Bar 【東京・戸越】背脂ラーメン×クラフトビール×ビリヤニ!?店主の“好き”がてんこ盛りな家系ラーメン屋に行ってきた

2024/07/24


クラフトビールを提供している家系のラーメン屋が戸越銀座にあって、おいしかったんだよね。『家系中華蕎麦 家道』って言うんだけどさ。

そんな有益な情報を友人から聞き、早速お店のSNSを調べてみると、Xのプロフィール欄にこんな言葉が。


東京 戸越銀座 クラフトビール(うちゅう多め)飲めてマリアパとコラボしながら井上直樹の応援系家系中華蕎麦。家系ラーメン終着駅。旨味濃厚仕上げ。営業時間『固定されたツイート』で。シアトルでカレッジラジオDJ〜日本でラジオディレクター経て今ドレッドのお髭さん。弘前♪びっくりする位食べます。


……ん?

マリアパ、シアトルでカレッジラジオのDJ、家系ラーメン終着駅……!?

さらにはInstagramのプロフィールにも、

カレッジラジオDJ〜ラジオディレクター〜全国のラーメンを食べ歩いた元東京武蔵家大井町HAZYスープ職人。現、東京は戸越銀座 家系中華蕎麦 家道の髭でドレッドの奴。脱サラ組。家系とヘイジーなクラフトビール飲めます。更にビリヤニもたまに。家系×クラフトビール×ビリヤニ。

ビ、ビリヤニ!?!?

おいおいちょっと待ってくれ、情報が多すぎるよ!こりゃ興味しか湧かねえ……


ということで、一風変わったラーメン屋『家系中華蕎麦 家道(いえみち)』の魅力を探るべく、編集部でお店に行ってきました!

戸越銀座商店街の一角に


家系中華蕎麦 家道』があるのは、約400軒ものお店が並び、東京で最も長い商店街の1つと言われている「戸越銀座商店街」の中。

東急電鉄池上線「戸越銀座駅」から徒歩1分、または浅草線「戸越駅」から徒歩3分の場所にあります。


店内は、一見既視感のあるラーメン屋さん。席はカウンターだけで、安心感があります。

でも店内をよく見渡すと…


あるある。噂に聞いていた格闘技のグッズやサインが!


壁には、過去に提供していたと思われるクラフトビールの缶がずらりと並びます。


そして注文をしようと券売機の前に立つと…なんとメニューが多いこと!ラーメンやそのトッピングだけでなく、ご飯ものの種類も多い。なんなら券売機への登録が間に合ってなくて、券売機からはみ出してたくさん商品の張り紙が貼ってある(笑)

じっくり見て選びたい気持ちとは裏腹に、後ろにも人がいると少し焦ってしまいそう……と思うけれど、美味しいメニューがたくさん眠っているので、よく見ず決めるのはもったいない。少し落ち着いて吟味しましょう。

「名前を見ただけじゃどんな味かわからないよ」という方は、とりあえずフィーリングでポチッと!


私たち編集部は2名で訪問したので、まずはラーメンを2つ。

家道SPラーメン(並)」に、トッピングで「生ほうれん草」「背脂レッド」を追加!


そして、麺が半玉でサクッと食べやすい「女性・子供限定 麺半分・味玉入り」を1つ。


ラーメンは「麺の硬さ」「味の濃さ」「油の量」の3つを自分の好みにカスタマイズできます。スタッフさんから聞いてくれるので、その時に答えるようにしましょう。

ラーメンだけで満足したい方は「油多め」でも良いと思いますが、ご飯ものも一緒に楽しみたい方は「油少なめ」がおすすめ!最後まで苦しくならずに完食できます。

あと、ライスは無料でおかわり自由です。わんぱく胃袋の味方。


さらにこの日は、月1の不定期で提供している「限定ミニポークビリヤニ」と、週末および毎月29日(肉の日)限定で店頭に登場する「サーロインTKG 黒毛和牛A5」も販売されている日だったので、この2つも注文!


食事の注文が終わったら、肝心なクラフトビールを。

クラフトビールは券売機で購入できないので、お店の奥にある冷蔵庫から自分で選んだら、お店の人に「これにします」と伝えて現金で支払います。


着丼!実食!


