ビールの名前やラベルには造り手のさまざまな想いが込められています。あなたが手に取ったビールには、どんなストーリーが隠されているのでしょうか。隠されたストーリーを知れば、もっとビールが楽しくなるかも。ということで、前回に引き続き、今回は4種類のちょっと変わった名前やラベルのビールについて紐解いてみました。
■前回の記事はこちら
ちょっと変わった名前のビール~名前とラベルにまつわる素敵なストーリー~
https://beergirl.net/storyofbeername_2_c/
ビールで一息つきませんか?
『コビルビール』
浮かない表情のピンク色のクマが描かれた「コビルビール」は岩手県盛岡市のベアレン醸造所のビールです。社名の「ベアレン」は、ドイツ語で「熊(複数形)」を表し、熊が生息する岩手県の自然と力持ちの職人をイメージしたもの。
ベアレン醸造所の北山本社ブルワリーには、ドイツ南部の街から日本へ船で運んだ100年以上前の醸造設備があり、今もマイスターが仕込みを行っています。また、麦汁を冷却槽で時間をかけて放冷させるという、ヨーロッパの伝統的製法でクラシックビールを造っているのも特徴の一つ。
「コビルビール」は夏の限定ビールとして醸造され、ベルギー発祥の「セゾン」というスタイルのビールです。セゾンはベルギーの農家が夏の農作業の合間に飲んだビールが由来と言われており、岩手の内陸部の方言で「農作業の合間の小休憩のこと」を表す「小昼(こびる)」という言葉をビール名に採用したそうです。原材料には岩手県産の「南部小麦」を使用。
ラベルにはかわいらしい熊のイラストで、なにやら頭上にモヤモヤが。このモヤモヤは煮詰まった状態を表し、さわやかな飲み口の「コビルビール」を飲んで気分転換をしましょう!という意味が込められています。
農作業の合間に飲まれていたというビアスタイル「セゾン」と、農作業の合間の小休憩という意味を持つ「こびる」。これ以上にないくらいピッタリな組み合わせですね。農作業はしなくても、行き詰まった時には「コビルビール」を飲んでほっと一息つきましょう。
コビルビール
〇醸造所:株式会社ベアレン醸造所
〇ビアスタイル:セゾン
〇原材料: 麦芽、小麦、ホップ
〇アルコール度数:5%
〇容量:330ml
〇商品紹介ページ:https://baeren.jp/shopdetail/000000000232/ct47/page1/order/
*季節限定商品のため、現在は終売しています。(2019年9月時点)
複雑な気持ちをグッとこらえてビールを飲もう!
『ばかやろー!エール』
力強いタッチで描かれたラベルの「ばかやろー!エール」は合資会社ベアードブルーイング(以下、ベアードブルーイング)が醸造する「ベアードビール」の商品です。ベアードブルーイングは、ベアード・ブライアンさんとさゆりさんの夫婦によって2000年に静岡県沼津市に設立されました。
ベアードビールのラベルは印象的なものが多く、2004年から作り始めたというラベルアートは、アーティスト・西田栄子さんと共に製作しているとのこと。また、海外に向け発信する際に「日本産」であることをイメージしやすいように、ラベルにはアルファベットの商品名と漢字が書かれています。
大胆なフレーバーのアメリカ産ホップやその他の外国産ホップ数種類を惜しみなく使い、そして主発酵後に再度組み合わせ、更に贅沢に3度もドライホップしたとのこと。ラベルには「痛いほどホッピーで、危険なほど強い。」と書かれており、どんなに力強いビールなのだろうと気になります。
ラベルの彼のように気持ちが渦巻く時もあるものです。そんな時に「ばかやろー!」と心の中で叫びながら、このビールを一口、二口と飲み進めていくと、きっとその味わいに癒されていくはずです。
ばかやろー!エール
〇製造元:合資会社ベアードブルーイング
〇ビアスタイル:ストロングアメリカンエール
〇原材料: 麦芽(大麦(イギリス産)、小麦)、小麦、糖類、ホップ、酵母
〇アルコール度数:9%
〇IBU:90
〇容量:330ml
〇商品紹介ページ:https://bairdbeer.com/ja/beer/bakayaro-ale/
売り場で会えたらラッキー!おさるのビールで乾杯!
