皆さんは普段ひとりでビールを飲むときに、何を観ながら、あるいは聴きながら飲むことが多いですか?
テレビや映画、音楽など、人によってさまざまかもしれませんが、実はクラフトビールと“雑談”の相性はバッチリなのです。
近年耳にする機会の増えた「ポッドキャスト」は、インターネット上で配信されている音声コンテンツが楽しめるサービスで、まさに“雑談”の宝庫。
JR東中野駅から徒歩2分の場所にあるポッドキャストスタジオ「雑談」には、なんとクラフトビアバーが併設されており、ポッドキャストカルチャーに触れながらクラフトビールを楽しめる空間が広がっています。
今回はクラフトビールとポッドキャストの相性のヒミツを探るべく、編集部が取材に行ってきました!
クラフトビアバーを併設するポッドキャストスタジオ
2022年8月、「雑談をデザインする」をコンセプトにオープンしたクラフトビアバー付きのポッドキャストスタジオ「雑談」は、東中野駅北口から徒歩2分ほどの場所にあります。
日中は「高品質な雑談」をクリエイトするポッドキャスト制作会社として、夜は「偶発的な雑談」を生むビアバーとして運営を行っている株式会社雑談ですが、なぜ「雑談」を主軸にした会社を立ち上げることになったのでしょうか?
今回ご案内いただいたのは、株式会社雑談のメチクロさんと、SHIBUさんのお二人。もともとデザインの仕事をされていたそうですが、さまざまなきっかけによりここ東中野に「雑談」を立ち上げたそうです。
ちなみにこの秀逸な「雑談」の文字のデザインは、SHIBUさんが制作されたそう。
「ポッドキャスターはみんなおしゃべりが好きで上手なので、自然と雑談が生まれるような場所を作りたくて、クラフトビールを提供するお店を作ることになりました」
株式会社「雑談」の軸となっているのは、ポッドキャスト文化をより豊かにするために欠かせない要素である「COMMUNITY(場をつくる) / MEDIA(発信をつくる) / PRODUCTION(作品をつくる)」の3つ。
「ポッドキャスト文化を広めたい」「ポッドキャスト業界に貢献したい」という共通の情熱から、まずはポッドキャストに関わる人たちが気軽に集まれる場所を作ろうと考えたお二人。
現在はスタジオ、バーの粋を超えて、ポッドキャストを愛する人たちが集まるコミュニティスペースとしても機能しているようです。
店内に入ると左側にはバーカウンター、奥と手前のエリアにテーブルと席が配置されています。
そして、店内のど真ん中である入り口から入って右側にはポッドキャストの収録スタジオ!従来のクラフトビアバーでは見たことのない設計に驚きます…!
スタジオではなんと、ビールを飲みながらポッドキャスト録音もできちゃうとか!
スタジオとして使用していないときはテーブル席として開放されており、どなたでもお食事やビールなどが楽しめます。
店内の座席は15席ほど。
基本的にはスタンディングスタイルのため20人ほどで満席になりますが、イベント時には30人ほどのお客さんがぎゅっと収まる場合もあるのだそう。
「空間のメインとなるのは、店内中央に設置されたスタジオですね。使用されていないときでもスポットライトが当たっていて、かっこいいスタジオのある空間にしたかったんです」
自然と会話が生まれる空間づくりを目指したという店内。
常連の方々やポッドキャスターの皆さんが集まると、座席が空いているにも関わらずカウンター周りで会話を楽しむ方が多いそうで、皆さんが会話を楽しみに訪れている様子が伺えます。
ひとりで来店したお客様が孤立しないようにスタッフの方も雑談を交えて話しかけてくれるため、1人で来店されるお客様も多いようです。
制作会社としてスタジオを運営しながら、ポッドキャストの制作にも関わっている「雑談」ですが、なぜスタジオにクラフトビアバーを併設することにしたのでしょうか。
多様なカルチャーを通した新たなコミュニティ
「飲食店にはさまざまなスタイルがありますが、クラフトビールのお店は基本的にスタンディングスタイルで、カウンターでキャッシュオンの形式が多いですよね。こうした空間は知らない人同士でも自然と会話が生まれやすい場所になるんじゃないかと思ったんです」