5〜10分ほどして、2人分の食事が着丼!見てるだけでもう旨い。

ちなみに、家道の食事は「ホップ・スパイス・ジャンク」がコンセプト。それぞれ「ホップ=ビール」「スパイス=ビリヤニ」「ジャンク=背脂ラーメン」を指しているのだとか。

「ホップ・ステップ・ジャンプ!」と似ていますが、まさにその通り。ビール・ビリヤニ・背脂ラーメンを一気に食ってみな、飛ぶぞ。

そんな家道流「ホップ・スパイス・ジャンク」な味わいを、それぞれ紹介していきます。

「家道SPラーメン(並)」(税込1,100円)
+「生ほうれん草」(税込200円)

+「背脂RED」(税込100円)

家道のラーメンの特徴は、濃厚・ヘイジーな見た目。そして、本物の家系しか使えないという「酒井製麺」の麺を使用しています。

そんな中でも、柔らかくてジューシーなチャーシューが贅沢に乗る「家道SPラーメン(並)」は、噛めば噛むほどお肉の旨味が口いっぱいに広がります。麺を啜ると、濃厚な豚骨スープとモチモチな太麺が絡み合いたまらなく美味しくて、お箸を持つ手が止まらない。

トッピングの「背脂RED」は、スープを辛口にしてくれるアイテム。あくまでも「旨辛」なので、辛すぎるものが苦手な人も挑戦しやすいのが嬉しい。


ちなみに、海苔は時間が経ってもへたらないように、スープに差し込まず、丼の上に乗せるのが家道流。

パリッとした食感の海苔が好きな人って、「スープが海苔に染み込む前に食べてしまわなければ!」と最初に海苔を食べることが多いと思うんですが、家道なら「好きなもんは最後に残しておく派」の人も好きなタイミングで海苔を食べることができて嬉しい。

「限定 ミニポークビリヤニ」(税込400円)

これ400円でいいんですか!?と言いたくなる1品。そもそも、こんなに大振りな肉がたっぷり乗っているビリヤニって見たことない。

このビリヤニには数々のこだわりが。

まず1つ目が、家道の濃厚豚骨スープが入っていること。カレー屋さんが欲しがるほどの濃厚な動物系エキスをふんだんに使えるのは、「ラーメン屋」ならではの強いポイント。もう1つはなんと、ビリヤニを炊くとき一緒に混ぜ込む豚肉と、最後に上に乗せる豚肉とで、スパイスの調合を変えていること!

最後の隠し味に、カスリメティもパラパラとかかっています。

インドカレー屋さんが作る本場のビリヤニとは違い、食べ応えのある“家系ラーメン屋のビリヤニ”なので、豚肉も米も噛むとじゅんわり濃厚なスパイスが広がり、ビールのおつまみにも最適すぎる。

※提供は不定期。SNS(XInstagram)でお知らせしています。

「サーロインTKG 黒毛和牛A5」(税込800円)

きめ細やかな霜降り(サシ)が入ったA5ランクの黒毛和牛の、腰の上部の肉「サーロイン」を贅沢に乗せたTKG(卵かけご飯)!!!

口に入れた瞬間溶けちゃいそうな柔らかいお肉に、とろんとした黄身が絡み合う、説明不要のうまさ。ちょっと甘みがかったタレがまた最高。一口食べるごとに、ため息をついてしまうほど美味しい。

※提供日は、毎週末と、毎月29日「肉の日」のみ。

『SPACE WANDERER CITRA』
うちゅうブルーイング(税込1,100円)

ラーメンに合わせて注文したのは、うちゅうブルーイングが手がける1杯。ビアスタイルは、HDHC(High Density Hop Charge)ヘイジートリプルIPA。

大量のシトラホップに加え、超濃厚なホップエキスのインコグニートも投入しているので、ホップのうまみが全開。白ぶどうのような優しさからグレープフルーツのようなガツンとした甘味まで、いろんな“フルーティ”が舌の上をゴロゴロと駆け巡る!アルコール10.0%とは思えないほど飲みやすいです。



そして、試す前に抱いていた「背脂ラーメンにヘイジーって、濃い者同士で喧嘩しないだろうか」という不安は、杞憂でした。

一緒に食べて飲んでを交互に繰り返してみると、めっっっちゃ合う!!!

