Event 【体験記】ビール学校「COEDOクラフトビール醸造所」に入学してみた

2018/03/12

日本を代表するクラフトブルワリーの一つであり、「毬花の紋」のロゴと色鮮やかなラベルが印象的なCOEDOビール(株式会社協同商事コエドブルワリー)は、2016年9月1日に醸造所を埼玉県東松山市に移転しました。

先日、その「COEDOクラフトビール醸造所」を見学するツアーが開催されました。テーマは ”学校”。記念すべき第1回目のコエドビール学校に入校してきました! その授業風景をレポートします。

【関連記事】ビールの科学と文化を学ぶ「コエドビール学校」2018年2月開校


電車とバスを乗り継いで登校

コエドブルワリーがあるのは、都心からおよそ2時間ほどの埼玉県東松山市。JR東松山駅東口を出て右側にある4番バス停から東松山市市内循環バス「大谷コース」に乗ります。


COEDO コエド 醸造所 見学ツアー ビール学校


水色で小さめのバスに揺られること約20分、最寄りバス停「網張戸」で降ります。料金は100円で、ICカード類も使用できます。網張戸バス停の目の前にCOEDOの看板があり、迷うことなく登校できます。


広い敷地内を進むと赤いタイル貼りの建物が見えてきます。昭和50年代に建てられRICOHの研修所として使われてきた建物を、醸造所にリノベーションされたそうです。


COEDO コエド 醸造所 見学ツアー ビール学校皆さん、足取り軽く登校しています。


自然に囲まれた丘に建つ、素敵な雰囲気を持つ校舎です。ここで毎日、美味しいビールが醸造されているんですね。


いよいよ入校!

広い玄関には直売所があります。お土産ビールを物色するのは後回しにして、受付を済ませ、いよいよ入校です。


COEDO コエド 醸造所 見学ツアー ビール学校 直売所


玄関ではスリッパに履き替えます。今回は寒いので心配いりませんが、夏場などで素足の方は靴下持参をお勧めします。



受付後、教室へ案内されます。ここは元々食堂であり、天井が高くて開放的です。



1日校長を務めるのは代表の朝霧重治氏。最初にビデオを見ながら、コエドビールの歴史や醸造所移転の理由とその過程について、苦労話も交えながら説明がありました。


研修施設をリノベーション

醸造所に繋がる廊下には建物の配置図、平面図、断面図が掲示されていますした。それを見ると宿泊や入浴設備などもあり、本当に研修施設だったのだと感じます。「このまま泊まって、ビール合宿ができるといいのに…」と思いながらも、朝霧校長の説明に耳を傾けます。

研修施設を醸造所に改修したため、新しく醸造所を作ることとは異なる苦労があったそうです。これまで使用していた設備を持ち込むことができるのかなどの問題、建物の強度の問題、運搬方法や経路の問題など、様々な検討事項を乗り越えてできた醸造所と聞き、早く見学したいとワクワクしてきました。


醸造工程の見学は上からじっくりと

そして、いよいよ醸造所見学がスタート。

1. 麦芽粉砕室

  ↓

2. 仕込水タンク室

  ↓

3. 仕込室(釜ろ過槽)

  ↓

4. ワールプール

  ↓

5. 発酵熟成タンク室

の順に覗いていきました。

醸造所は3階建てで1階に醸造設備が設置されています。醸造設備は高さが8mになるものもあるため、1階の天井を取り払ったそうです。残された2階部分の廊下が見学用の廊下です。

研修室の入り口だった所に取り付けられた窓ガラス越しに、上からじっくりと見学できます。ビール好きとしては醸造設備に触れられる位の距離で見学したいのはやまやまですが、私達人間は身体に何兆個とも言われる常在菌がいるため、対策なしでは醸造中のビールに近づいてはいけません。美味しいコエドビールの為に我慢して見学用の廊下へ移動します。


麦芽粉砕室

こちらの白い大きな袋には麦芽が入っています。その重量はなんと500kg!粉砕する機械の投入口に移動の際はフォークリフトを使うそうです。



仕込み水タンク室

コエドビールは地下水を使用しています。ビールの味を決める水にこだわり、この自然に囲まれた土地の水でビールをつくりたいという強い思いがあったそうです。



写真右側の装置は麦芽のカスを絞り水分量を減らす装置です。麦芽のカスは牛のエサに利用されています。このエサで育った国分牧場の牛は「クラフトビーフ」と呼ばれています。麦芽を食べて育った牛、美味しそうです。


仕込室(釜ろ過槽)


ここでは糖化作業、麦汁ろ過、麦汁煮沸が行われます。ドイツ製の麦芽を投入する機械(写真一番手前の釜の上に伸びている筒)に秘密があるそうです。そんな機械があるとは知らなかったので驚きました。

全ての部屋にこだわりやその装置を選んだ理由があったため、メモを取ったり、写真を撮ったり、楽しくも大忙しでした!