さまざまな会話を楽しむメディアであるポッドキャストと、多様な種類があり、カルチャーとの組み合わせを楽しむクラフトビール。
「ポッドキャスト×クラフトビール」のコンセプトはそうした多様性の観点と、オープンな雰囲気からも相性が良かったとメチクロさんは語ります。
東京は多くのカルチャーであふれている街ですが、「東中野」にオープンしたのにも理由があるようです。
「東中野にお店をオープンした理由は、都内でもあまりイメージの強くない街に新たな場を作りたかったからです。ポッドキャストって、音楽みたいに特定の場所に根付いたカルチャーではないので、どこの街で何が流行っている、という傾向がないんですよね。だからこそ、色のついていない街がいいなと思っていました。物件を探している中で、大久保と中野の間に位置している東中野が目に留まったんです。中央線カルチャーでも山手線カルチャーでもない不思議な街で、『東中野にポッドキャストのスタジオがある』と言えば覚えてもらえそうだったので、この街でスタートすることに決めました」
「雑談」がある通りは元々商店街だったこともあり、商店街風の雰囲気が残っていたり、隣にコインランドリーがあったりするのも魅力的に感じて東中野を選んだメチクロさんとSHIBUさん。
「雑談」には遠方の方はもちろん、近所の方や新宿付近に住んでいる方、隣のコインランドリーに訪れ、洗濯待ちの時間にふらっと立ち寄られる方など、性別も年齢もさまざまなお客様が訪れるのだそうです。
ポッドキャスト×クラフトビールの楽しみ方
「雑談」で常時用意されているビールは、6タップ。
国内のビールは、「Far Yeast Brewing」や「NaraBrewing」、「HOJO Brewing & Stays」など、約5つのブルワリーから。海外のビールはアメリカや北欧、カナダを中心に取りそろえ、国内と海外、半分ほどの割合で提供しています。
ビールのリストは、1・2番が「さっぱり系」、3・4番が「がっつり系」、5・6番が「変わり種」と、3つの基本軸を大切にセレクトされているのだそう。
「5番目と6番目の『変わり種』には、熟成系など少し変わったビールを入れています。一見難しそうに思えるビールも気軽に挑戦してくれるお客様が多くて、意外と人気なんですよ。6種類の中で必ず2つは特殊なビールをそろえつつ、流行りのIPAやさっぱりしたセゾンも提供しているので、その日の気分で幅広い味わいが楽しめると思います」
定番のビールから変わり種のビールまで取りそろえられているのは、ビール好きとしては嬉しいポイントですよね。
今回は「ポッドキャスト」を聴きながら飲みたいビールを2種類ご紹介いただきました!
『Gummy Candy』HOJO Brewing & Stays(ハーフ:税込940円/パイント:税込1,740円)
クラシックハードグミとクラフトビールをフュージョンさせた、「HOJO Brewing & Stays」のHazy Double IPA。トロピカルフルーツが香るジューシーでさわやかな飲み口に、ほど良い苦みがアクセントとなり、ごくごくと飲めてしまいます。
「BEHIND THE MASK」NARA Brewing(ハーフ:税込840円/パイント:税込1,580円)
「雑談」でもトップの人気を誇るブルワリー、「NARA Brewing」が6周年を記念して造ったアメリカンIPAです。パッションフルーツを思わせるトロピカルな香りながら、飲みごたえはしっかり。
ビールは6タップのほか、メチクロさんが厳選している缶と瓶ビールも用意されています。
「お客様にできるだけ変わった体験をしてほしい」という思いから、IPAやサワー、熟成系、さらにはシードルやハードサイダーなど種類は多彩。
ビール以外も珍しいドリンクが多いため、訪れるたびに新しい味わいに出会えるのも、魅力のひとつです。
缶ビールはテイクアウトもOK!店内で飲む際も通常のお店でかかる抜栓料は取らず、テイクアウトと同じ価格で提供してくれるのが嬉しいポイントです。
