記事

コンテンツ

コミュニティー

ビール女子SNS

ビール女子について

お酒は二十歳になってから。

Bar きれいな味のビールをつくり続けて25年。舞浜の地ビール「ハーヴェスト・ムーン」が紡いできたこれまでとこれから。

2025/04/15


2000年、東京ディズニーリゾート®内にある商業施設「イクスピアリ®」の開業と同時に誕生した舞浜地ビール工房「ハーヴェスト・ムーン」。

地ビール黎明期からクラフトビールの魅力を発信し続け、今年で25周年を迎えました。


地ビールと呼ばれていた時代から、クラフトビールが浸透してきた現在に至るまで、一貫して大切にしてきた”きれいな味のビールをつくること”。その歴史や魅力について、醸造長の園田智子さんにお話を伺いました。


舞浜に根ざして25年。世界からも注目されるブルワリー


JR舞浜駅の南改札を出て左へ直進すると見えてくるのが、東京ディズニーリゾート®内にある商業施設「イクスピアリ」。クリームカラーの柔らかな印象と、スカイブルーの門が放つ港町の爽やかさを前に、旅をしているような冒険心が高まります。



「イクスピアリ」は体験を意味するExperience(イクスペリエンス)とペルシア神話に登場する優しく善なる妖精Peri(ピアリ)の2つの言葉から作られた造語。「交易を通じて世界中の人々と触れあう海辺の街」というコンセプトを持ち、まるで海外に訪れているかのような気持ちでショッピングや飲食を楽しむことができます。


立ち並ぶ魅力的なお店たちに心を弾ませながら4階まで上がると、開放的な空間と共に見えてくるのが、大型ビアレストラン「ロティズ・ハウス」です。

舞浜地ビール「ハーヴェスト・ムーン」が楽しめて、空を眺めながらお過ごしいただけるテラス席もあります。


「ロティズ・ハウス」の入り口に入ると目に入るのは、ずらりと飾られた様々な表彰状。2022年には定番ビールの1つであるピルスナーが、アメリカで開催された「ワールドビアカップ2022」において金賞を受賞しています。

日本だけでなく、世界中から支持されるビールをつくり続けていることが、表彰状の数々から感じられます。


今回の取材では、特別に醸造所を見学させていただきました。驚いたのは、25年が経ったとは思えないほどの綺麗さ。床やタンクまで、隅々まで徹底的に綺麗にしていることがわかります。

園田さん「私たちの仕事は酵母が気持ちよく働ける環境を作ることがとても大切だと考えています。例えば酵母が汚染菌にやられてしまわないように、働きやすい温度と清潔さをきちんと管理することが1番大事で、メンバーにも徹底してもらっています。」


ビールづくりにおいて1番と言ってもいいほど、衛生管理を大切にしていると話す園田さん。”きれいな味のビールをつくる”というコンセプトにかけた想いを強く感じる瞬間でした。

ハーヴェスト・ムーンの醸造長として、25年間ビールと向き合い続ける園田さん。どのようなきっかけでビールづくりを始めたのか、開業当初に遡りながらさらに詳しくお話をお聞きしていきます。

面白そうという好奇心からビールの世界へ


「ハーヴェスト・ムーン」の開業当初から醸造長を務める園田さん。なんと、ビール造りは未経験からのスタート、さらに偶然見つけた社内公募がきっかけだったそう。当時「東京ディズニーランド®」のゲスト用駐車場のキャストとして働いていた園田さんは、”ビール職人募集”と書かれた社内公募を見かけて、好奇心に動かされ応募を決めたとのこと。


園田さん「学生時代に友達とビールを飲み比べしたり、1人1本瓶ビールを頼んだりと、お酒として好きな面があったものの、特別ビールが好きというわけではありませんでした。そのため、公募を見た当時は『ビールって本当につくれるの?面白そう!』という気持ちで、純粋な興味で応募しました」


書類選考の時に「どんなビールが作りたいか?」を記した小論文を提出し、見事に通過し、驚いた園田さんは面接前に改めてビールについて調べ、選考に臨み見事合格。1996年から、ビール職人としてのキャリアがスタートしました。その時の心境を、園田さんはこう振り返ります。

