こんにちは! ビール女子リポーターのなな瀬です。「“漢方”を応用して美味しく乾杯しよう!」をテーマに前編では、知っているようであまりよく理解されていない“漢方”について簡単に説明しました。
後編ではその“漢方”を取り入れることで、体の調子を整えながらビールを楽しむ方法をご紹介したいと思います。それではぜひ、現役薬剤師による 「漢方の知恵」を応用した健康管理方を参考にしてみてください。
“漢方”におけるビールの存在
前編では、味や色、季節、内臓など、各5つの要素が影響しあって、バランスを保ちながら存在している話をしました。そして、ビールの味わいを代表するものといえば“苦み”ですね。苦みは、内臓でいうと“心”の場所に位置します。“心”が意味するところは、心臓そのものはもちろん、「感じる心(考える)=脳」を表しています。ストレスや睡眠に関わる部分でもあり、疲れた時などに顕著に影響を受けます。そして、そんな“心”と重なる位置に存在する“苦”は、その疲れを癒す効果があります。漢方の視点から考えると、仕事終わりにビールが飲みたくなるのはこれが関係しているんだそう。
また、季節でいうと“夏”と重なる位置にくる“苦”ですが、これもまた、ビールが夏により美味しく感じることと繋がってきます。“心”は夏に良く働き、体中に血液を巡らせ、汗をかかせて体が活発に活動出来るようにするのですが、暑くなりすぎるとオーバーヒートしたような状態になり、ほてりや不眠、動悸などの不調が出てきます。そんな時に“心”の働きを助ける“苦”の要素を持つビールは、同時に「五性(ごせい)」でいうところの“寒”に該当する食材なので、体を冷やす効果と“心”の働きを助ける力の両方を持っています。体はちゃんとそのことを知っていて、その時に必要な食材をちゃんと求めてくれるんですね。
ただし! 前編でもお伝えした通り、バランスを保つのがとても重要なんです。なので逆に“苦”を取り過ぎてしまうと、今度は“心”をまた疲れさせてしまうという悪影響もあるんです。読者さんのなかには経験者も多いのでは(笑)? また、体が冷えやすくなったり、肌が乾燥しやすくなるので、ビール女子は特に要注意ですね。摂り過ぎには注意して、体が求めているものにしっかりと耳を傾けることで、自分の体調がどんな状況なのかを把握してあげてくださいね。
バランスを崩さずに楽しむ
それでは、これから気温が下がり本当のところは体を温めたい季節に、体温を下げる効果のあるビールとどのように付き合えば体調を崩すことなく楽しめるのでしょうか?
上の写真にある図のように、やはり辛い物は体温を上げる効果があります。なので、“寒”の性質を持つビールを飲む時には、“辛”の性質を持つ唐辛子や、大根、ネギなどを摂ることによって、体調のバランスが取れている“平”の状態を保てやすくなります。また、季節の変わり目に体力を消耗することで、消化器官を表す“脾”が弱り食欲不振にもなりがちですが、そんな時はすぐにエネルギーに替えやすい“甘”の食べ物を摂取すると、消化器に負担をかけずに元気を取り戻すことができます。
ホップでリラックスを
また、東洋医学の一つである薬膳(食べ物の効果を考えて摂取する)の観点からすると、ビールの大切な原料の一つであるホップのアロマにはリラックス効果があります。温かいホップティーなどで体温を保ちつつ、リラックスして体を癒すのもビール女子的素敵な方法ですね。それとこれは余談ですが、ホップには女性ホルモンのような働きをする成分があるそうで、バストアップも期待できるという研究結果もあるそうです。
“漢方”の考え方は一度覚えてしまえば習慣になり、生活に取り入れやすい健康管理法です。ぜひ上手く活用して、ビールライフをより楽しく健康に過ごしてくださいね!
【プロフィール】
松田 惇(まつだ じゅん)
薬科大学卒業後、調剤薬局勤務を経て、漢方薬局にて漢方カウセリングに携わる。その経験の中で、健康で心地良い生活を送るには自分に合ったものを知り、自然に寄り添って過ごすことが大切だと実感する。現在は薬局業務に従事するかたわら、「私らしく。を東洋思考で」を合言葉に心とカラダに合ったライフスタイルを提案するセミナーや個別レッスン、コラム執筆などを行っている。
▼過去実績
食の振り返り&カンタン薬膳講座、いつもの食材で出来る! あったか薬膳セミナー、仲良し農家をつくろう! 、コラム掲載「BeDiet ビーダイエット」・「女性のためのポータルサイト −DD−」