Bar 【静岡・用宗】全部屋タップ付きの“泊まれる醸造所”に行ってきたら、町ごと好きになった

2024/05/31

sponsored by The Villa & Barrel Lounge
旅をする目的って何ですか?

観光地を巡りたい。その土地の名物を食べたい。美術館をめぐりたいなど、さまざまあるのではないだろうか。

ビール好きなら、ブルワリーをまわったり、ビアバーを巡るなどの“ビール旅”をしたことがある人も少なくないはず。

そんなビール旅をする人にとってこの上ないほど魅力的なホテル、「The Villa & Barrel Lounge」を知っているだろうか。


2022年に“泊まれるブルワリー”“客室にビアタップ”など、心がぐっと惹きつけられるワードが目を引き、オープン当初は予約も困難になっていた静岡県用宗に醸造所を構えるWest Coast Brewing(以下、WCB)直営のホテルだ。実際にビール女子編集部メンバーも「行きたすぎる!」と話してはいたものの、予約がとれず断念していた場所だ。

そんなとき、「ビールに浸る旅をしませんか?」というようなメールが届いた。送り主は「The Villa & Barrel Lounge」の方だった。

「ぜひ!」と即答した私たち。「憧れていたあのホテルの部屋で、ビアタップからビールがたくさん飲めるのかぁ!」とそれを一番に期待して向かったのだが、旅が終わってみるとそれは、ビール旅の魅力の一部に過ぎなかったのだ

今回の記事では、実際のビール旅の行程をなぞりながら「The Villa & Barrel Lounge」の、そして用宗の魅力をご紹介していきます。


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品川から約1時間で


東京・品川駅から新幹線ひかりに乗り、富士山を横目に見ながら約50分で「静岡」駅へ。その後、JR東海道本線に乗り換え、2駅目の駅「用宗(もちむね)」駅で降りた。意外に近い!仕事へ向かう1時間と比べてワクワク度が雲泥の差。こんなにワクワクする1時間だったら毎日でも通いたい。

久々に見た空の広さを感じながら深呼吸をする。車や人の声などの音はなく、かすかに遠くの鳥が鳴く音が聞こえる。

駅を振り返ると、白と赤の小さくかわいい駅で、普段住んでいる土地から遠くへ来たことを感じさせた。


駅を背にしてまっすぐに伸びた道に目を向けると空に抜けている。海に続いているようだ。

“海のある町に来た”ことに心を躍らせながら、住宅街を歩いて行く。途中で小道を通り、犬を連れたご婦人と挨拶を交わしながら歩いて約12分後、これまでの町の雰囲気とは打って変わってスタイリッシュな建物が目に飛び込んできた。


この場所こそが、今回の“ビール旅”の目的地である「The Villa & Barrel Lounge」。


この建物、じつは元々フランス料理店だったのを居抜きして、ホテルとタップルーム仕様にした建物だそう。外からも当時の名残の煙突が見える。

到着するやいなや、おしゃれな風貌のお兄さんに声をかけられた。この方が、ホテルの支配人である黒木龍太さんだ。


黒木さん「とりあえず何か飲みますか」

何かとは、もちろんビールのこと。さっそく、黒木さんおすすめのビール『Shimokita Lager』で「はじめまして」の乾杯をした。


今年の「シモキタ CRAFT BEER FEST」へ初出店するにあたり、出店する関東中心のブルワリーメンバーが用宗に集合してつくられたビール。春を感じさせるようなフレッシュなフルーツやシトラスの香り。まろやかさも兼ね備えており、するすると飲めてしまうドリンカブルでドライなラガーだ。

ホテルに到着したのは15時過ぎ。太陽も高い時間から飲むのにもぴったりな爽やかさが、旅の疲れを癒してくれる。


憧れの“あのホテル”の室内へ


改めてまじまじと室内を見てみると、とても洒落たつくりだということに気づく。ホテルの1階は、タップルームとバレルラウンジ、ホテルの部屋が一部屋。カウンター席やスタンディング席、外にはテラス席も設置されている。


