1997年の発売以来、ヤッホーブルーイング株式会社(以下、ヤッホーブルーイング)の代表ブランドとして多くの人々に愛されている「よなよなエール」。20周年の節目である今年、初のリニューアルを実施することを発表しました。なぜリニューアルを決意したのか、なぜ今なのか、先日開催された「新・よなよなエール」発表会でその真相に迫りました。
ビール市場にはまだまだ可能性がある
近年縮小傾向にあるビール市場に対して、「私たちはまだまだ面白くできると思ってます。」ときっぱりと言い放つのは、ヤッホーブルーイング代表取締役社長の “てんちょ” こと井手直行さん(以下、てんちょ)。
「ビール酒税の段階的引き下げや、多様で個性的なビールを求める市場のニーズが高まっている背景から確実にクラフトビールへの追い風が吹いていると思います。」とてんちょ。そんな想いからクラフトビール市場をもっと伸ばしていこうと、今回のリニューアルを決意したとのことです。
会場から上がった「なぜこのタイミングでリニューアルなのか?」という声には、「20年間ずーっと理想の味を追い求めてきて、ようやく完成したのが今だからです。」ときっぱり。
「1997年によなよなエールを発売してからずっと、我々が追い求めていた理想の味がありました。醸造ユニットディレクターの森田を筆頭に、今までの技術を結集してようやく理想の味を実現することができました。市場が追い風の今だからこそ、この味を日本のクラフトビールシーンに提案したいと思っています。」と力強く話していました。
実は2年前に完成していた!?
今回のリニューアルについて、「今からちょうど10年前の2007年に、本格的な味の改善プロジェクトがスタートしました。」と語るのは、醸造責任者の“もーりー”こと森田正文さん(以下、もーりー)。
「理想の味はあったんですが、当時の我々にはノウハウが無く、アメリカやドイツ、イギリスなどへ行き、現地のブルワーとディスカッションを重ね、基本からビール造りを見直しました」とのこと。
驚いたのが、「実は2015年に一度レシピは完成していた」というもーりーさんの言葉。「当時これで行こう、となったのですが、僕が “待った” をかけました。この状態で今のお客様たちに喜んでもらえるだろうか、という疑問が残っていたからです。」ともーりー。一切妥協をせず、ただ一心に理想の味わいを追い求めてきた強いこだわりを感じられました。
これが生まれ変わった「よなよなエール」
さて、新しく生まれ変わった「よなよなエール」、アロマホップを増量したというだけあって、グラスに顔を近づけるととにかく鮮烈なホップの香りが鼻を通り抜けます。ただホップの主張が強すぎるというわけでもなく、グレープフルーツのような柑橘系のアロマも感じられ、すっきりと爽やかな印象。
これまでの「よなよなエール」がモルト由来の甘みが強く感じられたのに対し、苦味とコクがバランスよく感じられ洗練された味わいに変わったような印象を受けました。最初から最後まで豊かなホップの香りが口を支配し、飲み終わった後も余韻を楽しめます。
あたらしい味で、クラフトビールの真ん中へ
今回のリニューアル後の「新・よなよなエール」のキャッチコピーは「あたらしい味で、クラフトビールの真ん中へ」。ビールの多様なスタイルの中でもアメリカンペールエールの正統派の味を追求することで、クラフトビールを飲んだことのない人にもクラフトビールを知ってもらい、市場を拡大したいという想いが込められています。
「クラフトビールが爆発的に流行っているアメリカのように、日本のクラフトビールブームの起爆剤になりたい」と語るてんちょ。現状に満足せず進化を続ける、ヤッホーブルーイングらしい攻めの姿勢が印象的でした。
ヤッホーブルーイングの力強い進化を感じられる新「よなよなエール」。クラフトビールを知っている人も、まだ知らない人も、きっと新鮮な驚きをもたらしてくれるはずです。