おいしい料理とお酒をゆっくりと時間をかけて楽しむ。
そんな素敵なひとときを過ごしたいと思ったことはありませんか。
今回紹介するのは、神奈川県茅ヶ崎市にある熊澤酒造が運営するダイニングレストラン『MOKICHI TORATTORIA』。こちらのレストランでは「湘南ビール」と日本酒、両方のお酒と料理のマリアージュを楽しめるコースがあります。お酒好きにはたまらないマリアージュを体験すべく、お店に行ってきました。
日本酒造りの技術と名水が生み出すビール
熊澤酒造株式会社(以下、熊澤酒造)は、1872年(明治5年)創業の湘南唯一の蔵元です。蔵元がある神奈川県茅ヶ崎市香川は、豊かな自然と丹沢山系の伏流水に恵まれた地域。名水と日本酒造りで磨いた醸造技術を活かし、6代目の熊澤茂吉さんが「湘南ビール」を1996年に始めました。厳選した原料を使用し、ドイツの伝統的な方法で醸造。無ろ過で、熱処理を一切しないフレッシュでピュアなビールです。
「湘南ビール」は、ピルスナー、シュバルツ、ゴールデンエール、IPAなどを醸造。さらに湘南の果物などの産品を使ったビールやコラボレーションビールなど、年間約40種類がつくられています。
地域に根ざし町に溶け込む熊澤酒造
熊澤酒造は、茅ヶ崎駅からJR相模線でふたつめの「香川駅」が最寄りです。電車のドアは開閉ボタンを押す仕組み(手動式)で、初めて乗るときは少し戸惑うかもしれませんのでご注意を。香川駅から住宅街を通り抜けること約7分。熊澤酒造の看板が見えてきたら、目的地はすぐそばです。
麦汁の香りがしてきたと思ったら、ビールの醸造所が目の前に現れます。窓越しに大きなタンクを眺めながら敷地内へ。
熊澤酒造の敷地には酒蔵とビール醸造所のほか、熊澤酒造が展開するレストランやギャラリーが中庭を囲むように配置されています。今回、訪れたダイニングレストラン「MOKICHI TORATTORIA」をはじめ、ビール酵母でつくるパンを買うことができる「mokichi baker & sweets」、自家製ソーセージやベーコンと焼きたてパンを使った軽食などを提供する「mokichi wurust cafe」など。さらに、地元農家の野菜を販売する「mokichi green market by Biocchi」や湘南地域の作家やアーティストの作品の常設販売などを行うギャラリー「okeba」があり、地域の方が集う場所になっています。
立派な門構えのレストラン「MOKICHI TORATTORIA」。建物は鎌倉山から移築した築450年の古民家2軒をリノベーションしたもので、太い柱や重厚な扉が歴史を感じさせます。
高い天井と何本もの太い梁。照明は明るすぎず落ち着いた雰囲気で、時間がゆっくりと流れるよう。古民家の壁や床などを再利用して作られたテーブルや椅子は、なめらかな手触りで、あたたかみを感じます。
自慢のお酒と料理で舌鼓を打つマリアージュコース
平日のディナータイム限定の『マリアージュコース(7,000円、税込)』は、それぞれの料理に合わせて、「湘南ビール」か日本酒『天青(てんせい)』が提供されます(全部で6杯)。
訪問時のメニューは以下の通り。メニューは2ヶ月で刷新され、お酒とのマリアージュも変更されます。
「マリアージュコース」のメニュー
~Stuzzichino(先付)~
酒粕クリームチーズと燻りがっこの最中
~AntipastoⅠ(冷前菜)~
鮪と帆立貝のタルターレ
~AntipastoⅡ(温前菜)~
自家製ヴルストハムとサラミ
~Primopiatto(パスタ)~
アニョロッティ ダル プリン
~Pesce(お魚)~
甘鯛の鱗焼き
~Carne(お肉)~
蝦夷鹿肉の炭火焼き ポワヴラードソース
~Dolce(デザート)~
早摘み蜜柑のカッサータ
コーヒー or 紅茶
*メニューは2019年12月時点のもの。随時変更されますのでご注意ください。
メニューの一部を紹介します。
『酒粕クリームチーズと燻りがっこの最中』と『純米発泡酒 さざなみ』
もなかの香ばしさと燻りがっこの風味が口一杯に広がります。酒粕入りクリームチーズは濃厚な味わいで、燻りがっこと飛っ子のプチプチとした食感の違いが楽しめる一品。合わせる「さざなみ」は、お酒の元、酒母(しゅぼ)から造った純米発泡酒。フルーティーな香り、甘みが強く、芳醇な味わい。シュワシュワとした柔らかい炭酸で、料理の濃厚な味わいを流してくれます。飲み込んだあとに残る風味がよく、次の料理が楽しみになる組み合わせです。
