムビールです。

日本麦酒醸造会社が1887年に設立され、ドイツ製の設備や原料、ドイツ人醸造技師を招いて本格的なドイツビールづくりに挑戦。1890年に発売された恵比寿ビールは、1900年のパリ万国博覧会で金賞を受賞し、その人気から駅名や地名が「恵比寿」となるほどの影響力を持つようになりました

現在のヱビスビールは、麦芽の配合にまでこだわり、ふくよかな余韻と美しい黄金色を追求したプレミアムビールとして、さらに磨きがかけられています。135歳のヱビスは、もはやひいおじいちゃん世代の風格をまとった、特別な日に味わいたいごちそうビールですね。

1888年生まれ・137歳


キリンラガービール


1888年5月生まれの『キリンラガービール』は、日本のビール史を語る上で外せない存在。明治期から続く歴史を持ち、今もなお“ラガー”といえばこのビールを思い浮かべる方も多い、ロングセラーブランドです。

その後「キリンビール」の商標はジャパン・ブルワリー・カンパニーから麒麟麦酒株式会社に引き継がれ、1988(昭和63)年には商品名を「キリンラガービール」に変更。現在までに数回のリニューアルを繰り返し、今では多くの根強いファンに愛されています。

琥珀色の液色に爽やかな香りとホップの効いた飲みごたえのある後味。飲み飽きない味わいは、長年、日本の食卓や居酒屋のカウンターで“当たり前にそこにある”存在であり続けてきた、と言えるかもしれません。137歳のキリンラガーは、日本のビール文化そのものをつくってきたご長寿レジェンドとして、これからも世代を超えて飲み継がれていきそうです。


1877年生まれ・148歳


サッポロラガービール

『サッポロラガービール』は、1877年(明治10年)にサッポロビールの前身である開拓使麦酒醸造所から発売されて以来、長年にわたって飲み継がれてきた日本で現存する最も歴史のあるビールブランドです。

ラベルに描かれた赤い星は、開拓使のシンボルであった北極星をモチーフにしたもの。その印象的なデザインから「赤星」の愛称で親しまれています。熱処理ビールならではのコクと厚みのある味わいは、時代が移り変わっても揺らぐことなく、主に飲食店を中心に多くの人々に愛され続けてきました。

いつの時代も変わらずそこにあり、飲むたびに安心感を与えてくれる一杯。『サッポロラガービール』は、日本のビール文化とともに歩んできた、生きた歴史そのものと言えるでしょう。


同い年のビールはありましたか?


こうして並べてみると、ビールはただの飲み物ではなく、その時代ごとの価値観やライフスタイルを映す存在なんだな、ということが見えてきます。

バブル終盤〜平成初期に生まれた季節限定ビールたちは、「季節を感じる一杯」として。

2000年代に登場したプレミアム系や新ジャンルは、「日常の中のちょっとしたご褒美」として。

明治生まれのヱビスやキリンラガーは、日本のビール文化そのものを築いてきた“超ベテラン”として。

同じ年齢でも、人によって人生の歩み方が違うように、ビールにもそれぞれの個性とストーリーがあります。

今度お店でビールを選ぶときは、「今日は同い年のビールにしようかな」「人生の大先輩に乾杯してみようかな」そんな目線でビールを選んでみても楽しいかもしれません。

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