タップルームは宿泊者でなくても利用でき、近所の方や遠方からふらっと立ち寄る方なども多いそう。2階はすべてホテルの部屋になっている。


入って左側はバレルラウンジになっていて、インテリアの木樽が落ち着いた雰囲気を醸し出している。

WCBが手がけるバレルエイジドビール(ウイスキー樽やワイン樽でビールを長期熟成させること)に特化したブランド「GMT+9」は、もともとはこのホテルだけで提供の予定だったそうだが(そのため名前に「BARREL LOUNGE」とある)、現在は他店舗でも提供している。

ちなみに、実際にビールが入ったバレルエイジドビールは、醸造所近くの秘密の倉庫にて大切に保管されていて、日の目を見る日を今か今かと待ち侘びているとか。


さっそく、今回宿泊させていただく部屋に案内していただくと、階段を登りきったところにWCBのキャラクターHop Dudeが描かれていた。

イラストを手がけたのはアーティストのKAC(ケエシ)さん。ホテルオープン前に一ヶ月ほど泊まり込みでホテル中の絵を完成させたとか。ちなみにめちゃくちゃお酒が強いそう!


じつはこの壁画はWCBが初めてリリースした銘柄であり、フラッグシップビールとして今でもつくり続けられている『Starwatcher』をモチーフにしたもの。そして、5つある部屋それぞれには、「Starwatcher」にまつわるストーリーが描かれていて、すべて違うデザインになっている。


絵の中でHop Dudeが写真撮影の相談をしていたり、真正面から見ていたり、子供と眺めていたり。すべての部屋に泊まらないと完成しないストーリーのため、気になる方は全部屋の宿泊必至!


そんなお話を聞きながら辿り着いた今夜のお部屋には、「MOSAIC」という名前がついていた。

勘の良い方ならお気付きだろうが、「MOSAIC」はホップの名前。その他の部屋も、「STRATA」「CITRA」「EL DORADO」「NELSON」とすべてホップの名前というのもビール好きにとっては心をくすぐられるワードが並ぶ。


ルームキーにも部屋名が!(ちなみにこのルームキーは栓抜きにもなる)


「MOSAIC」ルームに入ると「うわ〜!」と思わず声が出てしまった。オープン当初から見ていた“あの憧れの場所”に来たのかという感動と、素敵すぎる空間だという感動が一気に押し寄せてきたのだ。一歩部屋に入るとブルーの壁が鮮やかで、さきほどの「Starwatcher」をめぐるHop Dudeのストーリーの一場面が壁一面に描かれている。

ちなみに5つある部屋は、ホテル近くにある駿河湾の海をイメージしたブルーか、ビールをイメージしたイエローのどちらかだそう。


そしてそして、今回のビール旅の目玉であり、ビール好き歓喜のビールタップについに出会うことができた!

部屋のビールタップから注がれるのは、ホテル宿泊者限定につくられているビール。客室ビールの銘柄は不定期で変更になりますが、この日設置されていたのは『Villa_Original_16』という5.0%のHazy Pale Aleだった。


お部屋到着記念にさっそく注いでみた。タップから注ぐのが久々すぎる筆者は泡あわになり大失敗したが、同行した編集部メンバーはさすがの注ぎっぷり!うまく注ぐコツはレバーを倒し切ること。最初はうまく注げなくても、一晩泊まれば注ぐのも上達するでしょう!