園田さん「私は特に経験も知識もあったわけではなかったので、採用されるとは正直思っていませんでした。ただ、採用が決まった時は『わからないことだらけだからどうしよう』という気持ちがありつつも『新規事業楽しそう!!』という気持ちの方が勝っていました(笑)」


ビールづくりって面白そう。園田さんが感じていた好奇心は、つくり方を知るにつれてさらに高まっていったそう。

園田さん「ビールがどのように生まれたのかという歴史はもちろん、様々なスタイルがあることやその背景、そしてそれぞれのビールがどのようにつくられるのかを知れば知るほどその奥深さに惹かれていきました。筋力的な所は大変さを感じていましたが、元々テレビの配線を調整したりといった機械的な作業も好きだったので、醸造する機械を見ても『こんな大きな機械を使うんだ』と、やはり好奇心の方が勝ることが多かったですね。」

ビールづくりの奥深さ・面白さを知った園田さんはさらに勉強を続け、なんと2年後の1998年には日本に10名ほどしかいないビアテイスターの最高位資格「マスター・ビアジャッジ」を取得したそう。

園田さん「醸造したビールを客観的に捉えるために必要だという観点から資格を取得しました。実際にビアジャッジの目線で、つくったビールの改善点も見出せるようになったので、すごく勉強になったと感じています。」



園田さんがビールづくりのキャリアを初めてから4年後の2000年。舞浜イクスピアリの開業と共に「ハーヴェスト・ムーン」が誕生しました。

ちなみにビールの名前は、社内公募でビール名を募集し、多数の応募の中から園田さんを含むイクスピアリ創業メンバーで採択したそう。

園田さん「ハーヴェスト・ムーンは、日本では中秋の名月と呼ばれていて、“収穫の月”を意味する言葉です。収穫した時の喜びを祝うお祭りの時のような楽しい気持ちを、ビールを通して味わってもらいたいという意味が込められていて、つくりたいビールにもマッチしていると感じ、決定しました。」

逆境の中でもこだわり抜いた「きれいな味のビール」をつくること


※今年度46回目に仕込んだピルスナーの表記

「ハーヴェスト・ムーン」は開業当初から現在に至るまで、「きれいな味のビール」というコンセプトを一貫して貫いてきました。

園田さんによると、このコンセプトは開業する前から決めていたとのこと。

園田さん「まだまだ当時は地ビールといっても馴染みがない状況の中だったので、つくるビールに少しでも興味を持ってもらって、飲んでもらいやすいようなものにしないといけないと考えていました。そこで国内だけでなく海外の様々なビアバーも回りたくさんのビールを飲んできたのですが、雑味を感じると少し敬遠されてしまうのではないかと感じることが多かったんです。日本で新たなビールを提供するにあたって『いつも飲んでいるものと違うけど、このビール好きかも』と感じてもらうには、個性ではなく「きれいな味のビール」というコンセプトを掲げることにしました」


※常設されている定番5種のビール。(左からピルスナー、ベルジャンスタイルウィート、ペールエール、ブラウンエール、シュバルツ)

「ハーヴェスト・ムーン」のこだわりはコンセプトだけでなく、ラインナップにも。

ピルスナー、ベルジャンスタイルウィート、ペールエール、ブラウンエール、シュバルツとそれぞれの色の違いや香りを楽しめるバランスの良いラインナップになっています。

園田さん「このラインナップは開業当時のメンバーで話し合って決めたのですが、飲み比べをしながら料理を楽しめるスタイルであること、そしてそれぞれ風味の異なるスタイルを用意することで好きな味を見つけられることを意識しました。また、『ハーヴェスト・ムーン』が位置する『イクスピアリ』には、世界中の交易商人たちが集まって誕生した街というストーリーがあるので、チェコのピルスナー、イギリスのペールエール、ドイツのシュバルツと行ったように、ビールを通して世界中の国々を感じてもらえるよう様々な国のスタイルを手本にしています。」


