初回公開日:2018年6月17日(日)/最新更新日:2024年2月16日(金)
皆さんは「黒ビール」に、どんなイメージを持っていますか?
「甘い」「苦い」「味が濃い」「アルコール度数が高い」「冬に飲むもの」…さまざまなイメージがありそうです。実はこの「黒ビール」、いろ〜んな秘密が隠されているんです。
知っているとちょっとビールが美味しくなる、『今さら聞けない、ビールのはなし』。今夜は「黒ビール」について掘り下げていきます!
黒ビールってどうして黒いの?
まずはビールの原料について知っておきましょう。
ビールの主原料は「麦芽(モルト)・ホップ・水・酵母」の4つです。中でも「麦芽」はビールの味・香り・色の決め手となる重要な原料。
黒ビールが黒い秘密は、「麦芽」にあります。
それでは「麦芽」について深掘りしていきましょう。麦芽を作る工程のことを「製麦」と言いますが、この工程の中に、焙燥(ばいそう)→焙煎(ばいせん) という作業があります。
焙燥(ばいそう)
芽が生えた麦芽を80℃前後の熱風で乾かし、麦芽の成長を止める作業。
この作業のみでできた黄金色の麦芽は「淡色麦芽」と呼ばれ、すべてのビールのベースになります。
焙煎(ばいせん)(*ローストとも言われる)
焙煎後、100℃以上の高い温度で麦芽を焦がす作業。
この2つめの「焙煎」でできる麦芽を「濃色麦芽」と呼びます。
色の違いは焙煎する温度や時間によって変化し、濃色麦芽にも、キツネ色の「カラメル麦芽」、チョコレートのような色の「チョコレート麦芽」、真っ黒な「黒麦芽」など、多くの種類があります。
ここまでお話すれば、もうおわかりですね。
黒ビールが黒いのは、焦がした麦芽を使っているから! です。
とは言っても、濃色麦芽だけで黒ビールをつくっているわけではありません。濃色麦芽は数%〜10%程度しか使われず、焙煎具合の異なる様々な濃色麦芽を使い分け、その配合率を変えることで、いろいろな色や味わいのビールがつくられるのです。
チョコレート麦芽って甘いの?
焦がした麦芽=「濃色麦芽」の中には、「チョコレート麦芽」というものがあります。
チョコレート!何それ甘いの?
と驚くことなかれ。色がチョコレート色というだけで、甘くありません。実際は、香ばしいナッツ風味でほろ苦い味がしますよ。
バレンタインの時期に店頭に並ぶことが多い「チョコビール」は、このチョコレート麦芽を使った黒ビールです。サンクトガーレン有限会社の『インペリアルチョコレートスタウト』が有名です。
サンクトガーレン チョコビールシリーズ
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黒ビールにもいろんな種類があった!
日本では濃色麦芽を原料の一部に使用した、色の濃いビールのことを「黒ビール」と呼んでいます。
ひとくくりに「黒ビール」としていますが、大きく分けて『デュンケル』、『シュバルツ』、『ポーター』、『スタウト』の4つの種類(スタイル)があり、それぞれ製法や味わいが違います。
※緑色の文字は「ラガー(下面発酵)」、水色の文字は「エール(上面発酵)」です。
(1) デュンケル(Dunkel)
ドイツ・ミュンヘンで古くから造られているブラウン色のラガー(下面発酵)ビール。デュンケルはドイツ語で「暗い」という意味です。真っ黒になる手前まで焙煎した麦芽の風味が強く、ホップの香りと苦みは控えめ。口当たりが軽く、まろやかな味わいです。
【商品例】チョコレート・デュンケル(コエドビール)(2) シュバルツ(Schwarz)
ドイツ・バイエルン地方発祥といわれる黒色のラガー(下面発酵)ビール。シュバルツはドイツ語で「黒」という意味です。真っ黒に焙煎した麦芽によるビターチョコレートやコーヒーのような香ばしさがあり、苦みは弱い。色の濃さの割に、すっきりとした味わいです。
【商品例】ヱビス プレミアムブラック(サッポロビール株式会社)
(3) ポーター(Porter)
18世紀はじめロンドンで流行っていたブレンドビールを手本にして生まれた、焦げ茶色から黒色の上面発酵(エール)ビール。ポーターには、やや濃い茶色をしたコクのある味わいの『ブラウン・ポーター』や、黒色でシャープな苦みが特徴の『ロブスト・ポーター』があります。
【商品例】黒船ポーター(合資会社ベアードビールブルーイング)(4) スタウト(Stout)
アイルランド生まれの真っ黒な上面発酵(エール)ビール。スタウトは英語で「どっしりとした、頑強な」という意味があり、ポーターよりアルコールを強化してつくられたのが起源といわれています。真っ黒になるまで大麦や麦芽を焙煎しているため、見た目も真っ黒で、焙煎した大麦や麦芽の苦みが強く、濃厚な味わい。
【商品例】ドラフト・ギネス(輸入及び販売:キリン株式会社)
さらに「スタウト」の中にもいくつか種類があるから面白い! 香ばしいコーヒーの香りが特徴の『ドライ・スタウト』、チョコレート香とカラメル香が特徴の甘い味の『スイート・スタウト(クリーム・スタウト)』や、牡蠣のエキスを入れてつくる『オイスター・スタウト』などがあります。
このように、実はいろ〜んな種類がある黒ビール。ぜひ飲み比べて、自分の好みの黒ビールを探してみてくださいね。
おうちで試して!ギネスのおいしい注ぎ方
黒ビールの代表といえば、ご存知の方も多い『ドラフト・ギネス』。なんといってもベルベットのようになめらかな泡が特徴です。あのクリーミーな泡を家庭でも楽しむためのポイントをご紹介します!
ポイント1:缶のドラフトギネスを買う
缶の中に「フローティング・ウィジェット」という白い球型のカプセルが入っていて、誰でも簡単にクリーミーな泡を作ることができます。
ポイント2:3時間以上冷やす
缶の中のガスをビールにしっかりと溶け込ませるために、短くても3時間は冷蔵庫で冷やしてくださいね。
ここで注意!冷やすのはビールだけにして、グラスは冷やさないでください。
ポイント3:大きめのグラスにゆっくりと全量注ぐ
グラスは45°に傾け、ゆっくりと缶の中味を全て注いでください。高い所から注いだり、わざと泡立てたりしないように。
注いだ直後の様子。細かい泡が下から少しずつ上がってきます。
ポイント4:約2分じっと待つ
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完成!とてもなめらかな泡!
事前に缶を買ってきて、静かに注いで、じっと待つだけ。本当に簡単にできるので、是非、お試しください!
違いを知ってビールをもっと楽しく!
今回は「今さら聞けない、ビールのはなし」第2弾として、「黒ビール」をテーマに取り上げました。飲んでみたいと思った「黒ビール」はありましたか?あなた好みの「黒ビール」を探してみてはいかがでしょうか?
ビールのことを知れば知るほど、よりビールが美味しく、楽しくなります。ビール女子の皆様がよりよいビールライフを過ごせますように。乾杯!
(イラスト:竹内巧)
「ビール女子のためのビール入門ガイド」も合わせてどうぞ!