パイナップルのような香りに癒されながら一口飲むと、グレープフルーツや桃のようなジューシーさ。後味にほのかに苦みを感じます。満足度はありますが軽い口当たりのため、飽きることなく飲み進められるのも嬉しい。また、10Lの飲み放題で設置しているビールのため、アルコール度数は5.0%と低めに設定しているそう。飲みきれない場合はグラウラーなどに入れて持ち帰ってもOK。


アメニティーや設備も充実している。最近導入されたという室内着は、2年ほどの歳月をかけて完成したというユナイテッドアローズとのコラボ着!ユニセックスで七分袖。ゆったりとしたデザインで、素肌で着てもストレスないのが嬉しい。


ポケットの部分にはHop Dudeの刺繍があり、袖の部分には「West Coast Brewing」の文字が縫い付けられているこだわりよう。ビールを飲みながらゆったりと部屋でくつろぐにもってこいなデザインだ。


室内で飲める用のコーヒーセットも完備。自分でコーヒーミルで豆を挽いてコーヒーを淹れるという贅沢な時間を体感できる。


コーヒーマグは静岡の丸子匠宿に依頼して作られたオリジナルだとか。和の雰囲気の中にもWCBらしさが出ていて、両手でほっと包みたくなる味わい深いマグ。

冷蔵庫の中に鎮座する缶ビールも見逃してはいけない。ホテル宿泊者用限定で置かれているので必ずチェック!(飲む場合は料金追加支払い)

また、お客さんからの声により取り入れられた、滞在中に荷物を持ち運びできる麦芽が入っていた袋でつくられたトートバッグや、ビールに合うスナックが用意されているなど、見るものすべてに細やかな気遣いやこだわりが詰まっていると感じる。


今回の“ビール旅”の一番の目的であった「ブルワリーに泊まりビールが飲み放題」の部屋は、ホテルにこもってもビールをぞんぶんに味わうことができるものだ。

ただ、この場所に来てわかったのが、まだまだ行かなければいけない魅力的な場所が用宗にはたくさんあるということだ。後ろ髪をひかれつつ、次に、WCBのビールがつくられている場所へと向かった。


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道の向こうのブルワリーにて


ホテルを出て道の反対側にある「用宗みなと温泉」。じつは、WCBの醸造所はこの施設の中にある。

温泉施設内に醸造所が建てられた経緯を辿ると、WCBの代表のバストン デレック氏がもともと建築家であることに遡る。

用宗みなと温泉の設計を任されたデレック氏。だが、もともと別の事業として飲食店も経営していた。アメリカのシアトル出身であるデレック氏は、「アメリカの美味しいビールを日本で飲みたい」「いつかブルワリーをつくりたい」という構想を胸に飲食店を経営していたそうだ。

そんななか、用宗みなと温泉の建築や設計に携わる中で、敷地内に空きスペースができることが判明。ブルワリーをつくりませんか?という声がけを受けて、念願のブルワリーを立ち上げたそうだ。


すてきな偶然により温泉施設内に建てられたWCBの醸造所では現在、土日限定でブルワリー見学ツアーを開催している。私たちもスタッフの冬馬さんにブルワリー内を案内していただいた。


醸造所内に一歩足を踏み入れると、ぴっかぴかの醸造タンクがずらーっと並んでいる。入り口にあるのは、バレルエイジドビールをミックスさせておくタンク。また、飾られている国旗は、現在いる8名のWCBのブルワーたちの国籍だとか。

さっそくブルワリー見学開始!まずはビールづくりの最初の工程であるモルトルームへ。たくさんの麦芽が所狭しと並べられているなかに、お米の籾殻も一緒に置かれていた。

冬馬さん「粉砕した麦芽に籾殻を混ぜることで、麦汁を濾過するときにスムーズに工程を行うためのスペーサーとしての役割を果たします。使用された麦芽粕などは一部農家さんにお渡しし、再利用されています」

驚いたのが、すべてのWCBのビールづくりが、4畳半ほどのモルトルームから始まっていること。部屋の隅に置いてある小さな麦芽粉砕機からすべてのWCBのビールがつくられているそうだ。


タンクは1,000Lのタンクが1基(ホテルの飲み放題ビール用)、2,000Lが3基、3,000Lが6基、4,000Lが2基を設置。毎週2〜4種類をリリースしているため、常にフル稼働。ビールをつくる仕込み水は、地下から組み上げられた水を使用している。

