早いもので、今年で震災から7年が経過します。各地で甚大な被害が起きてしまったことは周知の事実ですが、ビールの醸造においても例外ではありませんでした。
被災した、していないにかかわらず、私たちは2011年3月11日に起きた出来事を決して忘れてはいけません。
そんな中、2018年3月7日(水)にスプリングバレーブルワリー東京(以下、SVB東京)にて行われた、第8回「東北魂ビールプロジェクト」による『東北魂的IPA』の発表会にお邪魔してきました!
「東北魂ビールプロジェクト」とは、東北のブルワリーが集結し、お互いに技術を高め合うことを目的として活動しているものです。東日本大震災をきっかけとして、2013年にスタートしました。
第8回目となる今回のイベントでは、それぞれのブルワリー同じレシピで作ったという「東北魂的IPA」が発表されました。
「東北魂ビールプロジェクト」の発足から現在に至るまで
いわて蔵ビール代表の佐藤さんによると、東日本大震災によってビールをつくる蔵が崩れ、工場が壊れるなどの被害を受けたブルワリーもあったそう。
そんな中全国のクラフトビールファンから受けた支援に感激し、何か恩返しをしたいという思いから「東北魂ビールプロジェクト」を立ち上げたことが始まりです。
当初は「いわて蔵ビール」「あくらビール」「福島路ビール」の3社で活動を行っていましたが、プロジェクトの趣旨に賛同するブルワリーが少しずつ増えていきました。
現在は上記3つのブルワリーの他に、「仙南シンケンファクトリー」「遠野ズモナビール」「やくらいビール」「田沢湖ビール」「スプリングバレーブルワリー」が参加しています。
各ブルワリーが同じレシピで作った「東北魂的IPA」
「東北魂ビールプロジェクト」では、それぞれのブルワリーがあえて同じレシピで同じビール「東北魂的IPA」を作ります。
もっとも特徴的なのは、共通して使われている東北産ホップ「IBUKI」のほんのりと甘い柑橘のような香り。実際に飲んでみたところ、上質な苦みの中にもシャープなキレがありました。後味がすっきりとしてとても飲みやすかったです。
8社がつくった「東北魂的IPA」を飲み比べてみる
SVB東京の取り組みに関する説明や質疑応答を経て、それぞれのブルワリーが同じレシピで作った「東北魂的IPA」を飲み比べてみます。
東北産ホップ「IBUKI」の香りの強さやすっきり感、苦みや色の濃さなどがそれぞれ全く異なり、同じレシピで作ったとは到底思えません。
こうした違いをキリンビール仙台工場が科学的に分析し、改善点を導き出すことでそれぞれのブルワリーが技術の向上をはかっています。
「自分たちにできる恩返しは、よりおいしいビールを作ること。東北魂ビールプロジェクトは販売目的ではなく、あくまでも勉強のためにやっている。」といういわて蔵ビール代表、佐藤さんの言葉がとても印象的でした。
それぞれのブルワリーが抱くビールへの想い
続いて各ブルワリーの代表者の方による挨拶が行われました。
震災によって受けた被害はそれぞれ異なるなかで、全員に共通する願いは「震災からの復興」、そして「支援をしてくれたクラフトビールファンへの恩返し」だということ。
クラフトビールづくりのこだわりはもちろん、地元・東北に対する熱い想いが伝わってきます。
SVB東京ではドネーション企画を開催
東京都、代官山にあるSVB東京では、「東北魂的IPA」1杯あたり10円を宮城県石巻市で活動する「石巻ファーム」に寄付するドネーション企画を開催中です。
このほかにも、「東北魂的IPA」は全国100ヵ所以上の飲食店で展開される予定。お店などで見つけたら、ぜひ東北の醸造家たちの想いを感じながらじっくりと味わってみてくださいね。
第8回東北魂ビールプロジェクト『東北魂的IPA』発表会
○日時:2018年3月7日(水)
○場所:スプリングバレーブルワリー東京
○参加ブルワリー:いわて蔵ビール、あくらビール、福島路ビール、仙南シンケンファクトリー、遠野ズモナビール、やくらいビール、田沢湖ビール、スプリングバレーブルワリー
○「東北魂ビールプロジェクト」Facebookページ:https://www.facebook.com/tohokubeerproject/