Bar テーマは、ビールで世界を表現すること。熱い店主が待つ新宿御苑の英国式ビアパブに行ってきた

2020/03/30

新宿御苑にある英国式のビアパブ「HIGHBURY -THE HOME OF BEER-」。LANDLORD(店主)の安藤さんが「おもしろい」と思ったビールのカルチャーを伝えるべく、さまざまな仕掛けが詰め込まれているお店です。

開店時間になると、ひとり、またひとりとビールが好きな人達が訪れます。その中心にはおいしいビールと熱量が高い安藤さん。安藤さんの魅力やお店の仕掛けにハマり、ふと気付いたときには常連になっていた。そんな魅力あふれる「HIGHBURY -THE HOME OF BEER-(以下ハイバリー)」をご紹介します。

テーマは「ビールで世界を表現する」こと

HIGHBURY ハイバリー
丸の内線「新宿御苑前駅」から徒歩2分。木を基調として落ち着いた店構え、えんじ色の看板が目印で、夕方には暖かい灯がともります。開店時間になると、ひとり、またひとりとビール好き達が集まってきます

HIGHBURY ハイバリー
店内正面に注文カウンターがあり、座席はテーブル席、ハイテーブル席など全30席。スタンディング利用のバーカウンターもあり、ひとりでも気軽に利用可能。右手奥の大きな冷蔵室には、輸入ビールやカスクコンディションエールが静かに置かれています。

HIGHBURY ハイバリー
LANDLORD(店主)の安藤耕平さんは、国内のビール専門店に務め、ブルワーとなりイギリスの「Thornbridge BREWERY(ソーンブリッジブルワリー)」をはじめ、ヨーロッパ数カ国でビール醸造を経験。帰国後は、常陸野ネストネストビールで主に海外事業に携わり、2016年9月にビアパブ「HIGHBURY -THE HOME OF BEER-」をオープンしました。

サッカーチーム“アーセナル”が大好きな安藤さん、店名はアーセナルの“ハイバリー・スタジアム”が由来とのこと。「ビールで世界を表現すること」をテーマに掲げ、安藤さんが「おもしろい」と思った世界中のビールのカルチャーを伝えるべく、お店にはいろいろな仕掛けが詰め込まれています。

HIGHBURY ハイバリー
ビールメニューは仕掛けのひとつ。その日に提供されるビールを味わいやバランスを考慮し、サッカーのフォーメーションのように配置されています。ビールを飲みながら「自分だったら、このビールをFWに置くな」と想像して楽しむお客さんも多いそう。

日本では貴重なカスクエール

HIGHBURY ハイバリー
ハイバリーの大きな特徴に、ハイバリーオリジナルブランド「GUNNERS BREWING」のカスクエールが置かれていることがあります。

カスクコンディションとは、醸造所から未完成の状態で出荷されたビールを、店内のセラーで製品の状態に仕上げることです。そして、カスクコンディションされたエールビール(上面発酵ビール)のことを、“カスクエール”や“リアルエール”と呼びます。

通常のビールは完成した状態で出荷されるため、いつでも飲むことができますが、カスクエールはお店に到着してから製品の状態に仕上げる時間が必要で、とても手間がかかります。また、カスクエールはイギリスの古典的なビールで、現在は再び注目を集めていますが、ほとんど飲まれなくなったビールなのだそう。

HIGHBURY ハイバリー
"カスク”と呼ばれる容器に詰められた未完成のビールは、常時12度に保たれたセラーに静置され、店主が手を加え完成させます。日本でカスクコンディションエールを造っている醸造所は珍しく、安藤さん自らが醸造しコンディションニングするカスクエールを飲むことができるのはハイバリーだけ。

HIGHBURY ハイバリー
通常のビールは炭酸ガスでビールを樽から押し出して注ぎますが、カスクエールは重力で注がれるか、ハンドポンプで注がれます。

HIGHBURY ハイバリー
オリジナルカスクエール『上面水如 Ver.4(じょうめんみずのごとし)、Mサイズ、税込1,300円』をいただきます。安藤さんがブルワー修行をした「ソーンブリッジブルワリー」の『WILDSWAN(ワイルドスワン)』をコピーし、水のように飲みやすい上面発酵ビール。
透き通った麦わら色。すっきりとした味わいながらも、麦やホップの味わいがあります。ビールに溶け込んでいる炭酸ガスの量が少なく、ビール自体の味わいがわかりやすく、飲み終わる前からおかわりしたくなる一杯。

イギリスのビアパブを再現したバーカウンター

HIGHBURY ハイバリー
常連さんの多くが利用するバーカウンターは、安藤さんが感銘を受けたイギリスのパブ「THE WHITE HORSE(ホワイトホース)」のカウンターを再現したもの。お店の人に許可を取り、メジャーでサイズを測りそっくりそのまま日本で再現したそう。

HIGHBURY ハイバリー
カウンター中央にあるビアサーバーは、ラガービールを注ぐために、本場チェコの職人に特注したもの。

HIGHBURY ハイバリー
特注サーバーで注がれる『PLZENSKY PRAZDROJ(ピルゼンスキー・プラズドロイ)、Lサイズ、税込1,800円』をいただきます。

