ビール好きにはコーヒー好きが多い。
そう感じたこと、皆さんもありませんか?何気なく日中はコーヒーをお共に仕事を頑張って夜はビールで疲れを癒す。そんな生活を送っている人は少なくないはずです。
ビール女子ライターの私も、普段カフェで働いていて毎日3、4杯コーヒーを嗜む大のコーヒー好き。コーヒーもビールも、同じものでも人によって全く違う味わいの感想が生まれたり、自身も日によって味の感じ方が変わる繊細さと複雑さがあるところが、どちらも好きである所以かも?と考えています。
今回は、単に「ビール」「コーヒー」といっても一言では言い表せられない奥深さをもつこの2つの飲み物を、どちらも深い愛とこだわりを持って提供し、さらに「ラーメン」愛までが溢れているちょっと不思議で素敵なカフェバー『ENJOY COFFEE &BEER(エンジョイコーヒーアンドビア)』に行って来ました。
店主:中野幸枝さん(左)と 翔太さん(右)
もくじ
・喜多見駅から徒歩2分、手書きペイントが目印・クラフトビールがアツい街
・「ビールとコーヒー」両方知るともっと楽しい
・本日のタップリスト・気になる冷蔵庫は?
・クラフトビールをラーメン屋のサイドメニューと一緒に
・喜多見の人たちのサードプレイスに
喜多見駅から徒歩2分、手書きペイントが目印
小田急線・喜多見駅の改札を出て左手側を2分ほどまっすぐ歩くと、お店が見えてきます。
とにかく開放的で外からの光が明るく差し込む店内。公園のような感覚でどんな人でも気軽に入って来れるような雰囲気を目指して、外壁と内壁のタイルをほぼ一緒のものを使用しているのだそう。自然と店内に足を踏み入れたくなります。
店内は全部でテーブルが4つ。奥の立ち飲みスペースと、少し背の高いカウンターの脇でも立ち飲みができます。
背の高い方にはこのカウンターの高さが心地良いようで、常連のお客さまの中にはどんなに席が空いていてもここを選ぶくらいお気に入りの方もいるんだとか。
さらに、天気の良い日には通称「縁側」のスペースで日向ぼっこしながら気持ちよくビールが飲めるのもなんとも嬉しい!これからの季節にたまらないシュチュエーションでビールが飲めちゃいます。
リードフックも設置されているので、ワンちゃんの散歩がてら一杯なんてことができてしまうのもエンジョイの魅力のひとつです。
クラフトビールがアツい街
お店のある東京都狛江市は、日本で2番目に小さい市でありながら、市内に3つの醸造所があるというクラフトビールがアツい街。ENJOYはそんな街で、1年前の6月にオープンしました。
「コロナ禍でライフスタイルが大きく変化し、お酒を飲む場所も変化してきました。今までは飲み屋の立ち並ぶ場所に足を運んだり、職場の近くの居酒屋に仕事帰りに寄ったりでしたが、電車に乗る機会も少なくなり、最寄りで過ごす時間も増えたと思うんです。そんな中で、私たち自身も暮らしている喜多見が、もっと街の人たちに愛される場所になったらいいなと思い、喜多見で店を開こうと決意したんです」と、店主の中野さんたちはいいます。
やはり来店される方は地域の方が多いようで、喜多見の駅からすぐのエンジョイには、仕事帰りに一人で立ち寄るサラリーマンや、子供連れの家族、ワンちゃんの散歩がてらに立ち寄る方などで賑わい、地域の人の憩いの場になっています。
ちなみに、お店のロゴやグラスに使用されている「?」マークは、「これはあなたの想像しているビール、コーヒーじゃないかもしれません、でも半信半疑で飲んで大丈夫。あなたの楽しみ方をしてください」といった意味が含まれているそう。ワクワク感高まるキャッチーなロゴですよね。
「ビール」と「コーヒー」両方知るともっと楽しい
もともと10年以上コーヒーを仕事にしてきたおふたりは、ビールの店を開くとき、自然とビールとコーヒーのどちらも提供する店にしたいと思ったそう。
翔太さん
ビールもコーヒーも似ているところが多いと思うんです。例えば、味わいを全く違う食べ物に例えるところ。ナッツやチョコレート、ベリーとかグレープフルーツなど。どちらも本当に色々な味わいがあって、自分自身がその世界に触れた時に、日常がワクワクして豊かになったなと感じたんです。ビールにもコーヒーにもそんなワクワクに気がついてもらえるようなきっかけづくりをしたくて。
幸枝さん
翔太さん
そんな共通点が多いビールとコーヒーをコラボレーションさせたここでしか飲めない特別なドリンクがあります!