※2025年春のシーズンビール「春恵ーハルノメグミー」

飲み比べるだけで世界中を旅するようなワクワク感を味わえる定番5種ですが、季節ごとに限定で醸造されるシーズンビールでは、定番とは違ったスタイルでつくっていると園田さんは話します。

園田さん「定番5種は伝統的なクラシカルなスタイルで揃えているので、シーズンビールではフルーツビールやホップを多めに使用したハイアルコールなビールなど、遊び心を持ってつくっています。醸造所に隣接されているロティズ・ハウスでは定番も限定も楽しむことができるので、ぜひ季節ごとの違いも楽しんでいただけたら嬉しいです。」

ハーヴェスト・ムーンが全て揃う!ロティズ・ハウスで楽しむ贅沢なひととき


醸造所を立ち上げてからの怒涛ながらも着実に歩んできた園田さんのエピソードを伺い、感動する気持ちを胸にしながら、隣接する大型ビアレストラン「ロティズ・ハウス」にて「ハーヴェスト・ムーン」のビールとおすすめのフードをいただきます。

木を基調としたウッドテーブルに大型スクリーン、300席ほどある広々とした店内は、異国の地のビアホールに訪れたかのような冒険心がくすぐられ、席に着いた時からワクワク感を演出してくれます。

『ピルスナー』/ (レギュラーサイズ 354ml:税込704円)


「きれいな味のビール」を象徴する、日本で最も馴染みのあるスタイルのピルスナー。2022年にはアメリカで開催されたワールドビアカップ2022において金賞を受賞した、世界中から愛されているビールです。

香りを嗅いで見ると、洗練されたホップの華やかな香りが鼻に抜け、実際に飲んでみるとまさにコンセプト通りの雑味がなくクリアな味わい。ホップの苦味とキレのある喉越しが絶妙で、どんな場面でも寄り添ってくれると思えるような、優しさと繊細さを兼ね備えた1杯。

『テイスティングセット(5種)』/ (税込2,079円)


初めてクラフトビールを飲む方も、クラフトビールが好きな方にもおすすめしたいテイスティングセット。左のピルスナーから、ベルジャンスタイルウィート、ペールエール、ブラウンエール、シュバルツと順に飲むことで味わいが濃くなり、ビールの幅広さや奥深さを楽しむことができます。

さらにうれしいのがビールの量。1杯1杯が従来のテイスティングセットに比べて十分量があるため、ビール好きにはたまらないうれしさです!


また、提供時にはこのように専用のドリンクホルダーに入れて運んできてもらえます。ホルダーにかけられたビールたちがとてもおしゃれでかわいく、非日常感を体験できるのも大きな魅力です。

『フィッシュ&チップス』(レギュラーサイズ:税込1,199円)


フィッシュ&チップスはポテトとフィッシュフライのサクサクな食感に思わず手が止まらなくなってしまうほど絶品。フィッシュフライの衣には「ハーヴェスト・ムーン」のシュバルツが使用されていて、ジューシーで柔らかい魚に香ばしく濃厚な旨みの衣が絡んで、ビールのお供に最高の味わいです。

『鉄板ナポリタン』(レギュラーサイズ:税込1,419円)


トマトの甘味と酸味にピーマンのほろ苦さ、マッシュルームの風味とチーズの濃厚さの掛け合わせが絶妙な鉄板ナポリタン。レギュラーサイズでもしっかりとボリュームがあり、どこか懐かしさを感じながらも、その濃厚な味わいは締めの料理にもぴったりの一品です。

地元の方に愛される、舞浜の地を背負えるようなブルワリーを目指していきたい


好奇心が背中を押し醸造家としてのキャリアを重ね、「きれいな味のビール」をコンセプトに多くの人に感動とワクワクを届けてきた25年間。節目を迎える園田さんに、最後にこれまでとこれからをお聞きしました。