日本では「ピルスナーウルケル」という名前で知られるボヘミアンピルスナーで、“元祖ピルスナー”としても有名な銘柄です。チェコ・ピルゼンから空輸で仕入れ、お店に直送されるため、とても新鮮な状態で味わうことができます。「数週間前に樽に詰めたばかりのプラズドロイが飲めるのは日本ではここだけ!」と話す安藤さん。
透き通った麦わら色に豊かな白い泡。はちみつのようなほのかな甘みを感じる中にキリッとした苦み。程よい炭酸が心地よく、飲み進めるほどにおいしさが増すと評される意味が体感できる一杯。

「プラズドロイ」は冬季限定での提供、夏季は『サッポロ生ビール 黒ラベル』が提供されています。どちらの銘柄も人気があり、切り替わりの時はちょっとしたお祭り騒ぎになるほど。

ソーンブリッジのアンテナショップ

HIGHBURY ハイバリー
壁一面には「ソーンブリッジブルワリー」のビールタグ(サーバーに掛けるタグで提供する銘柄を示すもの)が貼られています。「ソーンブリッジブルワリー」は、イングランド北部・ベイクウェルにある2005年創業のブルワリー。安藤さんがイギリス留学時代に出会い、カスクエールに惚れ込み、直談判してブルワー修行をさせてもらったそう。その縁があり、ハイバリーは「Thornbridge TOKYO」として日本でソーンブリッジのビールを伝えています。

HIGHBURY ハイバリー
ソーンブリッジのフラッグシップビール『Jaipur IPA(ジャイプールIPA)、パイント、税込1,200円』をいただきます。安藤さんによると「世界一正しいホップの使い方をしたビール」とのこと。
クリアで黄金色のビールになめらかな白い泡。グラスに鼻を近付けると、レモンのようなさわやかなホップの香りがします。IPAながら苦みがガツンと来るのではなく、麦の甘さを感じた後に苦みが口の中に広がります。苦みが後を引かないので、とても飲みやすく、もう一口、もう一口と飲みたくなる一杯。

定番なものからユニークなものまで揃うフードメニュー

HIGHBURY ハイバリー
一番人気の『HIGHBURYフライドポテト(税込650円)』を注文。シューストリングポテト(細切りのポテト)、茨城県産サツマイモのスライスチップス、子じゃがの3種類が一皿で味わえるメニュー。揚げたてのポテトとビールの相性は抜群!ほかにも、本日の水茄子(税込500円)やアーセナルの宿敵チーム「トッテナム」から名付けた鳥ハム『トッテンハム(税込600円)』など、ユニークなフードがあります。

世界中のビールの旅に出かけたような気分を

HIGHBURY ハイバリー
世界中のビールの旅に出かけたような気分になれるような仕掛けがされているハイバリーには、熱い想いを持つ店主に惹かれたビール好きやサッカー好きが集います。グループでもひとりでも、一歩お店の中に入れば自然とその輪の一員に。

オリジナルカスクエールをはじめ、期間限定で提供されるラガービールやソーンブリッジのビールの数々は大きな魅力。単にビールを楽しめるだけでなく、フリーソーメン、東日本大震災復興支援イベント、ヱビス生誕祭など、いろいろなイベントが開催されているのもハイバリーのおもしろいところ。それぞれのイベント詳細はSNS等でチェックしてくださいね。

店内には今回ご紹介したほかにもまだ仕掛けが残っています。とっておきのビールをお供にゆっくりと探してみてください。

HIGHBURY -THE HOME OF BEER-(ハイバリー・ザ・ホーム・オブ・ビア)

〇住所:東京都新宿区新宿1-17-5 1F
〇TEL:03-6273-2550
〇営業時間
【月~金】17:00~24:00
【土・日】15:00~23:00
〇定休日:祝日の翌日(ただし、金土日の場合は営業)
〇座席数:30席(最大40人 スタンディング含)
〇支払い形式:キャッシュオン、テーブル会計どちらでも対応可

 現金、クレジットカード(VISA、MASTER)、各種電子マネー(PAYPAY、SUICAなど)※詳細は店頭でご確認ください
〇喫煙・禁煙:店内禁煙
〇お子様連れ:子供可、ベビーカー入店可、ペット可
〇公式ホームページ:http://highbury-international.com/
〇Facebook:https://www.facebook.com/highbury2016/

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ライターの紹介

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数年前に突然ビールの奥深さに目覚めて以来、寝ても覚めてもビールのことばかり考えています。全国の大手ビール工場や醸造所に通い、ビール関連の本を読み漁り、さまざまな勉強会やイベントに参加。日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として、IBC(インターナショナル・ビアカップ)の審査員を経験(2018年、2019年、2020年)。日本ビール検定2級。日本ビアジャーナリストアカデミー10期生。紙面協力:ライフスタイル情報『CHANTO』。

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