ビールの1ジャンルとしてみるとコッテリなヘイジーIPAだけれど、ラーメンとぶつけるとフルーティで爽快な印象が勝つ。なので、ラーメンを食べ続けて脂で舌が少し疲れてきたときに飲むと、舌の上の脂を全部流しリセットしてくれる役割になるような感じで、かなりベストなコンビネーションです。

更にそこへ、ビリヤニのスパイスをぶち込んでしまったら、もう大変。全人類、「ホップスパイスジャンク」でぶっ飛びます。


オーナーの“好き”がてんこ盛りな「家道」

△店主・藤田さん
超おいしい「背脂ラーメン」「クラフトビール」「ビリヤニ」「サーロインTKG」を提供するラーメン屋・家道。

どうしてラーメン屋なのに、こんなぶっ飛んだラインナップのメニューを提供しているのか?そして、記事の冒頭でも紹介した「マリアパ」「シアトルでカレッジラジオのDJ」「家系ラーメン終着駅」とは一体なんなのか。

それらの謎を解き明かすため、“ドレッドヘアに髭”というインパクト強めな家道の店主・藤田 浩剛(ヒロタケ)さんに話を聞いてきました!


まずは、藤田さんの経歴から。

藤田さん「実は僕、ラーメン屋の前はコミュニティラジオのディレクターをやってました。喋るのも好きなんで、シアトルのカレッジラジオではDJもやってたんです。でも、ラジオの仕事を離れることになって、次の道をどうしようかと考えていた中で、元々ラーメンが好きだったこともあり、ラーメン屋になろうと決意しました。」

そこで修行先として選んだのが、家系ラーメン「武蔵家 大井町店」。

そして2013年3月、同じく「武蔵家 大井町店」で修行していた別のスタッフさんが、暖簾分けをして「家道」をオープン。当時は引き続き「武蔵家 大井町店」に勤めていた藤田さんですが、2016年頃「家道」に合流しました。


藤田さん「元々赤い看板で、いわゆる家系のルックスだったんですけど、僕が合流したタイミングで『もっとたくさんのお客さんに楽しんでもらいたい』と、自分のプロデュースで、店構えも味も全てリニューアルしました。」


リニューアルにあたって、自分の“好き”を思い切りお店に反映しようと思った藤田さん。その結果、お店も軌道に乗り始め、以前より繁盛するようになったのだそう。

藤田さんの“好き”とは一体どんな要素なのでしょうか。4つのキーワードをもとに紐解いていきます。


【1】クラフトビール

家道では、現在15〜20種ほどのクラフトビールを提供。ビアスタイルはヘイジーIPAを中心に、ウエストコーストIPAやセッションIPA、サワーエールなどがあります。

また、ブルワリーは「うちゅうブルーイング」(山梨)を主軸として、「VERTERE」(東京)や「West Coast Brewing」(静岡)「Totopia Brewery」(愛知)などが揃います。

クラフトビール以外のビールは、『アサヒスーパードライ』、そして飲食店でしか飲めない『アサヒ プレミアム生ビール 熟撰』の2種を販売。


「もちろん僕自身がビールが好きなのは前提としてありますけど、家道でクラフトビールを提供し始めたきっかけは、出身元である「武蔵家 大井町店」でクラフトビールを提供していたことですね。武蔵家では、サンクトガーレンの『湘南ゴールド』と『横浜XPA』の2種を、樽生で提供していました」と藤田さん。

そのため、ラーメン屋でクラフトビールを提供するハードルは低かったと言います。ただし樽生ビールの提供はできない環境だったので、それならばと冷蔵庫を置き、缶・ボトルビールでの販売をスタートしました。

当初は「武蔵家 大井町店」と同じように、知名度のあるクラシックなブランドをおいていたものの、今から5,6年ほど前にうちゅうブルーイングのヘイジーIPAを飲んで、なんだこれ!?と衝撃をうけたのだそう。それから『これを店で提供したい!』と思いたち、今のラインナップに一変


ヘイジーだらけの独特なラインナップに、最初はお客さんも恐る恐る飲んでいたそうですが、今はお客さんの方から『うちゅう飲みたい!クラフトビール飲みたい!』と求めてくれるように。