園田さん「25年の間にも震災があったり、コロナ禍があったりと、大変な時期もありましたが、今こうして楽しくビールづくりができていて、飲んでくださるお客様も格段に増えて、本当にありがたい25年だと思っています。私自身もビールに出会えていなかったら海外で審査員を務めることもなかったので、本当に『ビールよありがとう』という気持ちです。これからもその気持ちを忘れずに、地元の方からも『贈り物にはハーヴェスト・ムーンだよね』と思ってもらえるような、舞浜という地を背負って立てるようなブルワリーに成長していきたいです。」

「きれいな味のビール」を追求しながら、国内外で活躍の幅を広げ続ける「ハーヴェスト・ムーン」。イクスピアリに訪れたときにはぜひ、醸造所隣接の「ロティズ・ハウス」にてこだわりのビールを楽しみながら、心温まる時間をお過ごしください!

 ロティズ・ハウス

〇住所:千葉県浦安市舞浜1−4 イクスピアリ 4F シェフス・ロウ
〇アクセス:JR舞浜駅南口より徒歩5分
〇営業時間:11:00〜23:00
〇定休日:施設に準ずる
〇座席数:約300席
〇決済方法:現金、各種クレジットカード、電子マネー
〇Instagram:https://www.instagram.com/rotishouse_official/
〇予約サイト:https://www.tablecheck.com/ja/shops/rotis-house/reserve


都内でもハーヴェスト・ムーンを楽しむなら


「ハーヴェスト・ムーン」はなかなかビアバーでも出回らないイメージがありますが、なんとほかにも、「ハーヴェスト・ムーン」が楽しめるお店があるとのこと!その中から2店舗をご紹介します!舞浜までは行ける機会がないけど都内で「ハーヴェスト・ムーン」を飲みたいという方はぜひ足を運んでみてくださいね!


THE COUNTER 六本木 東京ミッドタウン


100万通り以上のカスタマイズを楽しめるハンバーガーレストランとして、
2003年カリフォルニア州サンタモニカで誕生したTHE COUNTER。

STEPごとにパティやバンズ、具材を選んで自分好みのハンバーガーを注文できるお店です。
ハンバーガーとの相性抜群のピルスナー・ペールエールが常設されています。

 THE COUNTER 六本木 東京ミッドタウン

〇住所:東京都港区 赤坂九丁目7番4号 東京ミッドタウン ガレリアB1
〇アクセス:東京メトロ日比谷線六本木駅 地下通路にて直結、都営大江戸線六本木駅 8番出口直結
〇営業時間:11:00 〜 23:00(L.O. 22:00)
〇定休日:施設に準ずる
〇座席数:約59席
〇決済方法:現金、各種クレジットカード
〇Instagram:https://www.instagram.com/thecounterjpn/?ref=badge



EBISU FOOD HALL 恵比寿


恵比寿駅から徒歩2分の立地にお店を構えるフードホールです。国内外のクラフトビールやワインをはじめ、バラエティー豊かなタパスやグリル料理、ハワイのポキボウルに、アメリカ発祥メキシカンフードのテックスメックスなどを楽しむことができます。

「ハーヴェスト・ムーン」のピルスナーが常設されています。

 EBISU FOOD HALL 恵比寿

〇住所:東京都渋谷区 恵比寿南1-1-9 岩徳ビル1F
〇アクセス:JR・東京メトロ恵比寿駅 徒歩2分
〇営業時間:9:00 〜 23:00(L.O. 22:00)
〇定休日:不定休
〇座席数:約118席(表裏のテラス席含む)
〇決済方法:現金、各種クレジットカード、電子マネー、Paypay
〇Instagram:https://www.instagram.com/ebisufoodhall_official/


\楽しいビール情報が届く/

LINE@

ライターの紹介

アイコン
kenwata ディレクター

「ビール女子」のディレクション担当。妻の妊娠中に一緒に禁酒をし「ノンアルビールでも生きていける!」の境地に達したものの、1年半ぶりに飲んだビールにただならぬ感動を覚え、クラフトビール沼に落ちる。趣味はヒトカラとカメラ。Hazy IPAを飲みすぎた結果、原点回帰してピルスナーがマイブーム。

人気ランキング

こちらの記事もおすすめ


いいね!