週替わりカレー「マデラポークマサラ」(ハーフ:税込580円/レギュラー:税込1,160円)
「雑談」の看板フードメニューは、週替わりのスパイスカレー。
週ごとに異なるレシピで、インドやアジア系、中華風などスパイスカレーとしての枠を守りながら、バリエーション豊かなオリジナルカレーが楽しめます。
副菜も工夫されていて、必ず根菜やアチャール(インドのピクルス)などを添えているのだそう。ビールのおつまみは塩辛い味付けが定番とされていますが、「雑談」のスパイスカレーは、塩分と油分を控えめにし、野菜を多めに使っているのが特徴ですよ。
カレーはレギュラーサイズのほか、ハーフサイズの提供も。お腹を満たしたいときはもちろん、本格的なカレーをおつまみサイズで気軽に味わえるのも嬉しいですね。
今回いただいたのはフレンチカレーのレシピで作られたスパイスカレー「マデラポークマサラ」。ごろっとしたポークは口に入れるとほろりと崩れる柔らかさで、スパイスの効いたルーとビールの相性は抜群!副菜の酢漬けの野菜は、お口直しやビールのおつまみとしても楽しめます。
※取材当日のラインナップにより、変更になる可能性があります。
お店で提供されているハーフとパイントのグラスや、Tシャツやパーカーのアパレルグッズなど、オリジナルグッズもデザインが素敵なものばかり。
グラスにプリントされているのは、「雑談」のオリジナルキャラ「おしゃべり怪獣」です。イメージキャラクターが欲しいと思っていたときにメチクロさんが手にした本、シャルル・フレジェの『WILDER MANN』からインスピレーションを受けたのだそう。
「『WILDER MANN』には、世界各地にいるナマハゲのような獣人がいろいろ載っているのですが、この本の中に元になった子がいます。目がなくて大口で、頭は作り込まれているのに足元は隙があるのがポッドキャスターのようだったので、その写真を見た瞬間すぐに決まりましたね」
雑談から生まれる、人とのつながり
「ポッドキャストはラジオと違って、リスナーだけに向けたものではなく、SNSとラジオの中間のようなコンテンツだと思っています。『自分には話すことなんてない』と思っていた人でも、ポッドキャストを聞き進めるうちに『やってみよう!』と思えたらすぐに始められるんです。たとえ1人でも自分の話を聞いてくれる人がいたら、とても嬉しいですよね。ポッドキャストでは、フォロワーが10人いたらそれだけで十分すごいことなんです。日常生活で、自分の話を10人が同時に聞いてくれる機会なんて、なかなかありませんから」
『雑談』ではポッドキャストとクラフトビールを自由に楽しんでほしい、と笑顔で語ってくれたSHIBUさんとメチクロさん。
例えば「ビール好き」な人がポッドキャストを始めた場合、リスナーが求めているのはビールの情報や豆知識だけでなく、人柄が分かるパーソナリティの部分なのだそう。
ブルワリーの特色や物語を知るとクラフトビールがさらにおいしく感じられるように、ポッドキャストが多くの人を引きつけて止まないのは、人にフォーカスしたメディアだからなのかもしれません。
今までポッドキャストを聴いたことのなかった方も、クラフトビールをきっかけにぜひ「雑談」の扉を開いてみてください。「雑談」では多様な人とカルチャー、新たな自分と出会えるはずですよ。
ビール女子のポッドキャストを録ってみました!
雑談|CRAFT BEER & PODCAST STUDIO
〇住所: 東京都新宿区北新宿4-35-3 1F
◯アクセス:JR東中野駅 北口より徒歩2分
◯営業時間:
[STUDIO]12:00〜22:30
[BAR]17:00〜23:00 (LO 22:30)
◯定休日:月曜日、火曜日
◯決済方法:現金、各種クレジットカード、交通系IC、iD、Quickpay、PayPay
◯公式サイト:https://zatsudan.co.jp/
◯Instagram:https://www.instagram.com/zatsudan_co_jp/