『ドライホップエスプレッソトニック』(税込680円)
こちらはなんとホップを入れたコーヒー!
「昼からビール飲みたい、でも今日は飲めない!というときにも、なんとなくビールを飲んだ気分になれるコーヒーを作りたい」と考えられた商品で、ペレット状のホップをコーヒーを用いて抽出し、香り付けをしています。
翔太さんが前職のレシピ考案の大会で優勝した商品で、当時はカフェでのメニュー化が叶わなかったものを、エンジョイで実現させたという思い入れのあるドリンクでもあります。
飲んでみると、想像以上にしっかりとホップの柑橘感を感じます。それがエスプレッソのオレンジっぽい酸味と合わさってトニックウォーターがスッキリまとめている、夏を連想させる非常に爽やかなドリンク。ホップもエスプレッソもちゃんと相乗効果で活かしあっているのがすごい!
ぜひエンジョイに来たら飲んでほしい一杯です。ビールの締めにもピッタリです。
ちなみに、ドライエスプレッソトニックに使用しているエンジョイのオリジナルブレンドは、“ホップを感じるようなコーヒー”とオーダーして前職時代の仕事仲間でもあるノグコーヒーさんと共に試行錯誤して作り上げたもの。
半年に一回ほどブレンドする豆の内容を変えつつ、ベースはホップのフレーバーに近い、グレープフルーツやオレンジのようなジューシーさを感じるブレンドに仕上げています。 エンジョイオリジナルブレンドはカフェメニューで楽しめるのと、100g、200gでの量り売りもしています。
▼ノグコーヒーさんのサイトはこちら
https://nogcoffeeroasters.com
コーヒーに合うお菓子も手作りで用意していて、ケーキとカフェラテのセット(税込900円)もあります。カフェ利用だけでも大歓迎です。
本日のタップリスト・気になる冷蔵庫は?
タップは全部で9種類。1番は炭酸ではなく窒素で充填する「ナイトロ」のタップになっていてビターというスタイルの『オールドスペックルドヘン』を大体固定で繋いでいます。翔太さん曰く、ビターはナイトロで飲むのがぴったりのスタイルだとか。
また、1番が「ビター」なのは、「いろんなクラフトビールを楽しむ中で、ちょっとホップ疲れしてきたな…」という人にも、新たなおいしさを発見してほしいという思いも込められているそう。1杯めでも、2、3杯めに飲んでもしっくりくる味わいとして選ばれています。
2番はセゾンなどヨーロッパ系のスタイル、3番はラガー、4番はエール、5〜7番はIPAを大体繋いでいて、8〜9番はその時によって変動します。クラシカルなものから流行りのビールまで飲めて、ビールを飲み慣れていない人からすでにいろんな種類を飲んだことのある人まで楽しめる。そんなバランスの良さを大切にした、翔太さんのビール愛が伝わるタップリストです。
この日タップにつながっていたビールから2種類をご紹介!