冬馬さん「ケトルタンクは麦芽を取り除いた麦汁を煮沸するものです。スタウトは通常のつくりかただと60〜90分ほど煮沸して終わるところが、WCBでは最低でも6時間以上は煮込むため、特徴であるとろっとした口当たりのビールになります。24時間や36時間、4周年ビールは44時間煮込み続けましたね。吹き出してしまうので目が離せないという理由で、ブルワーは寝袋を醸造所内に敷いて寝泊まりして見守ることもあります」

さらに、WCBのビールの特徴を形作るもののひとつがホップバックという装置。煮沸した麦汁を発酵タンクに移す直前、2キロほど入れたホップバックを通してホップの香りをつける装置。ホッピーな香りをつけたまま発酵タンクに移すことができ、WCBのこだわりのひとつだとか。

冬馬さん「原材料自体にもこだわっていて、社長自らアメリカやニュージーランドなどへ出向き直接業者に掛け合って、良いホップを使わせてほしいと交渉しています。少し前の『Starwatcher』からはやっと一級品のホップが使用できるようになり、“味も香りもハネる”ようになりました」

また、ビールの醸造段階で出てしまうオフフレーバーの分析は機械で判断するのではなく、ブルワーの舌で最終判断するそう。ブルワーが集まり全員で試飲して、全員が納得のいく味になるまでリリースはしないそうだ。最終的に人が飲むからという理由もあるそうだが、人の舌で最終判断するのも、クラフトを感じるエピソードのひとつだ。

設備のこだわり、原材料へのこだわり、ビールづくりへのこだわりが存分に感じられるブルワリーツアーは満足度120%!しかもタップビールの割引券がついてくるのも嬉しい。お話を詳しく聞いた後のビールはよりありがたみを感じ、その一杯がおいしく感じられるのは必然だった。


夕食はタップルームで


醸造所から出ると、あたりはすっかり夕暮れ時。夕食は、ホテル1階のタップルームでいただくことに。

カウンター席につくと先客が。WCBのブルワーさん達だ。その場にいるみんなでたわいもない話をしていて、WCBの皆さんのいつもの光景なのかと思いきや、あとで黒木さんから聞いたところによると、じつはWCB内で一緒に飲んだりということはあまりないそうで、なんとも貴重なタイミングに出会していたことも嬉しい時間だった。

さて、どのビールを飲もうかとビールメニューを見る。タップルームでは全16タップ、常時10種類前後のクラフトビールを提供していて、缶の持ち帰り販売やグラウラーの量り売りも行っている。

この日は16種類がフルで繋がっていたこともあり、迷った挙句、4種飲み比べのスーパービアフライト(税込2,700円)を注文した。お客さんの中には4人で来てそれぞれ違う種類のビールをビアフライトで注文し、他の人の味見しながら全種類制覇!する人もいるそうだ。

画像左から『MU』、『Starwatcher』『GMT+9 Sudden Inspiration-2023-』『GMT+9 Resourceful Revelation』

「MU(ム)」
見た目にもわかるヘイジートリプルIPA。マンゴーのようなトロピカルな香りと甘味がありとろ〜りとした口当たりながらもするすると飲めてしまう味わい。にも関わらずABV10.5%と、なかなかのハイアルコールで危険で甘美なビール!

「Starwatcher」
WCB初醸造のフラッグシップビール。このホテルにもストーリーが散りばめられている特別なビールのため、絶対にこの場所で飲もうと決めていたビールだ。シトラ、シムコー、モザイクホップをたっぷり使用したWest Coast IPAで、グレープフルーツの香りを存分に感じつつ、口に広がる甘みと、ふわっと感じる苦みが心地よい余韻を感じさせてくれる。WCBはじまりの地ではじまりのビールを飲むというエモ。