『おさるIPA』『ボスざるIPA』
「おさるIPA」「ボスざるIPA」は、滝、もみじと少しやんちゃなおさるが名所の緑豊かな土地、大阪・箕面で生まれた箕面ブルワリーの商品です。箕面ブルワリーが目指すのは「毎日飲みたいビール」。定番ラインナップにはピルスナーやスタウトなどの5種類があり、季節を感じさせる柚子や桃を使った季節限定ビールも人気。
箕面ビールのキャラクターといえば「おさる」です。「ゆずホ和イト」から始まったおさるシリーズのラベルイラストは、イラストレーター/グラフィックデザイナーの木富慎介さんが手掛けたもの。
「おさるIPA」
「おさるIPA」は、国内トップレベルのクラフトブルワリーと豪華なアーティスト多数が参加して開催される、ビールと音楽のイベント「スノーモンキービアライブ」用として造ったオリジナルビールです。「スノーモンキービアライブと言えば志賀高原ビール。志賀高原ビールと言えばIPA。」とのことから、敬意を表してIPAを仕込んだそう。スノーモンキーのモンキーと箕面のお猿、さる繋がりで「おさるIPA」と名付けたとのこと。
その味わいは、5種類のアメリカンホップを贅沢に使用した、ホップ由来の芳醇かつフルーティーな香り(アロマ)と爽やかな苦みが特徴。麦芽のコク、後味のキレの良さがクセになる淡い色のIPAです。
当初は限定ビールという位置付けだったという「おさるIPA」。好評のため、今は準限定ビールという位置付けに。他の季節限定ビールがあるときは違いますが、月に1回の仕込みを行っているとのことで、発売時期が不定期ながらも購入しやすくなりました。
おさるIPA
〇製造元:エイ.ジェイ.アイ.ビア株式会社 箕面ブリュワリー
〇ビアスタイル:IPA
〇原材料: 麦芽、ホップ
〇アルコール度数:6%
〇容量:330ml
〇商品ページ:https://www.minoh-beer.jp/products
「ボスざるIPA」
サングラスをかけたおさるがラベルに描かれた「ボスざるIPA」は、ヘッドブルワー勝見健二さんが初めてレシピを造ったビールです。勝見さんのイメージが「ボス」だったことから「ボスざるIPA」と名付け、ラベルのおさるが手にするグラスは、ボス=石原裕次郎をイメージして聖杯型のグラスにしたとのこと。
定番で使用するホップに加え、新しいホップを導入し6種類使用し、ロースト麦芽の香ばしさの裏にホップの個性が織り成す香り(アロマ)。少し遅れてガツンとくる苦みとドライな後味が特徴のIPAです。
限定ビールという位置付けで、基本的には秋から冬(10月から2月)頃までの期間に製造販売されています。人気のある商品なので、ウェブサイトで販売状況を確認してください。
ボスざるIPA
〇製造元:エイ.ジェイ.アイ.ビア株式会社 箕面ブリュワリー
〇ビアスタイル:ブラックIPA
〇原材料: 麦芽、ホップ
〇アルコール度数:6%
〇容量:330ml
〇商品ページ:https://www.minoh-beer.jp/products
今回は「コビルビール」「ばかやろー!エール」「おさるIPA」「ボスざるIPA」の4種類について、名前やラベルが持つ背景をご紹介しました。
いかがでしたか?ビールに込められた造り手の想いや背景を知ると、よりビールがおいしく、楽しく飲めるような気がしませんか。ビールの楽しみ方の一つとして、隠されたストーリーを想像しながら飲むことをおすすめします。
ちょっと変わった名前のビール~名前とラベルにまつわる素敵なストーリー~