Ad 【深堀!グランドキリン】新商品発売記念!つくりびとインタビュー〜ブルワー編〜

2015/12/16

12 月 8 日(火)発売のグランドキリンの季節限定第 3 弾『グランドキリン 梟の森』、もう飲みましたか?

今回、『グランドキリン 梟の森』発売を記念して、そのグランドキリンの【外】と【中】を造る人に、編集長の瀬尾裕樹子が 2 回に渡りロングインタビューをいたしました。今回はその第 2 回、【中】を造る人 —キリンビール株式会社のマーケティング部商品開発研究所 中味開発グループの蒲生徹さんに迫ります!

最後までお読みくださった方には嬉しいお知らせもありますので、ぜひ、じっくり最後までお付き合いくださいませ。

グランドキリン

▼印象的なパッケージデザインに迫った、第 1 回の記事はこちらをご覧ください。
【深堀!グランドキリン】新商品発売直前!つくりびとインタビュー〜デザイナー編〜

 

 

市場の変化とともに進化するグランドキリン


瀬尾:季節限定シリーズ第3弾『グランドキリン 梟の森』、発売おめでとうございます!蒲生さんは当初の開発からグランドキリンにずっと関わっていらっしゃるそうですが、 2012 年の『グランドキリン』登場以来、3 年ほど経って、変化はあったのでしょうか?

グランドキリン
蒲生さん(以下、敬称略):そうですね。これはグランドキリンだけの影響ではなく、“クラフトビール” というものが発売当時よりも世の中にだいぶ浸透してきて、市場が変化してきた、と感じています。例えば以前なら、目の前にヴァイツェンが出てきたら「何、この香り?」みたいな感じだったと思いますが、今は「このヴァイツェン、いいよね」みたいな反応になってきています。『グランドキリン』も、今はどちらかというと香りの印象が落ち着いているビール、と受け取られるようになってきたと感じていて、それはお客様が変化されているからだと思っています。

瀬尾:そんな環境の中、当初の「 1 本で満足できる、スペシャリティ・プレミアムビール」という当初のブランドコンセプトに、 2014 年秋から「趣味と呼べるビール」という新たなメッセージが加わりましたが、“中味” の造り方はかわったのでしょうか?

蒲生:市場の変化をふまえ、香りに特長をおいたものや、さまざまなビアスタイルなど、お客様それぞれのライフスタイルで楽しめるような多彩なビールの開発をしています。

瀬尾:コンビニエンスストアが販路であるグランドキリンですが、最近コンビニでも様々な種類のビールが販売されている中で埋没しないためにどんな工夫をされているのでしょうか?

蒲生:他の一般的なビールや、クラフトビールとの差を意識して、 “特長はある” けれど “ドリンカブル” であるということをキーに、グランドキリンを通して “ビールはいろいろあって面白い” そして “飲みやすい” ということを伝えられるように務めています。

 

 

グランドキリン、だからこう造る


瀬尾:グランドキリンの開発方法ですが、まず、商品のコンセプトがあって、それに沿った中味となるビールを造る側と、それをイメージで伝える外側(パッケージデザイン)を作る側とがあって、コミュニケーションしながら商品を造り上げていくのだろうと思うのですが、実際はどんなふうに進めているのですか?

グランドキリン
蒲生:共通しているのは、“ビールの新しさを伝えていきたい” ということです。そこに向かって何をしたいのか?、がそれぞれの側にあり、いつも話し合っています。「これ面白いと思うんですよね」とか「自分たちはこう考えてます」とか。グランドキリンは “ホップ” がキーとなっているので、その特長を生かしながら新しくていいものを造る、ということも重要です。

瀬尾:例えば、 2015 年 7 月に発売された季節限定シリーズの『ギャラクシーホップ』は、使用しているホップの名前がそのままブランド名になっていますが、これは、ギャラクシーホップが使いたいからこのビールを造ろうということになったのですか?それとも、イメージやコンセプトに適しているのがギャラクシーホップで、それが名称にもつながったのでしょうか?