「Sudden Inspiration-2023-」
GMT+9シリーズの一つ。24ヶ月じっくりと醸造されたBA Sourで2バッチ目のもの。最近個人的にサワーにハマっていることもあり、口に運ぶたびに「おいしい」と呟いていた一杯。桃を感じる香りに癒され、桃やアプリコットのような甘みとレモンなどの酸味を思わせる味わいがふわっと口いっぱいに広がる。

「Resourceful Revelation」
こちらもGMT+9シリーズの一つ。コロナ禍により、それまで売れ筋だったヘイジー系のビールがなかなか売れなくなってしまい、ブルワーさんたちが「木樽で熟成させよう」と考えつくられたビール。ヘイジー3種がブレンドされ24ヶ月じっくりと熟成された、ブルワーさんたちの名案も光る一杯。

お料理のラインナップも充実!地元の素材を使用したメニューもたくさんあった。


「Fish &Chips w/Special Sauce」(税込1,100円)静岡産のマグロを使用した人気No.1メニューは、満足度が高い!抹茶の風味をほどよく感じて旨みをぐっと感じる。


用宗港の名物の生しらすを使った「生しらすポン酢」(税込800円)は、地元ならではの新鮮さと一匹いっぴきの大きさに驚き!ゆずポン酢の効いた味わいとぷりっぷりな新鮮さはお酒のつまみに最高。


「桜エビと春野菜のケサディーヤ」(税込1,100円)は、桜エビの香ばしさがあとを引き、薄皮なのでぱくぱく食べてしまう。


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一番はおいしいビールをつくること


ビールに料理に舌鼓を打ちながら、WCBの軌跡をお伺いした。

黒木さん「僕らは2019年7月からビールをつくりはじめたんですが、すぐにコロナ禍に入っちゃったんですよね。そのとき、樽は売れないけど、BtoBからBtoCに切り替わった時だったんです。

僕らのオーナーはアメリカ人で、アメリカでは缶ビールという文化が普通にあったんで、缶で販売しようというのは最初から決めていて。なので創業初期の段階でカンニングマシーンを導入し、すぐに缶での販売を初めていたので全国流通できたのは大きかったですね」

500mlの缶は今では「ちょっと多いから飲みづらいよね」と言われるそうだが、販売をはじめた当時は日本で500mlのビールを売っているところは少ないこともあり目立ち、手に取りやすいというのがあったそうだ。

味のクオリティーは間違いない上で、500ml缶で販売したことで、多くの人の手に渡ることになったとか。


そんなことを考えていると、ふとWCBが目指している場所はどこなのかという疑問が湧いて、黒木さんに聞いてみた。

黒木さんご自身はWCB開業当初から関わっているそうだ。以前はコーヒー屋さんでバリスタをしていたそうだが、働いていた先にデレックさんたちが来店し、意気投合して引き抜きのようなかたちでジョインしたのだとか。


黒木さん「会社の代表はデレックですが、副社長とふたりでひとつのような感じで会社を経営しているんです。二人経営だと喧嘩することもあるのではと思われるかもしれませんが、本当にそんなことは全くなくて、仲が良すぎるくらいなんですよ。

お互いの担当が違うこともあり、物理的に同じ場所にいることは少ないんですが、常に連絡を取り合っているんです。ふたりともフランクで同じ方向を向いて大事なところはふたりで決めつつ、細かいところは僕たちに任せてくれるんです」


また、デレックさんはお客さんとの距離を誰よりも大事にしているため、イベントにもよく顔を出しているそう。

黒木さん「まずビールの味がおいしいことが大前提。そして、そのビールを飲んでくださるお客さんへのアプローチをすごく大事にしているので、先日の下北のフェスも、デレックが2日間とも顔を出していたほどです。また、YouTubeライブも4年くらい行ってるんですが、固定で見てくださるファンとのやりとりも大事にしています。

だから、『どこをゴールとしているのか』という問いにはお答えできないんですが、クラフトで、あたたかくて、人を大事にしていて、自分たちがダサいと思うことはしない、僕らが正しいと思ったことをやり続けるという感じですね。だから僕たちも、働いていておもしろいなと思っているんです」