ちょっと一息。座って学ぶ。

醸造過程の見学の途中の部屋で、ビールが生まれた歴史的背景やビールの原材料について説明がありました。特にビールの歴史的背景は奥深い内容で、もっとゆっくり聞きくなりました。補講授業を希望します!



さらに、麦芽(モルト)の説明を受けながら、試食ができます。写真の麦芽の色の違いは焙煎具合によるもの。噛むことでデンプンが糖に変わり、優しい甘みが出てきます。麦芽はビールのおつまみになりますね。



ホップの香りを確かめます。左から、ネルソンソーヴィン、サファイア、モザイクです。


COEDO コエド 醸造所 見学ツアー ビール学校 糖化 マイシェ


原材料の説明をしている間に、粉砕した麦芽をお湯に入れ、麦のお粥のような状態(マイシェと言います)を65℃に保ちつつ煮込んでいきます。



マイシェを味見すると、麦芽に含まれる酵素の働きにより甘くなったことが分かります。これを搾ると麦汁になります。


見学の終盤は充填工程

そして再び醸造所見学がスタート!



天井には完成したビールの通るパイプが!「今、まさにビールが流れているのか。飲みたいなぁ」と見上げたまま、廊下を進みます。


びんづめ室

樽づめ室

缶づめ室


私達の手元に届く形になる行程です。見学時には缶づめ室が稼働していました。瑠璃が流れていく様子は、いつまでも眺めていられますね。


ドキドキの小テスト


部屋に戻ると小テストが机の上に!今回が初めての小テストになるため、難易度は様子見とのことです。私達の成績によって問題が変わってしまうかも? 裏にも問題が続きますのでお忘れなきように。最後にアンケート欄があり感想や要望が記入できます。小テストの採点結果は後日連絡があるそうです。


定番6種を試飲


試飲用のビールもありました!非売品の栓抜きがコエドのマーク入りで可愛いです。



試飲したのは「毬花」、「瑠璃」、「白」、「伽羅」、「紅赤」、「漆黒」の6種類。最初は毬花で乾杯しました。種類ごとに説明を聞きながら、順番に試飲していきます。一度に6種類を飲み比べる機会は少なく、説明を聞きながら味の確認ができたことは貴重な経験でした。


いつの間にか下校時間に

今後の展望の話もあり、質疑応答の時間には熱心な質問が飛び交う中、気が付けば帰りのバスの時間が迫っていました。慌ただしく下校の準備をする中、朝霧校長との記念撮影をする方も。

循環バスを利用する同級生が多かったので、登下校が一緒になり、ビール好きの輪が広がりました。東松山名物のやきとりを楽しむという課外授業を自主的に受けてきました!


今回、初めての開催となった「コエドビール学校」をご紹介いたしました。100年後も醸造できる環境づくりのために醸造所を移転したというその思い、ビールつくりへの強いこだわりを感じることができました。

定員が20名で少ない枠ですが、これからも継続して開校されるとのことですので、興味のある方はぜひ入校してください!


「COEDOクラフトビール醸造所」見学ツアー

○開催日:3月10日(土)、3月24日(土)、4月7日(土)、4月28日(土)

*4月7日までの開催会は既に定員となっており募集が終了しています。5月以降の日程は、順次ウェブサイトで案内されますのでご確認ください。申し込みは開催日1か月前より受付開始いたします。

**とても人気をいただいておりますので、追加で平日開催を計画しているとのこと。

○定員:20名/回

○参加費:1800円/1名(税込)

○予約:https://coedobrewery.peatix.com/

○時間割

 13:30 受付開始

 14:00 講義開始(醸造所見学含め、1時間20分)

 15:20 試飲(40分)

 16:00 終了、下校

○アクセス

「COEDOクラフトビール醸造所」

東松山市市内循環バス 最寄停留所:網張戸

往路 東松山駅東口(4番バス停)13:15発~網張戸13:34着

復路 網張戸16:30発~東松山駅東口16:59着

もしくは、タクシーにて登下校ください。

 ※プログラムは予告なく変更する場合がございます。予めご了承ください。


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ライターの紹介

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数年前に突然ビールの奥深さに目覚めて以来、寝ても覚めてもビールのことばかり考えています。全国の大手ビール工場や醸造所に通い、ビール関連の本を読み漁り、さまざまな勉強会やイベントに参加。日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として、IBC(インターナショナル・ビアカップ)の審査員を経験(2018年、2019年、2020年)。日本ビール検定2級。日本ビアジャーナリストアカデミー10期生。紙面協力:ライフスタイル情報『CHANTO』。

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