ビール女子読者の皆さま、こんにちは。京都在住ビール好きイラストレーター、楠木雪野(くすききよの)です。
突然ですが皆さんはビールを飲むときに、何を食べるのが好きですか?ビールを飲むときの大きな楽しみのひとつ、それは「一緒に何を食べるか」=「ペアリング」ではないでしょうか。
今回の入門ガイドでは、知ればもっとビールがおいしく、楽しくなる「ペアリング」についてご紹介いたします。
そもそも、ビールのペアリングって?
「ペアリング=pairing」とは、「2つのものを組み合わせること、またはその組み合わせ」を意味します。食事において使う場合は、「相性の良いお酒と料理を選び、一緒に味わいを楽しむこと」だと言えます。例えばワインなら、肉料理なら赤、魚介類の料理なら白、という基本的な組み合わせ方と相性の良さはすっかりおなじみかと思います。ビールも、相性のよい食べものを合わせることでよりおいしさが際立ったり、楽しみが倍増したりします。
が、しかし、ビールの味や特徴を表す“スタイル”は100種類以上(『ビール女子のためのビール入門ガイド』第4回参照)。一口に「ビールに合う食べもの」と言っても、スタイルが違えば合う料理も当然違ってきます。「どんなビールと何を合わせればいいかよくわからない」「唐揚げや餃子の他にパッと思いつかない…」という方も多いのではないでしょうか。
でも大丈夫!ビールもワインと同じように、「こういうビールにはこんな料理」という王道の組み合わせやコツがあります。そこで今回は「ペアリング」入門のための3つのコツをご紹介します。まずはこの3つのコツを駆使してぜひお試しのうえ、そこから自分の個人的好みを探求していっていただければ幸いです。
その1:同じ色みで合わせる
まずは単純で簡単なコツを2つ。1つめは「色」でのペアリングです。ものすごく大ざっぱな分類ですが、
・色の淡いビール→さっぱり、すっきり、酸味系の味
・色の濃いビール→しっかり、芳醇、濃厚な味
これは、ビールの色は材料であるモルトの焙燥(ばいそう)と焙煎(ばいせん)の度合いで決まるため(『ビール女子のためのビール入門ガイド』第2回、「2.製麦」参照)、その度合いが高いほど色は濃く、味はコクがあり香ばしくなり、逆にその度合いが低いと色は薄く、味はキレのあるさっぱりとしたものになるためです。
そんな味の特徴を表すビールの色に合わせて、淡色ビールにはさっぱりした白身魚や魚介類や豆腐やサラダなどが、濃色ビールには赤身の肉料理や茶色い煮込み料理、チョコレートなどが合う、と覚えてみるのはいかがでしょうか。
その2:同じ発祥国で合わせる
続いて簡単なコツの2つめは「国」でのペアリングです。これは、同じ風土から生まれたビールと料理なら合うはず!という簡単でシンプルな考え方です。ドイツのビールにはソーセージ!イギリスのビールにはフィッシュアンドチップス!といった王道で安定の組み合わせです。
その3:同じ味、または異なる味同士で合わせる
味の特徴をもとにペアリングする場合、①同系統で合わせる、②異なる味で補完したり対比させる、という2つのやり方があります。
同系統で合わせる場合は、甘味×甘味、酸味×酸味、で合わせたり、燻製麦芽を使ったラオホ×燻製料理、がつんとくるIPA×パンチの効いたスパイシーな料理やカレー、ハイアルコールで濃ゆいインペリアルスタウト×濃厚なスイーツ、というふうに合わせたり。
異なる味で合わせる場合は、キレのよいピルスナーやさっぱりしたセゾン×油っぽい揚げもの、甘味のあるヴァイツェン×しょっぱいポテトチップス、などがわかりやすく試しやすいかと思います。
自分の好きな組み合わせを見つけよう!
さて、3つのコツをご紹介しましたが、極論を言うと好きに勝るもの無し!ということで、結局は自分の好きなように合わせるのが一番。上記のコツを取っ掛かりに、しかしとらわれず、自由に試して好きな組み合わせを見つけていただければと思います。そうする中で、新たな理論や意外な法則の発見もあるかもしれません。ちなみに色々試すにあたり、複数でのペアリングを行う場合やフルコースで食事をする場合には、ビールはライトなものから飲み始めるようにしましょう。
自分の場合は、クラフトビールのビアバーやビアカフェに行った際に、飲みたいビールを伝えてそれに合う料理をチョイスしてもらう、もしくはその逆で食べたいものを伝えてビールを選んでもらう、ということもよくします。
私は好きな組み合わせが見つかるとうれしくなり、以降そのビールと料理を合わせる際、ものすごく多幸感が押し寄せテンションがあがります。みなさんもぜひペアリングを楽しんで、ご自分の好きな組み合わせを見つけてみてくださいね。
【合わせて読みたい】