温泉で一日の疲れを癒す


濃く楽しい時間を過ごしていると、いつの間にか夜の22時近くに。黒木さんたちと別れ、23時に最終受付の用宗みなと温泉にかけこむ。

ちなみに、ホテル宿泊者には「用宗みなと温泉」の温泉入浴券がついてくるので、さんぽして、飲んで、食べて、温泉という一連の最高の流れが気軽に体験できる。

平日のこの時間でも人で賑わっていた温泉は、1日の疲れを癒す場でもあり、人と人との交流の場にもなっているのかもしれない。

ちなみに入口のロビーからは、WCBの醸造所のタンクが覗ける。もちろん、温泉も最高だった!

夜も更け、用宗を体いっぱいに感じた私たちは、温泉上がりにタップからビールを飲み、最高のビール漬けの今日を思い返しながら、眠りについたのだった。


朝ごはんは、アメリカの絶品ソウルフードで


ゆっくりめに起床した私たちは、1階のタップルームへ降りて行く。


人気No.1メニューであり、アメリカのソウルフードである「Waffle with 1pc Fried Chicken,Bacon & Egg」のハーフ(税込1,000円)と「Morning Plate」(税込700円)を頼んで席に着いた。

開放感のある窓から差し込んでくる光が心地良い。


ワッフルはまわりはさっくさく、中はふっわふわ。ベーコンのカリカリ具合や君の半熟具合なども絶妙で、頬が落ちそうになる。フライドチキンは中はジューシーで衣がサクッ!朝からチキンを食べた経験は未だかつてなかったが、意外とぺろりと食べてしまった。


一緒に出てくるワッフルのソースは3種類。メープルシロップに加え他のふたつはなんとWCBのビールを煮詰めて作られているそう。甘いだけじゃなく、何か奥深い味わいはビールで作られているからかも。もちろんワッフルともとても合って、最高な1日の幕が明けたのだった。

タップルームは7:00からオープンしているため、昨日飲めなかったビールを朝に楽しむのもおすすめ。


部屋に戻ったら、ビールの注ぎ納め。グラウラーでの持ち帰りも可能なので、飲みきれなかったビールはぜひグラウラーで持ち帰ってほしい。家に帰っても、ホテルで飲んだビールを味わいながら、旅を振り返ることができるからだ。

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ぶらぶら楽しむ用宗さんぽ


ここで、黒木さんからご提案が。

黒木さん「用宗をさんぽしませんか?」

すてきなご提案にもちろん「ぜひ!」と答え、さっそく外へと繰り出した。

黒木さん曰く、「West Coast Brewingのビールやホテルを堪能していただきたいのはもちろんだけれど、WCBがある用宗を楽しんでほしい」ということのようだ。