『アニェロッティ ダル プリン』と『千峰天青 雄町(せんぽうてんせい おまち)』
この料理はイタリア・ピエモンテの郷土料理で、詰め物をしたパスタのこと。“プリン”とは「摘む」という意味。牛肉のミンチを使ったトマトソースはほどよい酸味で、牛肉の旨みを感じる味わいで、チーズを詰めたパスタとの相性抜群。合わせる「千峰天青 雄町」は、ふくらみのある濃厚な味わいを持ちつつ、後味にすっきりとした酸味とキレのあるドライなお酒。鼻を抜ける吟醸香とトマトやチーズの風味が、もう一口、もう一口と箸が止まらない。
『蝦夷鹿肉の炭火焼き ポワヴラードソース』と湘南ビール『シュバルツ』
“ポワヴラードソース”とは「胡椒のソース」という意味。旨みがギュッと詰まっている鹿肉は食べ応えがあります。胡椒のソースをつけると、さらに旨みが強くなります。合わせる、湘南ビール「シュバルツ」は、ローストした麦芽の香ばしほろ苦さと、すっきりとした味わいが特徴。麦芽(モルト)本来の甘みが楽しめます。鹿肉を一口食べ、シュバルツを飲むと、お肉の旨みにビールの香ばしさや酸味が寄り添うように、味わいが一つにまとまります。満足感が高い組み合わせ。
提供時は「湘南ビール」と「天青」が大好きなスタッフが、一品ずつ丁寧に説明してくれるので、料理やお酒に詳しくなくても大丈夫です。説明してもらえるとより楽しめます。「マリアージュコース」は平日のディナータイム限定のコースです。事前予約は不要で、1名からでも注文可能。おひとり様でも注文できるのは、とても嬉しいですね。
ゆっくりと時間をかけて湘南ビールを満喫
12個のタップは、10種が湘南ビール、2種が日本酒と豊富。もちろんお酒は単品でも注文可能です。提供サイズは、ショート(約250ml)とパイント(約450ml)の2種類。ピルスナー、アルト、IPAなどの定番ビールだけでなく、地元の果物を使ったビールや全国各地のビアパブや醸造所とのコラボレーションビールを飲むことができます。ビールも日本酒も種類が豊富で、何を飲もうか迷ってしまいますね。
東京から小旅行気分で行ける茅ヶ崎。せっかく来たのなら、時間をかけてお酒を楽しみたいもの。ひとりの場合はショートグラスでいろんな種類を試してみたり。仲間と一緒に行くならみんなでシェアするのも楽しそうです。
店内にはお酒が販売されています。飲んでみておいしかったお酒をすぐに購入できるのは直営店ならでは。つい、あれもこれもと買ってしまいそう。
レストランが開いていない時間でも、お隣の「蔵元直売所」でお酒が買うことができます。こちらの方が取り扱いの種類が多いとのこと。ガトーショコラやビールを使ったビールケーキなども販売されています。
自然と調和するように建てられたダイニングレストラン「MOKICHI TRATTORIA」は、歴史を感じさせる重厚なつくりで、時が過ぎるのを忘れるほど居心地のよい空間でした。料理やお酒自体がおいしいのはもちろんですが、「湘南ビールも日本酒も大好き」と話すスタッフさんの笑顔が、料理とお酒のマリアージュを完成させているんだなと感じました。
熊澤酒造の敷地内には、他にもカフェやレストランがあります。一度の訪問では時間と胃袋が足りません。お腹はいっぱい、お土産ビールも買って満足しているはずなのに、帰り道では「次はどのお店に行こうかな。今度は誰と一緒に行こうかな。」と考えながら歩いていました。
MOKICHI TRATTORIA(モキチトラットリア)
〇住所:神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7
〇TEL:0467-52-6111
〇営業時間
【月~金】
11:30~15:00(L.O.14:30)
17:30~22:00(L.O.21:00)
【土日祝】
11:30~16:00(L.O.15:00)
17:00~22:00(L.O.21:00)
〇定休日:第3火曜日 ※8、12月は休まず営業
〇座席数:180席
〇喫煙・禁煙:禁煙
〇お子様連れ:子供可、ベビーカー入店可
〇公式ホームページ:https://www.kumazawa.jp/mokichi/trattoria/