蒲生:まずは「中味」からです。社内に酒類技術研究所という部署があって、そこで世界中のホップや酵母などを研究し評価しています。その中で選抜されたホップや酵母などから、今回はこれを使いたい、ということが決まり、開発がスタートしています。

瀬尾:でも、それはスプリングバレーブルワリー(以下、SVB)でもあり得ることですよね? その違いはどうするのですか?

蒲生:ブランドの考え方や規模が違うのですが、より広く伝えていきたいというものがグランドキリンに使われるということはあります。クラフトビールらしさをより強く打ち出したい場合はSVBだね、ということも中にはありますね。

瀬尾:その線引きは、クラフト感の強い、弱い、ですか? それは蒲生さんの感性で決めているんですか?

蒲生:いや僕だけの…というわけではなく、いろんなビールをみんなで飲みながら、これはグランドキリンでいけるとかいけないとかはよく話し合っています。

 

 

 

グランドキリンの肝「ディップホップ製法」


瀬尾:グランドキリンの特長を生み出す「ディップホップ製法」についてご紹介いただけますか。

蒲生:発酵中にホップを浸漬する方法です。苦味があまり強く出ることなく、香りをつけることができる製法になります。酵母と触れることになるので、ホップがもつ生っぽい匂いとか松脂っぽい匂いなどが飛び、きれいな香りを残すことができます。また、煮沸のタイミングで入れたりするのとも違うので、普通のビールの苦味とは質の違うものになります。…この説明、わかりますでしょうか?

グランドキリン

瀬尾:なるほど! 発酵中は煮沸しているときほど高温でないにせよ、酵母によっても温度がいろいろ違うと思いますが、たとえば『グランドキリン』の場合はどんな温度でホップを入れるのですか?

蒲生:発酵中の温度は酵母によってかわります。これはラガー酵母なので 10 ℃ぐらいですね。『グランドキリン ジ・アロマ』はエール酵母なので 10 ℃後半から 20 ℃ぐらいですね。

蒲生:煮沸中での投入の場合に生まれる苦味は、しまりがあるような普通のビールの苦味になるんですが、発酵中にいれると、ホップの α 酸が残るので、それによって厚みのある苦味になります。

瀬尾:ディップホップ製法は、今後、進化の予定はあるのですか?

蒲生:そうですね。たとえばホップ投入時の温度を変えてみることで香りの物質の飛びかたが変わるとか、時間を長く置くことで後味の渋味をコントロールできないか、とか、いろいろと研究は重ねています。

 

 

 12 月 8 日に新発売の「梟の森」の秘密


瀬尾:特に今年の季節限定ビールのデザインは、見た目でおもわずジャケ買いしてしまうような魅力があって、そんな切り口からも売れているのでは? という話も聞こえてきます。新しい展開のデザインについてはどんな風に考えていらっしゃるのですか?

グランドキリン

蒲生:定番シリーズから季節限定品の『ギャラクシーホップ』にガラッと変わった時は驚きました! 中の人ながらに、いやー、おもしろいな、と。

瀬尾:ちょっと消費者感覚でもあるんですね(笑)。開発途中での進捗はあまり確認しないのですか?

蒲生:当初は、文字での共通認識をベースに作業を進めます。もちろん進捗の確認はしますが、途中で出てきたビジュアルなどのイメージを見ると「お、そうきたか?」と思ったりすることもありますね。

瀬尾:それは、蒲生さんのイメージとは違ったということですか?

蒲生:いや、全く違うということではないです。でも、おや?と思ったことの理由などをよくよく聞くと、“なるほど、そういうことか” と納得することはありますね。

瀬尾:ビールの中味をデザインに合わせるということもあったりするのですか?

蒲生:方向性が全く違うということになれば別ですが、納得できることであれば、逆にそのイメージに味わいを調整したりすることはあります。

瀬尾:12 月 8 日(火)に発売された『梟の森』は蒲生さんの担当と伺っていますが、どんなイメージで開発されたのでしょうか?

梟の森

蒲生: “冬の夜にゆっくり飲む” ということをイメージして、アルコールはちょっと高めの 7.5% ですが、ドリンカブルなビールに仕上げました。エールビールなので華やかな香りがあり、すこしヴァイツェンに近いですね。チェコ産ザーツホップをディップホップしているので、少し落ち着きのある香りとなり上品さのあるバランスで、とても飲み口がスムーズだと思います。

瀬尾:デザインは、いかがですか?