ホテルを出て右に曲がり、さらに右折すると長い一本道。この道は海岸から一本内陸に入った道で、道沿いにはさまざまな店が軒を連ねている。

「LA PALETTE」というジェラート屋さんで地元の素材を使ったジェラート(しらす味など!)を買ったり、「日本色」という一棟貸しの宿泊施設を眺めたり。

そうしてぶらぶらと歩きながら、黒木さんに教えていただいたのは、用宗の町のことだった。


しらすが有名で、ブルワリーの目の前に漁港があること。

町の人たちがみんな優しいこと。

大崩海岸の向こう側ではサーファーが波を楽しんでいること。

用宗海岸の砂浜は砂利なこと。

港の漁港の先には海賊船の遊具がある芝生が広がっていること。

地域猫がいて町の人たちに愛されていること。


さまざまな用宗にまつわるお話を聞きながら海岸へ向かうと、あっという間に海へと抜ける道に辿り着いた。


海岸沿いの駐車場はまだ海水浴シーズンではないにも関わらず、たくさんの車が停まっている。聞くと、海岸への車の出入りは自由なようだ。


海沿いでは犬のさんぽをしている人やジョギングをしている人、浜辺ではしゃぐカップルなど、思い思いの時間を過ごす人たちがいた。


ふと、黒木さんが「このあと海を見ながらビールでも飲みましょう」と、グラウラーを取り出す。

グラウラーはホテル宿泊者に貸し出しているものだそう。


グラウラーに入っていたのは、『Sidechain Series 05』。ビアスタイルはアメリカンペールエールで、ふわっとシトラスのような香りに、すっと喉をとおる口当たりでするすると飲めてしまう。しっかりとグラウラーに入っていたため冷たさはばっちりキープされ、シュワっと喉を刺激する炭酸が爽やか。海風と海のにおいを感じながら、ちょっと歩いたあとの海辺での一杯にベストなビールだ。

ビールを味わい、たわいもない話をして、打ち寄せる波と潮の香りを感じながら、「こんなにゆったりとした時間を過ごしたのはいつぶりだろう」と思いにふけるーー。うん、最高。


一緒に暮らす、“もちむねこ”たち

さて、“ビール旅”の最上級の癒しを体感したところで、用宗さんぽを再開!

折り返しの道を歩いていると噂の猫に遭遇した。The Villa & Barrel Loungeのインスタでは、用宗で暮らすねこたちを「もちむねこ」としてストーリーで紹介されている。地域の方だろうか、自然にその猫に歩み寄り、頭を撫でていた。

その光景にも癒されながらさらに歩くと、WCBのブルワーの方々が焚き火をしながら和気藹々とビールを紹介するショート動画の撮影をしているところに遭遇した。


さらに進むと、もう黒のもちむねこに出会った。その猫は近くで談笑する方のそばで駐車場のど真ん中に陣取って座っていた。近くに置いてある椅子の中には、猫専用のものもあるようだ。

その黒猫に挨拶をしてみるとすっくと立ち上がり、草が茂る小道に入っていく。


「あー行っちゃった」と思った瞬間、その猫は振り返ってじっと見つめ返してきた。その光景はまるでアニメのワンシーンのようで、誘われていると信じた私たちはその猫の後を追うと、いつの間にか元の道に戻っていた。


用宗に行けば町ごと好きになる


チェックアウトを済ませ、黒木さんとホテルに別れを告げて帰路につく。駅までの道すがら、何度「最高だったね」と呟いただろう。


静岡駅に着くとすぐにWCBの直営ビアバー「12 - twelve」へ立ち寄っていたのは、今回のビール旅が終わってほしくないと思っているに他ならなかった。


家に帰り、お土産のビールを味わいながら振り返ったのは、用宗の町をめぐったビール旅の行程だった。

「ホテルの部屋でビールをたらふく飲むぞ!」と息巻いていた旅をする前の私はどこかに消えていて、「ホテルの部屋でビールを飲むのも最高だけど、さんぽも、海岸で飲むビールも、醸造所も、しらすも、タップルームも、富士山も、そして人も最高だったぞ!」に変わっていた。つまり、用宗という町ごと好きになっていたのだ。

目的を決めて旅に出たとしても、意外な出会いにも心が動かされるのが旅の醍醐味だ。今回はそれを身にしみて感じた旅だった。

この記事を読んでくださった方は、安易に“ビールに浸る旅”に来てほしい。たぶん旅が終わるころには、West Coast Brewingのビールがもっと好きに。そして、用宗の町ごと好きになっているはず。


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 THE VILLA & BARREL LOUNGE

〇住所:〒421-0122 静岡県静岡市駿河区用宗2丁目26-1
〇アクセス:東海道線 用宗駅から徒歩約12分
〇電話番号:0524-270-3083
〇公式HP:https://thevillamochimune.com/

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山吹彩野 編集・ライター

星の準ソムリエの資格を持つ星空エディターで、星や宇宙を編集して伝えるWEB SPACE「星とくらす」を運営。最近では星を眺めながら、ビールと宇宙をつなげたいと日々考えている。好きなビアスタイルはIPA。音楽、カメラが好き。

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