『オールドスペックルドヘン/Greene King(グリーンキング)』(パイント・税込1200円)
エンジョイで常に1番につながっている、イチオシビール。イギリスでは非常に主流な「ビター」というスタイルで、モルト由来のキャラメルやパンのような風味と、熟れた洋梨やバナナのようなニュアンスを感じるのが特長。度数は5.0%で、するすると飲みやすく、ナイトロで注ぐと口当たりが非常に滑らかな口当たりを楽しめます。窒素の生み出すグラデーション(カスケード)が上がりきった頃が飲み頃です。
『オールドワールドワーブラー/インクホーンブルーイング』(パイント・税込1450円)
ヘイジーIPAという白濁している見た目が特長的なビール。マンゴーや柑橘系の香りや風味がしっかりと感じられます。度数は7.0%と高めですが、甘みも強いのでアルコールを感じにくい味わい。
さらに、メニューシートを見ると、IPAに関してはホップの種類まで記載してあるというこだわりよう。普段あまりビールのホップの種類まで着目する人は少ないかもしれませんが、自分の気に入ったビールにはどんなホップを使用しているのか、メニューシートに目を通したとき気づきを得られたら楽しいのでは、という粋な計らいです。中野さんたち自身が、ビールを楽しむとき、「飲んだビールのホップ当てクイズ」をしていたことから着想を得たのだとか。
タップのビールは大体2週間ほどで入れ替わるそう。リストは随時インスタグラムで更新されているのでチェックしてみてくださいね。
さらに、冷蔵庫にもベルギーの歴史の深いビールから、最近人気のブルワリーのビールまで約4〜50種類が並びます。昔のスタイルがあっての今、という翔太さんのビール愛が伝わってくるラインナップ。
お話しているうちに気になってその場で開栓したり、何人かで来店してタップのビールをいくつか飲んだ後にシェアしたりするお客さんも多いそう。
この日の翔太さん一押し『モアネット ブロンド』は、アルコール度数が8.5%あるにも関わらず飲みやすく、ご自身が改めてベルギービールのおいしさを再確認した思い入れの強いビールとのこと。翔太さんの熱い語り口に、取材当日も編集部2名が購入してしまいました!ビール冷蔵庫のビールの開栓料は小瓶で300円、大瓶で500円で販売しています。
ラーメン屋のサイドメニューと一緒に
エンジョイの魅力は「ビール」と「コーヒー」だけではありません。なんと、おつまみメニューはラーメン屋のサイドメニューのような個性あふれるラインナップ。翔太さんが昔から家でも趣味でチャーシューを作るほどラーメンオタクで、ラーメンへの愛も色濃く出ています。
自信を持って提供する、ラーメン愛も溢れるメニューたち。今回はその中から人気の2種を紹介します。
「チャーシュー2種盛り合わせ」(税込800円)
低温調理チャーシュー(写真左)と煮豚の炙り(写真右)のセットで、全く違う味わいの2種が一皿で楽しめます。低温調理の方は非常に柔らかく口の中でとろける…胡椒がいいアクセントに。煮豚は甘辛い味付けがビールにぴったりで、炙ってあるのでジューシーさが増し増し。
「メンマ3種盛り合わせ」(税込600円)
メンマってこんなに色々あるんだ!と新発見の一皿。穂先メンマと細いもの・太いもので切り方を変えたメンマの3種セットで、全て味付けが違います。穂先メンマは非常に柔らかくシャキシャキの歯応えも楽しめます。肉厚でジューシーな太切りと醤油味が濃いおつまみに最高な味付けの細切りも全部おいしすぎる!どれが好き?と一緒に来た人とシェアするのも楽しくておすすめです。
喜多見の人たちのサードプレイスに
「地域の人たちが集まってそこが集いの場所になる、そんな世界観をずっと作りたかった」というおふたり。昼間からふらっと立ち寄ってクラフトビールやコーヒーが飲めて、自分の家以外にゆっくりできる居場所。そんな店としてもっと地域の方に認知してもらいたいと意気込みを語ってくれました。
また、他の地域からせっかく喜多見に立ち寄ってもらったのなら、エンジョイだけでなく、ぜひクラフトビールの街をはしごして楽しんでほしいとのこと。
いつでもオープンな雰囲気で迎えてくれるエンジョイ。「クラフトビールちょっと好きかも?」くらいの人でも一緒にお話ししながらビールを好きになってもらいたい、と中野さんたちはいいます。
そんなエンジョイは6月に1周年を迎えます。周年ビールや周年グラスを企画中とのこと!ビール好きもコーヒー好きも、ぜひエンジョイに立ち寄ってみてください。地元の方に愛される居心地のいい空間が待っています。
『ENJOY COFFEE &BEER(エンジョイコーヒーアンドビア)』
〇住所:東京都狛江市岩戸北2−20−3
〇交通:小田急線喜多見駅から徒歩2分
〇営業時間:13:00~22:00
〇定休日:火曜(その他のお休みはInstagramでチェック)
〇座席数:11席(テーブル4つ、立ち飲みスペース、カウンターあり)
〇支払い形式:カード、電子マネー可
〇喫煙・禁煙:禁煙
〇Instagram:https://instagram.com/enjoy_c_b?igshid=YmMyMTA2M2Y=