藤田さん「平日はラーメン利用のお客さんがほとんどだけど、週末には『この店は、うちゅうブルーイングのラインナップが豊富って聞いてさ』とビールを目的に来てくれるお客さんも増えました。ただ、うちゅうブルーイングを置いてない時もたまにあるので、その時は別のヘイジーを勧めるようにしてますね。」


最初はラーメン目的で家道に入店したけれど、家道でクラフトビールに出会いビールファンになって帰るという人も多く、それが嬉しいですね、と話してくれました。


【2】

そもそも食べることが大好きで、好きになったらとことん全国を食べ歩くという藤田さん。ラーメン、焼肉。寿司とハマり、最近はもっぱらハンバーガーを食べ歩いているのだそう。

藤田さん「胃袋もすごく大きくて、めちゃくちゃ食べられちゃうんですよね。ラーメン屋入ってお店出て、隣に美味しそうな店を見つけたら、休憩なしでそのまま隣の店に入ることも。休みの日は、1日5,6件は飲食店を回りますね。」


特にお肉が大好きで、毎週土日は「肉祭り」を開催。券売機の下2列は全て、週末の肉祭りの日にしか注文できません。

△毎日提供している肉料理
トッピングだけでなく、ご飯ものも肉だらけ!中には、肉祭りに限らず毎日提供する肉料理もあります。

しかも安い。「ジーロー飯」(鶏胸肉を使った台湾料理)なんて、たったの150円。お財布に優しい…


肉は肉でも、コロナ前は月1で焼肉屋を巡り、その当時の有名店はほぼ全部クリアしたほど「牛肉」が大好物だそうで。

藤田さん「本当は家道でも、チャーシューより牛肉を提供したいんですよ。隙あらば牛肉を提供したい。けど、バイトの子達に『やりすぎです!』と止められてます(笑)」

その一環として提供し始めたのが「サーロインTKG 黒毛和牛A5」。

2024年は閏年で、幻の肉の日である「2月29日」が存在したため、特別に「シャトーブリアン」で提供したところ、大人気に。もっと食べたい!という声を多数もらったことで、今度は「いい肉の日」である2024年11月29日に「シャトーブリアン」での提供を予定しているとのこと。


【3】ビリヤニ

家道がビリヤニを始めたのは2022年と、比較的最近のこと。

藤田さん「知り合いがInstagramでビリヤニのことを投稿していたのを見て、その存在を知って。『へ〜、カレーチャーハンみたいな食べ物があるんだな』と認識だけしていたんですけど、その後たまたまカレー屋さんで見つけて食べてみたら、おいしさに感動しちゃって。他にはどこで食べられるんだろうと調べてみたんだけど、そもそも提供しているお店が少なくて、なかなか食べられないものなんだということがわかって。それなら自分で作っちゃおうと、家道で始めたんですよね。」


「特にインドにかぶれているわけでもないし、インドカレー屋さんで修行したわけでもないから」と、日本人の舌に合うことと、“家系ラーメン屋のビリヤニ”というポイントで創作して完成したのが、家道流ビリヤニ。家道の濃厚豚骨スープが入っているというラーメン屋ならではの強みと、お肉へのこだわりで、たくさんの人々の心を掴んできました。


藤田さん「オリジナリティあふれるビリヤニなので、インド風を求めている人は少し違うと感じるかもしれないけど、カレー屋さんも『うまい!』と太鼓判を押してくれたので自信を持っています。」


ちなみに、家道のビリヤニは「ミニポークビリヤニ」1種のみ。過去には、マトンやビーフ・チキンなど色々試してみたそうですが、チャーシューを仕込むために発注する大きな豚肉で作るのが1番おいしかったため、ポークに絞ったのだそう。


【4】格闘技

格闘技が好きで、特に井上直樹選手を応援しているという藤田さん。

「家道」として井上選手のスポンサーをしていたこともあり、支援していた頃の井上選手が入場時に着用するTシャツには、店名が刻まれたことも。そのサイン入りTシャツが、店内で大切に飾られています。

そのTシャツを手がけたのは、同じく格闘技のスポンサーをすることでも有名なアパレルブランド「マリオンアパレル(通称:マリアパ)」。同時期に井上選手のスポンサーをしていたご縁で、マリアパに家道の制服Tシャツを作ってもらったのだそう。