蒲生:商品名から受けるイメージや、アルコール度数の高さ、 Wheat Strong Ale(ウィートストロングエール) というビアスタイルからいって、もっと重たいイメージのものができ上がるかと想像していました。でも思ったより白くて明るかったのですが、ヴァイツェンのイメージや、無濾過ビールらしさを良く表現しているなと思っています。

瀬尾:そう! このビールは無濾過ですが、常温で流通させる商品としてはおそらく珍しいのではないでしょうか?

蒲生:そうですね。やはりそのままでの流通は難しいので、工場では、酵母の活動をとめ、出荷後に品質が変化しないようにしています。以前、別なもので冷温流通をやったこともあるのですが、その場合は賞味期限が極端に短くなってしまうため、それよりも品質も安定してきちんと届けられる方法を実施してます。

瀬尾:無濾過にして酵母を残すことで、ビールの特長をつけているのでしょうか?

蒲生:はい。“テクスチャー” と言っているのですが、“やわらかさ” を感じる仕上がりになっています。

 

 

蒲生さんの頭の中にあるグランドキリンの“未来”


瀬尾:蒲生さんは他のお酒も飲まれるんですか?

蒲生:基本はほとんどビールです。最近はなかなか行けませんが、学生の頃、海外旅行にいって、その旅先で飲んだのもほぼビールです。ちなみにその時、チェコで飲んだビールですっかりはまり、それがきっかけで今の会社に入社しました。

グランドキリン 梟の森

瀬尾:それはなんだかとっても一途ですね(笑)。まさに “ビールヘッド” な蒲生さんは、今後グランドキリンで造っていきたいビール候補をたくさん考えていらっしゃるのではないかと思います。そんなアイデアはどれくらいのストックがあるのですか?

蒲生:原料面でも無限にありますし、ビアスタイルでもいろいろありますし、とにかくたくさんあります! ホップでも、珍しさとか個性的なホップを使って面白さを出すだけではなく、一般のビールに使われているようなホップで、これまでにない香りを出すことができたらすごく新しいなと思っています。

瀬尾:それは先ほどおっしゃっていた、入れるタイミングで、とかで変えていくというでしょうか?

蒲生:まさにトライしたいと思っていることなので、完全にこれから、で、まだわかりません。でも、ホップをいっぱい使ったり、いままでにないホップを使うことで新しいビールができることはもう当たり前になってきているので、これからはそこをやっていくべきだな、と考えています。

瀬尾:『一番搾りとれたてホップ』で使われているようなとれたて凍結のホップを使ったりするのもおもしろいんじゃないでしょうか?

蒲生:それもおもしろそうですね!やってみたいな(笑)。昔はホップを今のようなペレットの状態ではなく、毬花で造っていた時代もあるので、やれないことはないですよね。ただ、生ホップはすごく貴重なんで、希望してもなかなか回って来ないかもしれません…。でも、アイデアは大募集中です!いろいろ教えてください(笑)

グランドキリン 梟の森

「僕、男子校出身なんで、女性に囲まれてインタビューとか緊張します。」なんて言いつつも、穏やかに、真摯に、そして目を輝かせてインタビューに答えていただいた蒲生さん。公私ともにかなりのビール党で、プライベートでもビールのブレンドをいろいろ試したりしているそう。研究熱心な蒲生さんが生み出す魅力的なビール、これからも楽しみです!(編集員:宮原佐研子)

 

 

最後に嬉しいお知らせが・・・!!


アンケートは 12 月末日をもって締め切りとなりました。たくさんのご応募ありがとうございました。

当選の発表は発送をもってかえさせていただきます。

 

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撮影協力


SPRING VALLEY YOKOHAMA

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ライターの紹介

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宮原佐研子 ライター・エディター

ゴクゴクたしなむBEER LOVER。企画開発の仕事を経て、ビアジャーナリストとしてライター活動中。季刊誌『ビール王国』(ワイン王国)、『クラフトビールの図鑑』(マイナビ出版)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』『ビールの教科書』(宝島社)、グルメサイト「ippin」キュレーター 他

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