「カタメ コイメ オオメ」と家系の呪文が胸元に書かれたオリジナルTシャツは、税込3,800円で販売もされています。


ちなみに、食事メニューにも「カーフキック丼」といった格闘技の技名に由来するものが。格闘技ファンの方々はぜひ、家道の蹴り技をくらってみてください。



不定期提供のメニューが多いわけは

「ビリヤニ」や「生ほうれん草」、肉祭りのメニューなど、定番のラーメン以外は不定期で提供することが多い家道のメニュー。何度来てもその時々で楽しみが変わるようにと、あまり固定しないようにしているのだそう。

また、少数精鋭で営業しているため、メニュー数に対して仕込みが追いつかないことも理由の1つ。

藤田さん「券売機みたらわかるんですけど、うちチャーシューの種類がえぐいほどあるんです。好きなことをメニュー化しまくっていたら、仕込みが間に合わないことも多々あって。例えば、家系って結構「もも肉の訓製吊るし焼き」を提供している店が多いんですよ。それうちもあるんですけど、うちはスタッフが少ないんで、僕の気分でできるときに作ってます。そういえば先月は作るの忘れたな(笑)」

そんなお茶目な藤田さんの気まぐれで、好きなトッピングに出会える時と出会えない時があるなど振り回されるのも、なんだかちょっといい。


「お客さんも、好きに楽しんでよ」


ラーメン屋さんって、食べたらすぐ出なければならないようなイメージがありますが、家道の楽しみ方は人それぞれ。ビールを飲みたい人は、腰を据えてビールを楽しんでもokです。

ビールだけの利用はお断りしているそうですが、その場で開けてお渡しでもよければ、ビールのテイクアウトも可能。ちなみに、テイクアウト用の自家製チャーシューやお弁当も販売しているので、「おうち家道」ができちゃいます。


ビールと食事はどんなふうに楽しんで欲しいですか?という問いにも、「好きなものを好きなように!かな。ラーメン屋ってうまいもん出してなんぼなんですよ。だからペアリングとか難しいこと考えたり、こだわったりしなくていいと思いますよ。どんなチョイスをしても、全部うまいんで。」と答えてくれました。

中には、一度の来店でヘイジーIPAを何本も飲む人もいて、4,5本のクラフトビールを1人でカウンターに並べながら飲んでいく人もいるのだそう。

藤田さん「やっぱり看板はラーメン屋なんで、そもそもの母数が“ラーメン食べたい人”の方が多くて。クラフトビールやビリヤニを提供していると知ってて来店するお客さんなんて、もうほんと1,2割くらい。だから、ラーメンと一緒にクラフトビールやビリヤニを楽しんでくれるお客さんがもっと増えたらいいなとは思ってます」


とはいえ、あえて大々的な宣伝はせず、見つけた人はぜひ来てね!という気持ちで運営している家道。SNSのプロフィール欄にある「家系ラーメン終着駅」というのも、口コミで見つけた人だけが食べられるお店だよ、という想いが込められているのだとか。

表向きはラーメン屋なのに、実際に入ってみると掘り出し物のようにラーメン以外の旨いものがわんさか出てくる。それも、クチコミや実際に来店したことのある人じゃないと辿り着けないという、“知る人ぞ知る感”がたまらない。この隠れた名店をもっとビール好きの皆さんに知ってもらいたい…!


同じ趣味の人を、“1つの丼”の中で囲う何でも屋さん

△家道のInstagramアカウント
大々的な宣伝はしないという家道ですが、SNSのアカウントも「これ、本当にお店のアカウントであってるのか…?」と不安になるほど(笑)、ラーメンやお店に関する投稿がほとんどありません。

うちのInstagramみてもらうとわかると思うんですけど、最近なんてハンバーガーばっかり食ってます。肉食べたすぎて。今、ハンバーガー屋さんに誰よりも詳しいと思います。ハンバーガー屋さんよりも。(笑)

SNSにも、お店の宣伝より食への探究心が強く表れているほど、食べることが大好きな藤田さん。人並外れたレベルでいろんな店を巡りまくり、食の知見を得た藤田さんが「旨い!」と思うものを作り提供しているからこそ、家道で提供されている食への信頼も厚くなります。

SNSにお店の情報が載っていないことを少々不便に感じる人もいるかもしれないけれど、そこも含めて愛おしく感じてしまう。


そんな藤田さんから、どうして“好き”にフォーカスしたお店を築いているのか、核心的な言葉が。

藤田さん「ラーメンって特殊で、うまいもんを重ねていって、丼1つでうまいもんを表現する食べ物だと思うんですよね。丼1つで旨いものを一気に食えたらいいじゃないですか。1個で済ませようよっていう。それと同じで、うちは「ラーメン屋」という丼(店)の中で、牛肉もあるし、ビリヤニもあるし、クラフトビールもある。はしごしてお腹を満たしていくんじゃなくて、好きなものが同じ人はうちで全て好きなものをコンプリートしてお腹いっぱいになってってよ、って。それが俺のやりたい、隠れコンセプトみたいなもんですかね。」

なるほど…!丼の例え、とってもわかりやすいなあ。

藤田さん「同じ趣味の人は囲め!ってね。それでいうと店内BGMも自分の好きを反映していて。うちで流してる音楽とんがってるんすよ。ラジオやってたこともあって、僕インディーズ系の音楽が得意で、好きなインディーズ系ミュージックを流してます。だから軽音部の学生とかが、店内でスマホをかざして、音楽検索アプリで音楽を拾おうとしているのをみると『よっしゃ』って嬉しくなります(笑)」


確かに、自分と好きなものが共通してる人って、ほかの趣味も同じことが多かったりして。例えば、クラフトビール好きな層って、スパイス好きが多かったり、サウナが好きが多かったり。音楽好きな人も多かったり。

それを体現するかのよう、藤田さん自身が実直に“好き”をお店に詰め込み、1つの丼(店)の中でいろんな要素が重なり合った結果、私たちビール好きにも楽しい・美味しいが伝染する“何でも屋”な「家道」が形になっているんだなと感じました。


ー取材が終わった後も「食べ過ぎた次の日には、この錠剤が効くんだよ〜」とか「あのビアバーのスタッフさん、あっちの店に移動したらしいよ」とか、まるで情報屋のように喋りまくる藤田さん。

さすが元DJ。話上手で楽しくて、(この方、営業中はカウンターの中で黙々とラーメンを作っているんだよな。ビアバーみたいに、営業中も気兼ねなく会話ができたらいいのに…ラーメンだけでなく、中の人の面白さも皆に知ってもらいたい……)と思うほど、個性的でオモロい方でした。

定休日についても確認してみると、「一応月曜ですけど、基本は休みなしで営業していて、俺が休みたい時に休んでます。」とのこと。胃も身体も心も、めちゃくちゃタフだなあ。営業時間や休みに関しては各SNSでお知らせしているので、行く前にチェックしてください。


そして最後に、読者の皆さんへ伝えたいことはありますか?と聞いてみると、「スタッフ募集中です!!!」と元気に答えてくれました(笑)スタッフになると、店内のクラフトビールが全て社割価格で楽しめるそうなので、興味のある方は問い合わせてみてくださいね。


ビール好きな皆さんもぜひ、「ドレッドヘアーと髭が特徴の、元ラジオDJ脱サラ組オーナーが営む、うちゅう多めなクラフトビールとビリヤニ・そして牛肉が楽しめる、マリアパで井上直樹な家系ラーメン終着駅」である、情報もラーメンも超濃厚コッテリな「家系中華蕎麦 家道に足を運んでみてください!

 家系中華蕎麦 家道

〇住所:東京都品川区平塚2丁目18−10
〇アクセス:東急電鉄池上線「戸越銀座駅」徒歩1分、浅草線「戸越駅」徒歩3分
〇営業時間:
[火〜金]11:00~15:00、18:00〜23:00
[土日]11:00〜21:00
〇席数:カウンター12席
〇X(旧Twitter):https://x.com/togoshiiemichi
〇Instagram:https://www.instagram.com/togoshi_ginza_iemichi/

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sakko 編集長

「ビール女子」編集長。記事の企画・編集やイベントの運営を担当。小さい頃から、両親が毎日ひたすらビールを楽しそうに飲む姿を見てきたため、「私もきっとビール好きなのだろう」という根拠のない自信と、「大人になったらおいしく楽しくビールを飲みたい」という夢を抱いて育つ。そして、20歳の誕生日を迎えてすぐベルギービールの店で働きはじめたところ、案の定魅了されてビールの世界にどっぷり浸かり、今に至る。

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